「在原業平」創作ノート2

2009年11月

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11/01
さあ、11月だ。日曜日。まだ「大乗仏典はすごい」の仕事が残っているのだが、今月は「なりひら」に集中したい。この作品のコンセプトをここに書いておく。まだ日本史上最高の美男子といわれている在原業平だから、それなりのキャラクターを造形しないといけない。今年は大宰生誕100年でもあるので、「人間失格」みたいな、やや絶望的なキャラクターに仕上げたい。その上で、同時代の歴史と絡めていく。桓武天皇の曾孫なのだから歴史と無縁というわけにもいかない。ハードな政争の中でなぜかつねに負け組と親しくなっていく、運のない人物。そういう感じで、読者の気持を惹きつけたい。というようなプランを考えてはいるのだが、まだ歴史的事実のクロニクルが充分に頭に入っていない。これからだ。

11/02
大学。寒波が来た。冬の格好になる。夜中はヒーターも入れる。法華経についての記述が完了。これで完成かと思っていたのだが、阿弥陀経などについてポメラで入力したところが完全ではなかった。ここをチェックしながらエンディングを考えたい。「なりひら」はまだ「伊勢物語」を読んでいる段階。文庫本の巻末に業平の年表がある。光孝天皇の方が年下なんだ。そんなことも初めて知る。光孝天皇の即位という劇的な状況を業平は知らずに死んだわけだ。これでは業平の視点だけでは話がもたない。後日談というかたちで別の人物が最後をしめくくるという構成にするしかない。菅原道真では固すぎる。紀長谷雄がいいのではないか。ということは、道真とともに長谷雄も早い段階で登場させておく必要がある。

11/03
今週もハードな日々が続いている。今日は祝日。貴重な休日だ。「西行」ゲラは明日渡すことになっているが、すでに完了している。先月から取り組んでいる「大乗仏教はすごい」も草稿完了。プリントしているひまがないので、ワープロの画面で最初から読み返す。これで最後までチェックできれば手が離れる。

11/04
午後4時半から書協で記者会見。で、4時に隣の出版クラブで待ち合わせをして担当編集者にゲラを渡す。これで完全に手が離れた。「阿修羅の西行」。タイトルもうまくいったのではないか。やや分厚い本になるが、読み出したらやめられない、というくらいに引っ張れる作品になっている。
記者会見は国会図書館のデータベースによる検索システムを、民間主導で有料配信するシステムを作るというもの。この記者会見にこぎつけるためにやや時間はかかったが、結果的には最短でここまで来たと思う。松田弁護士が最短のプランを立てて実務も担当していただいた。まだ、やるぞ、と号令をかけただけで、実際にモデルプランを作り、関係者の意見を反映されて、プランを実現するためには長い道程が必要だが、とにかく一歩踏み出したので、もはや引き返すことはできない。流れに逆らうという選択肢はもはやないということで、関係者のご協力が得られるのではないかと考えている。
さて、「大乗仏典はすごい」。編集者に渡す前の採集チェックをパソコン上でやっている。半分はすぎた。あと1日か2日で完成する。

11/05
M大学。出かける前に大リーグ中継を見る。松井の三本目のヒットで観客がMVPと叫んでいるのを見て、すごいものだと思う。これに比べれば日本の野球はたいしたものではない、仕事をしながら見ていたが、やっぱり巨人が逆転勝ちをするとほっとする。ほとんど同時に、次男の嫁さんから写真入りのメールが届く。巨人の逆転勝ちを喜ぶ孫の写真。一歳半だから野球がわかるわけではないが、父親が喜んだので嬉しかったのだろう。ちなみに嫁さんは阪神ファン。「大乗仏典はすごい」完成。担当者にメールで送る。ほぼ一ヶ月で書けた。さて、いよいよ「なりひらの恋」だ。

11/06
文藝家協会理事会。今回はペンクラブからの提案に応えるかたちで連名の嘆願書を出すという課題があったのだが、最終的な文面の完成が遅れ、事前に根回しをする時間がなかった。そのため、疑問が提出されて少し時間がかかってしまった。こちらの準備不足でまことに申し訳ない。その後、岳真也氏と近所の喫茶店で歓談。飲みに行きたいところだが、「なりひらの恋」に初速をつけないといけないので早めに切り上げる。さて、「なりひら」。昔のプレイボーイといったとらえ方があるが、わたしは太宰治の無頼と、サーニンのニヒリズムを中心に据えたい。サーニンといっても誰も知らないだろうが、アルツィバーシェフが書いた奇妙なヒーローである。アルツィバーシェフなどといっても誰も知らないだろうが。ただしドライなニヒリズムであってはならない。日本的なウェットなニヒリズム。だから人間失格に近づいていくか。生きていてすみません、といったキャラクターにしたい。実際に業平は、父親がクーデター未遂の罪で失脚している。家系からいえば帝になってもおかしくない家系である。世が世であれば帝であったが、いまは無冠の冴えない蔵人(宮廷の雑用係)……虚無的になるのも仕方がない。まあ、そんな社会的背景をしっかり押さえながら、やさしい男を描いていきたい。

