崇神天皇09

2025年9月

8月に戻る 10月に進む 月末
09/01/月
9月になった。猛暑が果てもなく続いている。今年の初めから取り組んでいる『崇神戦記』『活目大王』『日本武尊』『神功皇后』の四部作は、三つ目の『日本武尊』の最終章のあたりに差しかかっている。念頭に構想した予定どおりにほぼ進んでいる。日本歴史時代作家協会のホームページに連載のコラムをもっていて、毎週10枚くらいの原稿を書いている。テーマが同じなので、いわば四部作のスピンオフのような作業であるし、宣伝にもなると思って取り組んでいる。この作業があるので四部作のペースが少し落ちたかもしれないが、年内完了を目指して進んでいきたい。今年の猛暑は驚異的だ。誰もがそう思うだろう。これが今年だけのことなのか、地球温暖化の一方的な進行で、来年はもっと暑くなるのか。このままの勢いで進行すると、日本は赤道直下より暑い国になってしまいそうだ。いまやどの施設も、個人の家庭に到るまで、エアコンを動かして、熱の塊を戸外に排出して、温暖化に拍車をかけている。困ったことだがぼくのところも、エアコンをかけっぱなしにしている。寝ている時にも寝室のエアコンを作動させていて、その間だけリビングルームのエアコンを休ませている。この集合住宅に引っ越したのは12年前で、その時に最初から設置されていたエアコンはよく動いてくれている。会議は多いのだがほとんどネット会議なので外に出ていくことは少ないのだが、散歩の距離が短くなっているので足腰が弱っている気がする。仕方がない。とにかくまだ生きているという状態だ。この9月は孫が逗留しているのでやや緊張しているのだが、昼間は出ていくのでとくにぼくの生活に支障があるわけではない。妻が疲れ気味だが、これくらいの緊張感はボケ防止になるだろう。孫がいなくなってから、ドッと疲れが出るような気がする。さて本日は、今日から研修を受ける孫を、研修先に案内する重責を担った。東京の交通機関は便利だが複雑なので、1回目だけはジイサンが乗り出すことになった。朝6時に起きて7時前に出発。現地に8時過ぎに着いて、それからこちらは引き返してきた。ぼくはふだんなら10時に起床するのだが、その時間よりも前に自宅に戻ったので、一日が長い感じがする。

09/02/火
本日は新宿のマッサージに行ったあと、夕方、著作権フォーラムのネット会議。さて、Footballはいよいよ今週開幕となった。Aカンファ東地区はビルズの独走だろう。QBジョシュ・アレンはいまや最高のQBになりつつある。弱点は自分で走るのが好きというところで、そこはレイブンズのラマ―・ジャクソンと同じなのだが、アレンには背が高いタイトエンドタイプの体格をしていて、相手ディフェンスがぶつかったくらいでは倒れない体幹の強さがある。ロングパスも正確で、弱点がない。なぜかプレーオフでマホームズと対戦すると競り負けてしまうというのが唯一の弱点だ。対抗馬のドルフィンズは、脳震盪になりがちというQBタゴヴァイロアが最後までもてば、プレーオフ進出の可能性はある。ただAカンファは全体にレベルが上がっている感じがするので、プレーオフ争いは熾烈になる。見かけ倒しのロジャーズを放出したジェッツは、ジャスティン・フィールズを先発に起用する。長くベアーズで先発をつとめていたフィールズには経験がある。昨シーズンはスティーラーズで先発して開幕から好成績を挙げていたのだが、ラッセル・ウィルソンが怪我から復帰すると、先発から外されてしまった。ジェッツはロジャースを迎えるにあたってチームを整備してきたので、ジャスティン・フィールズを迎えて大化けするかもしれない。フィールズは自分でも走れるQBなので、ドルフィンズより上を行くかもしれない。ペイトリオッツは長く沈黙を保っている。ブレイディーを放出しと新人のマック・ジョーンズでそこそこの成績を挙げていたのだが、そのうちチームがばらばらになってしまった。昨シーズンは新人のメイで再起を目指したが振るわず、今シーズンも期待できない。ダントツの最下位候補。北地区は激戦になる。ラマ―・ジャクソンを擁するレイブンズが一歩抜け出ているようだが、ベンガルズもバローの調子が戻れば互角に闘える。ブラウンズはここ数年、テキサンズから強引に掠奪したワトソンに振り回されてきたが、今シーズンはワトソンを諦めて、大ベテランのフラッコを先発させる。大昔、レイブンズでスーパーボウルを制覇したフラッコだ。パスを投げまくるのだが、インターセプトも多い。ディフェンスががんばって乱戦をきわどく制するといった試合ができれば、プレーオフ争いには加われる。フラッコが不調なら、ルーキーのガブリエルとサンダースが控えている。早めに新人を試して来シーズンにつなげるということもあるので、脱落するならこのチームだろう。スティーラーズは昨シーズンのプレーオフ進出に貢献した前半のジャスティン・フィールズ、後半のラッセル・ウィルソンをいずれも放出して、ロスリスバーガーのころにずっと控えだったルドルフを呼び戻した上で、超ベテランのロジャースを採った。いずれにしてもロジャースは今シーズン後に引退するだろう。どこまで本気で闘うかわからない。少しでも怪我をすれば、ルドルフで行くしかないだろう。ルドルフでもいい勝負はできる。ロジャースに早く見切りをつければ、いいところまで行けるだろう。ということで、フラッコとロジャースというベテランQBがどこまでがんばれるか。ダメならレイブンズとベンガルズの2強ということになる。

09/03/水
Aカンファの残り2地区。南地区は低いレベルでの接戦になりそうだ。テキサンズの3年目QBストラウドはそこそこ活躍するだろうが、他チームも研究して対策を練るだろう。プレーオフには出るがなかなか先に進めないのは、ラインやレシーバーに問題があるのではないか。ジャガーズのトレバー・ローレンスは数年前のドラ1だが、年々パフォーマンスが低下している。QBとしての伸び代が感じられない。ただ今年は話題の新人ハンターが入った。大谷ばりの二刀流というのが売り物だが、日本の高校Footballでは、オフェンスもディフェンスもいっしょくたというのが実状だ。ワイドレシーバーとコーナーバックは、小柄で俊足のプレーヤーが追いかけっこをするという点では同じで、ただどちらかに決めないと、出ずっぱりで休むひまがないということになる。ヘッドコーチがどういう使い方をするか注目だが、オフェンスもディフェンスもそのチームなりのシステムがあるので、そのシステムのなかにうまく入り込めるかが課題となる。注目すべきはコルツで、そこそこの成績は挙げるものの怪我が多い3年目のリチャードソンに見切りをつけて、ジャイアンツから移籍したダニエル・ジョーンズを先発に起用するようだ。このダニエル、ジャイアンツに5年くらいいたはずだが、ランを多用して1年間だけ活躍したのだが、相手に研究されて沈没。いわば放出されたQB。これがコルツで活躍できるのか。ジャイアンツもそこそこディフェンスの強いチームだった。コルツのチーム力もそれほど変わらないと思うし、Nカンファ東地区と違って、この地区はレベルがやや低い。ストラウド、ローレンスとほぼ互角に闘える可能性はあるが、まったくダメかもしれない。さて期待されるのはタイタンズだ。去年まで、ドラフト2週目で拾ったレビスで頑張ってきたが、成績がガタ落ちになった結果、ドラ1の座席を獲得できた。今年の目玉QBウォード。前評判はよいし、ライバルがドラ1の原因を作ったレビスだけなので、先発に起用されることは間違いない。去年のドラ1ケイレブ・ウィリアムスも途中で失速したものの、出だしは快調だった。とくにオープニングの5試合くらいは注目しないといけない。西地区はチーフスの優勝で決まり。近距離レシーバーのライスが交通事故の責任で開幕6試合出場停止だが、後半に出てくればレシーバー陣に厚みが出る。去年の新人で快足記録を作ったワーシーは、後半に行くに従ってロングパスをキャッチするようになり、スーパーボウルでも大差がついてからだが大活躍した。ロングとショートの両刃が揃い、去年は怪我で出番がなかったハリウッド・ブラウンもいるしベテランのスミスシェスターもいるので大丈夫だ。対抗馬はハーバートのチャージャーズだが、チーム力の強化ができているかどうか。ブロンコスのニックスも2年目に入って伸び代があるか。レイダースはちょっとおもしろい。去年は先発QBがいない状態だったが、今年はシーホークスからスミスが移籍した。ジャイアンツでイーライ・マニングの後継者としてデビューしたのはもう10年前くらいか。シーホークスではラッセル・ウィルソンの後継者としてそこそこの成績を挙げた。ぎりぎりでプレーオフを狙えるかというぐらいのQBだったが、この地区はヘッドコーチがベテランばかりなので、知力の闘いが見られるかもしれない。ただ将棋と違って、駒の戦力に差があるので、チーフスの優位は揺るがないだろう。

