本日
10/02/金
午前中の会議。この会議では議長を務めている。時間どおりに終わらせることができた。夕方から半蔵門の公的機関で映画を見る。妻がタダ券をゲットしていた。いい映画だった。今日は風が冷たかった。季節がようやく秋になったか。『アクロイドを殺したのは誰か』という本を読んでいる。まだ途中だがなかなかおもしろい。ぼくがアガサ・クリスティーを読むようになったのは小学生のころで、実家の近くの団地に住んでいた姉のところに通うようになってからだ。姉の家にはポアロのシリーズがほぼ全巻揃っていた。ポアロシリーズの最終巻の『カーテン』が出たのは大学生のころだ。それからは作品を読むことはなくなったのだが、デビット・スーシェのテレビドラマはほぼ全作見ていると思う。『アクロイド殺害事件』を読んだのは中学生のころで、もちろんテレビ版も何度も見ている。で、いま読んでいる本は、推理小説の原理を解き明かしながら、さらに深読みして、作者の意図が別のところにあることを導き出そうとするものらしい。ミステリーのミステリーともいうべき試みだ。こういうのを読むとミステリーを書きたくなる。SFを読むとSFが書きたくなる。百まで生きるとしたらあと20年もあるので何でもできそうな気がする。
10/03/土
床屋に行く。髪型には興味はない。学生のころは長髪だった。長い間、床屋に行かず、髪を伸びるに任せていた。いまもそんな感じだが、老人の長髪は冴えないので、仕方なく3ヶ月に1度くらい床屋に行く。自宅から最短距離のところに、おしゃれな感じの床屋がある。文士劇の稽古の途中で、クラーク・ゲーブルふうの髪型にするためにその床屋に行った。それは特別な場合で、ふだんは少し離れたところにある床屋に行く。高齢の女性理容師ばかりの恐るべきところだ。値段も安いのだが何よりも作業時間が短い。薄利多売。そんな感じの店だ。値段が安いので客が殺到する。実際の作業時間は短いのだが、待ち時間が長い。ぼくはそれでいい。待っている間も考え事などをすることができる。ぼくは髪を触られている時間が短い方がありがたい。サザッと切ってもらえればそれでいいのだ。今日は土曜日のせいか、理容師が4人で作業をしていた。台はもっとあるからウィークデーは6人くらいでやっているのだろう。週末は近くの会社の人や、学生がいないから、地元の老人の客しかいないから、すいている。今日も待っている客は2人だけだった。見ていると最高齢の理容師の姿が目に入った。この人に当たりたくないと思っていたら当たってしまった。でも実際に刈ってもらうととてもていねいで、いい感じに仕上がった。ありがとう。『アクロイドを殺したのは誰か』。だいたい思っていたとおりの結論だった。内容はミステリーの基本原理を解き明かすもので、充実していておもしろかった。阪神が優勝した。どうでもいいことだが、ぼくは大阪生まれなのでアンチ阪神だ。まだ川上哲治や別所毅彦がいたころからの巨人ファンだ。逆に日生球場まで歩いて行けたので近鉄ファンでもあったのだが、近鉄はなくなってしまった。日生球場もいまはない。AMERICAN−FOOTBALLの話を少し。ブロンコス対ラムズの試合を録画で見ていると、ラムズの守備陣にマクダフィーとワトソンがいる。昨シーズンまではチーフスにいた。背番号も同じだ。何となく哀しくなる。マクダフィーもワトソンも守備の要だった。まだ若く将来性もあった。たぶんスーパーMVPのウォーカーを招聘するためにサラリーキャップが満杯になったのだろう。マクダフィーの穴は出戻りのスニードが埋めている。ワトソンの代わりは新人のディレイン。それにフルトンという選手も頑張っている。ディフェンスバックはチームプレーで、守備コーディネーターの将棋の駒みたいなもので、代わりはいくらでもいるということか。フォーカーは月間の攻撃最優秀選手に選ばれた。優れたランニングバックがいると、ひょいと手渡すだけで前進してくれる。相手の守備陣がラン攻撃に備えればパスが通りやすくなる。ケルシーが大活躍しているのは、相手守備がラン攻撃を意識しているので、タイトエンドへの警戒がおろそかになるからだろう。ウォーカーを休ませている間には新人ランニングバックのエメット・ジョンソンも活躍している。いまのチーフスはランとパスがかみ合い、守備も充実している。ただビルズも絶好調だし、初戦でチーフスに負けたブロンコスも徐々に調子を上げている。またまだ先は長い。