11/07
土曜日。表参道の宣伝会議で講演。編集者養成の講座の最終回とのことで、自分の体験をもとに、よき編集者像を語る。作家にとってよき編集者は、アイデアとアドバイスをしてくれる編集者だ。まあ、いい話ができたと思う。

11/08
日曜日。昨日の土曜日は仕事があったのでようやく休みの日。北沢川を散歩。先週は毎日何か用があったのでここを散歩するのもひさしぶり。「なりひら」順調に進んでいる。序盤を伊勢物語のエピソードを口語で語るだけのこと。全体の10パーセントくらいまでこのプロローグの伊勢物語エピソードを続ける。ここで主人公のキャラクターを見せておいてから、徐々に本筋に入っていく。本筋というのは、応天門の変の後に藤原北家の独裁が強くなっていく過程を中心に据え、わきに高子との恋愛をからめていく。ここからはストーリーに沿って展開する。エンディング近くに東下りの話を置いて、ここからまた伊勢物語の話が続く。つまり歴史小説が伊勢物語にサンドイッチされているといった趣向。重要なのは在原業平が死んだあとにも歴史が続いていくということで、光孝天皇の即位、子息の宇多天皇の即位、さらに醍醐天皇への譲位があって宇多上皇による院政が始まる。ここに菅原道真がからむ。この作品は在原業平のモノローグで展開されるので、死後のことは本人の口からは語れない。そこで別の話者を用意する。それが紀長谷雄である。紀長谷雄は鬼が見える人物なので鴨川ホルモーみたいな話になるかもしれない。
本来、しっかりした年表を作ってストーリーを考えるべきなのだが、主人公のキャラクター作りを優先したので、年表なしにモノローグを始めた。突然、想定外の事実に気づいた。在原業平が臣籍降下したのは子どもの頃なので、そのころに父の阿保親王は亡くなったと思っていたのだが、承和の変は業平十七歳の時なので、そこまで阿保親王は生きている。つまりこの大事件で父親が失脚し、謎の死を遂げることを、業平はリアルタイムで眺めていたことになる。ということは、キャラクターを見せているうちに、いきなり歴史が流れ始める。これはすごい小説になりそうだ。

11/09
W大学。出かけるまで「なりひら」に取り組む。最初から読み返して文体をチェック。うまくいっている。すでに充分にキャラクターが出ている。当初のプランではあとしばらく、断片的な恋のエピソードを重ねて主人公のキャラクターを見せていくつもりだったが、父がまだ生きているので、父との会話を書きたい。これでさらに深くキャラクターを提示することができる。歴史がそうなっているので、そういう展開にせざるをえないのだが、これはまるでわたしの小説のために歴史が準備されているような展開だ。妻が留守なので夜もテレビを見ながら仕事をする。「西行」のゲラと「大乗仏典」の追い込みの時期に、夜中のテレビ番組を録画してまだ見ていないものがたくさんあるのだが、いまは見ているひまもない。最近買った録画機なので容量がどれほどあるか知らないのだが、容量が少なくなればそれらしい表示が出るはずだから、このまま残して仕事に集中したい。

11/10
文藝家協会で打ち合わせ。「なりひら」順調に進んでいる。

11/11
メンデルスゾーン協会運営委員会。単に例会の案内を封筒に入れて発送しただけ。まあ、いつもの仲間と雑談しながら作業をして、軽くビールを飲んだ。いい仲間だ。

11/12
M大学。今日はいい話ができたように思う。何だかすごく寒い。

11/13
グーグルの新和解案をめぐってペンクラブのシンポジウムが予定されていたのだが、新和解案そのものがまだ出ていないので中止。本日の深夜にその延期された新和解案が出ることになっているが、また延期されるかもしれない。とりあえずこのことは忘れて自分の仕事に集中する。伊勢物語の第一段には源融(みなもとのとおる)の「しのぶもじずり」の和歌が引用されているので、かなり年長だという印象があったのだが、業平とほぼ同世代。ということは、この一段はこの位置にあるのはおかしい。業平晩年の話としか考えられない。こちらの予定が狂った。伊勢物語の一段に置かれているエピソードだから、なるべく早い段階で採り入れたいと思っていたのだが。

