Donato Giancola

〜新世代だからって甘く見られてはこまるんですよね師叔(ウソ)〜

 Donato Giancola。絵師たちのなかでは比較的新顔に属する彼、第5版の「ラッキーチャーム」(Ivory Cup、Iron Star、Wooden Sphere、Throne of Bones、Crystal Rodのこと)を任されている人、という紹介が一番手っ取り早いのだろうか?わたくしはIvory Cupの絵が一番好きですが、ほかの4種も味わいがあってグッドっす。EXODUSのShattering Pulse、コンボ技に使われるTEMPESTのOrim's Prayer、並べてみると特徴が掴めると思います。絵師情報を公開してくれなくなった本家のほめぱげの仕事を肩代わりするかのように、早耳情報で名高いmtgnews.com(http://www.mtgnews.com/)がばっしばし絵師インタビューをしてくれるようになりましたのでここにご紹介いたします。全訳の許諾なぞ得ておりませんのであくまでも抄訳。

(原典:http://www.ccgnews.com/community/int_donatogiancola.htm)

正規の絵の勉強を始めたのは遅いんですよね僕の場合、といいつつ幼少の頃からプラモ作って玩具で遊んで手すさびに落書きしてマンガ読んでメタルフィギュアに色塗ってロールプレイングゲーム用にマップ作って学校用にアートプロジェクト立案して、とさらさら語ってしまう彼はやっぱり絵師になるべくしてなった人ではないだろうか。電子工学をやっていた大学時代も2年目でアートコースに転科、そのときに初めて油絵のセットを購入したというから・・これはやっぱり「遅咲き」なんだろう。息子はきっとヤバい同人活動にはまってしまったに違いないと嘆く親御さんから借金してイラスト修行をした後、一日8〜10時間描きまくるというハードな努力が実って「タイム・マシーン」(ウェルズの古典ですね)や「アーサー王宮廷のヤンキー」(マーク・トゥエインの長編)、「地底旅行」(ヴェルヌ)などの表紙を手がける事ができるようになった。今はニョーボとブルックリン住まいだが、ここはNYの主要な美術館に程近いという点で非常に気に入っているようだ。わたくしも羨ましい。好みの画家もHans Memling、ファン・アイク、ベラスケズ、カラヴァッツイオ、フェルメール、モンドリアン、レンブラントと非常に王道。ニューヨークに住むとこんな画家の作品を散歩がてら見に行けるのだ!東京都知事にもせいぜい頑張って貰わねば。Wizards社で働き始めたのは1995年、カードイラストに参加したのはMirageからだそうだ。このmtgnews.comでも「new generation」と形容されている。絵を描くのはニョーボに申し訳ないくらい好きだそうだが、オフの時は友人とサッカーをしたりMagicを始めとするRPG系のゲームを楽しんでいるらしい。

Mirageの仕事をするにあたって、真面目な絵師らしくまずアフリカ美術に関する資料を買って研究を重ねている。で、できたのがGrinning Totem, Amber Prison(なんと実物の琥珀を購入したそうだ)、Village Elder そしてMoss Diamond。「ピーマン」なんて言ったのは誰だ!(俺だよ)

参考までに、Amber Prisonの場合は以下のプロセスを経て完成に至った。

  1. 背景となる物語世界についての情報を検討する
  2. 琥珀だけを鉛筆で素描。なんかスケール感覚が乏しいんで手を描きたし
  3. 琥珀購入。中に幽閉されている女性(マンガラ)の衣服や琥珀を握っている手の腕輪などのイメージを得るため雑誌などを購入。
  4. イラストの下絵を100%綿布にコピーし、masoniteという生地にマウント。カンバスよりmasoniteの方が好みらしい。
  5. 油絵とつや出し剤による仕上げ。
  6. 完成。わたくしが思っていたよりずっと複雑な工程に思えるがどうだろうか。

各エキスパンションにおいて3〜5枚程度の、比較的小量の割当をされているがそれだけに一枚一枚を気合いを入れて描いている。手と老人としわの寄った表情を描くのが好きで、特に手は顔以上に人格を表現できると思っているようだ。「手フェチ」?そうかもしれないかどうかはAmber PrisonやSisay's Ringを見ればわかる・・・と思う。1.5インチ×2インチに縮小されても、自分の絵がちゃんと見られるレベルになっているか?ということに気を使うそうで、これは多くの絵師が指摘しているMagic仕事の特殊性だ。WotC社の絵師に対する待遇には諸説あるが、彼はプレイヤーが絵師に対面し、サインも貰えるような機会をたびたび用意してくれることに対して非常に感謝している。「各地の地元の美術館に寄れるしね」ってつけ加えるあたりは実に率直で好感がもてる。いちばん好きなエキスパンションはWeatherlightだそうだ。誰だ「紙」なんて言ったのは!(いや俺ぢゃない)行った仕事は以下の通り;

☆Steel Golem。アフリカの舞踏用仮面に意匠を借りているそうだ。ブースターの包装紙に印刷されているからといってシッセイ艦長だとは限らない、と知って多くのデュエリストが(以下自粛)。

◎Peacekeeperはもともと「南の聖騎士」用イラストだったそうで、ちなみに女性だ。「会社が偉く気に入ってくれて、聖騎士より強力なカードに使ってくれたんだよね」・・・やっぱり聖騎士って(以下検閲)。

◇Thran Tome。わたくしも大好きなイラストで一時しおりに使っていたくらいだが、オリジナルは上下にも更に描き込みがなされている非常に印象の強いイラストだそうだ。モデルになったのは某辞書。

非Magic系の仕事として、ラリー・ニーヴンやオーソン・スコット・カード、Barbara Hambly、Emily DevenportなどのSFの表紙を多く手がけているそうだ。後ろ2名はわたくしの知らない方。

恒例の「ボクわかんないこれ」のコーナーです(謎)。まずHans Memling、日本ではなんと呼ばれている方でしょう?masoniteがカンバスよりイイんだよ、って言われてもわたくしは美術用品店に行ってもカリグラフツールなぞに目を奪われまくりなのでまるで知識がありません。Barbara Hambly、Emily DevenportというSF作家についての知識もなし。困りましたね。

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