10/04/日
『アクロイドを殺したのは誰か』を読み終える。おもしろかったし勉強になった。ミステリーを書きたくなった。この本を買った時に偶然、ホロヴィッツのホーソーン・シリーズの6冊目を見つけて一緒に買った。今日三省堂に行くとものすごい量が平積みになっていた。さてAMERICAN−FOOTBALLの4週目の結果が明日わかる。サースデーナイトはワトソンのブラウンズがロジャースのスティーラーズに勝った。Aカンファ北は4チームのデッドヒートになりそうだ。残り試合の注目カードはコルツ対コマンダーズ。ダニエル・ジョーンズ対マリオタという渋い組み合わせでどちらもがんばってほしい。コルツがやや有利か。ブロンコス対49はスーパーボウルで当たるかもしれない対戦。前週ブロンコスはラムズに勝っている。初戦で49ナーズもラムズに勝った。さて、どちらが強いか。ボー・ニクス対パーディー。49ナーズやや有利か。ペイトリオッツ対ビルズは本来なら好カードだが、メイが不調なのでビルズが圧勝だろう。ラムズ対イーグルスは強豪対決だがどちらも不調。ラムズがそろそろ復活するころか。チーフス対レイダーズは同地区の全勝対決。チーフスが負けるようなことはないはず。マンデーナイトはファルコンズ対セインツ。なぜNカンファ南の低調なチーム同士の対戦がマンデーナイトに汲まれているのか。1勝2敗同士だが首位決戦だ。負け越しても優勝というこの地区にあっては勝って2勝2敗になれば地区優勝に一歩近づくことになる。
10/05/月
早朝の目が覚めたのでチーフスの試合をネットで時々確認しながら本を読んでいた。二転三転の試合だが、サイトの更新がそれほど頻繁ではないのでいらいらした。終了3分半前までは負けていたが、そこから逆転し、さらにインターセットがあったようで、最後はわりとすんなり勝てたようだが、そこに行くまでがたいへんだった。とにかく勝ってよかった。今週の試合結果で意外に思ったのはペイトリオッツがビルズに勝ったこと。ビルズはやはり好不調の波がある。今シーズン絶不調のペイトリオッツに負けてしまった。ブロンコス対49は熱戦が期待されたが49ナーズの圧勝だったようだ。ブロンコスは優勝候補だがまだ調子が出ていない。マンデーナイトはどうでもいい試合なので4週が終わった段階でプレーオフ状況を見ておく。Nカンファはチーフス全勝。3勝1敗はビルズ、ブラウンズジャガーズ、レイダーズ、レイブンズ。ここまでで6チーム。残り1チームは現在2勝2敗の5チームだが、ブロンコスとペイトリオッツはそのうち調子が出るだろう。ダークホースはコルツ。Nカンファはバイキングスと49ナーズが全勝。1敗はジャイアンツ、ベアーズ、シーホークス。ここまでで5チームだが、負け越しでも地区優勝の南地区の優勝チームが入るので残り1枠。ラムズかイーグルスか。ただ脱落しそうなジャイアンツとベアーズがいるので、ライオンズにもチャンスはある。本日は近所の医院に行って常用薬の処方箋を貰い、インフルエンザの注射を受ける。
10/06/火
残り1試合はファルコンズ対セインツ。セインツは2年目QBシャックはそこそこやるのではと思っていたのだが、ファルコンズのランニングバックのロビンソンが前半だけで100ヤード超え。こんなに走られては勝負にならない。風呂場の電球を通信販売で買ったのが届いた。これの交換がなかなかに難しい。13年前の新築マンションだから電球のほとんどはLEDなので耐久性は高い。風呂場には4つの電球が入っているのだが、今回は3コ目の交換。予備の電球も買ってあるのだが、なるべく切れないでほしい。とにかく切れた電球は13年も長生きした。いま換えた電球も13年もつとすると、ぼく自身の命とどちらが長持ちするか、耐久レースだなと思う。
10/07/水
