Amy Weber

---アーティファクトの女王と呼ばれて---

 Magicでは古顔のイラストレーター、Amy Weber。彼女のことを「アーティファクトの女王」と呼んでいるのはわたくしの独断なんだけど、なぁんとなくそんな感じがしないだろうか?いや実際のところ、彼女が実際に描いているアーティファクトの数はそう多くない。でもそれがArmageddon Clock/終末の時計だったりOrnithopter/羽ばたき飛行機械だったり、ましてIcy Manypulator(IA)だったりするもんだからどうしても、Amyといえば「あの奇天烈なアーティファクト絵師」というイメージがこびりついてしまっているんだなぁ。Steal Artifactも描いてるし、Time Elemental/時の精霊にDragon Whelp/チビ・ドラゴン・・なんかこぉ、生き物っつーよりはよくできた宝飾品という感じ。HomelandのClockwork Swarmなんてまんま細工物の雰囲気だし、やっぱり彼女はアーティファクトに祝福された存在なのだ、そう決めた!そんな彼女の半生は以下のごとし。ひどい意訳に見えるけど、ここを見ると案外そうでもないってことが分かる・・・?

Amy、その半生〜気楽風ローカル翻訳版〜

 Amy Weber(以下Amy)の画家としてのキャリアは彼女が8歳のとき、親父のきまぐれで通わされた油絵教室から始まった。土曜の楽しみセーラームーンを見ていたかった彼女は当初このお稽古が嫌で嫌でしょうがなかったようだが、気がつくとシアトルのコーニッシュ・インスティテュート・オヴ・アートの奨学生資格をとれるくらいの腕前になっていた。そのころにはもう、エターナルなんてぶざまな姿をさらして末期的だったせらむんのことなんか綺麗にカンバスの裏にぬりぬりして忘れてしまっていたので、彼女はもう絵を描いていない時間が煩わしくてしょうがない。スケッチブックがまるでliving armorのように存在と融合している彼女にとって、描くことすなわち生きること。もし描けなくなったら?という質問に対しては至極マジメに「ええ、死んでLife Matrix(LG)でregenerateするわ」と答える、それが彼女だ。午前3時。それはあらゆる雑事から解放され、彼女がベストな状態で創作活動に打ち込める神聖なる時間・・・夜気に見る幻視はそのまま、カンバスの上で途方もなく夢幻的な結合を見せる。骸骨の絵が多いですねぇ、もしかして妙な映画でも見すぎましたか?

 しかし最初は彼女だって、「医学や科学関係のイラストで食べていきたい」という別の夢を持っていた。ほら、医学科学の単語でIcyとかMishra's War Machine/ミシュラの戦争機械をもっぺん眺めれば、なんとなく納得いく感じ。間違っても化学準備室には入れちゃいけないタイプだね。

 17才で故郷のワシントン州Spokaneを離れ、シアトルにやってきた彼女。しかしそこには邪悪なウィザードが周到な罠を仕掛けていた。やけに長いアップキープフェイズが終了して気がつくとMagicが初めてできた頃からの絵師になっていた彼女は、今ではDUELIST誌のアート・ディレクターも兼任している。実に多くの雑誌用イラストを手がけ、雑誌全体のアートバランスに責任を置くかたわら、のべ60種以上ものMagic用カードイラストを描いている。2つの激務のおかげであたしのプライベートタイムなんてぜーんぜんないのよ、だからあたしの絵には時計がやたら描いてあるのよね、と彼女は語る・・・

(以上は1995年7月時点での状況であり、また、Wizards of the Coast社の公式認定翻訳ではなく、あくまでも一個人による個人的翻訳だということをここに表明いたします)

This is not produced or endorsed by Wizards of the Coast, Inc.


Amy、そのイラストの魅力〜死ぬほど身贔屓版〜

 彼女のイラストはとにかく一発でそうだと分かる。アライアンスでPhelddagrifなんていう愉快なカバさんが出てきたけど、大笑いしてから「待てよ・・」としげしげ見るとやっぱりAmyだった。なるほどあの独得の質感は油絵だからなんだなぁと思うけど、彼女のイラストには「夜空というと大概オリオン座が描かれてる」といういかにもいかにもな隠しフィーチャーがあったりする。手元にSoldevi Digger(AL)があったら見るといい。ついでに言うとDiggerのイラストにあしらわれてる時計は全部3時きっかりを指している。

やってくれるぜAmy!

 ・・・しかしまぁ彼女も人の子なので、ハズレというか「きっとこれを描いたときは疲れてたんだろう」つーのも勿論あって、その代表になっちゃうのはやっぱりあれだな、Blue Mana Battery/青の魔力貯蔵機とCelestial Prism/天界のプリズムだろーな。それぞれ「蚊取り線香」「金太郎アメ」と有り難くないあだ名をもらっちゃって、おまけにPrismなんかMana PrismとかミラージュのDiamondとかのおかげで今じゃ猫だってまたぐくらいの価値しかないだろう。Dragon Whelpもかあいいんだけれどよく見るとヘソなんか描いてあったりして、もぉAmyったら。

 レオナルド・ダ・ヴィンチにインスピレーションを感じるわ、と語る彼女。Urza's Avengerのかっこよさの裏には、こういうイタリアンルネッサンスの意匠が隠されてる訳なんだねぇ、なんで辞めちゃうんだよぉAmy、俺ぁ淋しいよ!(号泣)

 過剰なまでにまっすぐな質で、金にほとんどこだわらない(と紹介されてる)彼女。その彼女がWotC社を離れるきっかけは、やはりアーティストによって屈辱的ともいえる「版元による著作権一元管理」か・・・

Magic:The GatheringでのAmy Weberの全仕事リストはこちら。海外の人が、いいしごとしてくれました。・・・・と思ったらDeckmasterという名前のこのWWWサイト、Wizards of the Coast社の要請(っつーか圧力)を受けて閉鎖されてしまいました。困ったもんですが、全仕事リスト、馬力が出たら自力でアップしますね。

 そして彼女のほめぱげはこちらだ!でもまだ工事中かも。とりあえずDragon WhelpとKnowledge Vaultが拝めます。

戻る