09/04/木
文藝家協会評議員会、常務理事会、理事会。長い一日。さて、いよいよ明日開幕だ。Nカンファ東地区はイーグルスの圧勝だろう。スーパーボウルで2連覇のチーフスを大差で撃破したメンバーがそのまま残っている。コマンダーズは昨年の新人ダニエルズがさらに成長するか停滞する。プレーオフには進める。カウボーイズはプレスコットが復調するか。チーム内に何やら違和感があって戦力ダウンしている感じ。開幕戦を見ればそのあたりが見えてくる。問題はジャイアンツ。スティーラーズからラッセル・ウィルソンを移籍させた。モバイルQBの先駆者だが、超ベテランになって走力が衰えている。控えはウィンストン。かなり昔のドラ1だが、ついに開花しなかった。ロングパスは得意だが時に無茶なパスを投じてインターセプトされる。タッチダウンパスよりインターセプトの方が多いという迷プレーヤーだ。さらに新人QBダートが入った。タイタンズのウォードに次ぐ2番人気のQBだ。ファンはロートルQBに早めに見切りをつけてこの新人の登場を願っていることだろう。北地区。ゴフを擁するライオンズはそのまま強い。ラブを擁するパッカーズが2番手。昨シーズンはまさかの控えダーノルドの大活躍でプレーオフに進出したバイキングスはそのダーノルドを放出して、咋シーズンの新人マッカーシーを起用する。まったくの未知数。ベアーズは昨年のドラ1ケイレブ・ウィリアムスの成長と脱皮に期待するはずだが、このQBには致命的な欠陥がある気がする。明日開幕なので南地区と西地区についても述べる。南は低レベルの接戦になることが多い。ブレイディーがいたころからそうだった。そのバッカニアーズはメイフィールドが開花して一歩抜け出した。控えにブリッジウォーターがいる。ぼくの好きな選手なので、出場の機会が巡ってくることを期待している。ファルコンズは咋シーズン大金を投じてバイキングスからカズンズを採ったのだが、後半失速した。今シーズンは昨年の新人QBベニックスで勝負する。3年前のドラ1ヤングのパンサーズは今年もダメだろう。セインツは先発QBがいない。本当にいない。どうするのだろう。ビリになって来年のドラ1でQBを採るということか。2年目のラトラーと新人のショー(名字の読み方が難しいシャックとも読める)。どちらにしても未知数。ということで、何とかやれそうなのはバッカニアーズだけだが、このQBも好不調の波が大きいので、この地区は混戦になるだろう。西地区も混戦というか、予測がつかない。ラムズの大ベテランQBスタッフォードは安定しているけれども、怪我と、年齢による衰えが心配。シーホークスは昨シーズンバイキングスで大活躍したダーノルドを採った。去年の大開花が1年限りのものか、シーホークスでも通用するのか。まったくの未知数。49ナーズのパーディーは、一昨年のスーパーボウルでマホームズを相手に延長戦にもつれこむほどのQBだが、昨シーズンはランニングバックもレシーバーも怪我人が続出して、悲惨な状況になった。今シーズンもまだ怪我人を抱えているのでまったくの未知数。カーディナルスのマレーは大昔のドラ1でそこそこ頑張ってきたが、大きく開花するということがなかった。いまやベテランで走力が衰え始める時期だろう。ということで、この地区も未知数ばかりで渾沌としている。ということで、予想を立てると、Aカンファはビルズ、レイブンズ(ベンガルズを応援したい)、テキサンズ(タイタンズのウォードに期待)、チーフスが4強。Nカンファはイーグルス、ライオンズ、バッカニアーズ、ラムズということにしておきたいが、南と西は大混戦になるだろう。

09/05/金
いよいよ開幕。オープニングはスーパーボウルの覇者イーグルスと、同地区のカウボーイズの対戦。スーパーボウル制覇の勢いでイーグルスが圧勝するかと思っていたのだが、何と4点差で終盤を迎えた。イーグルスの攻撃をディフェンスがしっかり押さえ込んで、パントに終わらせ、残り3分でカウボーイズの攻撃。ここでタッチダウンがとれれば逆転、という局面だが、あとが続かなかった。マホームズなら必ず逆転してみせるところだが、プレスコットのパスは正確さを欠いてた。4thダウンのパス攻撃も実らず、あとはイーグルスが時間をつぶしてタイムアップ。ただここまで接戦になるとは思っていなかったので、カウボーイズの健闘に拍手を送りたい。さて、いよいよ明日はチーフスの試合。相手がハーバートのチャージャーズで、落とせない試合だ。レシーバーのライスの出場停止の6試合のなかに、イーグルス、レイブンズ、ライオンズと強敵が3チームもあるので、残りの3試合は必ず勝っておきたい。ただケルシーやクリス・ジョーンズなど、年輩の選手の調子が最初から上がるとは思われず、苦戦を強いられるのではないか。とにかく誰も怪我をしないように祈りたい。

09/06/土
チーフスの初戦。テレビの中継はないのだが、YouTubeで初めての実況中継をやるというので早起きして新しいiPadを開く。いつもは会議用のZOOMにしか使っていない。他の用途には使ったことがなかったのだが、旧機種にあった検索の枠がないではないか。仕方なくサファリを開けて、YouTubeとNFLを入れてみると、それらしい画面につながった。サンパウロの夜景が映った。嬉しい。試合前のセレモニーが始まり、キックオフ。チーフスの攻撃から始まったが、簡単に終了。チャージャーズはあっというまにタッチダウン。どうなっているんだ。ということで、ドキドキしながら中継を見ている。……残念ながら、負けてしまった。マホームズのランによるタッチダウン、ケルシーのタッチダウンなど、見せ場は作ったものの、出だしに簡単にタッチダウンをとられた失点が最後まで重荷になってしまった。オフェンスラインがマホームズを守り切れていない。そのためパスが不正確になっていた。レシーバーもブラウンに投げることが多く、落球が多かった。やはりライスがいないと苦しい。相手のパスラッシュにマホームズに余裕がなく、ワーシーの活躍のチャンスがなかった。まあ、初戦だから仕方がない。チャージャーズはこの試合にかけていたようだ。エンジンのかかりが早かった。ともあれ、iPadで中継が見られたのはありがたかった。リオの夜景も美しかった。地球の裏側の試合がリアルタイムで見られるのは不思議な感じだ。

09/07/日
開幕の2試合が終わって、イーグルスが勝ってチーフスは負けた。スーパーボウルの余韻がまだ続いている。さて、明日が各チームの開幕戦になる。期待したい試合などを指摘しておく。チーム名を書くのが面倒なので頭文字のカタカナ3文字に省略する。バッカ対ファル。メイフィールドが本調子ならバッカの勝ち。ファルコンズはルーキーイヤーをカズンズの控えに甘んじたベニックスが開幕先発。ほぼ新人なのであまり期待できない。ベンガとブラウ。バローが元気ならベンガ。ブラウは老兵フラッコに頼るしかない。新人QBを2人も採っているのでそのうちどちらかを出したいところだが、しばらくはフラッコでいくしかない。ドルフ対コルツ。脳震盪癖のあるタゴヴァイルアだが、開幕戦は元気だろう。コルツはジャイアンツで先発経験のあるダニエル・ジョーンズ。ダメなら去年までの先発リチャードソンが控えにいる。ダニエルはダメだと思う。まあ、ドルフが勝ちそうだ。パンサ対ジャガ。3年前のドラ1QBヤングと、5年ほど前のドラ1トレバー・ローレンス。ジャガは二刀流のハンターの活躍が期待される。ジャガが有利。レイダ対ペイト。ベテランQBスミスをシーホークスから採ったレイダが有利。ペイトはメイがレベルアップしているか。カーデ対セイン。7年前くらいのドラ1マレー。まだ頑張っている。セインツはQBがいない。本当にいない。どうするんだ。スティ対ジェッ。超ベテランQBロジャースの顔見世。顔を見せた途端に負傷退場という2年前の悪夢がよみがえる。2年年齢が加算されている。ダメだろう。スティから追い出されたジャスティン・フィールズが相撲でいう恩返し。ジャイ対コマン。昨シーズンのドラ2ルーキー、大爆発したダニエルスが今年も大爆発する。往年の名QBラッセル・ウィルソンは早く退場してドラ2のダートを見せてほしい。タイタ対ブロン。今年の目玉新人ウォードがいよいよ登場。ブロンコスは去年新人としてそこそこ活躍したボー・ニックス。ウォードの爆発を期待したいのだが、ドラ1を獲得できたいということ、去年はビリだったチームということだ。しかし去年、コマンダーズが躍進したように、QBが替わればチームもがらっと変わる。タイタンズに期待。49対シーホ。ランニングバックのマカフリーが出られそうで、パーディーも負担が軽くなる。シーホは去年バイキングスで大活躍したダーノルドを採った。ダーノルドに頑張ってほしいのだが、総合力で49有利か。ライオ対パッカ。ゴフ対ラブ。短い名前のQB対決。少しだけゴフ有利。テキサ対ラムズ。これはおもしろい。3年目に入るストラウドと、大ベテランのスタッフォード。ストラウドを応援したい。レイブ対ビルズ。初戦でチーフスが負けたので、Aカンファのシード1位争いは、勝った方がトップに出る。すごい試合になりそうだ。翌日のバイキ対ベアー。去年は怪我で出られなかったマッカーシーと、去年そこそこ活躍したケイレブ・ウィリアムス。2年目QBの対決。経験値があるぶんだけベアーが有利。いやあ、どの試合も楽しみだ。とくに新人から3年目くらいのQBが充実している。一方、アラフォーのQBも何人かいて、新旧の対決も見どころになっている。レイブンズ対ビルズは今シーズン最大の注目の試合かもしれない。チーフスがすでに脱落したので、勝った方がAカンファの覇者への道を歩み出すことになる。

