天 龍 寺

飯能市南 



 31番法光寺までは穏やかな郊外散歩の雰囲気が楽しめる巡礼路でしたが、この子の権現天

龍寺は640メートルの山頂にあって、法光寺からは本格的な山道を登らればなりません。た

だ今では車道も通じていますので、足腰に自身のない方は車でのお参りも可能です。本尊は出

羽の湯殿山で修行したと言われる子の聖で、延喜11年(911)に子ノ聖が十一面観音をお祀

りしたのが天龍寺の始まりとされていますから千年以上の歴史を誇る寺院ですが、江戸時代の

末に大火に襲われ、そのまま明治の神仏分離や廃仏毀釈等により衰退し、本堂を再建したのは

明治の中頃だったそうです。その本堂も老朽化したようで、現在の本堂は鉄筋コンクリート造

りとなっています。

 話は少々ずれますが、現代のように葬式仏教全盛の時代は、子の権現のように祈祷や祈願を

中心とした本来の山岳仏教を受け継ぐ寺院は何処も苦戦をしているようで、足腰の神様として

山道を踏みしめて参拝する事を趣旨とする寺院ですが、車道を整備してより多くの参拝者や観

光客を呼び込まなければ、お寺の経営が成り立たなくなっているのが現状のようです。



    黒  門


 山道をのぼり詰めた先に

あって、麓から歩いて来た

巡礼者にとっては、やっと

たどり着いた境内ですが、

門を潜ると露座の仁王像が

迎えてくれます。





    本  堂


 本尊は子の聖で、その聖

が祀ったとされる十一面観

音も横に祀られています。

子の聖が足腰の鍛錬回復に

ご利益があるという事で、

境内には大きな下駄や草履

が奉納されています。





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