300ミリ リボルバーカノン リボルバーカノンは 「使徒戦争」後の地域派遣体制下でエヴァが使用しうる標準攻撃オプションとして開発された新型砲である。 従来までのパレットガンに代る標準兵装として開発された物である。 リボルバーカノンは「使徒戦争」の経験を活かして設計開発された火器である。 「使徒戦争」の経験ではっきりと判明した事がある。 それは 中途半端なサイズと威力の火器であるならば 持たない方がマシだ、と言う事だ。 パレットガンなどは その代表で、120ミリ口径レールキャノンを 初速2800m/s。分当り800発の発射速度で乱射出来る性能は大した物である。 火薬発射の120ミリ砲の軽く6倍。30センチクラスの大口径砲に匹敵するパワーを持つ砲弾である。 少なくとも、通常兵器であるならば 戦艦ですら 1連射で大打撃を蒙る破壊力を備えている。 しかし、使徒を相手にした時には ろくに役にはたたなかった。 ATフィールドには勿論の事、その中和時の使徒の体表にも傷を付ける事が出来なかった。 それは、多くの使徒は 体表の構造を複合化していた為である。 着弾時に 体表を硬化させ劣化ウラン砲弾を受け止め、内部は柔らかさを保ってクッションとなって着弾衝撃を分散させる。 細胞構造がお互いを支援しあい最適の防弾効果が得られる様に、体表の構造自体が変化するのだ。 減口径弾は 着弾エネルギーの一点に集中する部分では充分な貫通効果を発揮するが、全体の運動エネルギーは減少してしまう。 こう云う能動的変形と構造の強化を行なう装甲を貫通するには、ザボ弾頭に代表される様な減口径弾などの 着弾エネルギー集中型ではなく、着弾エネルギー自体をより大きくする必要がある。 つまり、パレットガンは根本的に口径が足りていない事が実戦段階になって判明したのだ。 さらにリンク給弾の為に、再装填の為にいちいち整備工場へ入れなければならなかったのは致命的だ。 ただでさえ威力の足りない火器である。フルオート射撃による相対的なエネルギーの増大を考慮すれば マガジン交換で戦闘中でも再装填可能な機能が必要である。 「使徒戦争」の舞台となった第3新東京市自体が、至る所に武器射出ハンガーを備えていた為に こうした機能は必要無いとまで考えられていた。 しかし、実戦においては いちいち射出口を備えた兵装ビルまで移動している暇すら無い状況が続出した。 残像現象すら発生する程の高機動性を発揮して肉迫する使徒を相手にして いちいち銃を取りに戻ってなどいられない。 ましてや、地域派遣体制に装備変換を行なうネルフにとっては、現地で、戦闘中に、自在に再装填出来る機能は絶対に必要なものであった。 こうして 実戦突入前には主力兵装となりうる火器として有望視されながらも パレットガンは「使徒戦争」中に建造された18門で生産が中止される事となった。 残存する6門のパレットガンは、外装大型マガジンと発射用バッテリーの大幅増量と云う改装を受けて配備され続けたが、それは器材を最後まで活用しようと云う節約面での運用であった。 新なる標準攻撃オプションとして考えられたのは、常時携帯が可能な小型軽量大口径の 再装填可能な武装であった。 幾つかの試案が上程された後に、チルドレン達の希望である信頼性の確保を第一とする 巡洋艦用30センチ砲弾を使用するリボルバー形式の 装薬発射型火器が試作される事となった。 貫通力と総体的な着弾エネルギーの増大を考慮して、エヴァのサイズスケール比と合わせると30センチ口径が最低限必要と判断されたのだ。 この口径に決定した理由のひとつは、例え貫通出来なくとも その大口径故のストッピングパワーによって パンチを当てるのと同様の効果を発揮しうるからでもあった。 弾頭は 専用鋳造の劣化ウラン弾頭AP弾のみを使用する。 パレットガンでは 榴弾や曳光焼夷弾までがブレンドされていたが、これは役にたたないばかりか 着弾時の爆散煙で視界を乱される事まで有った為である。 