Session9:PDAと私

できるだけ小さい多機能端末への探求心がいつからかある。 要は単純に新しいもの好きなだけなのであるが。

そして今、1つの妥協点を見つける。 しかしそれはまだまだ究極には程遠い。だが、そこまでの過程、それまでの軌跡を振り返り、次を考えていきたい。

#随所に図を入れたかったのだが、余裕が無いので文章のみになってしまった。。


ゲームウォッチからはじめよう
初めて電子機器で多機能であると思われるものとの出会いは、 小学校低学年のたときの「ゲームウォッチ」であろう。 今となっては至極単純な機能しかないゲームウォッチだが、 TVゲーム(?)を持ち歩いて楽しめるというだけでも斬新だったのに加え時計機能もついていたのである。

しかし、これを時計がわりに使うことはなく、 むしろボタン電池(LR44x2)を節約するために、 使わないときは電池をあえて抜いていたりしたので、 まったく時計としては機能していなかったといっても過言ではない。

このときは「もう少しいろいろな機能が手元にほしいなぁ」とぼんやりと考えていた。 その後もいろいろなゲームウォッチの類似品(太陽電池駆動、ラジオつき、アラームつき、ストップウォッチつき)などが発売される。しかし携帯ゲーム機はあくまでゲームがメインであり、 多機能を求めるのは酷であるという結論のまま現在にいたる(当たり前かもしれないが) ワンダースワンカラーのワンダーゲートや、ゲームボーイにつけるカメラなども、あれはあれでがんばっていって欲しいと常々思ってはいる。

電子手帳からノートPCへ
中学にあがり、電子手帳というものを知る。 電子的に、というかデジタルデータで住所や電話番号を管理できるし、辞書もついているというアレだ。 手帳すらもっていないのに何をする気か(苦笑)

結局、あれこれ迷ったが(当時ザウルスも出たばかりくらいか。 高くて手が届かず)カシオの電子手帳を2万円くらいでお年玉で買う。 当初は、なにをおいても友達の住所を入力したり、家族の誕生日などを入力しまくったが、それ以上の活躍の場はなく、大学の途中まで年賀状を書くときの住所録として生き長らえることになる。 それにしてもこのキーボード?は使いにくかった。 配列も右上から50音順だったしね。 (大学時代、シリアル転送で中のデータをWINDOWSに抜き出せたのは驚きだったが、それと同時に役目が終わってしまった)

高校時代はあまり多機能端末には興味のなかった時代である。 情報を持ち歩くことに必要性を感じなかったということか。 今の高校生のように携帯電話がないのはもちろん、ポケベルさえ持っている人はいない環境だったし。 いまどきの学生は(男子よりは女子だろう)デジタルにスケジュールなどを管理したり、メールを持ち歩いたりしているのだろうか・・・。 (携帯電話で多くはできるから、それかな)

大学に入りしばらくはデスクトップPCにかまう日々が続く。 3年の頃くらいから、普段家でやっていることをどこにいってもできないか?と思い始める。 このころからNECの98ノートが売れ始め、具体的なデスクトップPCからノートPCへの代替が始まる。 EDPでも98ノートの互換機(EPSON製)を購入し部会のたびには重い本体を持ち歩いていたのが懐かしまれる(自転車のカゴにいれて輸送したりしたなあ・・・) 携帯マシンに求められる機能の指標の1つとしては「デスクトップPC同様の通信環境、音楽再生環境、操作性」というものをが個人的には有る。 もちろん、操作性の中にはバッテリーの持ち時間、重さなども含まれる。

4年になり、fj(fromjapan、インターネットニュース。今はめっきりWWWの隆盛で影が薄いがまだうごいてるんだよね?) で98ノートのNS/Rを購入する。 (今で言うところのYahooオークションのような感じか) 一応こいつ1台で、WTERMによるパソコン通信、シリアルポートにRS-MIDIを接続してのMIDI演奏(別途、外付け音源が必要)、 プリンタポートにプリンタをつないで印刷、さらにはゲームと一通りこなせた(FDDもついてたしね) しかし、いかんせんこいつも本体が重かった。バッテリーはどれくらい持ったかなぁ。 モノクロDOSマシンだったのでそこそこ持ったと思われるのだがそれでもとてもではないが常に持ち歩いて使おうという気にはなれなかった。