09/08/月
本日が本当の開幕戦。注目はレイブ対ビルズ。ランニングバックヘンリーが機能してレイブの圧勝、という雰囲気のところでニュースなどを見ていて、結果を見ようと思ってチャンネルをスカパーにすると、何と2点差まで迫って、レイブの攻撃だったがこれを止めて、自陣ゴールから1分半くらいの時間にロングパスを2つ決めて、3秒前に逆転ゴール。すごい試合だった。41対40。ビルズも強かったが、レイブも攻撃が噛み合っていた。なかなか点の入らないチーフスとはえらい違いだ。Aカンファはこの2チームの争いになる。他の試合は何といってもスティのロジャース。4タッチダウン。標的はシーホークスから移籍のメットカーフだが、タッチダウンはメットカーフ以外の4人に投げ分けた。さすが大ベテラン。駒の動かし方を知っている。怪我さえなければ、ビルズとレイブのトップシード争いに割って入りそうな安定した勝ちっぷりだった。コルツがドルフィンズに圧勝。すごい。ジャイアンツから移籍したダニエル・ジョーンズが別人のような活躍。3タッチダウンだが、パスは1本。自分で走ったのが2本。ビルズのジョシュ・アレンみたいなQBになりそうだ。ベンガはブラウに1点差の辛勝。キックミスが勝敗を分けた。ブラウ相手に辛勝というのは、ベンガは期待できない。ライオ対パッカでパッカが勝ったのは意外。ということで、いよいよシーズンが始まった。来週が楽しみだ。

09/09/火
Footballのことを書いていても仕方がないので、抽象的なことを書いてみたい。ぼくは早稲田で15年、武蔵野大学で10年、学生とつきあってきた。早稲田で初めて教えるようになったのは40歳くらいの時だったが、その時に、自分の学生時代と雰囲気が違うなと思った。そんなことから話を始めたい。ぼくはいわゆる団塊の世代で、人数が多いので、大学受験はたいへんだった。そんなふうにマスコミや高校の教員が高校生を煽ったところもある。実際には、受験する直前の冬休みに、書店で見つけた発売されたばかりの『試験に出る英単語』という新書版の本を買って、30ページくらいの単語を暗記した。それだけで早稲田の文学部と教育学部に合格した。ふつうの単語帳はAから始まっているので、読み始めてすぐにやめると、A、B、Cくらいの単語しか頭に残らない。その新発売の本は、試験に出る頻度順に単語が並んでいるので、途中でやめても重要語が頭のなかに残る。なかなか優れた本で、受験のあとで本屋でライフとかプレーボーイとか、外国の雑誌を立ち読みすると、すらすら読めたという記憶がある。早稲田の入試は、英語、国語、社会の3科目で、社会は「倫理社会」を選択できた。ぼくは一年間の休学期間に哲学と宗教を独学で学んだので、とくにこの科目を勉強する必要はなかった。国語、受験のために東京に向かう新館線のなかで、古文と漢文の豆本みたいなものを読んだだけだ。試験は60人くらい入る教室だったが、隣の座席をあけてあったので、40人くらいいただろうか。合格者の発表の時に掲示板の数字を見たら、同じ教室で合格したのはぼく一人だった。合格率32倍だったので、まあ、そんなものかと思ったが、倫理社会の問題は一般の受験生にとっては難しかったと思う。ベーコンの4つのイドラを書けとか、そんな問題が出た。鎌倉仏教の六人の宗祖の問題も出た。どちらもぼくにとっては楽な問題だった。同じ机で受験していた学生と、休み時間に言葉を交わした。入学式の会場で、偶然その学生と出会った。「合格したの?」と訊いたら、「二文」と答えた。当時は第二文学部という夜間の学部があった。ぼくも教員になってからは二文の授業も担当した。いまは二文はなくなって、文化構想学部というものになっている。文芸創作のコースはそこで続いている。入学したのは1968年で、そのころの学生の特徴は、団塊の世代であるということ、ビートルズ世代であるということ、ヒッピーやフーテンの世代であること、それに何といっても、学生運動の過激派の世代であることだ。とくに大学は、過激派に占拠されていた。5年生の時には殺人事件も起こったが、それまでも、内ゲバと呼ばれる暴力事件は頻繁に起こった。過激派の学生はヘルメットをかぶり、初期には角材を振り回していた。そのうち角材が鉄パイプに変わった。政治の季節といってもいいが、学生が政治について考えるのは、当たり前のことだった。なぜ政治について考えるのか。話せば長くなるので今日はここまで。

09/10/水
日本が戦争に負けてから3年後にぼくは生まれた。戦争のことはよく知らないし、終戦直後のことも知らない。何となく政治というものが見えたのは、小学校6年生の時の安保闘争だ。日米安全保障条約のことはよくわからなかった。その意味を認識したのは高校になってからだ。戦争に負けた日本は6年間、米軍の統治下にあった。ようやく独立国として復活したものの、軍隊をもつことは許されなかった。すでに隣国の朝鮮半島では米ソの闘いが始まっていた。そこで日本に米軍が駐留を続けるための条約を結んだ。ソ連や北朝鮮や中国が日本に攻めてきた時に、米軍が守ってくれる。またのちに始まってベトナム戦争のために、日本の米軍基地から戦闘機がベトナムに向かう。そういったことをまとめた条約で、まだ自衛隊に戦力らしきものがなかった時代だから、この条約の締結は、やむなしという感じだったのだけれど、学生が大反対して、国会議事堂前で警官隊と衝突して死者が出た。この時すでに、穏健な組織活動をする共産党系の民青に対して、過激な闘争をするブントと、過激なだけでなく組織性を維持しようとするマル学同など、学生運動の派閥が生じていた。その背景には、共産主義へのあこがれがあったと思われる。19世紀にカール・マルクスが提唱した共産主義は、武力革命によってプロレタリアート独裁体制を目指すものだが、労働者の組合を中心とした政府の構築を目指すサンディカリズムや、政府そのものを必要としいな無政府主義などのアイデアが提出されて、労働者運動や学生運動に発展していた。共産党は終戦直後には武力革命を目指していたのだが、幹部が突然、現行の民主主義の体制内で、選挙活動をして党勢を拡大すると方向転換したために、過激な若者たちが共産党から飛び出して、いわゆる「過激派」の組織を作ることになった。すでに60年安保でいくつかのセクトができていたのだが、ぼくが高校生くらいの時は、その党派がさらに分裂していた(一例はマル学同が中核と革マルに分裂)。ぼくの高校生は、そういう状勢のなかで、とりあえずマルクスや、バクーニンや、クロポトギンの著作を読むというようなことをやっていたのだが、ぼくはその前のヘーゲルやカントのドイツ哲学に興味をもっていた。そのうちキェルケゴールやスティルネルにも出会って、思想というものの多様さと、おもしろさと、結局何がどうなんだ、という懐疑のなかで、ぼく自身はどのセクトにも加わらなかった。すでに小説を書き始めていたから、党派に入ることには抵抗があった。党派(セクト)は組織性を優先する。個人の一兵卒、つまり将棋の駒みたなものと考える。ぼくは将棋の駒にはなりたくなかった。ただマルクス主義については、自分なりに考えていた。しかし並行して文学や物理学や仏教についても興味をもっていたので、セクトの学生のようにマルクス主義だけに洗脳されるようなことはなかった。本日はここまで。