歴史時代作家協会のホームページに『女が築いた日本国』というタイトルのエッセーを連載してきた。皇后、皇女、女帝、中宮、国母、御台所といった女性の役割を語り、現代社会でも「女帝」があっていい、ということを主張したかったのだが、日本はいまだに世界に対して時代遅れの恥ずべき男尊女卑の社会を維持している。困ったことだが、これはなかなか改善されないだろう。ホロヴィッツの『刑事フォイル』シリーズは全部見た。これは第二次世界大戦の時期のイギリス南岸にある基地の町ヘイスティングスを舞台に、刑事フォイルが活躍する警察ドラマだ。これを見ると、当時のイギリスにも男尊女卑の考え方はあったようだ。男が出征して人手不足になり、女性の工場労働者が増えるとともに、デスクワークの主任や課長クラスにも女性が登用されていくのだが、終戦で男性が戦地から戻ってくると、女性は職を奪われるということがあったようだ。ぼくは団塊の世代だが、まだ男女の雇用機会均等という考え方はなく、多くの女性が専業主婦になる時代だった。早稲田の文学部ではクラスの半分が女性だったが、そういう高学歴の女性でも、いい仕事に就けなかった人が少なくない(雑誌の編集長として活躍した女性もいる)。いまは専業主婦というのは上流の特権階級にしか認められない立場で、むしろそれを誇りにしている女性も多いのではないか。やはり日本は島国で世界の動きから取り残されがちのようだ。ヨーロッパはイギリスのような保守的な国でも早々にサッチャーが現れたし、もともとエリザベス女王がいた。王室のある国の多くが第一子を皇太子とする制度を作っている。
10/08/木
インフルエンザの予防接種をしたせいでもないだろうが、2日ほど前から咳がひどくなってきた。老人なのでふだんから咳き込むことはあったのだが、ちょっと苦しい感じになってきた。本日は朝と夕方にネット会議がある。ネット会議は音声を切ることができるので、しゃべる時だけマイクのスイッチを入れれば何とかなる。リモート会議というのはありがたいもので、電車で遠くまで出かけていく必要がない。さて、AMERICAN−FOOTBALLは第5週になる。開幕直後には話題づくりで好カードが多い。大相撲でも初日は横綱対小結の取り組みを用意する。その後は、横綱対平幕など実力に差のある取り組みになる。AMERICAN−FOOTBALLもいまはそういう時期になっている。だから好カードは少ないのだがそのなかからいくつか拾ってみる。レイダーズ対ペイトリオッツ。レイダーズは昨シーズンのビリでドラ1QBのメンドーサを獲得したのだが、何しろ去年ビリだったチームだからドラ1QBが入っただけで急に強くなるわけはないと思っていたのだが、新人の先発ではなくベテランのカズンズを移籍で獲得して先発に据え、開幕3連勝という好スタートだった。4戦目のチーフスともいい試合をした。ペイトリオッツの昨シーズンのスーパー出場チームだが、QBメイの乱調で開幕ダッシュに失敗。しかし4週目に宿敵ビルズに勝って調子を取り戻した。どちらが強いか注目の一戦になる。レイダーズはヘッドコーチがスーパーを制した師ホークスの攻撃コーデなので、戦略的にも何かアイデアがあると思っていたが、カズンズで連勝したところを見ると戦略がチームを活性化している。レイダースの強さが本物か注目したい。49ナーズ対シーホークス。レベルの高いN西地区の地区優勝争いに関わる好カードだ。49ナーズは絶好調。シーホークスはMVPのランニングバックをチーフスにとられたのが痛い。そのチーフスは今週はお休み。負傷上がりのマホームズにとってはいいお休みになる。マンデーナイトのビルズ対ラムズも好カード。どちらも実力のあるチームだが、調子に波がある。そろそろ調子を上げていなかいといけない時期だ。
10/09/金
