「MINAKO & THE GIRLS BROTHERS」

『375』リリース記念MINAKOインタビュー

VOL.1  アルバム「375」編



375


コメホカ:アルバム『375』の話を聞きにきました!よろしくお願いします。

ミナコ:よろしくお願いします。

コメホカ:今回のアルバムの各曲の聴かせどころというかですね、こういうところを聴いて欲しいみたいなお話をお願いします。1曲ずつうかがいたいと思います。最初は『375』から。

ミナコ:『375』は、一番最後にできた曲なんです。金子の曲なんですけど、いろんな曲ができて、なんとなく「MINAKO & THE GIRLS BROTHERS」の音の感じとか、自分の世界が少しずつ固まってきたなーって思ってて、アルバムのタイトルとかもずーっと考えていた時に、金子から「この曲どう?」って言って『375』の曲がでてきたんです。「うーんどうかな?」って思いながら「でもちょっと書いてみようかな」と思った時に、アルバムのタイトルを、「ミナコ」って自分の名前でやっちゃおうかなって。
このアルバムを作ってる最中に、新しいことやいろんな出会いがあって、やっと一人で動いているっていう、テンション感があって、米米始めた頃みたいな、体温がどんどん上がっていくような、テンションが上がっていく感じっていうか。今もそうなんですけど、ちょっと自分の中でテンションが上がってきてるな、こういう感じのテンションでできたらいいな、自分の体温みたいなのを、みんなに伝えたいなぁって。最初は『体温』ってアルバム(タイトル)もいいなって思ったんだけど、今回はアルバムのジャケットの感じから言うと(タイトルが)漢字っていうのはちょっと違うなぁって思って。自分の世界もできていることだから、タイトルを『ミナコ』にしちゃおかなと思ったんだけど、「あ数字にしよう。だったらアルバムとかに入れてもかわいいかな」と、『375』ってしました。
じゃあこんどはその自分の体温を伝えるような詩が作りたいなぁって。で、書いていくうちに、「恋の体温」てあえて自分では歌ってるけど、出会った時の緊張感やテンションや、ドキドキした感じとかっていう、ずっとこういう気持ちが、時が過ぎてもずっと変わらないでいたいね、っていうを言いたくて。そういう感じの詩になったんですけど。ちょっと恋にひっかけてるぶん、ちょっと「ありえないよな」って「そんないつまでも続くわけないよな」っていう気持ちも混じってますけどね(笑)。

コメホカ:(爆笑)そうなんですか?

ミナコ:恋愛なんてそんな続かないじゃないですか。そういつまでもぽーっとしたね。

コメホカ:恋愛は恋愛ですからね。結婚したら生活ですからね。

ミナコ:生活じゃないですか。でも「続くといいなぁ」みたいな願いを込めて。理想ですよ。「37度5分がいいなぁ」みたいな。

コメホカ:高すぎもせず低すぎもせず。

ミナコ:そう。そんなテンションがいい感じできてるんで。それを伝えたい1曲ですね。
サウンド的にはなんかちょっと懐かしい感じもしつつ、金子のアレンジの感じもあるし、あとマチコのコーラスと・・・

コメホカ:マチコさんのコーラスがとても効いてますよね。

ミナコ:うん。『375』は、この中で言うとシングルっぽい扱いになるんだろうなと思ったんで。この(アルバムの)中ですごく華やかで、ちょっと米米っぽい匂いもしつつ、ライブの中で盛り上がっていく1曲になるんだろうなっていう感じの曲だと思うんですよね。だから、すごく歌ってても楽しいし、まぁ聞いてもなんとなく身体が動いちゃうような感じもあるし。

コメホカ:そうですよね。ただこう聞いてるだけでも、なんとなく踊ってるMINAKOさんがイメージできるというか。

ミナコ:そうそう。そういう感じの物が1曲欲しいなっていうのがあったんで。なんか不思議と自分で曲を書いたりなんかしてみると、意外とノリのいい曲っていうのができないんですよね。どうしても盛り上げの曲がねぇ、ライブやるのにはあと2曲ぐらい欲しいなって。多分自分の世界っていうか自分から出てくるものっていうのが、静かなものだったり、スゥェーディッシュポップみたいなものだったりとか。だから、どうしてもノリのいい曲だと、金子に頼っちゃうっていうか。『POWER』にしてもそうだし。