09/11/木
当時の学生は政治について考えた。授業をつぶしてクラス討論をやる、ということが頻繁にあったから、政治について考えるしかなかった。うるさく討論会をやろうとする学生に対して、ぼくたちは授業を受けたいと主張する学生もいた。討論会をやるかどうかで、すでに討論が始まっていた。マルクス主義のプロレタリアート独裁というのは、簡単にいえば労働者が党派を作って、生産設備の増強をするというものだ。王侯貴族はもっている資産を贅沢に消費してしまう。資産階級は金儲けのことしか考えない。労働者が国の発展を考えて適切に投資をしていけば、生産性が上がって国が豊かになると、労働者の働き口も増える。何よりも国の発展が労働者の願いでもあるので、その願いのためら労働者は意欲をもって働く。絵に描いたモチのような話だ。ところがその絵に描いたモチのような話を実現している国があった。それが戦後の日本だった。どうしてそんなことになったのか。敗戦と終戦直後のインフレで、そもそも金持がいなくなった。農地解放をして地主というものもいなくなった。土地や生産設備を所有している財閥は解体された。これは共産主義革命と同じ状況だ。そこから政府はまずインフラの整備をして、土地を埋め立てて石油プランを建設し、発電所を整備し、鉄道や道路を拡張した。インフラへの投資をするためには、労働賃金は低く抑えられた。労働者はそれに絶えた。戦前の全体主義を叩き込まれていた民衆は、戦争に負けたのだから貧乏は仕方がないと思って、やすい賃金で働くしかなかった。労働者に意欲をもたせるために、年功序列式の賃金と退職金制度を確立した。いまは貧しいけれど、耐えていれば少しずつ賃金は上がっていき、最終的には退職金をもらえる。しかし賃金そのものが低いので、退職金もあてにはできない。貧しい労働者は生活費を削って老後に備えて貯金をするしかなかった。全国に店舗をもつ郵便局が労働者と農民の収入を吸い上げ、それが国家に貸し出されてインフラ整備がさらに強化された。これはまさに社会主義であり、全体主義だった。その結果、東京オリンピックのころから、国民の生活は豊かになっていき、前の万博が開かれたころからは、アメリカふうの消費生活が若者の間にも広がっていった。そのころ、衛星中継による世界のニュースが配信されるようになり、ロシアや中国など、共産主義の国家の労働者の生活が、明らかに日本より貧しいことがわかってきた。共産主義というものが幻影だと皆が思い始めた。そうしう時代にぼくは学生として生きていた。しかし幻影にすぎない共産主義は、学生運動にのめりこんだ学生にとっては、まだ美しい夢と感じられていたようだ。そこから学生たちの間に乖離が起こり、就職して資本主義のなかで生きていく若者と、地下に潜って過激な反体制運動を続ける一部の若者に分離し、彼らはハイジャック事件や、浅間山荘人質事件や、三菱重工本社爆破事件などを起こした。そういう時代をぼくは生きてきた。いくつかの小説で、過激派について書いたこともある。それからぼくは、『いちご同盟』などの青春小説を書いたあと、歴史小説、宗教小説に転じることになる。そのあたりはまた明日にでも書こう。

09/12/金
終戦直後から80年代にかけての日本の高度経済成長は、国家統制の経済戦略によるもので、税金と郵便局の資金をインフラ整備に投入し、企業は利益を設備投資に投入した。この間、労働者は低賃金にあえいでいたし、税金を福祉に回さなかったので、飢え死にする人が続出した。食料を緊急輸入すれば救えた命を、石油や鉄鉱石の輸入にあてた結果だった。国家統制の経済というのは、いまの中国みたいなものだ。トランプが高い関税を中国にかけたのと同じように、70年から80年代半ばまでの日本は、世界の先進国から問題視されていて、その結果、1ドル360円だったものが80円くらいにまで上がってしまった。これは先進国によるイジメみたいなものだ。それから小泉政権の時に、外資ファンドの流入が容認され、郵便局は解体された。これによって国家統制の経済成長は完全にストップした。その結果、日本は貧しくなった。ぼくが就職したころは、賃金が上がりっぱなしだった。女性は専業主婦になるのがふつうだった。妻と子ども2人を養うだけの賃金が得られていた。その生活水準が、いまは暴落していて、夫婦で仕事をしていても貧困から抜け出さない家庭が増えている。どうしてこうなったかと考えてみるに、日本の企業というのは、国家主導型の経済に慣れきっていて、独自の成長戦略を打ち出せなかったということだろう。企業そのものが全体主義的で、年功序列の賃金体系に慣れたサラリーマンが、無能のまま賃金をむさぼっていた時代が長く続いたということかもしれない。国家主導の経済成長は、インフラ整備の段階では効果的だが、そこから企業独自の成長戦略に移行できなければ、どこかで停滞してしまう。ロシアや中国を見ていると、いまは完全に停滞の時期に入っている。日本はそこから何とか脱出しなければならないのだが、無能な政治家が資金を無駄に地方にばらまいている。確か竹下政権の時だったか、ふるさと創生という掛け声で億単位の資金を地方にばらまいたが、無駄にばらまいたために何の効果もあげられなかった。その資金で金塊を買って市役所に展示していたところが、金の値上がりで儲かったという話もある。結局のところ、いまは国家予算が無駄に使われている。どうしてこんなことになったかといえば、国民が自民党を支持してきたからだ。いま自民党は危機を迎えているようだが、歓迎すべきことだとぼくは思っている。ただし、日本人ファーストという主張には同調できない。ところで本日は短期留学の孫が休みだというので、葛西臨海公園の水族館に行った。ここのマグロを見るのが好きだ。ぼくは魚はあまり食べない。魚には顔があり、目があって、食べる気にはならない。ハンバーグみたいなものは、豚の顔は思いうかばないので抵抗はない。マグロはよかった。その他の魚もよかった。

09/13/土
ぼくが歴史に興味をもつようになったのは、40歳を過ぎてからだ。『いちご同盟』で息子の世代の少年を主人公にして書いた。大学で教えるようになったのも、若い世代との接点が欲しかったからだ。当時の息子たちはまだ中学生くらいだったから、息子たちより少し年上の大学生と接したことになる。で、彼らには何もない、という感じがして、この世代を登場させて青春小説を書くのは難しい、と感じた。ぼくの初期の作品、『僕って何』などは、政治と日常に悩む若者が出てくる。ぼくの同世代の学生は、政治について考えていた。自分がいかに生きるべきか、という問いには、日本はどうあるべきか、という問いが含まれていた。そこから学生運動に深入りしていくのか、自分の日常だけを守る生き方を選ぶのかという、二者択一の決断を迫られることになる。高校時代にぼくが読んだドストエフスキーが、まさにそういう作品だった。そういう問題提起でしか小説というものは存在しえないと考えていた。『いちご同盟』では、当時長男が、普通高校に行くか、音楽専門の高校に行くかという決断を迫られていた。実際には彼には迷いがなく、都立芸術高校というところに進学したのだが、それは父親(ぼくのこと)の理解があったからで、ふつうは音楽でメシが食えるのか、といった凡庸な問いをなげかける父親が多い。実際に長男が入った音楽のクラスは、40人のうち、男子は息子一人だった。その状態で3年間を過ごしたことが、息子の人格形成に何らかの影響をもたらしたかどうかは、何ともいえない。息子が望んでそういう環境のなかに入っていったのだから、それは息子の人生だというしかない。いまその息子の長女が短期留学でぼくたちのところに泊まっているので、何かしら感慨めいたものがあるのだが。そういえば次男の住んでいる四日市が水没したというニュースがあって、妻がラインで確認したところ、住んでいる共同住宅の前の道路が水没した写真を送ってきた。息子は上の方の階にいるので問題はない。今朝、駐車場の車も無事だったという連絡があった。話が横道に逸れたが、大学でつきあった若者たちには、世代をおおう問題意識というものがまったくなかった。バブル崩壊の直前くらいの時期で、世の中はまだ好景気が続いていた。早稲田にいれば就職の心配がまったくないという状況だったから、若者たちに悩みというものがない。それでは小説のテーマが見えてこない。青春小説を書こうとする作家にとっては、絶望的な状態だった。それで書いたのが、『地に火を放つ者』という新約聖書を題材として小説だった。たまたま読んだ「トマスによる福音書」の解説書に感銘を受けて、双児のトマスを主人公にした作品を思いついた。この福音書はナイル川河口の砂地のなかに埋まった素焼きの壺のなかから発見されたコプト語で書かれた文献で、グノーシス派の影響が強いとされている。ここではトマスとともに、マグダラのマリアがイエスの側近というか、一番弟子として描かれている。こういうものを知ると、小説として際限したいという欲が出てくる。イエスは旧約聖書を読み込んだ伝統的な宗教家の側面と、イスカリオテのユダを始め、四人の過激派(熱狂的民族主義者)を弟子にするなど、反体制運動家としての側面ももっているので、十二使徒とマグダラのマリアを描き分けることで、壮大な青春小説が書けると考えたのだ。この体験が、のちに「カラマーゾフの兄弟」の続篇を書く時に活かされた。アリョーシャをイエスに見立てて、その配下に十二使徒を配置する。十二使徒の名前をロシアふうにすると、それだけでわくわくするような話になった。ともあれ『地に火を放つ者』も、『続カラマーゾフの兄弟』も、去年書いた『デーヴァ』も、歴史小説であり、宗教小説であったし、自分にとってのベストの作品だと思っている。ただこれらはすべて外国の話だ。日本の歴史を素材として歴史小説を書くようになったのは、Tくんという編集者の提案によるものだった。