11/14
土曜日。三軒茶屋に散歩。ウイスキー2本買う。それだけ。雑用を一つ。あとは「なりひら」。母親に続いて父親が出てくる。この作品のプランの段階では親のことは考えていなかったのだが、やはり家庭環境というものをちゃんと書いておかないといけない。ただリアリズムの作品ではないので、ユーモアとギャグを折り込みながら会話を形作っていく。ボケとツッコミを上品に連続させていく。これは難しいのだが、乗りが大事だ。勢いで押し切りたい。

11/15
日曜日。いつもの北沢川の散歩。M大学の学生のレポートを見たり、同大学での講演のテープ起こしに手を入れる。講演の時は、間合いをとるために、「で」とか「ですね」という合いの手を入れる。テープ起こしを見ると、むだな間合いが多いことに気づく。「なりひら」は承和の変が終わった。ここでしばし考える。この小説、恋愛小説ということで売りたいと考えている。なりひらは美男子。それも日本史上、最高の美男子といわれているので、華麗な恋をしているはずである。そういう読者の期待に応えて、軽い文体でライトノベルのように展開したいと考えている。参考としているのは晩年の太宰治の文体。これをいまふうにさらに軽くして、それで歴史を語る。だから、あまり理屈っぽいことは入れたくない。「承和の変」という言葉も、入れたくないのだが、しかし最近は戦国物や幕末物が歴史好きの若い女性に愛好されているという話もあるので、そういう「歴女」に、戦国や幕末だけでなく、平安時代に興味をもってもらいたいという思いがある。だから、歴史的な事蹟をある程度入れた方が、歴史好きの読者にとっては、もっともらしくて興味がもてるということになるのかもしれない。そのあたりの調整は、試行錯誤で前進するしかない。

11/16
月曜日。W大学。もう冬、という感じ。忘年会のオファーが来たりして。さて、「なりひら」。ここまで章立てについては何も考えてこなかったが、まあ、4章かな。で、とりあえずここまで書いたところを1章として、区切りを付ける。従五位下に叙爵された本格的な宮仕えが始まるところから2章ということになる。ここまで半月。2カ月で書く予定なので、順調。ただし、「青い目」と「大乗仏典」のゲラがどこかで入るので、作業は数日、停滞する。だからもっとピッチを上げないといけない。

11/17
本日は休み。渋谷まで散歩したが雨が強くなったのでバスに乗って帰ってきた。それだけの休日であった。

11/18
月に何日か、恐怖の日がある。午前中に会議が設定されている日だ。夜型のわたしとしては、生活のリズムが狂うのだが、睡眠時間を削るだけで、1日がゆったりすごせるという点では、わるくない。朝、起きる。それが1日の最大の仕事である。起きて、車に乗り込めば、あとは妻が運転してくれる。茅場町、図書館協会。ここで福祉関係のガイドラインを作る会議。充実した会議でかなり前進できたと思う。茅場町にはペンクラブもある。茅場町という地下鉄の駅もあるが、いつも散歩を兼ねて、水天宮まで歩く。ここで電車に乗ると乗り換えなしで帰りつける。昼過ぎに自宅に帰り、もう散歩もすませてあるのであとはひたすら仕事。メンデルスゾーンの事務局から連絡の手違いで急に原稿8枚書いてくれというメール。8枚はすぐに書ける。「なりひら」第2章、ちょっと滞っている。少し理屈っぽすぎないかとたたずんで考えている。このあと、主要なストーリーが始まる。嵐の前の静けさみたいなもので、これでいいかとも思う。