あの日の選択


コメホカ:では、次の『あの日の選択』についてお願いします。

ミナコ:これはもう自分の中での定番というか、『星に誓って』とかのバラードで、せつない詩ではあるんですけど。これはもう自然と、一番最初にできた曲なんですよね。意外とスタッフも金子もすごくいいとか好きだとか言ってて。
詩はね、実はすごく迷ったんですよ。もう少し優しい、優しいというか、本当にお決まりの幸せな感じの詩にしようかなと思ったんですけど、♪さよならを口に出せなくて〜ってフレーズから曲と詩ができてきた時点で、頭が切り換えられなくなっちゃったんですよ。

コメホカ:(笑)

ミナコ:だから、そこから詞を書くしかないと。やっぱりメロディと詩が一緒に出てきたものは、それが一番忘れないんですよ。そういうのがきっとたぶん伝わるんだろうし、全部自分のことであり友達のことでありっていうような、自分の経験上のいろんな意味での、詩ではあるんです。
仕事をしていく女性にとっては、1,2回の恋愛をしつつ結婚するまでってそういうことあるんだろうなぁって思いながら。自分もそう言われてみれば、踊りとどっちとろうかみたいなところで、迷ったことがあったなぁみたいな。なんか集中できないし、なんていうのもありつつ、そんな女心を書いてみたんです。
でも、決してマイナスな別れではなくて、そういう時期もあるかなぁ、それもすごく大切なことなのかなぁって。自分がなにかを掴むために、なにかを犠牲にしなきゃいけない時も、人生の中ではあるんじゃないかなぁ。だから今がある、今があればいい、今が幸せに暮らして、自分になにかがあれば。その時はつらい、でもそのつらさも我慢しなきゃいけない時もあると思うんですよ。それはなにかを学ぼうとしてる時とかね。その時に、すごい古い感じかもしれないんですけど、彼氏がいればいいや、彼氏がこれダメって言ったからやめるみたいな、そういうふうに散漫になりがちになってしまう女の子がやっぱり多いと思うんですよ。でもそれだと何も身につかないような気がするんですよね。最近特に思うことなんですけど、(今の子たちって)自分がすごく頼れるっていうかあこがれる女の人とかっていないんだろうなって。私の場合は、ダンスの先生にわーってのめり込んで、好きで好きで「この人の言うとおり」みたいなところで来て、「あんたそんな彼氏なんかとデートしてるんだったら踊りなさい」とか言われながら泣きながら踊ってた、そういうことがあったから。
仕事しているといっぱいいろんなことがあるし、なにかを掴むために自分が動き出せば動き出した分だけ、掴めるモノもあるんで、そういうことを歌いたいなぁって。前向きな別れっていうか、そういうのを歌いたかったんですけどね。

コメホカ:私なんかは逆に、女同士に置き換えてもと思ったんですけど。結構女の子同士であるじゃないですか、ずっと一緒に仕事してて、二人で頑張ってきたんだけど一人は別の道を進んじゃってここでさよならよって。私なんかは逆にそういう受け取り方をして、そう言う意味でも共感を覚えたんですけども。自分も似たような経験をしててちょっとキューンとした感じもあったんです。

ミナコ:あぁ、そうかもしれないですね。自分でもつい恋愛というところでばっかり書いてしまったんですけど、そういうふうに言われてみると、そっちのほうが逆に多いかもしれないですね。

コメホカ:だから何年後かに再会した時にこういうの歌うと、お互いすごいキュンとしちゃうかなみたいな。お互い幸せだったら「あの時はよかったね」みたいに言えるというか。ま、男と女でもそうかもしれないですけど。ライブで聴いた時には、自分にそういう体験があったし、ちょうど後ろにマリさんがいて、コンガ叩いてるからよけいそういうふうに感じてしまって。

ミナコ:うれしいですね。詩なんてどんなふうに感じていただいても、なにか伝わればいいと思うし、なにか1フレーズでも頭の中に残れるものを作りたいっていつも思ってるんで。いろんな取り方をしてほしいなってやっぱり思うんですよ。恋愛っていう事だけじゃなくて、そういう受け止め方もうれしいですよね。