09/14/日
早起きしてマラソンを見る。ぼくが住んでいる集合住宅から淡路町の交差点が見えている。ランナーがそこを往復を合わせて4回通る。テレビ中継を見ながら、交差点に迫ってきたら窓から眺める。一瞬だが、ランナーが通るのが見える。東京オリンピックの時はマラソンは札幌開催になった。今回は7時スタートということで、7時半に起きたら、まだ市谷のあたりだった。今日は女子。明日は男子のレースがある。さて、昨日の続き。Tくんはいまはなくなった大衆向けの文芸誌の編集者だった。その雑誌が廃刊になった時、ぼくと笠井潔が連載途中だったので、Tくんが飲み会を設定してくれた。遠い思い出だ。連載していた作品はたぶん書き足して単行本にしたのだと思う。そのあとTくんの提案で、歴史小説を書くことになった。孝謙天皇、持統天皇、推古天皇の順に書いた。歴史的な時間を逆行して書いたことになる。孝謙天皇は、作品社で出した『桓武天皇』、河出で出した『道鏡』にも出てくる。持統天皇は歴史時代作家協会で出している電子書籍で出す予定の『人麻呂しのびうた』にも登場する。推古天皇は河出の『聖徳太子』にも出てくる。この時代にずいぶん関わったと思う。Tくんとは学研で出した『角王』、『活目王』、『倭建』の三部作でもお世話になった。この三部作はいま書き直している。出版の予定はないのだが、書き足して四部作を完成させるのが当面の目標だ。歴史小説は他にも菅原道真、。在原業平、紫式部、平清盛、源頼朝、北条政子などを書いた。「いつか天海を書いてほしい」とTくんのリクエストがあったのだが、亡くなってしまった。その提案がずっと心に残っていて、幸い作品社で出すことができた。作品社では、仏教のシリーズを書いてきた。空海、日蓮、親鸞、善鸞、それから提婆達多。よく書いたものだと思う。なぜ歴史小説を書くのか。ぼくの書く歴史小説は、どれも青春小説だ。いかに生きるべきかという個人の青春の問題が、国家の在り方や宗教的な理念につながっていく。青春というのは、子どものころかかえていた「自分」というものを、どのようにして世界と関わらせるかを試行錯誤する時期なのだと思っている。ぼく自身にも青春時代というものがあった。幸いにして三十歳の手前でプロの作家として生きることができるようになった。そこでは、世界と関わろうとする青春を生きる主人公を書き続けてきた。世界と関わるというのは、大げさなことで、傲慢なことでもあるのだが、大きな夢を抱いてチャレンジを続ける若者の輝きというものをとらえたかった。その意味では、連合赤軍事件や、三菱重工爆破事件や、新宗教みたいなものをテーマとしたこともある。ごく平凡な日常……みたいなものは、ほとんど書いたことがない。ぼくを支援してくれる何人かの担当編集者との出会いが、ここまでぼくをひっぱってくれたのだと思っている。そういう編集者が、一人また二人と、リタイアしていった。ぼくはまだ作品を書き続けている。編集者という伴奏者がいなくても、一人でも書き続けることができるのは、まあ高齢者になったからだと思う。高齢者には明日への希望といったものがない。それでも手すさびで作品を書き続ける意欲はあるし、意欲がある限りは生きていけると思っている。ところで、明日はまたFootballだ。明日のポイントを書いておく。シーホ対スティ。初戦を快勝したスティのロジャースが完全復帰しているかはこの試合でわかる。初戦でビルズに大逆転負けしたレイブンズは、ディフェンスの甘さが目立った。うっかりするとブラウンズのフラッコにもパスを通されてしまう。ラムズ対タイタンズ。ドラ1新人が2戦目で開花するか。ブロン対コルツ。ジャイアンツから移籍したダニエルの2戦目。コルツを応援したい。チーフスはイーグルスと対戦。ボロ負けを覚悟。ワーシーは出場できない。レシーバーがいない。

09/15/月
今日も朝から男子マラソンを見た。孫も起きてきて、淡路町の交差点を通る選手たちを見て喜んでいた。1位と2位のタイムが100分の1まで同じという、マラソンでは珍しいデッドヒートだった。Footballは昨日、パッカがコマンに圧勝。パッカーズはディフェンスがよくなった。Nカンファではイーグルスの対抗馬になりそうだ。ベンガルズはバローが負傷退場。代役の活躍で試合には勝ったもののこの先が心配だ。ジャイのラッセル・ウィルソンはパスが冴え渡っていたが、タイムアップ直前に64ヤードのキックで同点。延長戦でもロングキックで負けた。しかし今後に期待できる。ペイトがドルフに勝ったのは意外。メイで勝てるとは思えなかった。ドルフの不調は重症。49ナーズはペイトをクビになったマック・ジョーンズが先発。QBのいないセインツに楽勝。シーホークスはダーノルドの大活躍でロジャースのスティに勝った。ロジャースはインターセプトを連発。このペースでプレーオフに進めるのか。コルツのダニエル・ジョーンズはブロンに辛勝。がんばっている。さて、イーグルス対チーフス。完敗を予想したがまさかの3点差負け。だがランニングのトップがマホームズという状態。レシーバーもいないし、ランニングバックもいない。ハーツが不調のイーグルスに勝てなかった。次週はラッセル・ウィルソンのジャイアンツ。負けそう。自分の仕事は、日本歴史時代作家協会のホームページの連載のストックを貯めている。ようやく推古女帝に到達。『日本武尊』の読み返しは半分のところまで来た。これから東国への旅が始まる。作品の骨格がかなりはっきりしてきたので、いい作品になったと思っている。

09/16/火
Footballのことはしばらく考えたくないので、自分の人生を振り返ってみたい。40歳の半ばくらいに更年期障害なのか、めまいなどの症状が出たので、仕事をセーブした。まあ、純文学の雑誌から注文が来なくなったということもある。単行本の依頼はあったので、年に何冊かは本を出してきた。リアルな時代を書く気力がなくなって、歴史小説にシフトしたので、歴史のなかから興味のある時代や人物を見つけて、資料を調べて書く。そういうことをずっと続けてきた。学研、集英社、河出書房、作品社などから出しているうちに、最後は作品社ばかりになった。並行してフリーのエディターがいて、小説以外の本の斡旋をしてくれた。集英社新書とか、講談社+α文庫などで何冊かホンを出した。作品社から『空海』『日蓮』を書いたあと、編集者からのオファーは『親鸞』だったのだが、浄土真宗というのがよくわからなくて、ためらっているところに、小学校の先輩の堺屋太一さんから頼まれた「堺屋太一の青春」といった本を出しているうちに、親鸞が遠のいてしまった。それでドストエフスキー四部作の企画をもっていったらOKが出たので、それで数年を費やすことになった。この作業はたいへんだし、本が売れるとも思えなかったので、生活費を稼ぐために武蔵野大学の客員教授を引き受け、2年後に専任になり、さらに2年後に学部長になって6年務めた。朝起きて大学に行く、という生活は疲れるものだが、慣れてしまえばルーチンになる。学部長になってからは、学院長と学長との関係さえたもっていれば、人に命令されるようなことがないので、気分的には安定していた。楽しい6年間だった。大学院の博士課程を創るための電話帳みたいに厚い申請書を書くとか、センター試験の総責任者で会場近くのホテルに泊まり込むとか、楽しい作業もあった。その終わり頃に、SARTRASという組織を創ることになり、写真家の瀬尾太一さんとさまざまなところに出向いて要請をしたり説明をしたり、多忙な日々のあとで、大学は70歳で定年退職。その直後にコロナ禍があって、SARTRASは意外に軌道に乗ってお金が入るようになった。その分配についてはいまも議論が続いていて、やたらと会議が多いのだが、ほとんどがリモートの会議なので、ずいぶん楽になった。これもコロナ禍のおかげだ。『デーヴァ』を最後に作品社の担当者がリタイアしたので、編集者とのつきあいがなくなってしまったのだが、作品を用意しておけばそのうちいい編集者と出会うだろうと楽観していて、日本武尊などの4部作を整備している。年内完成を目指していたのだが、4部作合わせると2400枚の大作になるので、来年にずれこむかもしれないが、締切のある仕事なので、死ぬまでに完成すればいいと割り切っている。まだしばらくは死なないと、これも根拠なく楽観している。孫はまだいる。昨夜はいっしょに棒高跳びを見ていて楽しかった。

