Cafe de SIMONS
Music Magazine 7月号 「音楽と評論」を読んで。
 ふっと立ち止まったCDショップのブック・コーナーにこの雑誌が置かれていました。この手の雑誌は私のページでも敵わないほど文字量が多いです(自爆)。それだけに他のビジュアル中心の音楽雑誌とは違った角度で深くしつこく(笑)ネタを突っ込んでいます。この号ではユーミンのインタビュー記事が載っていたということもあるけれど、この特集...かのAOR Clubに参加していた頃からの私が感じていた大きな命題の一つ、音楽マスコミの問題点を自ら語っているという実に興味のある特集です。ここでその内容を引用することは著作権の関係で出来ないけれど、ぜひ原文を読んでほしいです。みみっちい自己弁護の部分は読み飛ばしていただいて(^^;;)、ミュージシャンの所属するプロダクションとレコード会社、音楽マスコミと評論家・ライターとの関係を実に淡々と紹介しています。全てが事実かどうかを確かめられないものの、音楽ファンとして、そして職業としてマスコミの一部に身を置く者として、「さもあらん」と頷ける部分がかなりありました。
 昨今のAORモノの再発ラッシュは異常です。やみくもに名盤・珍盤がCD化され、リリース直後はともかくとして初回入荷分が無くなると以上終了という感じで店頭から消えていきます。一部特定店舗では奇特にもコーナーが設置されて、細々とその存在をアピールしていますが、そんな店舗でも在庫の補充はままならないようです。ちなみに今日立ち寄った池袋WAVEでは、なぜか店内BGMで廃盤になったPagesの3rdの曲が流れていました。再発の噂はあるものの実際に店頭に置いていないアルバムの曲を流すなんて、どういう神経をしているのでしょうか。再発するならするで、ちゃんとPOP等で紹介すべきなのに、少なくとも関心をもって店内を見渡した私の目には止まりませんでした。でその実、後に発売されるコンピ盤のPRだったことが判明しましたけど...。そんな無分別なレコード会社や販売店の姿勢に対して批判的な私ですが、それ以上に腹が立つのは、今回のテーマでもある音楽マスコミの在り方です。全てとは言いませんが、現在見聞きする音楽評と呼ばれているものは、はっきり言って提灯記事です。レコード会社の息がかかったコメントばかりです。特集の本文中にも触れられているのですが、書籍などでは著者が名盤と判断したもの以外は紹介されていなくても納得するのですが、特に雑誌の場合には、その時にリリースされた新譜全てが名盤だなんて、絶対にありえないことだと思いませんか。実績があり話題性豊かなアーティストの作品であっても果たして内容はどうかというと、正直「???」ってことも多いですよね。そんなアルバムですら些細な良さをこれ見よがしに褒めちぎる。事情を知らぬ外部の素人さんが、広告もらっている会社の悪口を書ける訳が無いなどとしたり顔で語られると、仮にも広告会社に勤めている私からすれば「ある意味では正しいけれど、全てそうかというとそれは違うよ」と一言言いたくもなりますが、ここでは話しの趣旨がズレてくるので、別の機会に譲ります。で、そんな提灯記事を書くこと載せることに、何のメリットがあるというのでしょうか。これが問題です。この特集ではこの点にもしっかりと触れています。そうです、そんなCDを買おうとしているファンの存在が蔑ろにされていることが大問題です。CDを出す側・売る側のことしか考えていないのです。この点をしっかりと指摘しているのは素晴らしいと思います。消費者のことを蔑ろにしている商品は必ず衰退します。ファンの存在を無視しているCDという商品は衰退の一途をたどっているのだと、この特集を読んで私は確信しました。
 しかしCDは衰退しても音楽は不滅です。必ず何かしらの方法で私達音楽ファンの耳に素敵な音楽は供給され続けるものだと信じています。人は音楽という表現方法を捨てません。人は音楽を聞くことにより得られる感動・情念の昂ぶりという喜びを知っています。自殺行為を繰り返すレコード会社・音楽マスコミの中にも、真摯に音楽と関わりあっている人達がいます。繰り返しになりますが、この特集で語られていることが全て正しく現状を捉えているかどうかは確認できません。ただある一面でその問題点を指摘していることには違い無いと思います。私達はまず現状がどうなのかシッカリと認識することに努めましょう。この現実を正しく認識することから未来は始まるのだと思うから...。
(2001/07/15)


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