サースデーナイト。バッカニアーズ対カウボーイズ。絶不調のQBメイフィールドがついに負傷退場で先発はドラフト外新人のダニエルズという人。コマンダーズのQBとは別人。ドラフト外の新人にカウボーイズが負けるとは誰も思わなかったはず。だが負けてしまった。FOOTBALLは何が起こるかわからない。一つ二つのパスが通ったという話ではない。15分×4クォーターの正味60分闘って勝ちきるというのを、ドラフト外の新人がやってのける。メイフィールドの前に先発QBだったあの人の名前を想い出す。ブレイディー。大昔、ペイトリオッツにはブレッドソーという超ロングパスを投げる怪人QBがいた。その先発QBがフレーオフ直前で怪我でリタイアした。代わりに出場したのがドラフト下位で入ったまったく走れない軟弱そうな若者だった。だがこの若者が次々と試合に勝ったのだった。ダニエルズ。頑張ってほしい。
10/10/土
昨日の文芸家協会の会議は、アメリカのAI産業が日販から大量の本を購入したことに対して語り合う催しだった。何冊という単位ではなくトンで数えるほどの本を購入した。スキャニングしてAIに読ませるために決まっている。いまのところAIは頭が悪い。とくに日本に関する情報に疎いところがある。それは日本語の本を読んでいないからだ。それでどんどん日本語の本を読ませようということらしい。AIが賢くなるのは、日本のユーザーにとって喜ばしいことだ。だがそこに問題がある。明らかに複製権の侵害があると推定されるからだ。本を書いた人にはその本に関する複製権(コピーライト)が与えられる。コピーの権利というとコピーでコピーをとることを考えがちだが、本来の意味は活字の本を大量に印刷してそれを売って設ける権利だ。これは本を書いた人にだけ与えられる(排他的独占権)強い権利だ。ただ作家が自分で印刷するわけにもいかないので、出版社に出版権を委託して本の制作、販売、収益の管理などを一任する。問題はそのあとだ。本が市販されるとその本の版面をコピー機でコピーする人が出てくる。実はこれは合法的だ。「権利制限」といって、そこでは作者に与えられた複製権が無視されることになる。ただしこれは個人が自分の所有する本のコピーを撮った場合だ。個人でやった場合は摘発のしようがないという消極的な理由による。ただしそれが許されるのは個人の場合だ。文芸家協会は写真家の団体などと協力して著団連という組織を作り、複製権センターというものを設立した。いまでは新聞社も加入している。主に大企業などで会議をする時に必要な資料として大量のコピーをとる。その行為に対してお金を貰っている。また教材出版社が入試問題集などを作る場合、問題集として売り出した場合はその売り上げの一部が貰える仕組みになっているのだが、教材出版社は編集や企画の段階で、その年の入試問題をコピーにとったりサーバーに入れたりして会議などに使い、必要ならばそこから問題集を編集する。それが市販されればそこから売り上げの一部が支払われるのだが、コピーされたのに使われなかった問題が残ってしまう。教材出版社は「個人」ではないので、すべてのコピーに対価を支払う必要がある。実際に文芸家協会は使われなかった問題からも支払いを受けている。さて、問題のAI企業は、AIに学習させるために購入した本をスキャニングするはずだが、これは複製権の侵害になるはずだ。ただし著作権方第30条の4というところに、研究開発のためのコピーはOKと書いてある。この法律ができる前は、文芸家協会の会員に500円の図書カードが配られたことがあった。国語研究所がサンプル調査の対象となった本から500字ほどを切り取って学習し、なかのボキャブラリーの統計をとるというものだ。毎年この調査は実施されているので、年ごとの傾向が見えている。「やはり」と「やっぱり」の使用頻度の変遷がわかるということだったが、そんな研究をしてどんな意味があるのかと思った。「やっぱ」や「やはし」の出現は大発見なのだそうだ。ぼくも最近の若い人が「わかりにくい」を「わかりづらい」と言うことに違和感を覚えることがある。会議などで年輩の人が「資料を用意しております」というべきところを「資料を用意してございます」と言うようになったことにも疑義を感じている。「つらい」や「おる」が著しく衰退している。まあ、そんな研究も必要なのだろう。