Newton関連書籍一覧

 さて、Newtonというモノについての知名度は決して高くはありません。これはApple社の宣伝の下手くそさ、WindowsCEの鳴り物ぶり、ザウルスの圧倒的普及、Libretteの衝撃、palmPilotの長足の普及ぶり、まあいろいろな要素はありますが、その一方で何故か関連書籍の数は決して少なくありません。私の商売柄こういうことについての情報には事欠きませんので、以下にどんな書籍が出ているかをご紹介したいと思います。

6月17日、「Macintosh Developer's Journal31号」を追加しました。

 

 「デファイング・グラビティ-Newtonテクノロジーの誕生」
マーコス・クーナラキス著・大谷 和利訳
出版社       :    翔泳社
ISBN     :   4-88135-082-X 
初版日付     :   94/02
本体価格     :   4078 円

記念すべき日本のNewton書籍第一号、なんですがこれは既に絶版。品切れ重版未定、なんていう曖昧な言い方を好む出版業界にあって「絶版!」と宣言されているのでこれはもう誰が何と言おうと間違いなく注文しても無駄です。横長・ハードカバーの造本、写真多数の大変にお洒落なデザインでした。値段の高さと重さも相当災いしたと思いますが、なにより当時実際に触れるMessagePadがせいぜい「110」止まりで、決して完成されたものではなかったというのも大きいと思います。私はついに買いそびれてしまいましたが、あまり残念だとは思っていません。ビジュアル中心で、手元に置いておくべき本だとは評価できなかったからです。
※Newtonディスコンの報を聞いて、「あ、買っときゃ良かったかなぁ」と結構後悔してます・・・

 

「プログラミング・FOR THE NEWTON」
ジュリー・マッキーハン著・ 宮本 学訳
出版社       :    HBJ出版局
ISBN     :   4-8337-4901-7 
初版日付     :   94/09
本体価格     :   5631  円                                      

かなり初期に出たプログラム教本ですが、これは今では東京・秋葉原のイケショップくらいにしか置いていないと思います。いや、秋葉原LA-OXマック館にもあったか。今になって買う必要はないですね。値段も安くはない上に、無論のことですが開発環境は別に買う必要がありました。「Macintoshソリューションシリーズ」というカテゴリーで売られてしまったのも不幸なことです。Newton=Macという等式には林檎マーク以外に根拠はないんですが・・
※なんて言い切ってしまってますが内容を吟味したわけではないのでもしかしたら貴重な情報が埋まってるかも知れませんね。

 

「TheNewton130Book」
松尾 真一郎著
出版社       :    デイー・アート
ISBN     :   4-88648-456-5
初版日付     :   96/11
本体価格     :  1942  円

The Newton130 Book

MessagePad130は、日本語環境「uniFEP」の標準添付、OS2.0搭載機種であることなどから一般パソコン誌にもかなり注目されました。長い間動きの止まっていたNewton関連書籍の発刊も、ここへ来ていきなり盛んになりましたがこの本は130本の中でも最初に出たものです。帯のキャッチコピー「まだノートパソコンを持ち歩くんですか?」はなかなか刺激的ですが、惜しいことに対応モデムカード一覧表に誤解を招く表現がありました。Megaherz社のモデムは必ずしもMP130で動作保証されているわけではありませんので、この本を読んだ後でアウトレット品のモデムカードを見つけても慌てて買わないようにしましょう。

基本的な操作方法から、著名なアプレットの紹介までをカバーしています。CD-ROMは添付されていません。私は130購入直後だったので、いそいそと買い込んだ記憶があります。今買う値打ちがあるかと言われると微妙なところです。130付属のOS2.0マニュアル(あれだって独立した評価を得ていいようなレベルの冊子なんですが)がちょっとしんどい、という方にはお勧めできるかも知れません。

 

「Newtonパーフェクトブック」
ケイライターズクラブ著
出版社       :    ジャパン・ミックス
ISBN     :   4-88321-271-8
初版日付     :   96/12
本体価格     :   2200  円

130本の2冊目です。手に取ったときの第一印象が物足りなかったので買いませんでしたが、内容はディ・アートのものより更にNewton初心者向けという印象がありました。

 

「ザ・ワールド・オブ・ニュートン」
今井 祐治 他著
出版社       :   毎日コミュニケーションズ
ISBN     :   4-89563-954-1
初版日付     :   97/02
本体価格    :   2427  円

The World of Newton

130本の3冊目。CD-ROM付属なので嬉しくて購入しました。イケショップの全面協力の元、キャリングバックやスタイラスペンなどの周辺グッズまでをカバー、さらに情報収集の役に立つWWWページの紹介までされているなかなかの良書。モデムカードの件についてもWWWページのURLと共に「ここを随時参照して間違いのない買物をしてください」とアナウンスされております。Windowsマシン/プリンタとの親和性についてきちんと書かれているのも「より多くのNewtonユーザーを獲得しよう」というこういった書籍の目的のためには大いに喜ばしいことです。今読むと各記事の突っ込みがやや浅いのですが、買って損は

ないでしょう。

 

「Newton SPIRITS-プライベートコンピューターの誕生」
大谷 和利・中川 裕一著
出版社       :    NTT出版
ISBN     :   4-87188-500-3
初版日付     :   97/09
本体価格     :   2200  円

