高知・子供「詩のボクシング」ワークショップ 2004.7.29
●高知新聞朝刊2004.7.30
●リングで言葉のパンチ、詩のボクシング、小学生16人参加 朝日新聞大阪地方版/高知2004.08.01
子どもたちが自作の詩を朗読してどれだけ観客を引きつけられるかを競う「小学生詩のボクシング」が、高知市九反田の市文化プラザ「かるぽーと」で29日にあった。県内各地から集まった小学生16人が、ボクシングに見立てたリングに上がって言葉のパンチを繰り出した=写真。
大人の「詩のボクシング」は、県内で3回目となる大会が7月11日にあったが、小学生の大会は初めて。生の体験から文化を学び取ってもらおうと、同市などが文化庁の支援事業の一つとして開いた。
大会ではまず、日本朗読ボクシング協会代表の楠かつのりさんが詩を書くときや読むときのポイントを指導。試合は2人ずつチームを組んでトーナメントで争われ、リングに上がった子どもたちは元気よく詩を朗読した。決勝は楠さんが「先生」などの題を出し、その場で考える即興詩での勝負。熱闘に会場の保護者らから盛んに拍手が送られた。
試合後、楠さんは「これだけの短い時間で言葉が出せるのは、子どもたちの頭の柔らかさの表れ。詩のボクシングが、他者に届けるための言葉を探すことにつながれば」と期待していた。
優勝した高知市立旭東小6年の和田祈恵さん(11)は「リングは思ったより高く恥ずかしかったけど、気持ちよかった。次があれば多分また出ると思う」と話した。
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●『子供の詩はいい』
小松弘愛(詩人)
自転車で「かるぽーと」に駆けつける。小学生「詩のボクシング」を観戦するためである。自転車の籠には『子どもの詩』(川崎洋編・文春新書)が入っている。家を出るとき書棚から引き抜いてきたもの。「天国のおじいちゃん/ガイコツになっても好きだよ。」これは帯文にとられた詩句。子供の詩はいい。
「詩のボクシング」(十五歳以上)は高知でも三回行われているが、小学生の大会は初めてである。それだけに、子供たちの緊張を解きほぐし、その童心(詩心)を引き出す場を作り出してゆくことが大事である。日本朗読ボクシング協会代表の楠かつのり氏は、やさしく、ユーモラスに子供たちを「詩人」に変身させて‥‥、いや、子供は本来「詩人」であり、それを改めて気づかせてくれるリングへと盛り上げてくれた。
リングのラストショウは決勝戦の即興詩。与えられた題をもとに、それぞれのペアが対話詩といってもよい詩を作り出し、即興詩ならではの童心の発露になった。やはり、子供の詩はいい。
●塩見由利(観客・保護者)
小学生詩のボクシングは、思っていた以上に大変で楠さん、スタッフのみなさんにはほんとうにお疲れさまでした。みんなががちがちに緊張しているし、1年生と6年生はそもそも別の生き物ですし。それでも、ひとりひとりを大切にしながら、少しずつ声を引き出していった、楠さんに感服しました。
優勝したチームの5年生の松村君はたいした少年でした。彼が大人の詩のボクシングのキーパーソンになる日も近いです。もう一人の和田きえさんは優勝という形で小学校最後の夏の記念になり、よかったと思いました。
さて、今回の小学生詩のボクシングは、緊張のあまり堅くなった子どもたちの、作文を読んでもらうだけでかなり時間がかかってしまったために、あとの本編が時間が押してしまい、もう少し準備の時間が欲しいなあと残念でした。ペアになった子どもたちが、初対面でお互いに全く話し合う暇もなかったので。学年があまりにバラバラだったので、それをどうするかも難しいものがあります。理想的には2学年くらいの幅で、お互い顔見知りの方がいいのかと思いました。他の県ではどのようにしているのでしょうか?
けれど、またぜひ来年も、小学生詩のボクシングを高知で開催していただきたいと切に思います。
我が家の、ほんの頭数で出場させた1年生と3年生は、はじめ全くやる気がなく、親が無理矢理出場させたのですが、それでも下の子は1回戦で負けたのが大変悔しかったそうで、帰りに車でおいおいと泣いていました。「半分は1回戦で負けちゃうんだよ」というとちょっと納得していましたが、帰り着くや「来年に向けて」詩作をはじめたので驚きました。3年生の息子も作文に「とてもおもしろかったので来年は友だちもさそっていきたいです。来年はけっしょうせんまでいきたいです」と書いていたのでまた驚きました。
ゲームとはいえ勝ち負けがあると言うことは、こんな効用もあるのですね。また、勝つためには、「ダレにでも思いつくような言葉を並べてはダメだよ。ひとをはっとさせる言葉がないと。そのためには、いつもから、はっとする気持ちを自分が持っていないといけないよ。それから、そのはっとしたことを覚えていないといけないよ」というと、目を輝かせて2人が聞いてくれるので、それだけでも我が家は参加してよかったなあ・・と思いました。これで我が家の詩のボクシング人口は75%になりました。
思った以上に子どもにとって詩のボクシングの体験は大きいことがわかりました。高知でもなんとかいろんなところで詩のボクシングを小学生に広めていきたいと思っています。やはり、小学校で開催してもらうのが一番だと思うのですが・・また、何かできることがありましたら、お声をかけてください。
ほんとうにありがとうございました。
●まさに『後世畏るべし』!
