Ron Spencer

〜Magic発条流家元たぁ俺様のこと〜

 Ron Spencer。昨今のMagicのイラストがどうもアメコミづいてるよな、だれのせいだ?という話になったらまっさきにやり玉に挙がるのがこの人だと思うのですがどんなもんでしょうか。メタリックな質感がとてもcoolな彼のイラスト、以前からけっこう気にいってます。きっかけはSibilant Spirit/風鳴りの精かな(この和訳も珍しくgoodですね)。キャリアは結構古いはずなのに情報に乏しかった彼も、薄幸の元貴族いま吸血鬼のCrovaxくんをThe Duelist24号の表紙に描いたおかげでやっとインタビューが取れました。ありがとう会社、んでも遅いってばさ。まだHarold McNeilとかChristopher Rushとか、当然資料があってしかるべきなのにぜんぜんデータがない人、多いんですからねぇ。

・・しばらくこの翻訳を温めていた(別名放り出していたとも呼称される「納得いくまで発表を控える」状態)らあぁた、Portal2の「Bear Cub」あたりで「あ?」なんて思ってたらUngluedではその効果よりパワータフネスなんかより「このかあいさだけで犯罪」「ホントに黒クリーチャーか?」「あぁんかあいい〜ん」と世界中を悶絶させた恐怖のBeast「Infernal Spawn of Evil」なぞを描いてしまったもんですからわたくしはこの方に対する考え方を変えなければならなくなりました。まぁ他のエキスパンションでは疫病を運んだり群衆に石投げさせたりで相変わらずなんですが。

(The DUELIST24号記事より)

例え表紙のCrovac,the Cursedがどれだけ印象的であったにせよ、それだけが彼の仕事の全てではない。今年34歳になる彼はこう言った。「俺様は牛肉の解体をやってたこともあるしTシャツを染めてた時期もある。むにゃむにゃの工場で働いてたことだってあるんだからな」

 彼のイラストを見たことのないデュエリストはいるわけがないだろうが、Fallen EmpiresのNecrite、MirageのHammer of Bogardan、StrongholdのSerpent Warrior、そして黒使いには欠かせないTerror、このどれも見たことがないというなら君はきっと白ばかり使っているんだろう。「もとは、カードのイラストスペースが縦長だと思ったものだから、Terrorのあの男は左下の角に描いたんだ。実際にカードを見たら、トリミングされてて男が宙に浮いていたってわけだなぁ」・・・会社側の責任はさておき、その構図の独特さ加減もあって今でもTerrorは万国共通、一発で効果がわかる明解なカードの1つになっているのは確かだ。ほかにもLegends of the Five Rings、Vampire: The Eternal Struggle、狼男を題材にした「Rage」などのゲームイラストを手がけている。特に後2つなどは、彼のイラストの雰囲気とゲームの内容が非常によくマッチしている 、らしいんだけど訳者はよく知らない。どこかのカードショップで投げ売りされていたらチャンスなので即座に買い占めるように。さまざまな画材を組合せて、Spencerは仕事をしている。例えば、今月号のカバーアートなどは、実に色鉛筆からボールペン、水彩からアクリル絵の具に至るさまざまな画材を用いて描かれたものだ。あるいは、肌の質感を欠落させたようなキャラクターを好んで描く。「単に解剖学にからっきし疎いだけなんだ、正規の学課をこなしたアーティストだったらこんなことはないんだけれどね」Spencerはアイダホのカレッジで2年間修業しただけだが、学校で学んだいちばん大きなことは、テレヴィを消して午前3時までは寝るなということだった、と語っている。

今でも彼は生まれ故郷のネブラスカ州オーロラで12年来の女房と『ほぼ』5人の子供(というのも5人めはまだ妻のお腹の中で、正確には「4人と半分」と言うべきだろうが)作画のインスピレーションをどこから得るのかはなにを書くかによって異なるらしいが、Richard Corben(原注:Dark Horse Comics社でよく仕事を発表している著名なSFファンタジー画家)のそれのような鮮明で写真のような作品、あるいはBernie WrightsonのSwamp Kingのイラストなどに感化されることもあるようだ。あー、さて、今回の作品(The DUELIST24号)はどんな インスピレーションによるものなんでしょうか?「銀行にある金だね、実際のところ」もしかしたらジョークぢゃないかもしれない。それはさておき、Weatherlight号乗組員のイラストを書くのは彼にとっては初めてのことではない。Vangard版CrovaxやStrongholdでの「Ransack/狼藉」などがある。イラストで知人にモデルを依頼する絵師は結構多いが彼もその一人で、Dave Smidtとその妻、Millieがよく犠牲者になるらしい。二人はまさに「Ransack/狼藉」でのジェラ夫とミリーに、Daveは表紙(そう、ジェラルドとCrovaxは『双子のように』似ているのだ!)、MillieはVolrath's Shapeshifterにも登場している(ってことはSisay艦長とミリーちゃんもそっくり?)。「二人ともとってもグッドルッキングだし、女性の引き締まった腹筋を拝むのはいつだって楽しいからね」

ごく近い将来、Ron Spencerは間違いなく業界で最も著名な絵師の一人になるだろう。しかしまぁ彼自身こう言っている、「落ちぶれたら洞窟の壁にでも書くさ、桜木町のガード下も悪くないなぁ」

これだけ?そう、これだけなんです。これに限らずThe DUELIST誌の表紙絡みの1ページ記事「ABOUT OUR CONTRIBUTORS」のコーナーはあっさりしすぎていて以前のようなこってりとしたインタビュー記事には及ぶべくもありません。何とかして欲しいものですが・・・

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