Home英語昔話The Teacher and Little Teddy Stoddard




On the first day of school, Mrs.Thompson said that she loved them all the same. But in fact, that was not true, because in the front row there was a little boy named Teddy Stoddard.

Teddy did not play well with the other children, and his clothes were always dirty. Mrs .Thompson knew that she did not actually like him very much.
新学期が始まりました。5年生担当のトンプソン先生は、本来ならば気持も新たに子供達に明るく接しなければいけないのに、この日は少し気乗りがしていませんでした。といいますのは、一番前の席にテデイ・スタッダードという見るからにみすぼらしく、無表情な男の子が下を向いたまま腰をかけているからでした。

先生としては生徒達をみんな平等に扱い、同じように愛さなければいけないとわかってはいあるのですが、テデイにに対して「嫌だなぁ」という気持が心の奥底にあったのでしょう、、他の生徒達のこれまでの学年記録にはひととおり目を通したのですが、テディの文は一番後回しになっていました。


To find out about the children Mrs. Thompson looked at their school records, but she put Teddy's off. However, when she looked over his file at last, she was surprised.
Teddy's first grade teacher wrote, "Teddy is a bright child and is fun to be around. He always dose his homework and has good manners".
最後に先生はやっと記録に目を通し始めました。読み始めてすぐに「えっ?」と小さな声を漏らしました。

一年生の担任の先生はこう書いていました。テディは賢くて明るい子です。友達の中にいて、いつも皆を笑わせている人気者です。宿題はきちんとやってきますし、行儀も申し分ありません。
(2018.2.06.)

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His second grade teacher wrote, "Teddy is an excellent student and liked by his classmates.
テディの2年生の時の担任はこう書いていました。
「テディは非常に優秀な子供です。頭が良いだけではなく誰にでも好かれいました。


But he is worried about his mother because she has a serious illness that cannot be cured. He seems to be in great difficulties at home."
でも、ただ一つ気がかりなことがあります。それは彼のお母さんのことです」。お母さんは難病に罹っていて、治療の方法も無い状態のようです、そのために彼の家庭での生活はとても厳しいもののようです」。

His third grade teacher wrote, "His mother's death has been hard on him. His home life is affecting his school work."
3年生の担任の書き送りはこうでした。
「テディのお母さんの死が彼の心を深く傷つけているようです。テディは出来るだけの努力はしているようですか、お父さんが問題です。テディに無関心で、食べ物を与える事以外には「なにもしていないようです。家庭生活が学校生活にも反映しているのでしょう、成績は下がるし、とても無気力な子供になってしまいました」。(2018.3.02.)

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Teddy fours grade teacher wrote, "Teddy doesn't show much interest in school. He doesn't have many friend and he sometimes sleep in class".
テディが4年生の時の担任はこう書いています。
”テデイは授業に興味を示しません、それに友達も多くありません、そして授業中に居眠りをしている時もあります。”
トンプソン先生は何が問題だったのかをはっきりと理解しました。そして授業中の今のテデイの姿だけを見てテデイは駄目な子だと決めつけていた自分を恥じました。

Mrs Thompson realized the problem and she was ashamed of herself. She felt worse when her students brought her Christmas present was wrapped in colorful and beautiful paper.
「今でもはっきりと覚えているのですが、その年のクリスマスの時のことです」

こう言ってトンプソン先生は次のような話を始めました。

「クリスマスになりますと毎年子供達は先生へと言ってクリスマスプレゼントを持ってきてくれるのです」、、、それらのプレゼントは華やかな包装紙に包まれ、綺麗なリボンで飾られていました。(2018.3. 09.)

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Teddy's present was wrapped in simple brown paper. It didn't look nice. Some of the children started to laugh when she found a necklace with some of the stones missing, and a bottle that was one-quarter full of perfume. She told the class how pretty the necklace was, and put it on and wore the perfume on her wrist.
テディのプレゼントは違いました。どこにでもあるような茶色い粗末な紙に包んだだけの物でした。そのプレゼントは人目を憚るように華やいだ贈り物の陰に隠れてそっと置かれていました。トンプソン先生はそれを見たとき、ハッと胸をつかれたように感じました。先生はその包みを取り上げました。

自分のプレゼントを一番先に取り上げて欲しいと思って居る生徒達の間になんとも言えない沈黙の瞬間が生まれました。そしてすぐにクスクスと苦笑する生徒達の声が教室のあちこちで起きました。先生は包みを開けて中に入っているプレゼントをそっと取り出しました。それはどこにでもあるようなネックレスで、おまけに石の幾つかが取れて無くなっていました。それと使い掛けの香水の瓶で四分の一ほどしか残っていないものでした。

先生は「とても素敵なネックレスだわ」と心から気に入ったという調子で話しました。先生は、心底テディの最大の贈り物に心を打たれていたのです。先生の声にその感じが良く現れていたので、それが生徒達のにも響いたのです。教室の中が静かになりました。それから先生は自分の手首に香水をつけてみました。テディの席までその香りは届けられました。(2018.3.16.)

