第7回「詩のボクシング」全国大会2007.10.20









チャンピオン・晴居彗星  準チャンピオン・こうっし〜



第7回「詩のボクシング」全国大会チャンピオ ン


晴居彗星

[闘いを終えての感想]


えーっと、僕的に、詩は仮説に似てる気がします。何かに対して「これってこうじゃないの?」と見方を変えてみたり、ある特定の状況下に試しにそれを置いて みたりする。その考察や観察を言葉にしてみたのが、詩なんじゃないかと。はい。

で、仮説はもちろん、真実とは限りません。でも「真実って何よ」って話になると、結局よく分からんと思うのです。例えば、僕は今、存在してて、僕の周りに は世界があって、その中にいる誰かが、こうして僕が部屋で一人淋しく書いている文章を読んでくれている、と思ってます。

だけど、例えばデカルトが言ったみたいに、世界は全て僕の妄想かもしれないし、真理も歴史も、何かの勘違いかもしれない。って書いてあるこの文章も、今こ れを読んでいるあなたが見ている幻で、実際には晴居彗星なんかいなくて何も無くて、存在しているのはあなたの意識だけかもしれない、みたいな感じで。

でも、あのー、僕は、世界が本当は存在してなくても、全然オッケーだと思ってます。だって、少なくともこの妄想の中には確実に世界が存在してて、そこに僕 もあなたもいて、何かを感じたり、誰かと言葉を交わしたり、こうして「世界って妄想かもね」とか考えちゃったり出来てるわけだから。ていうか、そっちの方 が面白そうだし。だったらそっちを採用したい。

昔の人は天動説を信じていた。実際、その頃、地球は動いてなかったのかもしれない。でも、誰かが地球が動いていると仮説を立てた。最初はみんなバカにして たけど、段々それを信じる人が増えていき、その膨らんでいった想像力が、いつしか本当に止まっていた地球を動かして、地動説を真実にしたのかもしれない。 僕は時々、本気でそう思うんです。

想像力は地球も動かせる。世界の全てを変えられる。もう、あれですね、ムチャクチャですね。でも、その何でもアリな感じが僕は好きです。どうせ全てが妄想 なら、想像力の限り仮説を立てまくって、いろんな形の世界を見たい。それを、この妄想かもしれない世界の中で、妄想かもしれないあなたと共有したい。そん な風に僕はいつも妄想してます。




神奈川の晴居彗星さん優勝 「詩のボクシング」全国大会 
2007.10.20 共同通信配信

「詩のボクシング」全国大会で、詩を朗読する優勝者の晴居彗星さん=20日午後、東京都千代田区のイイノホール
 
ボクシングのリングを模した舞台で、2人の対戦者が自作詩を交互に朗読して勝敗を競う「詩のボクシング」の第7回全国大会が20日、東京都千代田区のイイ ノホールで開かれ、神奈川大会チャンピオンの晴居彗星(本名・高橋慧星)さん(21)=アルバイト、神奈川県在住=が優勝した。

約700の客席が満員の会場で、各地の大会の優勝者ら16人と10周年を記念して敗者復活のチャンスを得た2人を加えた18人の「朗読ボクサー」がトーナ メントで対戦。タレントのルー大柴さん、アナウンサーの加賀美幸子さんら7人の審判が判定した。

晴居さんは、軽妙な語り口ながら、擬人化したレトルト食品の視点で語るなど斬新な作品を次々繰りだし、4試合を勝ち抜いた。

準優勝は香川大会チャンピオンのこうっし〜(本名甲山万友美)さん(35)=ラジオパーソナリティー、高松市在住。両親との日常生活の情景をユーモラスに 表現し、会場の笑いを誘った。



表現の可能性 信じる 「詩のボクシング」全国大会で優勝 晴居彗星 さん

2007年11月11日 東京新聞
 
独自世界で魅了

リングに見立てたステージ上で、自作の詩を朗読し、観客の心にどれだけ響いたかを競う「詩のボクシング」。十月中旬に東京都内で行われた開催十周年の記念 大会で、晴居(はれい)彗星(すいせい)(本名・高橋慧星)さん=厚木市温水西=は全国の強敵を“KO”して、チャンピオンとなった。