11/19
M大学。寒い。今年一番の寒さ。しかも雨。学生が来ているのかと思ったが来ていた。この大学の学生はまじめだ。

11/20
午前中の会議。しかも夕方にも会議がある。問題は空き時間。自宅に帰って昼食を食べてまた出かけるだけの時間はあるが、どこかで時間をつぶした方が効率的なので神保町へ行く。古本屋を回る。「なりひら」の次の仕事は「新釈白痴」。「書かれざる物語」という副題で、ドストエフスキーの創作ノートの中で構想され、実際には書かれなかった作品を復元する。ノートは河出版の全集に収録されているのだが、わたしがこの廃棄されたプランの存在を知ったのは小林秀雄の「白痴について」という本。確かに読んだ本なのだが書庫に見当たらず、古本屋で捜すしかないかと考えていた。それで何軒か回ってみたが、すると小林秀雄全集が出ていることに気づいた。ただし全巻は揃っていない。新刊なら揃っているかと三省堂に行ってみた。ずらっと揃ってはいたが、どうもこの全集は作品のタイトルではなく、編年体の全集になっている。わたしが読んだ「白痴について」が何年に書かれたのかがわからない。それで一冊ずつ順番に読んでいくと、それらしい作品を発見した。ただしわたしが読んだ本と同じ内容なのかはまだ不明。しかし立ち読みした限りは、刺激的な内容になっているので、とりあえずこれを購入することにした。貴重な空き時間だった。帰ってみると「青い目の王子」の再校が届いていた。初校はすでに届いていたのだが、用字の統一などの校正者の指摘が入っていないので、ざっと読んだだけにとどめた。今回は事前に用字についての疑問が届いて回答してあるので、最終的なゲラになっている。ここでもう一度、集中して読んで仕上げたい。ということで、「なりひら」は中断ということになるが、完全に中断してしまうと回転していたエンジンがぱたっと止まってしまうかもしれないので、毎日、アイドリング状態にするために、少しは先に進みたいと思う。とりあえず本日も少しだけ「なりひら」について考えてみる。昨夜、嵯峨源氏五兄弟の前に、僧正遍昭を出すことを思いついた。ヒロイン高子の登場が少し遅れることになるのだが、しっかりと準備をしてからヒロインを登場させ、そこから一気にストーリーを展開したい。

11/21
土曜日。とりあえず「なりひら」。僧正遍昭とのやりとりが長くなったが、ここで五節舞の話が出てくるのでヒロインの登場につながる。当初はこのあとに嵯峨源氏の兄弟が出てくる予定だったのだが、これ以上ひっぱってヒロインの登場が遅れるのもどうかと思うし、嵯峨源氏の話は少しあとの応天門の変の直前に出した方がいいかとも思うので、僧正遍昭のあと、ただちにヒロイン高子の登場として手順にしようと思う。
そこまで考えたところで、孫登場。四日市の次男が、日曜に結婚式だとのことで、嫁さんは何日か前に町田の実家に来ていて、昨日、次男も会社を終えてから新幹線で町田まで来ていて、本日はこちらに移動するとのこと。妻が風邪なのか体調を壊しているので、メシを作れないと連絡してあったが、とにかく次男夫婦の孫、夕方に到着。これから電車で渋谷に行って買い物をして、メシも食ってくるとのこと。瞬間的に孫が現れ、リビングを走り回ってマッサージチェアーによじのぼって、スイッチを押したが、あらかじめ電源コードは抜いてある。わたしのことは覚えていて、親愛の情を示してくれた。孫の前でパソコンを使うのは危険なので、すでに自分の部屋に片づけてある。次男たちが出かけたあと、昨日届いた「青い目の王子」のゲラを読む。うわー、ものすごい作品だ。何を書いたかすっかり忘れていた。初校は届いていたのだが、ざっと字面を眺めただけで、読んではいない。じっくり読むと、たちまち涙が止まらなくなる。読んだ人が泣くということではない。この作品が理解できるのはもしかしたら自分一人なのかもしれない。それでも、いったん頭の中を白紙にしてこの物語を読むと、わたしは涙が止まらない。いやー、すごいものを書いたね。途中まで校正したところで、次男たちが戻ってきた。孫が走り回る。次男夫婦が荷物の片づけをしている間、わたしと孫と、二人きりで残された。絵本を読んでやると、わたしの膝の上で、じっとしている。読み終えると別の絵本をわたしに渡す。おお、ジイさんとしては最高の幸せ。この孫が、「青い目の王子」を読んでくれるのはいつのことか。ちょっと小学生では難しいようなハイレベルの作品なのだが、わたしは小学生のころに宮澤賢治を読んで理解していた。だから小学生でも読めるはずだ。孫を風呂に入れて寝かせたあと、次男夫婦がダイニングルームでパソコンを見ながら何か話している。そのわきで時々、彼らの会話に口をはさみながら作業を続けた。作業完了。半日で完了した。ところで今日は「大乗仏典」(まだ正式タイトルが決まっていない)のゲラも届いた。まあ、明日だ。夜中はまた「なりひら」。これもなかなかいい作品だが、「青い目」のあとだと、少し息切れする。「青い目」は子ども向けの平易な文章ではあるのだが、哲学的レベルが高く、抑制した文体に封じ込めた内面のトーンは高い。「なりひら」は少し引いた感じで書いている。だらけた感じのユーモアの中から、しだいに緊迫感を出したいと思う。歴史の重みがあるので、軽いトーンの文章でも、読者には主人公の切実さが伝わるはずだ。そう思って、元気よく書き続けたい。