ただこういう研究のための学習は、言葉そのものを対象としているので、言葉のシークエンスから意味を読み取ったり、何らかの思想や感情を読み取ろうとするものではない。だから権利制限になっているのだ。ただいまのAIは明らかに人間を超えている。若い人たちがAIをチャッピーと呼んで友だちにしているように、AIは著作物を学習することによって、そこから意味を読み取り、思想や感情を受け取っている。これが権利制限になっているのはいかがなものか。以上のようなことをぼくは発言したのだが、そもそもこの会議を開くように要請した人は、ただちに裁判で訴えろと言っているそうだ。いまのままの法律では裁判では負ける。時間はかかっても世の中の人々に訴えて法律改正を実現しなければならない。
10/11/日
昨日、御茶ノ水駅前の丸善に行くと、日記帳を売り出していた。ところがぼくが愛用している当用日記のスタイルのものが欠けていたので、その足で三省堂まで行った。去年も三省堂で買ったのだが、新築ビルが完成する前で、小川町の仮店舗で営業していたので、ぼくの自宅からは近かった。いまは本店ビルがオープンしてもとの駿河台しただが、ワンブロック先になったが徒歩5分くらいで行ける。店内に入ってみても売り場がなかった。例年、日記が売り出されるとレジのすぐ近くに平積みで陳列されるのだが、何もない。念のために二階に上がってみると、フロアの隅っこにほそぼそとした売り場があった。世の中の人々は日記をつけなくなったのかと愕然として気分になった。愛用のスタイルのものがあったので購入。一週間を見開きで記入できるものだ。後ろに自由に書き込めるノート蘭もある。12月から書き込めるようになろっているので、そこにはAMERICAN−FOOTBALLの星取り表などを記入する。ぼくは1985年くらいから毎年、同じスタイルの日記を書いている。ということは30年分の日記帳があるわけだ。作家になってから10年くらいは忙しすぎて日記をつける余裕がなくなった。いまは当用日記の他にこのページも書いているので、よほどひまになったということだろう。
10/12/月
昨夜遅くに絶交している岳深夜から電話があった。ネットで笹倉明の死亡記事を見たという。電話を切ってネットで確認するとおそらく共同通信系の記事と思われる新聞記事がいくつか見つかった。岳は先日自分の知人を集めて宴会を開いた(ぼくは欠席)のだが、その時、笹倉にも連絡をとったら、今回は多忙で行けないという返事だった。日本に帰ってきているのかと聞くと、日本にいるという連絡はあったのだという。その時の返事が元気そうだったとのこと。宴会の返事を出したのは一ヶ月前くらいだからその時は元気で日本にいたということだろう。笹倉はタイで仏門に入っていた。時々は日本に帰ってきて滞在記を本にしていた。あるいは何か病気があって、日本の病院で手術を受けるつもりだったのか。その病気が急速に悪化したのかもしれない。ぼくと同じ年齢だから後期高齢者だ。笹倉明は大学の教養課程の同級生だ。当時の早稲田の文学部は教養課程が2年あった。三年に進級する時に専攻別に分かれる。東大や慶応のように別の校舎があるわけではないのだが、2年生までは語学中心のカリキュラムで、はっきりいって授業は面白くなかった。ぼくが母校の教員になったころは、1年の時からゼミの授業が始まるようなシステムになっていた。教養課程が面白くないと学生が暴れるということが、大学側は骨身に染みたのだろう。週に英語とフランス語が4コマ、国語が1コマ。その他は選択科目だが、語学の9コマは教養課程のクラスで受ける。一週間に9回も同じ教室にいるので仲がよくなる。当時は全共闘系、革マル系、まじめ系と三つに分かれていたのだが、そんなわだかまりもなくなって、いまでは10人くらいが集まった年末に宴会をする。ぼくが芥川賞をもらった時にクラスの仲間が集まって祝ってくれた。その席で「ぼくも会社を辞めて小説家になる」とつぶやいていた。冗談だと誰もが思ったのだが本当に勤めていた会社を辞めてしまった。しばらくとして『すばる』の佳作となり本も出たのだが仕事が続かなかった。