「あのー、世界が、終わっちゃったじゃないですか。無になったじゃないですか」

全国大会の一回戦で披露した詩は「世界の終わり」から朗読が始まる。世界が終わっても、片思いの女の子のことが気になって、終われない「僕」の気持ち。ど うしようもない気持ちがふくらんで爆発する。気づくと宇宙が生まれていて、新しい世界が始まる−。

非現実的な出来事を、さも当然のことのように淡々と朗読するスタイル。普通の語り口とは対照的に「人間はおにぎり」「人生は映画の撮影」など、ユーモアあ ふれる強烈なフレーズで、観客を一気に独自の世界に引き込んでいく。そこには人間とは世界とは、何なのかを考えさせる哲学的な問いが込められている。

「世界は決まり切った形で存在するのではなく、見方や意識に左右されるあいまいのもの。だとしたら、世界は虚構だと思って、普通じゃないアプローチで詩を 表現した方が面白い」

価値観に自信

幼いころから、文章を書くことが好きだった。中学生のとき、演出家野田秀樹氏の舞台「キル」を見て、演劇表現の迫力に圧倒された。「自分の思いが作品とな り、人を感動させ、それで生計が立てられたら…」。進むべき道を決めた。

厚木高校時代には演劇部で、オリジナルの小説や脚本を書いたり、映画の自主制作に取り組んだり、さまざまな表現に挑戦した。詩も、その中の一つだった。

大学にも進学したが、経済的事情もあり、一年で退学。現在はアルバイトをしながら、インターネットのブログ「ジオットに恋して」を通じて、映像作品や詩、 戯曲などを公開するなど、創作活動を続けている。

「正直、めちゃくちゃ不安」という毎日だったが、「詩のボクシング」の全国優勝は、自分の感性や価値観を信じていける自信にもつながった。

「詩で認められたのは予想外だったけど、創作を続けていく根拠になった。詩でも小説でも芝居でも、いまは何が自分に引っかかるか分からない。だから、自分 の表現の可能性を信じて、何でもやってみたい」 



準チャンピオン
・こうっし〜

「詩のボクシング」準優勝、甲山さんインタビュー
2007年11月16日 四国新聞

香川の選手が「詩のボクシング界」を席巻している。昨年の全国大会で木村恵美さん=高松市=が優勝したのに続き、ラジオパーソナリティーの甲山万友美さん (35)=同=が今回、準優勝を飾った。「といっても決勝は完敗でしたし、全然実感はありません」と甲山さん。今回で終わろうと思っていたけれど、また来 年も出場するんだろうな、と逆に意欲を燃やしている。

実は甲山さん、香川大会は5回とも“皆勤”。出場のきっかけは自身のラジオ番組で取り上げるためだった。「教科書に載っているのが詩だと思っていたので、 予選で周囲の朗読風景に衝撃でした」。言葉だけでなくパフォーマンスを含めた表現をする出場者。「芝居をやっていた経験もあるし、これならやれそうだ」と 感じたという。

第2回の県大会で優勝し、全国大会に進出。1回戦で敗れたが、「みんな自分のスタイルを持つ個性的な人ばかり。私は積み上げてきた物が薄い」と納得でき た。一度頂点に立った県大会だったが、翌年再び挑戦することを決めた。

3年をへて、再び全国大会に出場。今回は前回と何が違ったのか、と尋ねると「1回目のような緊張はなかったくらいかな」と振り返る。「ただとにかく対戦相 手のことは考えず、読まないと後悔してしまいそうな順番に作品を選びました」。

昨年、木村さんが全国大会で優勝。先に頂点を極められてしまった。甲山さんは「私は朗読のプロじゃないから」と前置きして、「むしろ今回は、木村さんを参 考にした部分も多いんです」というように、悔しさより刺激になった部分が多いようだ。

詩を作ることは、1年の自分を確認する作業と思っていた。「でも最近、詩がパッとひらめいたときのワクワク感が楽しいんだと感じるようになりました」。自 身の蓄積の中から出てきた「詩」が周囲に認められる。「『詩のボクシング』は私にとってゲーム。でもこのゲーム、何より本当に面白い」。

彼女の思いが素直につながっていけば、きっとまた香川から、偉大な「選手」が生まれるに違いない。




主催:日本朗読ボクシ ング協会

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