なんというか、あまり絵師情報とは関係ないんですが訳したくなったので出します。MtGが無事に6年目、7年目以降も栄えることができるかどうか、ひとえにこの姿勢にかかっていると思えるからです。何をバカなと思う方は歴史に学んでください。テーブルトークRPGやエアソフトガン使用のサバイバルゲーム、その他のディープな娯楽が上級者による自家中毒と排他性に毒されて衰退していった歴史に。
なお、紙媒体によるThe DUELISTの翻訳物刊行権は(一応)ホビージャパン社にあるので
ファンファーレもほとんど響くことなく、またバースデーケーキも見あたらないが、今月(98年10月)は史上初のトレーディング・カード・ゲームの歴史において重要な一里塚となるだろう。そう、Magicが5歳になったのだ。α版からこのゲームをプレイし続けている年寄株の一人として、私にとってその歳月は永遠にも等しい。昔に比べ、実に多くのことが変わっていった。君達はきっと、もう売りきれる前にブースターを1つでも買うために前の晩からローカルなオモチャ屋の前で行列を作る必要はないだろう。カードのレアリティだってもう秘密でもなんでもない。今やカードに明記されてるくらいだから。デッキ構築の技術(プロたちが「テク」と呼ぶ奴だが)も著しく成長を遂げ、一つのデッキタイプが席巻したかと思えばそれはたちまち時代遅れのものとなっていく。
しかし・・それぞれの側面における成長ぶり、公式ルールの整備や、プロツアーの発足、ルール限定のシステム整備などの尽力にも関わらず、ゲームにおける何かとてもだいじなものが少しずつ薄れていってしまったような気がしてならない。最初のころ、Magicはまるごと全部が発見の連続であり、創造そのものであり、何より楽しかった。知的スポーツとしてのMagicはそれは楽しいものだが、ある面でそれは単なるゲームとしてのアイデンティティを少々失ってしまった。
よく聞かれる嘆き節のひとつに、Magicが以前ほど楽しいものではなくなってしまった、というのがある。トーナメントへの執着のあまり、Magicというゲームは単に楽しむより試合に勝つことが主体になってしまった。この現状を胸にとどめつつ、我々はMagicの失われた無垢な歓びのいくばくかを取り戻すようなプロダクトを世に出すことにした--Magicに笑いのセンスを呼び戻し、みなが「おいおい、これはゲームなんだぜ!」ということを思い出してくれるようなカードセットを。我々はそれをMagic:the Gathering-Ungluedと名づけた。
多くの面で、UngluedはMagicの5年目の記念としてふさわしいものだ。αセットとして知られているカードと同じように、UngluedはGEN CONの会場でお披露目となった。そしてα版と同じく、多くの驚きと、一つのゲームからいかに多くの楽しみが引き出せるかというアイデアに満ちている。UngluedのアートディレクターであるJesper Myrforsは、このセットの開発中に「まるでもう一度α版の開発をやってるみたいだ」ともらした。
私は自分の持てる全てをこのプロジェクトに注ぎ込んだ。デザインと開発、アート面での仕様説明、命名にフレーバーテキスト、それに自分でイラストを1枚描きさえした。楽しみそれ自体を目的とする楽しみこそが、Magicにとってとても大事なことだと思ったからだ。Magicとは何かという想いは人それぞれ異なるだろうが、中核にある一番重要な要素が「本当にみなが楽しめるもの」であってもらいたい、と私は思う。
だから。Charm Schoolを頭に乗せてバランスを取っているとき、Brass Calendarでヘンな声を出しているとき、Blacker Lotusをひっちゃぶいている時、ゲームを楽しんで欲しい。have fun.
Mark Rosewater/Editer in Chief
This is not produced or endorsed by Wizards of the Coast, Inc.
無粋ながら注釈
わたくしは正直、Wizards of the Coast社の姿勢に疑問を持っていました。こいつらエキスパンションを売るだけ売って、ある晩きっと夜逃げするつもりなんだと。しかしUngluedのような商品が目の前に出現し、ラブリーなイラストが満載で、なおかつこういう文章を読むとつい信じる気持ちになってしまいます(割とこーゆーのにはヨワイんですな)。あなたの心に、チキンは届きましたか?