■デジタル技術の進歩とインターネットの普及による社会環境の急激な変化が進む中で、私達が愛している音楽を取り巻く環境も大きく変化しています。振り返れば70年代後半に登場したコンパクト・ディスク(CD)の普及により、より手軽に高音質な音楽に触れることのできる環境が実現しました。これはとても喜ばしいと感じる一方で、商品価値が認められずにLPレコードのままで放置された楽曲を、一般のレコード店では購入できずに仕方なく私達は中古レコード屋で探す日々を強いられました。しかしこれは時代の流れかと納得はできずとも理解はできます。一方でパーソナル・コンピュータの普及により私製のCD製作が手軽にできるようになりました。オーディオ・メーカーではオーディオ用のCD-Rを手軽に作れる機器を商品化していますし、PCメーカーのほとんどは「手軽にオリジナルCDを作れる」ことを謳い文句にしてPCを販売しています。これはレコード会社の収益機会を脅かす行為として受け取られている一方で、既に廃盤になって入手できない楽曲を(LP、CDともに)オリジナルとほぼ同質の「音楽そのもの」を聞くことのできる機会を与えてくれたという点で画期的でした。さらにPCによりMP3変換された音楽データはPCのハードディスクや専用のプレーヤーに蓄積されて、従来とは格段の機動性をもって私達の音楽生活を豊かに彩ってくれています。
■個人的にはより安価で音楽を手に入れたいという欲求はあるものの、いかに技術が発達しようとも不正手段を使ってまで入手したいなどとは一度たりとも思ったことはありませんし、不正複製には反対です。ましてやレコード会社が企業活動として行っている経済行為を妨害しようなどとも思いもしませんでした。音楽を手元において自由に視聴したいという、至極普通の音楽ファンであるという立場だけは明らかにしておきます。しかし手軽に変換できることを良いことに、こうしたレコード会社の収益機会を脅かすような行為を行う音楽ファンがいることも現実です。MP3に変換された音楽データが手軽にダウンロードできるようなインターネット・サーバがあったり、また新譜としてリリースされたばかりのCDを完全パッケージとして複製を手元に残しているとしか思えない、数百円の差額で中古市場に流出する行為などがそれに当たるかと思います。それが原因でCDの売上が落ちたとレコード会社の一部や関係団体は本気で考えています。それに対してのコメントは控えますが、実際にこのような行為がレコード会社にとっては疎ましい行為であることは私もに理解できます。
■ところがレコード会社の一部は、そんな不埒な行為(と彼らが判断している)に対しての対抗策として、実は純粋な音楽ファンに対しては不誠実極まりない行為を行っているのではないかということに気づきました。私も含めてですが、皆さんの中に、一般のCD店の店頭に今までのCDと異なる商品が並んでいるということに気づかれているでしょうか。詳しい 技術的なことは理解が及ばないので割愛しますが(^^;;)、私達が普通CDと呼んでいるものは、実は必ず「Compact
Disc Digital Audio」というマークが付いています。私達が普通CDプレーヤーと呼んでいるものにも、このマークが付いています。すなわちこのマークのついているソフトは、このマークのついているハードで再生できますよということです。少なくとも普通の家電量販店で販売されているCDプレーヤーには必ず付いているはずです。ところがデジタルデータに変換された音楽データの不正流通に対してレコード会社が取った対抗策の中には、このマークを付けていない...すなわち異なる規格のCDモドキ?を何ら告知することなく既に実際に販売しているのです。するとどういうことになるか...つまり自宅のCDプレーヤーで再生できないということになるのです。何故かプレーヤーによっては再生も可能ですが、逆にプレーヤーによっては再生できません。少なくとも私の自宅のCDブレーヤーでは、このマークのついていないCDは再生できません。当然ですよね、規格外の製品を再生しようとしているのですから。私はそのことを知らずにこのマークのついていないCDを買ってしまいました。一体誰がCDソフトを買う時にいちいちこのマークを確認するでしょうか。きっとCD店側も、そんなCDが流通しているという認識は薄いはずです。もしそのような周知啓蒙が進んでいれば、そのような断り書きをするはずですし、それをしないで販売しているとなると、これは確信犯ということになります。何が確信犯か...すなわち、「そのCDを買っても再生できない可能性がありますよ」ということを知らせずに売るのということになり、販売店からすればそんなお知らせをすれば「我が家のプレーヤーで再生できるかどうか」という問い合わせ対応でパニックになることは必至です。今日(2002/08/25現在)改めて日本の関係団体のホームページを訪問してみましたが、そのような告知は見当たりませんでした。何故こんなに大切なことをお知らせしないのでしょうか。
■(前置きが長くなりましたが...)ここからが重要なお知らせです。まず自分が使っているCDプレーヤーにこのマークがついているか確認しましょう。そしてこれからCDを買う際にはCDにこのマークがついているか確認しましょう。特に輸入盤、国内の新譜を購入する際には必ず確かめましょう。アルバムによってはジャケットではなく盤そのものにマークがついている場合もあるので、全て確認することはできないかも知れませんが、もしこの「Compact Disc Digital Audio」というマークが確認できないCDを買うと、場合によっては自分の使っているCDプレーヤーでは再生できないかもしれないということを覚悟しましょう。
■不正流通を防止するために処置を講ずることについては私は反対しません。レコード会社によってはデジタル変換すること自体がすでに著作権法に違反しているとの意見を表明しているところもありますが、それは法解釈の問題なのでここでは論じません。ただ実際は変換する行為が問題なのではなく音楽データが不正に流通していることです。変換できなければ流通もしないとしてコピーガードをかけることも分からないではないですが、そのために何ら周知啓蒙活動をすることなく別の規格のCDを黙って販売していることについては納得ができません。実際に「コピーガード付き」と大きく表示されていて、さらに小さく一部のプレーヤーでは再生できない場合もあるとの断り書きはあるものの、その原因が規格が違うからなどと誰が考えるでしょうか。「従来のCDとは規格が違うので再生できないプレーヤーがある」なとどはどこにも書いてありませんよ。何故そんな大切なことを隠すのでしょうか。あまりに影響が大きいので表示しないのでしょうか。先日の朝日新聞によれば規格が違うのだからCDと呼ぶことにも問題があるとの記事が出てました。せっかく曲が聞きたくて正規の販売店で必要な対価を払って購入したのに、この銀色の円盤をどうすれば、私はそこに収められている楽曲を聞く事ができるのでしょうか。誰か教えてください。一部の音楽ファンの間ではコピーガードをかけることに対して、「音質が悪くなる」だとか「事の起こりとなったCDの売上低下は作品の質そのものに問題がある」などという発言が聞こえてきますが、それもまた別の問題なので、ここでは論じません。あたかも同じものだとして別のものを買わされたことに対して私は憤慨しています。予め再生できないと知っていたならば買えませんもの。松坂牛だと思って買ったら輸入牛肉だった...一部の食品会社が犯した過ちよりも事は重大です。だってどんなに調理したって食べられないんですもの...。
このことは、このページをご覧の方は絶対に知っておいてください。
(2002/08/25)
indexに戻る
|
|