皆さんは福田美香というシンガー・ソングライターをご存知でしょうか。1995年度「YAMAHA MUSIC
QUEST」の世界大会で金賞を受賞して、1996年5月21日にシングル<All I Want>をBandai
Musicからリリースしてデビュー。同年『Walnuts Bread』というアルバムもリリースしています。現在は...残念ながら事務所との契約もきれてライブハウスなどを中心に活動しています。
世の中にはデビューを目指しているものの夢かなわずにいる人がたくさんいて、デビューしたもののヒット曲に恵まれず、そのまま契約切れというミュージシャンも負けずにたくさんいます。CDデビューできただけでも良いじゃないのと言うのは簡単です。でも本人がどう思って音楽と関わっていたいかによって変わります。曲を作ったり歌い続けることだけでよいのなら、アマチュアでもプロでも関係ないように思えますが、職業として音楽の道を進みたいというのであればそれでは済まされません。縁があって彼女とお話をする機会をもつようになった私は、花丸付きの素人指向をもって音楽と関わっています。好きなことは職業にするものではないと思っているからです(仕事は好きにならないとダメですけど、好きなモノを仕事にするのは抵抗があるという意味です)。でも彼女は音楽を仕事として選びました。仕事として選んだ以上、仕事がなければただの音楽好きな素人と変わりありませんからね。
2002年の彼女の目標を聞けば、「ちゃんと音楽で生活したい」とのこと。こういう決意を新たにすることは大事です。一人黙々とリハーサル・スタジオにこもりその日に備えているとのことです。彼女の場合はシンガーとして、そしてソングライターとして、いずれかの道で独り立ちする道を模索しています。一度でもメジャーでデビューした経験をもつものにとって、その夢もう一度ではありませんが、再び表舞台に立ちたいとの意思をもつのは想像に難くありません。そのためには曲をたくさん書くこと。そしてデモ・テープなどを関係者に配りまくってチャンスを狙う...。また様々な人達と交流をもちライブハウスなどに出る。これも一つの手段でしょう。いずれにせよレコード製作に関わる人の目にいかに触れるか、そしてそんな人達にいかに評価してもらうかにかかっているのだと思います。
私が想像するレコード制作の初めの1歩は、まずある程度のセールスが期待できるとの制作企画書が書けることだと思います。彼女がデビューできたのはYAMAHAのコンテストで金賞を受賞したということが、実力・魅力ありと判断されたからでしょう。その地位を一度退いた今は、果たして何が判断材料とされるでしょうか。ライブハウスでの動員でしょうか。担当者によほど響く曲を作ったとしても、それをセールスと結び付ける何かをアピールしなければなりません。では売れるためには何が必要なのでしょうか。はて、ここで売れるための何かと、彼女が歌いたい・作りたい曲と接点があるものでしょうか。この辺りが職業として関わるか素人として関わるかの分かれ目になってくるところだと思います。好きなことを好きなようにやって仕事になるのは、ほんの一握りの人達だけです。ほとんどの職業音楽家たちは、自分の色を出しつつも売れるために音楽を作り続けます。するとお金のために自分の嗜好とは異なる音楽を作らなければならないことにもなるわけです。好きなようにやれるのは、素人の特権ということでしょうか。逆の見方をすれば、どんな音楽を聴きたいリスナーがいるかということ。これは聴く人の数だけ嗜好があるので一概には何とも言えません。世の中には何でこんな曲が...と思うメガ・ヒットがぞろぞろあります。何でこんな上質なアルバムがメジャーからリリースされないの?なんて自主制作盤も山ほどあります。自作である程度のレベルまでの録音をできるミュージシャンであれば別ですが、彼女の場合は協力してくれるミュージシャン仲間がまずは必要かと思います。そんなコミュニケーションは徐々にではあるものの広がりを見せているようです。
いずれにせよ今年は例年にないほどの決意をもって職業としての音楽の道への復活を誓っている彼女。シンガーMの逆襲を見守っていきたいものです。
(2002/01/05)
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