これと組み合わせるべく 強装弾仕様の装薬と弾頭を一体化する プラスチックとステンレス合金を組み合わせたカートリッジが開発された。 点火方式は電気信管である。 これによって 人間サイズのリボルバーで云えば38口径のそれと大差無いスケール比の30センチ実包が完成した。 リボルバー自体の構造は、撃発機構を省いた人間サイズのそれを そのままで約30倍に拡大した物だ。 装弾数は6発。 バレルはAP弾使用のみを考慮して 時代に逆行して施条砲身を採用。 ライフルリングは右回転25条である。 シリンダーは左へのスィングアウト方式を採用し、砲身部とスィングベルの両方にラッチを付けて安定化させる。シリンダー自体も右回転であり、連射時の構造安定性が高い。右回転のシリンダーは、表面に刻まれるシリンダーストッパーの溝を中心線からずらし、シリンダー自体の肉厚強度の確保の点でも有利であった。 これはコルト系のリボルバーに通じる設計である。 エヴァの指の力でシリンダーを回転させる為に、各部の構造と部品強度は大いに吟味された。 エヴァの反応速度を考えるに、マシンガン以上の発射速度を 指の力だけで実現しうる予想があったからだが、シリンダーの構造的な強度アップはそれに大きく貢献する。。 さらに、内蔵バッテリー点火だけでなく、トリガーと連動したシリンダー回転機構と直結した発電コイルによって点火電力を蓄電する機構を採用している為に、一切の外部電源の途絶や電子的なトラブルに関わらず、トリガーを引けば発射可能なタフな設計を備える。 なお、発射オペレーションは人間用のそれとは大きく異なる。 トリガーを絞る。電気点火=発射。そのままトリガーが絞られ シリンダーが回転して次弾発射準備を行なう、と云うものである。 これは トリガープルを 最初の1段目は軽くして射撃精度をあげる為だ。 2段引きのシリンダー回転は、反動を受け止め 砲自体が手首と共に跳ね上がる最中に ほとんど無意識の内に絞られている。 試作されたリボルバーカノンは、人間サイズのリボルバーの如く、オープンのフロントサイトとリアサイトを備える事となる。 それは 一切の射撃管制装置を抜きにして エヴァの視覚による感覚的な射撃が出来る様にとの配慮からだ。 この機構と訓練の結果、チルドレン全員が0・4秒のファーストドロゥを可能としている。 通常の使用においては、フロントサイト基部のベンチレーテッドリブに仕込む形で レーザーカメラアイターゲットセンサーを内臓している。 リアサイト基部のレーザー通信で エヴァ本体の火器管制装置にデータ送信を行なう。電力はグリップ内のバッテリーで賄われる。 自律誘導弾を使用しない為に 艦載主砲程の単独による長距離射撃能力は期待出来ないが、それでも直線射撃で多用される5000m程度の距離は射程内に納めている。 又、偵察機やドローンなどを着弾観測機として活用すれば30キロの有効射程を得る事も可能である。 ただし、長距離射程においては ATフィールドに阻まれ、使徒に対しては牽制以外の効果は期待出来ない。 そのスタイルはS&W系リボルバーのそれからハンマースパーを取り去った姿に酷似している。 当初は 30センチ35口径の砲身を備え、人間サイズで云えば8インチバレル相当の大型リボルバーであった。 (30センチ35口径と云うのは、30センチ口径で、その口径の35倍の長さの砲身を使用する、の意。) しかし、数次に渡る実射試験の後に、砲身を15口径450センチ長まで切り詰めてスナブノーズ化。 グリップも大幅にフレーム構造材を追加した 丸い形のモナカ合わせとした。 これは、エヴァの掌に握り込め ショートバレルで常時携帯を可能とする為である。 大型リボルバーの様なマグナグリップを採用せずに、丸まったグリップにしたのは、弾切れの折りにはハンマー代りに殴り付ける為である。その為にフレームに大幅に構造材を追加してあるのだ。 短砲身化によって低下するパワーは、その分を発射装薬の追加でカバーする。 