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Teddy Stoddard stayed after school that day and said, "Mrs Thompson, toady you smelled just like my Mom used to ".
その日テディは授業が終わった後もすぐに帰ろうとはしませんでした。トンプソン先生にどうしても伝えたいことがあったからです。

「先生、今日、僕はとっても嬉しかったです。先生は僕のあげた香水をつけてくれたでしょ、僕、お母さんのことを思い出したんです、お母さんが僕の傍に居てくれたように思ったんです、有り難うございました」
テディは目に涙をいっぱい浮かべながらはっきりとした口調でしっかりとお礼の言葉を述べました。

先生の身体に大きな衝撃が走りました。
あの無気力なテディが、、授業行中に居眠りをしているテディが、、実際にはこんなにも確りした一面を持っていたのか、、いったい自分はこれまで何をしてきたんだろう、、教科を教えることだけが先生の仕事では無い、生徒の才能を見つけ出し、それを伸ばしてやることこそが真の教育であるのだ、トンプソン先生はテディに教えられた思いがしました。


On that very day, she stopped teaching reading , writing and mathematics. Instead, she began to really teach her children.
その日を境にしてトンプソン先生の授業が変わりました。読むこと、書くこと、考えて計算することを教えるだけで無く、それを通してその子の個性がどう関わっているかということに注意をはらうように常に心がけました。 (2018.3.23.)

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Mrs Thompson paid particular attention to Teddy. The more she encouraged him, the faster he responded. By the end of the year, Teddy was showing that he was one of the smartest children the class. For Mrs.Thompson, Teddy was no longer any different from her other students.
今までは、自分の先入観だけで避けていたトンプソン先生でしたが、それからというものは(あのことがあってからは)テディの小さな変化も見落とさないように注意を払っていました。先生が勇気づけようとして授業の中でほんの少し(小さな)アドバイスをしたときでも、テデイはすぐに反応して、先生の期待に添いたいと懸命に努力を続けたのです。成果はすぐに現れました。学年末にはテディはトンプソン先生のクラスの最優秀な生徒一人になっていました。

トンプソン先生にとって、テディは自信を持って送り出せる生徒になったのです。

A year later, she found a note under her door.
それから一年後のある日のことです。トンプソン先生は学校にある自分用の部屋のドアの下に一通のカードが差し込まれているのを見つけました。

It was from Teddy and it said that she was still the best teacher he had ever had in his whole life.
それはテディからのものでした。近況の報告があり、最後に「先生は僕の人生で最高の先生です」・・・とありました。
Another letter that arrived six years later told her that he had finished high school and that she was still the best teacher he had ever had.
次の手紙が届いたのは6年後でした。テディが無事にハイスクールを卒業したとの知らせでした。(2018.3.30.)

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Four years after that, another letter arrived which said he would soon graduate from college with the highest honors. He told Mrs Thompson that she was still the best and favorite teacher he had ever had.
それから、4年の年月が過ぎました。久しぶりにトンプソン先生のもとにテディから手紙が届きました。そこにはこう記されていました。テディがもうすぐトップテンに入る成績で大学を卒業すること、それからテディが中学、高校、大学と過ごしてきた長い学生生活の中で、たくさんの先生との出会いがあったこと、でもやはり僕にとってトンプソン先生が最高の先生であり、前にも増して先生のことが大好きだということ、このようなことが嬉しそうに書かれていました。

Then four more years passed and yet another letter came. This time he explained that he had kept studying after finishing celled and now he had became a doctor. He said again that she was still the best and favorite teacher he had ever had.
それからまた4年が過ぎました。テディから近況報告の手紙がトンプソン先生に届けられました。テディは大学卒業後も勉強を続けていたのです。そして、今は医師として働いているとのことでした。文末には「先生最高!」と結んでありました。

The story does not end there. There was another letter that spring.
このお話はまだまだ続きがあります。テディからトンプソン先生に嬉しい知らせがありました。(2018.4.06.)

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Teddy said that he was going to get married and he was wondering if Mrs Thompson would sit the wedding in place of his mother.
テディが結婚するというのです。招待状に添えてトンプソン先生がテディの母親代わりとしてその席に是非出席して欲しいということが、心情を込めて同封されていました。

Of course, Mrs Thompson did . She wore that necklace, the one with several stones missing. Moreover, she made sure to wear the perfume that Teddy remembered his mother wearing. They held each other tightly, and Dr Stoddard spoke quietly to Mrs. Thompson. "Tank you for believing in me. Thank you so much for making me feel important.
トンプソン先生は大変喜んで、すぐにテディに電話をし、何を置いても出席させてもらうと伝えました。

結婚式当日になりました。テディは晴れやかな顔で 来客を迎えていました。トンプソン先生を見つけると、駆け寄ってきました。二人は固く手を取り合って再会を喜び合いました。テディはハッと気付きました。突然テディの目から大粒の涙がこぼれ落ちました。20数年の歳月がタイムスリップしてテディを幼少の頃に引き戻したのです。石が欠けたネックレスをしているトンプソン先生はまさにテディのお母さんそのものでした。テディの身体はお母さんの懐かしい香りに包まれました。テディはしばらくの間、そのままでいましたが、やっと落ち着きを取り戻すと、先生にこう言いました。


You taught me that I could make a difference. Mrs Thompson, with tears in her eyes said to him, "Teddy, you have it wrong. You were the one who taught me that I could make a difference. I didn't know how to teach until I met you .

「「先生、本当に有り難うございました。僕は久しぶりにお母さんに会うことが出来ました。先生の何よりのプレゼントのお陰です。先生が小学生の僕を心から信じて下さったおかげで、僕は生まれ変わることが出来たのです。僕の人生で一番必要だったことを教えて下さったのが先生なのです。今日はお出でくださって誠に有り難うございました。これからの人生もどうか温かく見守ってください」
 。
「テディ、そうじゃないのよ、私を変えてくれたはテディ、あなたなのよ、あなたに逢えたおかげで、本当の教育とはどういうものかということが分かったの、私もテディのことを思うたびに自分を振り返って良い教育者になれるように努力するわ、あなたもお嫁さんと力を合わせ幸せな家庭をつくってね、お母さんにしてくれてありがとう、私はいつまでもあなたのお母さんよ、このことを忘れないでね!」
(2018.4.13.) 終
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