持ち込み原稿が「サントリーミステリー大賞」の候補になったのだが、これはホテルの会場で選考委員が議論するのを、わきにいる候補者がはらはらしながら聞くという一種の見世物だった。作家としてすでにデビューしていた笹倉にとっては屈辱的なものだったと思うのだが、めでたく受賞となり、仕事の注文が来るようになった。その勢いで直木賞受賞にまで到達した。ただ多作な作家ではなかったのであとが苦しかったのだろう。いつの間にか文壇から消えてしまった。と思っていたらタイのバンコクにななるという。当時は円が強かったのでバンコクなら本の印税だけで生活できるというようなことを言っていたのだが、そのうちに仏門に入った。仏門ではそれなりに優遇されていたようで、偉い坊さんの案内で日本に来たこともある。いきなりの訃報で驚いている。
10/13/火
咳が止まらないので医者に行く。薬を大量に貰う。金曜に歴時賞の授賞式、日曜には博多で講演がある。それまでに体調が回復するか。さてAMERICAN−FOOTBALLの結果。チーフスはお休みなのであまり注目していなかった。意外な結果としてはドラフト外新人QBを先発させたバッカニアーズがカウボーイズに勝ったこと。不調のジーノ・スミスのジェッツが好調に見えたワトソンのブラウンズに勝った。ジャイアンツとコマンダーズが引き分けたこと。AMERICAN−FOOTBALLでは引き分けはめずらしい。49ナーズがシーホークスに勝った。地区優秀に向かって独走体勢に入った。本日のビルズ対ラムズはスーパーで対戦するのではとシーズン前の下馬評で高く評価されたチーム同士の対戦。熱戦だったようで、延長でビルズの勝ち。5戦が終わってまだ連敗というチームが3つもある。Aカンファばかり。ドルフィンズはQBがいない。タイタンズは去年のドラ1QBが成長していない。チャージャーズはプレーオフ確実と見られていたのにどうしたことか。全勝はチーフス、バイキングス、49ナーズ。バイキングスは対戦相手に恵まれているだけ。スーパーはチーフス対49ナーズか。
10/14/水
もう50年ほども前、芥川賞をもらった直後に何かと世話になった人がいた。とくに何かの仕事をしたというわけではないが、いろいろな人を紹介してくれて、文壇という村社会に参加したばかりのぼくにとっては、貴重な体験になった。その人が突然、電話をかけてきた。それからメールのやりとりをして、今日、ある出版社を紹介してくれた。こういうコーディネーターのような人は、作家にとってはありがたいものだ。作家の仕事は小説を書くだけではない。並行してエッセーを書いたり、各種の入門書や解説書のようなものを書く。ぼくのメインの仕事は重い宗教小説なので、そればかりでは書くのもつらいし、気分転換に軽い文章を書きたくなる。大学の専任教員になったのは、晩年の大事な作品を書くために、小説に集中したいという思いがあったからだが、それでもコーディネーターのような人が軽い仕事を見つけてくれて、読みやすい文題の本を書いてきた。こちらが老人になるにつれて、担当編集者もリタイアし、コーディネートしてくれる人もいなくなっていたのだが、今回はわざわざ出版社を紹介してくれたので、何か書いてみようという気分になっている。昨日、医者から貰った薬は少しは効いているようで、声が少し出るようになっていたのでよかった。前傾姿勢にならなければ咳き込むこともないのでちゃんと話ができた。ただ夜、横になるとまだ咳が出る。やや睡眠不足だ。
10/15/木
しばらく更新が途切れていたのは体調を崩していたからだ。この木曜日はSARTRASの理事会だが、とくに発言する必要はなかったので一言も発言せず。ネット会議なのでマイクをオフにしていれば咳き込んでも大丈夫。咳はピーク時に比べればかなり収まったのだが、胃の調子が不安定になってきた。咳も疲れるのだが、胃が気持がわるいということになると、日常生活にも影響が出てくる。しかも胃の一部が痛み始めたので、夜も安眠できなくなってしまった。
10/16/金