二人の時間


コメホカ:では、次の『二人の時間』なんですけども。

ミナコ:これはね、実は『HEARTY HAPPY 2000』の時にできてた曲だったんですよ。その時にこぼれちゃった曲で、もうちょっと違うテイストの時に入れようっていうことで、今回入れたんですけど。これはね、自分の中ではすごく好きな1曲なんですよね。音のテイストとか雰囲気とか、すごく好きで。ちょっとスゥェーデイッシュポップっていうかそんなような匂いもありつつ。
 「これは金子さんのことを書いているんですか?」と言われたりしたこともあったんですけど(笑)そんなことではないんです。でもいろんな恋愛や夫婦や、いろんな男の人と女の人の形がある流れの中で、決して満たされてないわけじゃないし、決して愛されてないわけじゃないけど、ふとそういう気持ちになる瞬間っていうのはあるんじゃないか、恋愛なんて長く続いたりすると、特に感じたりするんじゃないのかなぁって。「この人となんでいるんだろう」とか、ふと「いつまでいれるんだろう」とか。ずーっとなんてほんとにないってわかっていながらも、ふっとぽっかりなにかを感じた時っていうのは誰でもあるんじゃないのかなぁと思ってそういう詩にしたんですけど。
 すごく淡々とした日常生活でふと思った、別に愛がさめてるとかそういうことじゃなくて、やっぱりこの『375』と比例するものがあるっていうか、ずーっとそれが続くわけじゃないですか。例えば結婚してたらそうだし、恋愛だったらもう、それがいやだとなったら別れちゃうだろうし、でも好きで十年もつきあっている人もいるだろうし、っていう流れの中で、誰しもこんな気持ちになることっていうことが、きっと1回ぐらいは、3年もつきあえば思うんじゃないかなと。半年で別れたらないだろうけど(笑)

コメホカ:(笑)どっかマンネリの部分っていうのが…

ミナコ:でてきますよね。そんな気持ちに、なってる女の子たちとか、きっと同じように感じたりすることってあるんだろうなぁって思いながら。日常生活というか、ふと思ったことを書いた曲ですね。


愛を語るだろう〜DJ's song〜



コメホカ:では、『愛を語るだろう〜DJ's song〜』についてお聞きしたいと思います。

ミナコ:これは、意外と『375』に続く人気曲で、ファンの皆さんから評判がいいんです。FM福岡でラジオを始めて、その番組がすごいぶっちぎりな番組で、福岡の有名な方なんですけど、ブッチさんというすっごいテンションでいく、もうマシンガントークの、すごいノリのいい、才能のある方にめぐまれて一緒にやらせていただいて、勉強させていただいてる時に、曲を作りたいなと思って。それで、DJ's Songと。
その番組って、普通に喋ってるときってないんですよ。5時間、ほとんどなにかやってるんですよ。

コメホカ:(笑)

ミナコ:「おらぁクイてぇ」とかなんとかばーちゃんの役だったりとか、ほんとにいろんなことやってて。「こんな楽しいラジオ番組ってあるんだ」って自分でも思ってて。たぶん東京にもないと思う。
でも、冗談混じりのことをわーってやってるように見えても、伝わってくるものってやっぱりすごくあるし。その人のそのハートの『熱さ』とかね。実は素の部分はすごく真面目な人だったりとか、そういうのをかいま見たりすると、元気がない落ち込んでる人も、こんな楽しい番組を聞いてたら、きっと「阿呆じゃぁ」って「自分もこんなことで悩んでてもしょうがないや」って思うんじゃないかなぁって、思ったりして。
このセリフっていうかこの詩っていうのは、ブッチさんの真直ぐの部分なのかもしれないですね。でもそういうのもいいかなって。真面目じゃないですか詩自体は。

コメホカ:ストレートですよね。

ミナコ:だから、番組の中はあえていっさいはずしてると思うんですよね。だから逆に、てっぺいちゃんも最近はアートヌードとかそういうのもあるけど、(ドラガジアツアーで)「わざわざ『手紙』のときに羽根をしょわなくてもいいじゃん」みたいな。