11/22
日曜日。次男一家は嫁さんの友人の結婚式に出かけていった。夕方、次男と孫だけ先に戻る。嫁さんは二次会に出るとのこと。会場が大手町だったので、巨人の優勝パレードの大群衆を遠目に見ることができたとのこと。次男は巨人ファン。孫もたぶん巨人ファンになる。夕方までは孫がいなかったのでパソコンで「なりひら」を進める。ようやくヒロイン登場。まだ八歳。しかしここから物語が始まる。孫が帰ってからは昨日届いた「大乗仏典」の校正。連日の校正作業だが、その間も「なりひら」が動いていることが喜ばしい。次男はスポーツニュースを見ているうちに作業完了。2日で2冊ぶんの校正が完了した。その間も「なりひら」が先に進んだ。ちょうど調子が出たところにゲラが来たので、勢いが衰えなかった。

11/23
月曜日だが祝日。何の日だ。勤労感謝の日か。勤労を感謝すべき日にW大学は何と授業があるのだという。行ってみたが学生も5人くらいしかいない。どういうことだ。週末にゲラ2本仕上げたので「なりひら」に集中できる。ついにヒロインが登場。ついでに姉も登場させ。姉はブス。妹は美人。このコンビに活躍してもらう。

11/24
火曜日。本日は公用は休み。医者に行く。月一度の定期診療には早いが予約していたインフルエンザ(旧型)のワクチンが入ったとのことで、注射。ついでにいつもの薬ももらう。これで安心。「なりひら」はそろそろ第2章も終わりに差しかかった。山場となるのは第3章。ここまではのんびりした助走にすぎないのだが、そののんびりムードを楽しめるような仕掛けをほどこしてある。全体がゆるい、ということが魅力になるような文体を試みている。

11/25
お台場で映画を観る。映画を観るのは久しぶり。ひまがなかった。ということはいまは少し楽になったということ。ゲラ3つが終わって、今年はあと一つ作品を書けばいいだけになったので、ゴールが見えてきた。ドストエフスキーの準備はしなければならないが、まあ、映画くらい観てもいいだろう。映画を観るというのは、お台場へ行くということで、ここでのんびりと、夜景を眺めたりもする。気分転換になった。

11/26
大学の出講日のはずだが、本日は休みだということが直前にわかり、何となくひまになった日。「なりひら」は順調に進んでいるが、新たに取り寄せた資料によって、いままで書いた部分を若干、修正した。この作品はライトノベルふうのユーモア小説なので、歴史的事実にとらわれる必要はないのだが、リアリティーは必要なので、細部をさりげなく書き込む必要がある。そのため、歴史的事実を確認しておく必要がある。とにかく今月中に半分という目標は達成できるだろうが、金曜から週末にかけては行事があるので、体調の維持をこころがけたい。平たく言えば飲み過ぎないということ。

11/27
日本図書教材協会の催し。パネルディスカッションの催しのあとで著作権について短いレクチャーをしてくれということなので、ごく簡単なレクチャーをした。その後、宴会。この宴会の趣旨が頭の中にインプットされていなかったのだが、児童文学の人々と日図協との間で締結した協定の10周年の宴会だった。思えばこの協定からスタートして、著作権管理の仕事が始まったので、わたしの人生にとっても記念すべき出来事であった。ある種の感慨があった。その後、NPOのスタッフ(編集者)と軽く飲んだ。わたしのNPOは、初期の目標を達成したということで、来年のあたまに解散することになっている。その打ち合わせと、自分の仕事のことなどを話した。自分の仕事は、まあ、順調に行っているのだが、可能性を拓いていくという点では編集者のアドバイスに耳を傾けたい。

11/28
土曜日。コーラスの飲み会。少し飲み過ぎた。

11/29
日曜日。高校の同窓会。少し飲み過ぎたか。

11/30
月曜日。W大学。月末になった。「なりひら」は2章を終えたかった(全体の半分)が、ここまでのところを調整していたので達成できず。まだ終わりそうにない。文体を少しいじったし、和歌を2行で書くのではなく4行にしたり、展開の中で1行アキをふやしたり、微調整をしていた。それでよくなったと信じる。


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