Windowsの波と共に小型PCがくる
大学院にあがったころ、世界最小Windows95マシン、東芝「リブレット」が発売される。これはなかなかにカルチャーショックのマシンだった。 多少の問題はあったがほとんどの部分でデスクトップPCと同じことができるのである。 貧乏学生にとってはあまりに高価だったので、そのときは真剣に購入を考えたりしなかったが、何をおいても、情報端末としてのゴールへのベクトルの1つだったとは思う。

持ち歩いているときにすぐに使えるというのは、スイッチを入れてからすぐに(2秒以内くらいか)入力できるようでなくてはならない。 Windows9x系では、サスペンドレジュームを利用しても最低30秒から1分は待たされるはずである。 どこを犠牲にしてもここは最優先されなければならないと思う。 もちろん用途次第であるが。なので逆に待たされるPCにはフルスペックが要求されるため、レッツノートを会社では割り切って使用している(快適ブラウジングに加えて、画像加工、3DCGAまでいける)

そんなわけでWindowsは起動に時間がかかる。 そこで目をつけたのが「PC-110」である。いわゆるDOSのPC/AT互換機であり、ウルトラマンPCと呼ばれるそれである。小さめの筐体に小さいキーボード。確かに起動は一瞬である。 バッテリーがすぐきれるのが痛いが、PCカードスロットもTYPEIIが2つあり、 そこそこ楽しめるマシンだった。SCP-55なる、SC55カードをさして、 DOSからMIDIを鳴らしたり、NDISプロトコル?を使ってLANカードを認識させて、 WEBBOYでネットサーフィンしたり。 内蔵モデムとPHSのヘッドフォン端子をつかって、みなし音声接続ケーブルを自作してパソコン通信をしたりもした。 大学院を出るときにインターネットメールに環境移行するということで売却し、 代わりにリブレット20を購入する。

社会人になってしばらくデスクトップPCがなかったので、パソコンはリブレット1台環境でしばらくいく。 主な使い道は新調したPHSでPIAFS32kでの電子メールチェック。 このころからBecky!を使い始める(大学時代のe-mail処理はMuke+mew+MH) 最初はWindowsのキーバインド(Ctrl+XとかZとかそういうの) 使いづらく感じたものだが、すぐに慣れる。 リブレットもそれはそれで良いマシンだったが、 やはりバッテリーが切れやすいのとリブ20だったためCPUが486で処理が重かったのでデスクトップが到着後、ソフマップに売却。 サウンド機能の面ではリブ20はいまどきのマシンではありえない、音源なしマシンだったので先述のMIDIカードで擬似的にPCMを鳴らしたりできたが、BGMマシンにはほど遠かった。

CEとPalmの攻防
この後、WindowsCEという言葉をちらほら聞くようになる。 PalmPilotもまだまだ高価で、日本語化も一苦労という話を聞き敬遠してた頃、カシオからE-55が出る。 今ほどPDAに選択肢がなく、ひとまず買ってみるか、と転職決定ついでに購入し、PHSとの接続ケーブルもあわせて買う。 今までにザウルスなどは使ったことがなかったのではじめて手書き認識というものをつかってみる。が、しかし、非常に使い勝手が悪い。

認識は遅いし間違えるしで良いことなし。メールをとるのにはそこそこ重宝したが返信にかかる手間がキーボードでやる場合に比べ10倍くらいの労力が必要だったため結局お蔵入り。 CEの特性かE-55の特性なのか使っているうちにだんだん遅くなってくるというのもいただけなかった。 MP3も再生できたがモノラル、このあとステレオ再生のモデルも出たが懲りていたので、このあとCASIOは購入していない。 しかし便利な機能も有った。会社でOUTLOOKでスケジュール、電話帳、メール、仕事などを管理していたのでそれらをクレードルと呼ばれる台に載せるだけで同期が取れるのである。 これもあまり持ち運ばなかったためにさほど日の目を見なかった機能だったが・・・。

いつでもどこでもパコパコとテキストを入力できたらなぁ、と夏のボーナスでレッツノートA77を購入。 これは吟味しただけ有ってなかなか良いマシンで、 うす型なくせにCDROM、LANつき。そこそこのスピードも有り、会社の机の上で思いついたときに日記などをつけるのに役に立っている。この文章の修正もこれで行なっている。 ただしこれはアダプターで電力を供給しつづけているからこそできる芸当で、 ひとたびバッテリーとなるとなかなか難しい。3万くらいでロングバッテリーも購入したがつけると2kg以上になってしまうのでなかなか活躍の場がない。 (新幹線移動のときにホームページの原稿を作ろう、などと考えていたのだが、持ち歩くだけで疲れてしまう) Windows98なので動作アプリの互換性的には不満はなかったのだが。。。

