日本にも毒グモはいる

セアカゴケグモ    
 

日本にも毒グモは生息しています.1995年の年末,毒グモ騒動が日本中の話題となりました.かまれると命にかかわることもある毒グモのセアカゴケグモが大阪,三重で発見されたのです.その発見をきっかけにして各地の港で調査が行われ,その結果,セアカゴケグモと同じ仲間のハイイロゴケグモとアカオビゴケグモというクモも日本に侵入していたことがわかりました.オーストラリアではセアカゴケグモにかまれて亡くなってしまった人が実際にいます.オーストラリアでは,セアカゴケグモはレッドバックスパイダーと呼ばれており,子供たちにはレッドバックには絶対に触ってはいけないときつくしつけがされているそうです.しかし,面白いことにオーストラリアではこの毒グモをデザインしたイアリングやキーホルダーなどがお土産やさんで売られていました.さて,ゴケグモの仲間は簡単に他のクモと見分けることができます.それはおなかの赤い砂時計マークです.背中側は真っ黒だったり,赤いたてすじが入っていたり,まだら模様だったりしますが,お腹側にはみなこの砂時計マークがついているのです.赤い砂時計マークがついているクモをつかんではいけません.人がつかんだりしないかぎり,クモのほうからかみついてくることはありません.それからもう一種,日本には注意したほうがよいクモがいます.それはカバキコマチグモというクモです.このクモはススキの葉の先をちまきのように丸めて作った部屋の中に産卵します.そして子グモが一人前になるまで母グモが袋の中に一緒にいて保護しているのです.このとき母グモは大変気が荒くて攻撃的になっており,袋を開いたりすると猛然と攻撃してきます.このクモの毒はけっこう強くて,かまれると大変痛いですし,かなりはれます.まだ命を落としてしまったという例はありませんがススキのちまきには注意しましょう(写真は次の項目でご覧下さい).

2000年10月20日,米軍岩国基地においてクロゴケグモが発見されました.クロゴケグモはアメリカ合衆国でブラック・ウィドウ・スパイダーと呼ばれて恐れられている毒グモです.ついにゴケグモの仲間で一番恐ろしいやつが侵入してきてしまいました.ただし,いたずらに恐れることはありません.毒グモといってもクモのほうから向かってくることはありません.うっかりしてクモをつかんでしまったりしたときにかまれるのです.巣のそばを通りかかっただけで大挙しておそいかかってくるスズメバチや,草むらに潜んでいて飛び掛ってくるハブなどのほうがずっと恐ろしい存在です.クロゴケグモは真っ黒でつやつやした丸いクモです.上の写真のセアカゴケグモの体を真っ黒にしたようなやつです.

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