コメホカ:(笑)表面でおちゃらけているようでも実はこれくらいストレートに…

ミナコ:実はすごく真剣に、福岡では聴取率もナンバーワンで、長年続けているそのテンション感というのは、なんか「すごいなぁ」って思ったんですよね。

コメホカ:きっとこういう気持ちがないと続けられないというか、そういうのもあるんでしょうね。

ミナコ:「うん、みんな元気だね」なんて思ってはやってないですけど、あれを聞いてたら悩んでいられないなって思っちゃうんじゃないかなと。もうほんとに「よくやってるなぁ」という感じなんで。いい意味でですよ(笑)。
だから、そんな曲を1曲作ったらどうかなと。恋愛とか友達とかいろんなのがあるけど、そういうDJ's Songで、自分がどんな気持ちで(DJをしているか)、そういうの書いてみようかなぁと。サウンド的にはすごいコンちゃんのギターがぐーっときてて。


あなたに届くように


  コメホカ:では、最後の曲、『あなたに届くように』。これ、大好きなんですけれども。

ミナコ:ラジオをやった時に思った事だったんですけれども、私なんで、ラジオやってるんだろうって。なんで福岡来てるんだろうとか、何がやりたくて、喋ってるんだろうって思った時があって。別に、やりたくなければ、やらなきゃいい事。強制されているわけでもなんでもない。でも、ラジオにしてもなんにしてもそうなんですけれども、やっぱり、自分はなにか伝えたいからやってるんだなーっていう事に、ふと気付いた時があって。自分は何か、伝えたいというか、何かをみんなに届けたい、何かを見てほしい、そういうのがあるから、今こうやってCDを作ったりしてる。
ラジオでしゃべってる時、誰にしゃべってるのかわからなくなってくるんですよ。ずーと相手の人にしゃべってたりとか。わからないでマイクに話しかけてるような気もしちゃうし、「ですよね」って自分で納得しちゃったりとか。ラジオは、何十万の人が聞いてるわけじゃないですか。でも、一人の人に伝わらないのに、何十万の人に伝わるわけがないじゃないですか。だから、「一人の人に伝えればいいんだよ」って、「一人の人に伝わるように話してれば、何人か、何万人かの人は、自分に言ってる、みんな伝わってくるから、そういうふうにしゃべればいいよ」って言われた時に、「そうか」って、何かが見えてきた感じがする。踊りもそうだし、歌もそうだし、詩もそうだし、やっぱり、何かを表現したり、人に何かを伝えるって事は、自分にとっては、すごく精神的にもすべていいことなんだなあって。
福岡へ向かう飛行機の中で、「これも自分で選んじゃった道だしなー。ここにきて、今これがあるっていう事は、自分の縁もあるし、運命もあるし。そういう事もありつつ。やっぱり、どんなちっちゃい事でも、何かを伝えるためにやらなきゃ、やっていこう」って思って書いた曲ですね。
でも、何が届けたいっていう事も、言えないんですよね。「何を届けたいの」って金子とすごく討論してこの詩ができたんですけど、「何を届けたいの?」って言われても、「何か気持ちを伝えたいんだよ。今、動いてる事とかさ」。でも、言えないじゃないですか、詩の中では。♪今、動いてる事、伝えたい〜とか。

コメホカ:(笑)

ミナコ:でも、それでもよかったのかもしれないね、今思ったら。そういうふうに書いたら、もっとわかりやすかったかもしれないね。

コメホカ:でも、届きますよね。こっちも、「何受け取った?」って言われても、何って言えないんですけれども。集約して言うと、『ミナコさんの元気』だと思うんですよね。

ミナコ:そうか。そうかもしれないね。 コメホカ:全体をとおして言える事だと思うんですけれども、やっぱり元気をもらえるっていうか、「あ、頑張ろう」みたいな。「ミナコさん頑張っている、私も頑張ろう」みたいな。そういうのがすごくあるかな。きっと、そういうのが届いているんだな、っていう感じはするんですよ(笑)。一生懸命さっていうか、そういう感じ。