09/17/水
ぼくは1968年に早稲田に入学した。高校で1年休学していたので、かつての同級生より一年卒業が遅れたのだが、大学のクラスの男子の多くは一浪だったので、同じ年齢の友人と学ぶことになった。人数の多い団塊の世代だということもあるが、当時は世の中が貧しかったので、授業料の安い国立大学への志向が強く、一浪くらいは当たり前だった。一浪で早稲田に入学するというのは、東大に2回落ちたということだ。一方、早稲田が第一志望で、一浪で念願かなって早稲田に入った、という学生もいた。それだけの幅があるのが早稲田のおもしろいところだ。そのころの自分が何を考えていたのか、いまは思い出せない。受験は早稲田しか受けなかった(スベリ止めは教育学部/二文は念頭になかった)。兄が慶応の独文だったので、自分は早稲田だと思ったのだろう。社会科の選択科目に「倫理社会」が入っていたのが、早稲田だけだったということもある。受験をフランス語で受けるという選択肢もあったが、フランスは楽しみのために学んでいたので、英語でいいだろうと思った。ドストエフスキーが好きだったので、露文というのが念頭にあったのだが、合格発表の直後に、第二外国語の選択をする必要があって、ロシア語と書くつもりが、フランス語と書いてしまった。のちにドストエフスキー四部作を書く時に、その選択を後悔した。60歳になってからロシア語の初歩を学び、キリル文字は読めるようになった。ネットで簡単に単語の翻訳ができる時代になっていたので、大きな支障はなかった。結果としてはフランス語を選択してよかった。とくに勉強しなくても単位がとれた。それがなかったら卒業は難しかったかもしれない。大学闘争などもあって、2年の教養課程が3年かかった。昔は入試の時に学科が選択できたのだが、制度が変わって、T類とU類を選択するだけになった。ぼくが選択したU類は、日本文学と各国文学、それに演劇と文芸が入っていたが、教養課程では第二外国語のクラスに分かれるだけで、2年の教養課程を修了しないと学科に入れない。昔の作家は、中退しても、仏文中退とか、露文中退とか、それらしい肩書きがついたものだが、ぼくらのころは、最初の2年間は学科が決まらない。せめて学科が決まるまでは大学の授業に出ようと思っていた。それでも夜中に小説を書いていたので、午前中の授業には出なかった。単位を落としたので、教養課程の3年目は、午前中の授業ばかりになった記憶がある。高校時代に『文芸』に作品が掲載されたので、編集部とはコネができていた。時々、作品を届けるために編集部に出向いた。ボツ原稿を戻される時にも編集部に出向いた。そのつど、神保町のランチョンでビールをご馳走になったり、新宿の文壇バーにつれていってもらったりした。文壇バーでは作家の姿を見かけることもあり、言葉を交わすこともあった。作家の姿を見ていると、自分も作家になって、こういうところに出入りしたいと思うようになった。

09/18/木
Footballのことを考えないようにしているのだが、どうしても考えてしまう。明日はドルフ対ビルズの中継があるが、どうしてこんな試合をサースデーナイトに組んだのだろう。ビルズは絶好調、ドルフは絶不調。ビルズのAカンファ東地区は、同地区内のチームと2試合ずつ対戦する他に、同カンファのチームとも対戦が組まれている。さらにNカンファ南地区との対戦も予定されている。カンファを超えた対戦は、ナイトゲーム向けに好カードを作るという意図はあるものの、地区と地区の対戦を機械的に組み合わせることも多い。今シーズンはA東とN南の対戦が組まれているが、N南は最弱の地区だ。これではもう、初戦でレイブンズに勝ったビルズは、ほぼ全勝優勝が約束されたようなものだ。月曜の試合の注目点。先発QBの負傷が相次いでいて控えQBの動向が気にかかる。49ナーズはパーディーの負傷で、ペイトをクビになったマック・ジョーンズが出て活躍した。QBを守るオフェンスラインの強度があれば、QBが見違えるように活躍することがある。相手は2連勝のカーデ。勝てるだろう。キックオフリターンの失敗で負けたスティはペイトが相手。ここでロジャーズが持ち直すことができるか。先週1勝をあげたメイにも注目。2連勝同士のイーグ対ラムズ。ラムズの快調が本物であればいい試合になる。コルツのダニエル・ジョーンズを応援している。相手はドラ1QBで2敗のタイタンズ。勝てそうだ。チーフスはジャイアンツが相手。2連敗したとはいえ、イーグルスとは接戦だったので、オフェンスラインは何とかがんばっているようだ。ただレシーバーもランニングバックもいない。マホームズがまた走るしかない。怪我をしないように。火曜のライオンズ対レイブンズは好カード。まあ、レイブンズが勝つだろう。

09/19/金
ぼくは高校時代、サルトルと埴谷雄高の影響を強く受けていた。従来のリアリズムで物語を展開する19世紀的な文学と、日本の主流となっていた身辺雑記の私小説の、どちらでもない、新しい可能性を追求した「不可能性の文学」みたいなものに、自分の可能性を感じていた。誰も書いたことのない未知の領域に踏み込みたいという、傲慢な理念をもっていた。フランスのヌーヴォーロマンもかなり読んでいた。大学のころは、南アメリカのマジックリアリスムといったものが入り始めていた。そういう流行みたいなものにもそれなりに敏感だった。並行して、現実の世界に進行しているベトナム戦争や、学生運動にも注目していた。大学二年生の時には、第二次早大闘争というのがあった。『人生劇場』に出てくる早大闘争を第一次とすると、それ以後、何度か起こった闘争はすべて、「第二次」と呼ばれていたから、ぼくたちの時代の闘争が何番目だったかはわからない。ぼくが入学する直前にも大きな闘争があって、その時は青ヘルメットの社青同解放派が主力だった。そのことを知っていたから、「第二次」という言い方には疑問をもっていたが、社青同解放派の闘争を「第一次」と考えると、確かに「第二次」の闘争だった。文学部の自治会は革マルが占拠していた。ぼくは高校時代に、友人五人が中核の同盟員になっていたので、何となく中核に気持が傾いていたので、自治会に対しては距離をとっていた。自治会の学生がクラスに入ってきて、何やら訴えみたいなことをやり始めると、教室のなかの何人かが立ち上がって、革マル批判を始めた。ぼくも同調して何やら発言したように思う。そういうことをきっかけにして、クラスのなかに革マルを批判する同好会みたいなものができた。二年生の時の闘争では、反革マルの「全共闘」が大隈講堂の向かいの第二学生会館を占拠したのだが、その時に二年Kクラスの有志だけで部屋を一つ割り当てられていた。学生運動そのものに反対する一般学生もいたのだが、クラス討論では全員が活発な議論をした。このクラスはいまも年に一回、同窓会を開いている。その「第二次早大闘争」の体験を小説に書いてみようと思ったのは、大学の卒業間際だ。教養課程で1年ダブッたので、五年生になっていたが、登録した単位を全部とれば卒業できるという状況だった。就職活動などはまったくしなかった。『ヨブ記と維摩経』という卒論を提出したあとは、することが何もなくなったので、一気に作品を書いた。埴谷雄高の影響を脱して、読みやすい文体でリアリズムの作品だった。これがのちに芥川賞になる『僕って何』の第一次草稿だった。埴谷雄高の影響を脱するという意識が強すぎて、ドタバタ喜劇のような作品になった気がする。つまらないギャグがいっぱいあって、ぼくとしてはおもしろい作品が書けたと思ったのだが、「文芸」編集部にもっていくとボツになった。それで仕方なく、就職でもしてみるかと思った。奇蹟的に単位が全部とれて、卒業していた。ボツの宣言が出たのは、5月くらいになっていた。ふつうの就職活動では翌年の就職になってしまうし、長男が生まれることがわかっていたので、中途採用の募集に応じた。それが浅草橋にある玩具会館というところにある「トイジャーナル」という業界誌だった。東京玩具人形問屋協同組合というところが出している月刊誌で、256ページもある重たい雑誌だった。半分が玩具の広告で、残りの128ページを記事で埋める。編集記者は5人いた。デスクを除く4人の記者で、1人が32ページ書けばいい計算だ。まあ、楽な仕事だった。

09/20/土
「トイジャーナル」にいたのは1年ほど。職場に新聞があったので、求人欄を見ていると、PR誌の編集者を募集していたので応募すると、2人の求人に400人くらい応募があったらしい。如水会館で筆記試験があり、セレクトされた何人かが面接を受け、採用されたのだが、その編集プロダクションの売り物のユーザー向けのPR誌ではなく、販売店向けの機関誌の編集部に配属された。某自動車メーカーのユーザー向け、販売店向けの月刊誌の他に、安全運転の新聞や、株主通信などを作っている小さな会社で、いまでいえばブラック企業だった。週休2日のはずが、出社してからずっと、休みがなかった。週末にはどこかで販売店の試乗会とか、二輪車の免許教室とか、安全運転の催しとか、二輪スポーツの競技会などがあり、出張取材に出向くことになる。販売店向け機関誌は、役員がリーダーで、その下に編集長、その部下はぼく一人だった。入社した途端にその編集長が蒸発していなくなった。その役員もいなくなって、ぼく一人でクライアントとの交渉にあたり、フリーのライターとカメラマンを手配し、デザイナーに指示を出し、印刷会社に指示を出すということをやっていた。一年後に部下が一人雇われて、ぼくは正式にディレクターと呼ばれる役職になった。給料が3倍くらいになった。いま思い出してもよく働いていたと思う。玩具業界に1年、自動車メーカーの仕事は平社員で一年、ディレクターで1年、次の年はプロダクションの社長と交渉して嘱託ということにしてもらった。ギャラは同じで、月に半分出社すればいいということになって、少し余裕ができたので、大学卒業前に第一草稿が出来ていた『僕って何』を書き直すことになった。一年間、何度も書き直しを命じられた。草稿が240枚くらいだったのを、200枚以下にしろと命じられたのは、芥川賞が短篇の賞なので、長くなると候補にならないからだが、当時はそんなことは意識していなかった。ギャグが多すぎて冗長なのだろうということで、無駄なギャグを削ぎ落として190枚にして持っていったら、元の方がおもしろかったと言われた。それでまたプロットを増やしていったら、元の草稿よりも増えて250枚になった。それが完成稿で、翌年の5月くらいに『文芸』に掲載された。そのころには嘱託の仕事も辞めていて、筆一本の生活をする覚悟を固めていた。200枚以下にはならなかったので、編集部も芥川賞候補になることは断念していて、そういう話題も出なかったのだが、なぜか候補になって、『文学界』の編集者から連絡があり、当時住んでいた吉祥寺の喫茶店であった。当落の電話を受ける場所の確認と、受賞した場合の受賞第一作の掲載などの依頼があった。受賞しなくても作品を掲載したいという申し出があった。落ちた場合は、次の候補作を『文学界』から出したいということだろう。長く「文芸」の編集部とだけ付き合っていたので、それ以外の編集部からオファーがあったのは、その時が初めてだった。その喫茶店での会話で、ぼくの作品が有力候補になっているという話をチラッと聞いた。落ちた場合はぼくが連絡します、という話も聞いた。『文学界』の編集者ではなく、日本文学振興会の人から電話がかかったら、受賞決定だというのは、たぶんあとになってわかったことだが、何となくそういうことだろうと思った。実際に電話を待っていると、知らない人からの電話だったので、おおっ、と思った。