医者に行って相談すると、咳止めのなかに胃に厳しいものがあったのでそれはカットし、胃の薬をもらった。夜は歴史時代作家協会賞の授賞式。今回も素晴らしい才能が結集した。こちらの役目まず選評を述べ、賞状を授与した。ふだんあとの宴会のなかで受賞者に声をかけるのだが、今回は宴会には出られないので、賞状を渡す時に声をかけて、短い会話をしたので、授賞式が和やかなものになった。あとは集合写真に参加して、宴会が始まる前に会場をあとにした。
10/17/土
日曜に博多に行くので、本日は休養日。ひたすら休養。胃が痛く吐き気があるので夜ベッドで寝ていられない。リビングの椅子に座っている姿勢が一番ラクなので、土曜の夜もすぐに起きて、リビングで仮眠していた。そのまま博多に向かうことになった。
10/18/日
7時30分発の博多行き。座席に座ってしまえばあとはじっとしていればいい。12時半に博多駅に到着。日曜日だからすごい人出。駅の近くのホテルのはずだがなかなか行き着けない。地下道から行くのは困難と思われたので地上に出るホテルの建物が見えた。駅前の信号を向こう側に渡るだけで行けそうなので、そこまでよろよろと歩いていく。その途中にタクシー乗り場があったので、思わずタクシーに乗りたくなった。乗車時間30秒でホテルに着いてしまう。何とか横断歩道を渡って、あとはゆるゆるとホテルに向かって進んでいく。水が2本入っている荷物が重いのでまず荷物から解放されたかった。チェックインカウンターに行って荷物を預かってもらう。自分の名前で部屋が予約できていることを確認できたの安心できた。どうでもいいことだが、ホテルニッコー福岡の女性従業員は、かわいい人ばかりだったしよく訓練されていた。宴会場の場所を確認してエスカレーターで3階へ。同人雑誌会議の集会、まほろば賞の授賞式、シンポジウムなど盛りだくさんの企画のなかで、ぼくと中上紀さんが短い講演。まほろば賞は2年分の表彰なのでぼくが去年のぶんの選評、中上さんが今年のぶんの選評。去年も今年もすごい作品が受賞していて、受賞者との会話も楽しかった。シンポジウムは失礼して、チェックインカウンターで正式にチェックイン。といっても主催者が氏名・住所などは登録してくれていたので、手続きはまったくなく、キーの代わりのカードを貰う。荷物は部屋に届けたというので案内は不要と告げて一人で部屋に向かおうとしたら、担当者がエレベーターまでついてきてくれた。他のホテルでも経験したことだが、部屋のある階のボタンを押すためにはカードキーをどこにタッチする必要があったのだ。8階の部屋に入ってしばらく休憩。懇親会の時間になったので会場に戻るとまだシンポジウムをやっていた。誰もいない宴会場に入って壁際の椅子で休んでいると、係の女性が近づいてきて、何か必要なものはないか声をかける。この人々も美人ばかりだ。九州は美人が多いのかもしれない。乾杯ではビールを一口飲んだ。ものも少しだけ食べられた。部屋に戻るとまだ7時のニュースをやっていた。風呂に入ってベッドに入った。寝不足のはずだが、断続的には寝ている時間もあったので、夜中に何度が目が覚め、早朝に起きてしまった。とにかく役目を果たせてよかった。とくに去年と今年のまほろば賞の受賞者と話ができたのは自分にとっても幸福な時間だった。
10/19/月
今日は東京に戻るだけ。早めにホテルを出て、博多駅にベンチを見つけてそこで休憩。スマホでAMERICAN−FOOTBALLの結果を確認。チーフスはまだ試合中だったが、安全なリードを保っていたので安心。おにぎりを2個勝って新幹線に乗る。いのイベントの依頼を受けた時、即座に飛行機ではなく新幹線で行こう決めた。5時間の乗車時間の間、ウイスキーのポケット瓶をちびちびと……と夢見ていたのだが、そんな状況ではないので、スマホを苦労しながら操作して車内販売でアイスクリームを頼んだりした。実は去年、スペインの孫娘が帰ったあとくらいに、アイスクリーム断ちを決意していた。4キロ痩せたのは文士劇のせいだが、今回は急速に体重が減ったのでアイスクリームによる栄養補給は許されるだろうと思い、味わいながらいただいた。
10/20/火