ミナコ:ほんと、今の自分の体温じゃないけど、そういうのが。もう少し、私もね、いろいろ詩とかももっと伝えやすく書ければ、わかりやすくなるんでしょうけど、なかなか。その時はわからないもんですね。ただ、「今、ここで伝えなきゃ!」みたいなね、なんかそういうテンションだけで、「何が伝えたいんだ」って言われても。「だからこのテンションよ!」(強調)みたいな。「アルバムから、この体温を」みたいな。37度5分を伝えたいな、みたいな。そう38度まではいかないぞ、みたいな。そこまでいくとね、うなされちゃうんでね。まわりもきっとついて来れないんだろうな。
コメホカ:でも、やっぱり最後の曲、聞いてて元気になりますよ。ミナコさんが伝えたいっていう思いも、すごい受け取れるし。みんな誰しもそうだと思うんだけど、自分の事を他の人にわかってほしいとか、そういう思いってみんな持っていると思うんですよ。お互い、もどかしいんだけど、でも、気持ちは伝わってるよ、っていうそういう感じ。
あんまりストレートに、生々しく言葉にされると、ひいてしまうような事があるかもしれないけど、もどかしいけど伝えたいっていう方が、逆に伝わるっていうか。拳振り上げて「頑張ろう」って言われるとついていけないけど。そういう感じって、程よい、それこそ37度5分くらいがちょうどいいっていうか。ちょっとポカポカっていうか。

ミナコ:そうですよね。平熱みてもしょうがないだろうなと思うし。平熱っていうか、せっかく見に来るんだから、ちょっとテンション高いとこみたいなっていうのもあるでしょうしね。


アルバム『375』


ミナコ:そんな感じで、3部作がやっとできたんで。これをひっさげてライブをやるわけですが、どうなる事やら(笑)。
でも、無理しないで自分の世界をやってくしかないというのが今の現状だと思うんです。それが自分にとってはいちばん無理ないことだし、聞いててもきっとファンの方たちもそれがいちばん「MINAKOっぽい」というところだろうし、続けていけることだと思うんですよね。きっと自分で無理した瞬間に、もう次はないというか。
だから、「なにかすごいものをやろう」というのではなくて、もっと自然にいろんなことができてこれるスタンスが、少しずつ自分でも出てきたっていうか。昔「これはちょっと私には歌えないな」と思っていたような曲とかも、今すごく自然に歌えるなって。今はちょっとそういう気持ちにもなりつつ。自分のテンション感としてはすごくいい時期なのかなぁって。やっとナチュラルに、すごく自然に

コメホカ:あえて作らないというか、イメージを作らずにそのままということですか?

ミナコ:いや、イメージがないとできないんですよ。ライブにしても歌うにしてもなにか演技をするにしても、自分の中でのイメージがはっきりしていないとできないんですよ。で、自分のイメージができたら、すごい楽なんですよね。できないで苦しんでるからどこに行っていいかわからない。自然にバラード歌ってても、迷っちゃう時があるんですよ。でもそれは自分が歌っている姿が、自分の中にないからだと思うんですよ。歌うっていうことが自分にとって、もっと自然にできる人だったらすぐにできたんでしょうけど、「(米米で)やってたんだからできるんだよ」ってみんなに言われてもなにか違う。やっぱり米米で踊ってた時の自分ていう、そのインパクトとイメージみたいなものがはっきりあるだけに、今度は歌ってる姿が浮かんでこないから、歌ってる自分が今度イメージできないっていうか。
 この歌歌ってるときに、「どんな顔して歌うんだろう?」とか、「どんなパフォーマンスすればいいんだろう」。踊れるものに関してはね、踊って歌えばいいかなって思うんだけど、それでも迷う。歌えなくなっちゃうのに踊る
 
コメホカ:(笑)

ミナコ:お客さんはすごくシビアだから、昔からのファンの方だったらね、すごく優しいから「あ、ミナコちゃん踊りすぎて息切れしてるわ」で済むけど、もし初めて来たお客さんだと「歌えてないじゃん」って言って終わってっちゃうと思うんですよね。
 だからやっぱりてっぺいちゃんとかにしても、「踊ってるようで踊ってない」、踊ってるように見せるのもうまいし。やっぱりそこはやらないとわからないですね、ステージを場数踏まないと。
でも、やってくことで自分の世界も広がって行くし、考えることでいろんなことができてきたりとか。だから、シュークの時の自分の『MINAKO』ってポジションのイメージって言うのも、自分では「何も考えずにただ踊ってたな」と思ってたけど、やっぱり考えてるんですよね。ミナコはこういうふうに、このときの変なフリの時に、こういう顔をするとか。