09/21/日
結局のところ、埴谷雄高的なものを書く、という当初の目標は実現しなかった。『遠い春の日々』という作品に書いたことだが、高校時代に担当編集者に埴谷さんのところに連れていってもらって、埴谷さんから、きみはドストエフスキーのようなものを書きなさい、と言われていた。そのこともしばらく忘れていた。芥川賞をもらうとマスコミが殺到するし、原稿の依頼もあるし、テレビ出演や講演会などもあって、多忙になる。スケジュールをこなすだけでせいいっぱいで、将来のことなど考える余裕はなかった。朝日新聞の連載小説を書き、『週刊宝石』に連載エッセーを書くという、締切に追われる生活になっていた。しかし還暦を前にして、一念発起して『罪と罰』論を書こうと思った。が、評論というのは難しい。考えているうちに、原典をひっくり返した設定の小説を書くというアイデアを思いついて、作品社の木さんに相談をするとOKが出た。これは自分では成功した作品だと思っているが、実はこのアイデアはテレビドラマの『刑事コロンボ』が元ネタで、最初から犯人がわかっていて探偵が追い詰めていくというプロットと、犯人がインテリで自分は頭が良いと思いこんでいるところも、このドラマが『罪と罰』のパクリだということは明らかなのだが、それをそのまま原典にあてはめて、事務官ザミョートフが予審判事ポルフィーリーの配下となって、犯人ラスコーリニコフを追い詰めていくという話にした。その過程で、この作品の解読と、ドストエフスキーの意図、および読者のぼくの批判点な部分も書き入れて、これを読めば原典の解説書になっていると同時に、新たな視点が見えてくるという狙いだったが、すべてうまくいったと思っている。主人公のラスコーリニコフはやはりひとりよがりのところがあり、精神的にも弱いところがある。途中から登場するスヴィドリガイロフというヤクザ者の方が、精神的に強く、確信犯的であり、さらにロマンチストでもあるということを強調した。当初は意図しなかったのだが、狂言回し役のザミョートフがなかなかいい味を出していた。それで最後の『続カラマーゾフの兄弟』でもこのザミョートフを探偵役に起用することになった。実は学生時代にドストエフスキーの創作ノートを読んでいて、『白痴』には別バージョンの草稿があることは知っていた。この草稿の方がおもしろそうだったので、次にその草稿を完成させるという試みをやってみた。これもうまくいったと思っている。最後は「カラマーゾフの兄弟」の続篇だということは意識していたのだが、『悪霊』をどうするかは何も考えていなかった。作品中に主人公が死んでしまうので続篇はない。原典ではある時期に学生時代の仲間が主人公のもとに集まってくるところから始まっているので、それまでの前生譚を書けばいいと考えた。しかし前生譚を書いても結末に盛り上がりがない。結局、そのあとに続けて、原典をそっくり書き直してつけるということになり、結末は書き換えた。キリーロフは死なないということにしたのは大発明だと自分では思っているのだが、前生譚だけでなく原典そのものを書き直すことになったので、本二冊ぶんくらいの大長篇になってしまった。書きながら、書くことで、ようやくこの『悪霊』という作品を理解できたように思ったし、学生運動が非合法活動になっているプロセスもその原理がわかったように思った。ドストエフスキーのすごさもよくわかった。

09/22/月
本日はチーフス対ジャイアンツの中継があった。レシーバーがいない状況が続いていると心配していたのだが、ソーントンという知らないレシーバーがいくつかロングパスをキャッチして快勝だった。他の試合では番狂わせが続出。2年前のドラ1QBヤングのパンサーズがファルコンズに快勝。2年目のベニックスはインターセプトを連発。最後はカズンズが出てきた。まだ引退していなかったのか。ブラウンズがパッカーズに競り勝った。どうしたの? という感じ。そういうこともあるのだ。ディフェンスが頑張ったようだ。ダニエルスが負傷したコマンダーズがベテランQBマリオタの活躍でレイダースに快勝。ベアーズのケイレブ・ウィリアムズもカウボーイズに快勝。イーグルス対ラムズは、ラムズが逆転のフィールドゴールというところでブロックされて逆にタッチダウンになるという微妙なプレーで惜しい敗戦。イーグルスは本調子ではないものの3連勝。ツキもある。とにかくチーフスが1勝したのはめでたい。

09/23/火
祝日。孫とお台場を散歩。9000歩。砂浜のきれいな砂。ボラがジャンプする。孫と3週間くらいつきあっている。ぼくは20歳の時からいまの妻と共同生活をしている。しかし子どもは息子2人なので、女の子というものがよくわからないのかもしれない。勉強させてもらっている。さて、Footballの話。開幕して3週間が経った。全敗のチームが6つある。気の毒だが、今期絶望といっていいのかもしれない。Aカンファは次週、ドルフ対ジェッツ、テキサ対タイタの試合が組まれている。全敗対決。この結果、全敗チームは半減する。Nカンファの全敗はジャイとセイン。来週の次の週に直接対決が組まれている。そこで全敗チームはAカンファ2チーム、Nカンファ1チームになる。現在の全敗6チームのウィークポイントを考えてみる。ドルフはタゴヴァイロアという秀逸なQBを有している。にもかかわらずチームがバラバラだ。ディフェンスの基礎ができていない。それでもQBの調子が上がれば回復のチャンスはある。ジェッツは大ベテランQBロジャースを放出した。かわりにスティからジャスティン・フィールズを入れた。咋シーズンの前半、スティで連勝していたQBだ。やはりチーム全体の整備ができていない。テキサンズは2年前のドラ1ストラウドで2年連続プレーオフに進出した。そのストラウドの調子が狂っている。何かの拍子に調子が戻ることもある。大丈夫だ。タイタンズは今年のドラ1QBを擁する。ドラ1が採れたということは、去年のチーム成績がビリだったということ。新人QBを入れたくらいでは回復できない。今年もビリだろう。ドラ1でレシーバーをとってやれば来年は期待できる。ジャイアンツはラッセル・ウィルソンを採った。昨シーズンはスティをプレーオフに進出させた。スティのチーム力と比べてジャイは明らかに劣る。放出したQBダニエル・ジョーンズがコルツで3連勝しているのだ。ぼくは昔はジャイアンツファンだった。イーライ・マニングでブレイディーに2回勝った。夢のような日々だった。セインツはQBがいない。本当にいない。QBがいなければ勝てない。ということで、この6チームのうち、絶望的なのはセインツが勝つ見込みがない。他のチームはQBの調子が出れば勝つ要素が出てくる。さて、3戦全勝なのはAカンファはビルズ、コルツ、チャージャーズ。コルツがダニエル・ジョーンズで3連勝というのは意外。ビルズは全勝しそうだ。チャージャーズはチーフスと同じ地区なのでもう一回対戦がある。ただプレーオフには進出しそうだ。Nカンファはイーグルス、バッカニアーズ、49ナーズ。イーグルスはチャンピオンチームだが、接戦で勝っている。チーム力は去年より下がっているようだ。バッカニアーズは不思議。相手が弱かったのだろう。49ナーズも不思議。満身創痍というぐらい怪我人が多い。QBのパーディーまでリタイア。ペイトリオッツをクビになったマック・ジョーンズで勝ったのだから信じられない。チーフスはようやく1勝したが、次週のレイブンズ。相手も1勝2敗なので、接戦にはもちこめるだろう。ただ相手にはヘンリーがいる。体格のいいランニングバックのいるチームは安定している。2敗したのは対戦相手が強かったからで、ここで勝つか負けるかは大きな差になる。