その結果として バレルとシリンダーの寿命は極度に悪化し、寿命が短いと云われる強装薬使用の艦載用主砲の さらに半分程度。60発程度の射撃で 砲身とシリンダーの交換が必要になってしまった。 リボルバーカノンは 12門が建造されて 実戦運用を考慮した追加オプションと供に標準装備化される。 その追加オプションとは、腰に追加されたマウントホールを使用して固定するガンベルトとホルスターである。 後腰右側にマウントされたホルスターに納められたリボルバーカノンは クィックドロウに対応したものだ。 人間サイズで実在するビアンキのワンハンドロック・ホルスターを その設計見本にしており、激しい機体の動作でもリボルバーカノンを落としてしまう事無く保持し、引き抜く時には一挙動でロックの外れる優れものだ。 ベルトも チルドレンの射撃の癖に合わせて、ホルスターの取り付け角度を 整備工場の段階で変更出来る様になっている。 これは常時後腰に携帯し、必要な時に 可能な限り速く射撃出来る様にするのだ。 さらにスピードローダーも用意された。 カートリッジ式を採用した事で可能となったオプションであるが、ただでさえ器用に動くエヴァの指によって ほんの1秒程度で戦闘中でも再装填が可能となったのだ。 別途で 3発1組にしたハーフムーンクリップも用意されている。 いかに「使徒戦争」の経験を活かして開発されたとは云え、実際に運用された時にどの様なトラブルが出るかは不明であった。 その為に12門と限定生産化して、他の試作火器と使い較べながら 地域派遣体制下のエヴァの標準オプションの在り様を探る事となった。 しかし、その試験運用すらも完了せぬままに2019年5月の「ドラゴン・ビューティ事件」勃発によって実戦投入される事になった。 第18使徒ドラゴンを巡る3度の戦闘において、リボルバーカノンは 非常に高い実用性を発揮した。 パレットガン改が 簡単に破損して放棄されたのに較べてリボルバーカノンは最後まで有効に使用された。 破壊力の点では若干の不満が残るものの、短距離砲戦においては有効打を連発させる。 開発側が意図した通りに、手の中に握り込めるコンパクトな火器は 必要な時に必要なだけ使える事によって、激しい戦闘の中でも破損したり放棄される事なく 再装填を繰り返し活用されたのだった。 最初の実戦投入においては、エヴァンゲリオン壱拾弐号機の手によって パンチの代りとして痛撃を与えた。 2度目の実戦においては、格闘戦などの零距離射撃において 使徒の体表を貫通させる事にも成功させている。 又、弐号機の使用で 約5000mを置いた対空砲撃戦でも 体表貫通を成功させている。 第18使徒ドラゴンの体表は 防弾性の高い部分と低い部分が混在していた事が報告されている。 要は狙い所と云う訳であろうか。 そして、最後の戦いにおいて 弾幕展開の乱射が行なわれ、設計当初に予想された 再装填を繰り返しながらの継続射撃中における0・8秒での3連射が実行に移され その耐久信頼性も確認されている。 壱拾弐号機の使用したリボルバーカノンは、バレルとシリンダーに かなりの劣化が認められたが72発を射撃してなお矍鑠たるものであった。 この実戦向きのセッティングは高く評価され、24門の追加建造が決定される。 この建造段階で、より必要とされる命中精度の確保なども考慮に入れて ターゲットセンサーの変更が行なわれている。 ただし、この際に最新の自律誘導砲弾などを使用可能とする設計変更(ライフルリングを施条しない 有翼弾を使用可能な滑腔砲身の採用)は行なわれない。 耐久性の向上の為に ライフルリング施条砲身のテフロン加工の追加が行なわれる程度である。 リボルバーカノンの最大の利点は ファーストドロウ出来るシンプルさに有る事が実戦によって証明されているからだ。 現在では 標準装備としてエヴァの後腰にはホルスターにリボルバーカノン。 ポーチには2〜4個のスピードローダー装填の予備弾が常備される事となる。 |