コメホカ:(笑)

ミナコ:ちょっとある。「来たよね」みたいな。でもそれがずーっと蓄積されて、できてきてるものだから、自然にそれをやってるんですよ。たぶんマリもそうだし、「みーちゃんこう来たから私はこうしよ」みたいなのがたぶんあったと思うし。
 で、マリの場合は、自然とパーカッショニストに変わっていくという時に、やっぱり迷った時期もあったと思うんですよね。パーカッションやっててもやっぱり「踊っちゃった。踊り過ぎちゃった」とかね、「叩かないといけないのに」とか、そういうときもあったと思うんですけど、でもずーっと米米の時から徐々に少しずつやってきてたっていうのがあって。私の場合は、2年間休んでいていきなり急にCD出して、「踊りをやめて」ということではないけど、「なにか自分でやりたいやりたい」って「歌を歌いたい」っていうのが、やっぱりずーっとあったなぁと思って。
米米の中では、シュークリームシュとして、ジェームス小野田っていうリードボーカルがいて、兄ちゃんもいるっていうところで、そういうのができなかったぶん、自分で今やらなきゃいけないのかな?って。でもやっぱりなりきれないっていうのが、1年半ぐらい続いて、なんか少し見えてきたかなっていう、今回のアルバムで…

コメホカ:Singerミナコというイメージが自分の中で固まってきたから世界がこう作れてきたという…

ミナコ:そう。いろんな、ファッションにしてもそうだし、固まりつつある。進んでいける1枚になったのかなぁと思います。


3部作


コメホカ:これで3部作が完結しましたが、いかかですか?3枚通して。私の個人的には、第1弾『HEARTY HAPPY 2000』でストレートに、まずスタンダードを作って。そして、第2弾『さくら』では内面の深堀をして、そして深堀した成熟度が、第3弾『375』に戻って、これがすごく深みもありつつ、聞きやすい、みたいな。

ミナコ:正解!もう言わなくても、バッチリです。

コメホカ:(笑)

ミナコ:もう、さすが、その通りです。そうとってくれると嬉しいですね。そういうふうになればいいなっていう金子の願いもあったと思うんで。

コメホカ:実際、なってますよね。

ミナコ:何か見つかるだろうと、3枚頑張ってやれば。この(1年で)3枚やるって言う事は、ほんとに3ヶ月に1回、ずーとレコーディングしてるようなんですよ。ましてや、金子の時間は思いっきり割かれてしまうし。スタッフ全員が、私にかかり切りになっちゃった、去年の1年間だったんで。今年は自分で動かなきゃいけない、ほんとに自分で頑張らないと。ここまではもう、なんとか支えてくれてここまできたんで、ここから先は自分の、とにかく自分で、自分一人でという事ではないんですが、もっともっと頑張っていかないとなあ。すごい心から感謝している次第であります。

コメホカ:(笑)

ミナコ:もちろん、ファンの皆さんにも
やっぱり改めて3枚聞くと、クオリティは落とさずに、もちろん金子のこだわりなんですけれども、そういうところとか。みんな、ほんと寝ないで、もちろんミュージシャンは別にしても、スタッフは3人しかいないんで、ミキサーと、マネージャーと金子と、あとは私はやるだけなんで。その流れで、3枚のアルバムを去年1年で作ったっていう事は、もうほんとに大変な作業なんですよ。だから、それはすごい感謝して、自分にとってもすごい大切なアルバムです。
改めて聞いてみると、すごいいい、『さくら』とかもすごくいなあって思うし。『STAY OR GO! GO!』とかも、そこからの流れの中で、自分の中で詩をみたりすると、結構迷ってるんだなって思ったりとか。でも、結構歌ってるじゃん、結構頑張ってるじゃんみたいなところもあるし。まだまだだなあって思ったりとか、今だったらもっと違う歌い方しちゃうかなとか、もっと違う振りにしようかなとか。そんな事も思いながら、改めて全部聞き直して、(ライブの)曲順メニュー考えたりしてるんです。

コメホカ:3枚持っている人は、改めて3枚とおして聞くと発見が、きっとありますよ。


VOL.2 GIRLS STYLE GO! GO! .1 編 へ続く。


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