キーボード再考
そこで同僚から1万でDocomoモバイルギアI(通称ドコモバ)を譲りうける。 OSはDOS化しなければ独自のものである。プリインストールアプリケーションをランチャーから呼び出すというものである。 これのよかったところはバッテリーが切れるのを心配しなくていいのと、ふたをあければすぐに入力開始できること、 デスクトップPCとかわらない入力速度を確保できるラージキーボードだった(リブレットやPC110はとてもじゃないがストレスがかなりたまるものであり、その点ではレッツノートは優秀であった)

しかし、人間とは贅沢なものでテキスト入力ができるだけでは不満が出てきた。 64kのPIAFSカードがうまく認識しないのでわざわざ32kのPHSカードでインターネットメールを取り込んだり、 PCカード経由でデータを移したりしていたがやはり使い勝手の悪さが気になっていた。

このころ、NTTのポケットボードがブレイク中で各社携帯電話など、各社キャリアに対応した外部入力端末を売り出してきた。 ちょうど自分もH”に機種変更していたこともあり、PanasonicのPOCKET・Eに目をつけた。 ポケボーよりは打ちやすそうなキーボード、H”との接続も裏面に最初から付属しているケーブルでいけるということで、細かいことは考えずに買ってみた。17000円くらい。

一応、最初にDIONと契約するのが使用する前に必要な設定事項だったのだがひとたびオンラインで設定を済ませてしまえば通常のPOP3、SMTPに対応したメールサーバに対してのメールの授受は可能になった。結局ASAHIネットのメールを少しやりとりしてすぐにお蔵入り。 トリッキーなキー配列に加えて起動・動作の遅さ、メーラーの使いづらさなど・・・、モノクロデジカメ機能や簡単なWebブラウザ、スマートメディアスロットなどもついてきたがいかんせん使いこなすのが難しいマシンだった。

情報をとにかく持ち歩きたいわけなのだから、そもそも持ち歩くのが面倒だったり、情報が少なすぎて無意味になってはしょうがない。そこで目をつけたのがシチズンのDataSlimだ。 名刺サイズ、というかPCカードサイズで、PCカードスロットに挿すだけでデータのリンクできるという優れもの。持ち歩けるOUTLOOK同期端末の中ではまさに世界最小である。DataSlim2になり、入力もそこそこにできるようになり、あまり期待できないがアドインソフトなどもあるということでいっちょ買ってみる。 約20000円。 ついでにデスクトップPCとリンクするためにUSBカードリーダも買ってみた。 付属のケースはしょぼかったので無印良品でアルミケースを買い、厚みが足りない分は名刺をはさんで調節した。 持ち歩いていることを意識しない重量というのはたしかにすばらしい。 1日の予定をトイレにいったときになんとなく思い出して追加したり確認したりすることもできる(ソフトキーボードが一応ついていた・・・) うまく使えばなかなか魅力的なマシンだったのかもしれない。電池の持ちも申し分なし。しかしやはりネックはシンクロの面倒さだった。いちいち硬くて抜けにくいカードリーダに挿すのは億劫で、だんだんシンクロしないままになった。 入力もやはりかったるく、アドインソフトもたいしたものがでなかったのも痛かった。

このあとくらいから低価格Palm,「Visor」が売れ始める(引き続き新型も出てるようだ) やはりクイックなレンスポンスと使いやすいGUI、アプリケーションの豊富さは魅力的である。それでも購入に踏み切れないのはいまさらながらの低スペックである。MP3再生はもちろんできないし、画面も160x160ドット。 ほとんどがモノクロの世界。これはこれで割り切った使い方が要求される。 さすがにE-55と比べれば上であるが・・・。それでも外付けキーボードやMP3再生スプリングモジュールなども検討するがどうにも無理が出てしまう。

やふおく、そして三度CE
このあとSONYのCLIEがでるが基本的にはPalm。そしてキーボードが選択できない。そこで久しぶりにYahoo!オークションをのぞいてみると昔よりにぎわっているではないか。

そこで目をつけたのが新しいモバイルギア。 以前つかっていたモバギと今どきのモバギIIは似ているがかなり違うものである。 WindowsCEでちょうどE-55の後くらいに出たNECのR-520というのを価格的にも手ごろだったので狙ってみた。