Newton SPIRITS

発売予告から半年以上遅れての発行でしたが、「デファイング・グラビティ」以来の「カッコいいマシンであるNewton」にこだわって作られた本です。版型(本のサイズ)はMessagePad2000とほぼ同じ大きさ。筆者所蔵の各種Newtonプロダクツ(中には日本に1台しかないだろうと思われるものも多数)の写真、詳細な年表、読みやすく統一感のあるレイアウト、すべてがこだわりの結実だといえるでしょう。ただその分実践的内容には乏しいのですが、エヌフォーやファクトリーといった会社の担当者のドキュメンタリー記事などは他で絶対読めない迫力のあるものです。

ちょっとオシャレ過ぎやしませんか、とからかってみたくなるくらいの一冊。読んでなにか役に立つことがあるかと言われればはっきり言って「買わなくても済む本です」としか応えられないのですが(^^;)、どれだけ熱い人々によってNewtonが支えられ、今日に至っているのかを知るには最適の本です。帯の「Newtonエヴァンジェリスト宣言」というセリフは別のものにした方が良かったかも知れませんが、この本の本質を的確に表現した一句だともいえるでしょう。著者のカラーが、良くも悪くも非常に色濃く出た本だと言えます。他のプラットフォームでこのような著作が登場する可能性はあるでしょうか。「デザイン」というと鼻をつまみたくなる方もおられるでしょうが、今のコンピューター業界全体に欠けている重要な要素だと思います。

 

「Newtonではじめるプログラミング」
バスケ著
出版社       :    オーム社
ISBN     :   4-274-06224-4 
初版日付     :   97/10
本体価格     :   3200  円

上の「Newton SPIRITS」とは全く違う方向からNewtonの魅力を論じてくれる力作。筆者は130に標準添付されているツール「TapBar」の作者です。オブジェクト指向プログラミングとは何ぞや、という次元から始めてくれる構成はプログラム超初心者にも非常に親切です。付属CD-ROMには開発環境が機能制限なしのフルキットで収録されていますからこの値段はお買得だといえるでしょう。開発者に対するインタビュー記事も面白く、この辺りは軽快な文章を書き慣れたネットワーカーの面目躍如といえるでしょう。

私は97年のMacWorldExpo東京の会場でNewtonのデヴェロッパーブースに立ち寄ったのですが、そのときに初めて見たNewton Toolkitの印象は「なんだ簡単そうだな」というものでした。見た目はほとんどExcelのVBAと変わらず、フォームに貼りつけたオブジェクトにスクリプトを書き込んでコンパイルするだけでなりにアプレットができてしまうのです。バスケ氏が5分で作ったというじゃんけんアプレットをいただいてきましたが、確かに理屈がわかっていさえすればじゃんけん程度のアプレットはたちまち作れそうな感触がありました。2大障壁が「開発環境に数万円投資する余裕はない」「日本語が通らないのならちょっと魅力が薄い」だったのですが前者については既に「開発環境無料ダウンロード可能」という状況になり解消されました。問題は後者なのですが、これはまだ解決されていません。個人的にはNewton Bookを作るためのBook Makerというツールが日本語対応になってくれると嬉しいのですが。
※実はNewton Bookでは立派に日本語が通ります。詳しくはこちらを。開発環境のダウンロード可能期間もどうやら有限らしいということですのでToolkitの最終版などは早めにゲットしておきましょう。

 

「Macintosh Developer's Journal31号」
 
出版社       :    技術評論社
ISBN     :   4-7741-0602-X 
初版日付     :   98/06
本体価格     :   1800  円

 雑誌(書籍扱いですが)初の本格的Newton特集が組まれた、というのでわざわざ新宿のThe Newton Shopから「買ってね」というお知らせメールが届いたものですからかなり期待してしまいました。内容はというといいぬまてつや氏やRiki氏、杉山さんといったWWWで活躍中の人物による使いこなしのためのTips紹介やサイト運営裏話、V.J..Catkick氏によるNLK(Newton Language Kit)に準拠したアプレットを作るコツ、The Newton Shop店長大杉氏のセールストーク、そしておお、Netscapeの公開されたソースコードのコンパイル方法まで!と思ったらもう特集ページが終わってたんですね。もうちょっと読ませて欲しかったというのも確かに感じましたが、文章量は多くボリュームも決して侮れません。

Macintosh Developer's Journal31号

 私は一応130からのユーザーなのですが、恥ずかしいことにスクラップブックの使い方を覚えたのがごく最近(Rikiさんに教えてもらったんです)、アプレットのフリーズ機能がシステム隠し機能の一種で、ちゃんと2100にもあるんだということを知ったのが更に最近のことです。この特集を読んだお蔭で、かねてから欲しいと思っていた機能「スクラップブックの複数化」がシステム隠し機能でちゃんと実装済みだということを知りました。他にも丹念にWWWをチェックしていないと知り得ないようなTipsや貴重なエピソードなどが結構充実してます。ま、22頁1800円というのは確かにリーズナブルではないんですが・・・

 

・・・・・・ちなみに97年10月現在、ザウルス関連書籍はさすがに多くて26種、palmPilotは以外にも2種、東芝Libretteは5種、HP-200LXは3種。今の旬はカシオペア関連書籍なのでしょうか?それは調べ忘れてしまいましたがここで調査は可能ですね。

MessagePad130も相当こなれた価格で売られるようになりました(5万円で購入可能です)が、まずはこういった書籍で感触を得てみるのも悪くないと思います。

(98年5月追記)・・こうして見ると、2000/2100に関する情報は相変わらず書籍では得られませんね。というか「先のないデバイス」という烙印をメーカーじきじきに押されてしまったような現状では、企画があったとしても刊行は難しいのかもしれませんね。

 

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