●「星空の切人ちゃん」
●文月今日子
●KCフレンド
●全1巻
●講談社
●「ななちゃんの日曜旅行」「パフ」
「ノクターン」「ポテトチップス物語」

(C)Kyoko Fmizuki

文月今日子さんの描く女の子は、総じて元気が良く、恋にも仕事にも人生にもいつも前向きです。読後感がスッキリしているのも、そんなヒロインたちのパワーを分けてもらっているからかもしれません。

でも、この「パフ」というお話(ほんと「お話」って感じです)は、そんな女の子が出てくる話ではありません。12ページの短編ですが、スクリーントーンを一切使わずに(!)カケアミやら点描やらで描き込まれた美しい絵と、起承転結の基本を押さえつつページ構成からコマ割りまで計算しつくされた(と思われる)物語が、今も忘れられない感動を私に与えてくれました。短編だけにストーリーを紹介するべきかどうか悩みましたが、ここでは控えておきます。まず作品を読んで欲しいから。でも、この単行本はすでに古本屋でしか手に入らないでしょうから、こそっと紹介することも考えています。自選傑作集には入ってないようでしたし……。

タイトルの「パフ」というのは、このお話の主人公である男の子の名前です。そしてラストのセリフでもあります。

単行本のタイトルになっている「星空の切人ちゃん」について一言。この作品は、超常能力を持つ主人公の男の子が、宇宙人やらなんやらとドタバタするSF(?)シリーズもので、「夏の夜のエイリアン」という続編が一冊あります。古本屋等で見かけたら、是非読んでみてください。

●「夏の夜のエイリアン」
●文月今日子
●KCフレンド
●全1巻
●講談社


文月今日子(ふみずき・きょうこ)

デビュー作/「フリージアの恋」1973年(別冊少女フレンド)
主な掲載誌/「別冊少女フレンド」「月刊ミミ」
主な作品等/「さとう菓子の家」「わらって! 姫子」「銀杏物語」
白白白白白白「エトルリアの剣」「星空の切人ちゃん」
現在の活動/最新刊は「文月今日子選集6(星空の切人ちゃん)」宙出版(2000.2)など


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