武政里織(指導助手/運営スタッフ)高知初の『小学生詩のボクシング』は、フライパンのゴングで幕を開けました。
高知市文化プラザかるぽーと小ホールにおいて、試合前に講師の楠さんより受けたレクチャーは2時間あまりでしたが、講義の内容に笑いながら泣きながら、しかし一言も聞き漏らすまいと、全身を耳にしていた小学生達が作り上げた詩は、生き生きと新しい世界を表現していました。
大人でも萎縮する大きなリングの真ん中に立った彼らの小さな体は、ぐんぐん大きく伸びて見えました。すでに自分の世界観を持った詩を書いてきた子供、あるいはスポンジのように新しい表現を吸収して短時間に詩を書き上げた子供。いったい彼らが大人の『詩のボクシング』に参加できる年齢に達したとき、はたしてどんな詩を披露してくれるのでしょうか!?
ワークショップ終了後、スタッフ一同「後世畏るべし…いや、末頼もしい」と感心すること、しきりでした。しかしそれに足る人材が満載であったのはまぎれもない事実です。次の機会が楽しみです。
●「表現する喜び」〜小学生詩のボクシング
和田智香(観客・保護者)
お誘いを受けて初めて、「小学生 詩のボクシング」に娘2人(小学6年生と2年生)が参加しました。楠かつのりさんの指導の元、16人の子どもたちのワークショップの様子を見学させていただきました。導入は「名前を呼ばれた人は、動物の鳴き声で返事をしてね」というもの。子どもたちはカチン・コチン。我が娘は2人して陳腐な返事しかできなくて、雰囲気を盛り下げている…。というのも、「詩のボクシング」が何物か、本人たちは全く知らずに参加しているのです。平たく言えは、「親に言われたから、仕方なく来ている」ので、頭の中では「早く家に帰って友達と遊びたい」という思いでいっぱいなのが、手に取るように分かります。用意してきた作文を順番に読むところでは、小学1年生の男の子が泣き出す。どうなることか…。
ところが、楠さんはそんな子どもたちに寄り添い、恥ずかしい殻をかぶったままの子どもたちに共感し、決して無理をしません。そして、後半、くじ引きで2人組を作り、リングの上での発表へ。最初はマイクにむかって「あ〜っ!!」と大きな声を上げるだけ。「じゃあ名前をいってごらん」。子どもたちはだんだん声を出す楽しさを感じている様子。そして迎えたトーナメント戦。会場で作った詩を発表。泣いた男の子もリングの上で、スポットを浴びながら堂々と声を出しています。
そして迎えた決勝戦。運良く、優秀な男の子とペアとなった長女は決勝戦に参加。用意いていた作文を読むか、お題を出して即興詩に挑戦か、という楠さんの提案に、子どもたちは迷わず「お題を出す」方を選択。即席にできたペアで、交代しながら即興詩で対決になりました。長女のペアに出されたお題は、「学校の先生」。うまくやれるかしら。本人よりも私の方が緊張。長女から「お昼寝していたらダメじゃないの」と始めました。ありゃりゃ、それは自分がいつも先生に言われているセリフ?まったく緊張していない様子。その後、二人は、「タッチ」でそれぞれ2回交代して、見事にお題をまとめました。
長女はリングにあがった辺りから、面白くなってきた様子。決勝戦でやっと本来の彼女らしさが見えました。次女は1回戦で負けたものの、他の人の発表を食い入るように見ていました。「あんなに頭の中に言葉が入っていて、その場で次々と出てくるのはすごい」と感動していました。16人は全員「決勝戦に出たかった」と思っていることでしょう。子どもたちの気持ちがどんどん高まってくるのが会場にも伝わってきます。見ている側としては、どの子も応援したい気持ちでいっぱいでした。
子どもたちは相手の良さに素直に感動し、勝負に関係なく、「表現する」おもしろさを満喫している様子でした。「声に出して表現する」ということがもっと日常的なものになるように、生活に取り入れていきたいと思いました。貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。
「詩のボクシング」
旭東小学校 6年 和田祈恵
私は詩のボクシングに初めて参加しました。
トーナメントの時のペアをくじで決めました。私の相手は松村君という5年生の男の子でした。
松村君は詩を作るのがとても上手で、楽しいことを言ってくれる人でした。
最初私は本調子ではなかったので、あまり楽しくありませんでした。リングに上がった頃からだんだんおもしろくなってきました。1回戦目、私は「犬の気持ち」を読みました。松村君は「バスの気持ち」を読みました。とてもよく表現できていました。
2回戦目は、松村君が家で書いてきた「2億円」(福井県での災害に寄付した宝くじの金額)を読みました。最初は2人で読んで、後は松村君が一人で読みました。読み方がとても上手でした。相手チームは「テスト」という作文を読みました。クラスの成績が悪くて、自分も悪いのではとドキドキしたという内容です。私もそういうことがあったので、気持ちがよく分かりました。2回戦も私たちが勝ちました。ついに決勝戦に進出しました。「このまま行くと、もしかしたら「優勝」!?」と思いました。
決勝戦は即興詩対決ということになりました。相手チームのお題は「お母さん」。お母さんが「掃除をしなさい」と言っているところを詠んだ。そして私たちのお題は…、「先生」。私は出だしを間違えました。けれど一生懸命言いました。後は松村君がみんなを笑わしてくれました。結果発表、私たちの「勝ち」。優勝です。とても嬉しかった。
私は詩のボクシングで、声に出す気持ち良さが分かりました。
主催:財団法人・高知市文化振興事業団 文化庁文化体験プログラム支援事業
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