OUTLOOKのシンクロもできるし、PCカードスロットとCFスロットが有り、一応カラー。電池もそこそこ持つ。CF48MBとポケットWZつきで40k円で落札。 基本的には満足ししばらく会社でつかってみる。 が、しかし、、、シンクロが不便だったのが一番痛かった。 LANカードがNE2000互換ならすぐ認識するのは良いが、LAN経由でのシンクロだと、例えばうち合わせ等にもっていき、その後持ちかえってからいちいち電源アダプターとLANカードを挿すのはかなり煩わしいし、アダプターのコネクタも甘くなりそうで怖い。 重量も760gくらいだったのでそうでもないかと思ったが、やはり常に持ち歩くのにはつらい重量。 あとはわかっていたこどがWindowsCE固有のまったりとした動作がやはりつきまとい結局すぐにオークションで手放してしまった。

しかしモバギのキーボードは確かにすばらしい。長時間入力するのであればB5ノートに匹敵する快適さはある。今までを振り返り、端末に直接入力ができることがまず使いつづけるきっかけであり、そのためには快適な入力速度の確保(せめてデスクトップに対して7,8割以上はいきたい。 1割くらいではストレスがひどすぎる)そのためはやはりキーボードつき、ということでとうとう目をつけたのがジョルナダである。 たまたま社内でつかっている人が2人いたのだが、そのときはまだ「変な(紫はちょっとなぁ)色のマシンだなぁ。キーボードも打ちにくそうだ。」 くらいにしか考えていなかった。しかも価格も10万弱と結構するのもネックだった。

ちょうどこれにぶつけてきたのがNTTドコモのシグマリオンである。 これもかなり期待の高いマシンだった。モデムやPCカードスロットの削除や思い切ったキーボード配置による軽量化・小型化をしているところもよい。 早速リサーチにいったのだがいきなりネックになったのはキーボードである。 標準的なキーは大方普通に並んでいるのが若干端のキーなどがトリッキーな配列になっているのである、頻繁に打つキーが違うところに有るというのはPOCKET.Eのときに懲りていたのでこれはちょっとなぁ、と。

他の点はまったく個人的な感想だが、ヘッドフォン出力がモノラルなためMP3が再生できてもしょぼい、WindowsCEはH/PC2000になっていないのでIEなどが古い、PCカードスロットがないと手持ちのLANカードや64kPIAFSカード、スマートメディアアダプタカードなどが使えない、よってH”での通信もできない、と。 価格が安いのは魅力的なのだが・・・。PCとの接続もメインは赤外線というのがつらい。PCとのリンクもシリアルしかないのが痛い。CFサイズのLANをつければいけることはいけるようだが・・・。

j720でいこう
ここでジョルナダに戻る。いろいろと細かいことを調べているうちに意外に使えるマシンということがわかってきた。 デザインが日本発ではないので(ユーロデザインとかいうらしいが)鼻につくところはあるのだが、200LXを髣髴とさせるキーボードは見ため以上に打ちやすいらしい。 WindowsCEFANなどで情報を集め、新型の720というのが出るのを知る。 気にいらなかった飛び出すCFスロットもかわり、MP3再生機能も最初からついているとのこと。 CPUがARMになってしまうので、今までのアプリはそのままでは動かないのが難点だが、 最初からないものと思えば問題ないだろう、と、購入。 90000円くらい。

今では、毎日OUTLOOKの連携。1GBのマイクロドライブを追加してMP3プレイヤーとして通勤時に聞いている。 確かにキーボードは良いので、議事録などをさっと取ることもできる。 クレイドルに載せるだけで充電&シンクロもできるので重宝している。 しかし不満点もまだまだつきない。

  • シンクロはUSBでやっているがモタモタしてると720がハングする
  • CFとマイクロドライブを入れると中々重い
  • ふたをあけてスイッチを入れないとMP3プレイヤとして使えない。音量調整に融通がきかない。
  • もうちょっと薄くならないかなぁ。
  • アプリが少ない。ARMの割に、iPaqに比べると動作がもたくさしてる。ARMなら速いというわけではないのか。

などなど・・・。とはいっても、今のところはベストチョイスである。 これでだめなら、新型CLIE+キーボードか? モジュールがやすければ、デジカメ機能やGPS機能も楽しそうだ。 VAIO-C1系もいつかは欲しい。 まだまだPDA(携帯PCも含めた)への探究心はつきない・・・。

今日はこの辺で