医者に行って薬を貰う。金曜日の歴史時代作家賞授賞式や、日曜の全国同人雑誌会議のあたりは最悪の状態だった。それでもいまは回復途上にある。とりあえずAMERICAN−FOOTBALL。6週が終わった。全部で18週なのでもう3分の1のところまで来た。これだけの時間が経過するとチームの総合力が見えてくる。Aカンファはタイタンズがようやく1勝。それでもまだチャージャーズとドルフィンズが全敗だ。とにかくこれらのチームはプレーオフの可能性が消えた。来年のドラ1狙いでビリ争いということになる。北地区はビルズ1敗、ペイトリオッツ2敗。この2チームはプレーオフに進むだろう。北地区は4チームとも2敗のまま。これはすごい。南地区は2敗のジャガーズが独走で3チームは絶望。西地区はチーフス全焼。詐欺は2敗のブロンコス。ということでプレーオフのワイルドカード3チームはペイトリオッツ、ブロンコスと、北地区の2位のチームということになるが、最後まで激戦が続きそうで、勝てば地区優勝、負ければプレーオフ敗退といった過酷な局面での闘いになる。Nカンファについては明日。先月末に浜松から戻って以来、しばらく車を動かしていなかったので深川ギャザリアまで行く。昼食少なめだが何とか食べられた。食品などを買って帰る。
10/21/水
体調不良の最悪の状態から徐々に回復しつつあるが、元の状態がよくわからないので、健康を100として何%回復したのかがよくわからない。気分としては20%くらいか。まだ散歩にも行けない。ただS社と約束したエッセー本の執筆のために、昔自分が出した『17歳で考えたこと』という本を読もうと思い、徒歩5分くらいに倉庫として借りている部屋に行ってみる。5分歩いただけだ疲れて、部屋の中央にある椅子に座ってしまった。6畳の部屋にものが乱雑に積み重なっている。整理整頓もしていないし、本棚に並べているわけでもない。下の方に埋もれていれば発掘しないというけない。そう思って見ていたら、上から3冊目くらいのところにその本があることが判明した。もって帰って自宅で少し読んでみたが、あまり役に立ちそうにない。とにかく10分の散歩を果たした。
10/22/木
文芸家協会で打ち合わせ。夜中に咳が出るので熟睡できていない。昨日、昼食のあと歯を磨いていたら、詰め物がとれた。これは大ショックだ。御茶ノ水に引っ越してから13年と半年、歯に何のトラブルもないので歯医者に行かなかった。千代田区から無料の検診のお知らせが来るのだが無視していた。1度歯医者にいけば無限ループにはまることはわかっていた。しかし詰め物がとれたので歯医者に行かないといけない。妻が通っている歯医者は良心的なところで、無理にインプラントを勧めないという話を聞いていたので、いいところだと思っていた。で、妻に予約を入れたもらった。定刻に行くとまず書類と質問票を書かされ、それから2階の部屋で説明。1階に戻ってそこからいろいろと始まった。レントゲン、口内の写真撮影、歯の一本一本の確認。詰め物が外れたところは応急処置。怪しい箇所がいくつもあるが、まず歯石の除去などやってからら……。無限ループが始まった。優しい先生だったのでよかった。この人に命を預けようと思った。ぼくは剛胆な人間ではない。冷静ではあるのだが、それは危機感のない場合で、歯医者の場合はその領域に一歩入っただけで、心神喪失の状態になってしまう。終わって支払いを済ませ、次回の予約と歯石除去の予約を入れる。ここはどこ。わたしはだれ。そんな状態でよく自宅まで帰れたものだ。マンションのレセプションがある20階に戻って、郵便受けの前に立っても、暗証番号がどうしても思い出せない。自分は誰からわかっているので、そのままふらふらと部屋に戻る。ところで朝、突然、メールの送信ができなくなった。歯医者のショックが少し回復したのでネットで調べながら、いくつもの可能性を探っているうちに、突然、送信できた。なぜできるようになったのかがわからない。とにかく送信できるのだからよしとする。今日は長い一日だった。
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