●「彼方から」
●ひかわきょうこ
●花とゆめコミックス
●1〜10巻
●白泉社

(C)Kyouko Hikawa

ひかわ先生の作品に登場する男性(主役)は、一貫して強さの中に優しさが絶妙にブレンドされている“究極の男性像”を体現しています。しかも誠実で、感情表現が不器用という味付けまでされていては、世の男性陣は白旗を挙げざるを得ません。もちろん容姿も文句無し。この男性キャラたちが、ひかわ先生の作品の魅力の中心であるといえます。

この「彼方から」という作品は、ひかわ先生初の長編SFファンタジーです。現代の高校生である立木典子(ノリコ)は、無差別爆破事件の爆発をキッカケに、彼女が夢に見ていた異世界へと跳ばされてしまいます。そこは見たこともない生物や魔法、超能力が存在している不思議な世界でした。
ノリコが異世界で最初に会った人間は、イザークという名の青年(上記のようないい男)。彼は、闇の力の凝集といわれ人々に畏れられる「天上鬼」です。「天上鬼」は「目覚め」によって「天上鬼」として目覚めると伝えられ、目覚めさせた者が「天上鬼」を支配できる。そんな言い伝えを信じた権力者たちは、こぞって「目覚め」を手に入れようと躍起になっていました。実はこの「目覚め」こそノリコなのです。言葉も通じない世界で途方にくれるノリコを「目覚め」と知りながら世話するイザーク。彼は自らの呪われた宿命を断ち切るために「目覚め」をこの世から消さねばならないのです。

「目覚め」であるノリコを手に入れようと二人を追う権力者たち。その魔の手から逃れるうち、イザークとノリコは徐々に心を通わせていきます。しかし、身体の変調から目覚めが近いことを覚るイザーク。果たして二人の逃避行の結末は?

現在、月刊LaLaに断続的に連載中。続きが待ち遠しいのですが、ひかわ先生の身体が弱いという噂も耳にし、無理をせずに長ーく創作活動を続けて欲しいと願っております。


ひかわきょうこ(ひかわ・きょうこ)

デビュー作/「秋風ゆれて」
主な掲載誌/「LaLa」
主な作品等/「白い窓の向こう側」「荒野の天使ども」「時間をとめて待っていて」
白白白白白白「彼方から」「女の子は余裕!」
現在の活動/LaLaで「彼方から」連載中
白白白白白白最新刊は「彼方から(10)」白泉社(1999.12.10)


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