09/24/水
正月からスタートした『崇神天皇』『活目大王』『日本武尊』三部作の入力作業が昨日完了した。第一次草稿なので、これからプリントしたものを読み返すことになる。これらは連続した作品ではあるのだが、それなりに独立しているので、まず『日本武尊』を仕上げることにする。『人麻呂しのびうた』を電子書籍にする話は、正月ごろにはPDFが出来上がって、著者校正はすぐに終わったのだが、編集者の作業が長びいていて、いまだに流通していない。電子書籍というのもたいへんなものだと感じたので、やはり紙の本を出したいという思いはあるのだが、売れそうにない大長篇なので、何らかの機運に乗るしかないと思った。『尼将軍』『光と陰の紫式部』『天海』も出版のあてもなく書き始めたのだが、機運が生じて出版することができた。作品というものは、ストックがあれば、世に出る機会も生じるということだ。本日は文化庁に呼び出されてリアルに虎ノ門に出向いた。ぼくは二十数年前に日本文藝家協会の著作権担当常務理事になって以来、文化庁に通うようになった。著作権分科会の委員をつとめていたので、月に一度は文化庁に出向いていた。当時の文化庁は古い建物で、土地の形の関係からか、ペンタゴン(五角形)をしていた。会議室に行く時はいいのだが、帰りに迷って、五角形の廊下をぐるぐる回った覚えがある。その建物はいまでもあるのだが、新しい文部科学省の建物を建設するために、奥の半分が破壊されてしまった。いまはその新しい文部科学省の入口から入って、渡り廊下を通って古い文化庁の建物に入るようになっている。五角形だった建物が半分だけの奇妙な状態になっているのだが、文化庁の本体は京都に移転したので、東京に残った部門だけだとこの半分で充分ということらしい。昔は、文部科学大臣に請願したり、電子書籍の現状についてレクチャーしたり、文部科学省に行くことも多かったが、最近は大きな問題がなくなったので、虎ノ門に来るのも久しぶりだ。入口がどこにあったかなと、少し迷った。話の内容は何だかよくわからなかった。まあ、雑談しにきたようなものだ。それでも一時間くらい話を聞いていた。猛暑が去った時期だったのでよかった。

09/25/木
昨日の文化庁訪問で、今週の公用は終わり。相変わらず孫と同居しているので、緊張状態が続いている。女の子がうちにいるというのは、明るく楽しいのだけれど、ふだんは老夫婦二人だけで暮らしている狭い住居なので、何だか定員オーバーという感じがしている。さて、明日は第4週の現地サースデーナイトの中継がある。シーホ対カーデというどうでもいい試合。Nカンファの西地区は弱小チームばかりと思っていたのに、49ナーズが3連勝、他の3チームが2勝1敗と、最強の地区になっている。バイキングが大活躍したダーノルドを得たシーホと、遙か昔のドラ1QBマレーのカーデとの対戦。ここは地区優勝争いが熾烈になりそうなので両チームとも勝ちたいだろうが、ぼくはシーホやや有利と見ている。他の試合では、スティのロジャースが完全復活したのか、対バイキ戦を見れば確認できる。タイタ対テキサ、ジェッ対ドルフの3連敗決戦はどうでもいいが、ラッセル・ウィルソンを見限って新人QBのダートを先発させるジャイがチャーと対戦。3連敗と3連勝の対戦だが、ジャイアンツを応援したい。あとはダニエル・ジョーンズで3連勝のコルツはラムズが相手。ラムズは先週イーグ相手に逆転のはずのキックを弾かれてそのままタッチダウンされるという不幸に見舞われたが、それがなければ3連勝していた。ダニエルの活躍が本物なら、スタッフォード相手にも互角に闘える。ダニエルを応援したい。49ナーズはペイトリオッツをクビになったマック・ジョーンズで3連勝だが、ジャガーズ相手にどうか。チーフスはペイトという強敵だが、相手も本調子ではない。ソーントンというレシーバーが先週は活躍した。まったく知らない選手だが、競り合いに強いレシーバーで、よくがんばっている。ほとんどの試合は月曜日に結果がわかる。本日は散歩で三省堂まで行って、来年の当用日記を買った。もう来年の日記や手帖が発売されている。もう年があらたまった感じがする。

09/26/金
『日本武尊』のプリントを読もうと思ったが、登場人物の名前を見ただけで疲れてやめた。この作品は20年前に出した作品のリライトなのだが、まったく新たに書いたというくらいに大幅に改変した。「救いの皇子」というテーマがわかるように、くりかえし伏線を張っていったので、流れがよくなったと思っている。一つの作品を仕上げて、ストックとしてもっているというのは、貯金をもっているような感じて何となく安心できる。

09/27/土
四日市の次男が来た。住んでいる集合住宅のゲストルームを予約できたので、そこに泊まる。孫に会いに来たのだ。スペイン人は家族・親族というものを大事にする。その対応としてわれわれもインチメートに接触したいと思っている。集合住宅の別館にある焼き肉屋で食事。孫は一箇月の滞在で、日本語がスムーズになった。難しい内容になると語彙が追いつかないので、英語で補強する。日常会話はまったく問題ない。研究を受けている病院の先生も、英会話ができない人が多いが、医学用語の大事な英単語にテニオハをつければわが孫は理解できる。一種に研修に来ているスペインの子たちは苦労しているようだ。

09/28/日
高尾山にいく。さすがに涼しい風が吹いていたが、すごい人出だった。早起きして出かけたので早く帰れた。次男は夕食後に四日市に帰っていく。

09/29/月
チーフスはレイブンズに快勝。初戦でケルシーと衝突した肩を痛めていたワーシーが戻ってきた。これで飛び道具が増えて、各方面に投げ分けることができる。スティーラーズがバイキングスに勝ってロジャースは怪我さえしなければプレーオフに進めそうだ。テキサンズがタイタンズに勝つ。ドラ1ウォードはまだ勝ち星がない。逆にジャイアンツのドラ2のダートハハツ先発でチャージャーズに勝利。明暗が分かれた。イーグルスとビルズは全勝を続ける。シード1位は固いだろう。また科学の話をしたいと思っている。ぼくが科学に興味をもったのは高校生のころだ。すでに相対性理論や不確定性原理の発見から半世紀の時間が経過していて、科学の世界は安定した状態に入っていた。20世紀に入ってからも、ヒッグス粒子の発見、重力波の確認、宇宙膨張の加速度的増大など、いくつかの新発見はあるが、基本の認識は変わっていない。質量がエネルギーに変わるというのは原爆で実証された。いまは原子力発電所という実用の領域に入っている。量子力学は量子コンピュータが実用に近づきつつある。宇宙については、新発見が実用の役に立つわけではないが、ハッブルなどの宇宙望遠鏡で鮮明な画像が作成されるようになった。それでいて地震の予知はできないし、津波は来るし、地球温暖化は防げそうにない。医療は発達しても、長生きしてどうするんだという気はしている。ぼく自身はいまのところ元気だ。同世代の人が次々に亡くなっていくし、重病を抱えた人もいる。ぼくは運がいいのだろう。父は66歳で亡くなったが、ぼくは77歳でも元気だ。昨日も1万2000歩で高尾山を歩いた。今年、9歳上の兄が亡くなった。86歳だった。ぼくも兄くらいまでは生きるだろう。まだ成さねばならぬことはあるし、書くべきこともある。ただ負いきれないほどの課題は抱え込まないようにするつもりだ。悠々と、楽しく、仕事を続けていきたい。

09/30/火
10月も終わりになった。猛暑が続いている。本日は午前と夕方のネット会議。どちらも発言する必要があったが、必要なことは話せた。自分の仕事もできた。明後日に歴史時代作家協会の催しがある。小川町の近くだというので、下見に行ってみたのだが、よく行くスーパーのすぐ前だった。そんなところに酒場があるとはまったく気づかなかった。何か店があることは知っていたが、何の店か見ることもなかった。気がつけばFootballも4週が終わった。4連勝はAカンファがビルズ、Nカンファがイーグルス。もうシード1位が決まったようなものだ。地区優勝争いは東のビルズが独走、北はレイブンズが不調でスティーラーズのロジャースが41歳とは思えない活躍。ベンガルスのバローが負傷したのでここも独走だ。南はコルツとジャガーズが3勝1敗で並走。コルツのQBダニエル・ジョーンズを応援したい。西はチャージャーズが3勝1敗、チーフスとブロンコスが2勝2敗。ここは接戦が続く。ワーシーが復帰したチーフスは見違えるようなチームになった。ただしレイブンズはいま絶不調。来週のジャガーズ戦で真価が問われる。Nカンファ東もイーグルス独走。北は混戦。ライオンズ3勝1敗、パッカーズが2勝1分1敗、バイキングスとベアーズが2勝2敗。負け越しチームがないレベルの高さだ。南はバッカニアーズが強い。西地区もレベルが高い。ものすごく高い。カーディナルスが2勝2敗でビリ。残りの3チームが3勝1敗。これはすごい。咋シーズンは負け越しでも地区優勝しそうな感じだったのに。さて、今月も終わった。余生の期間は長い。楽しんで過ごしたい。



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