廣 徳 寺

あきるの市小和田 



 廣徳寺は秋川南岸の山の中腹にあり、応安6年(1372)正応長者なる者が鎌倉建長寺の

高僧を招いて創建したとされています。一時衰退していましたが北條氏康によって再興され、

徳川の世になると家康により寺領40石が寄進されました。多摩地域では高尾山薬王院が寺領

75石でしたが、ほとんどの寺院は10石前後でしたから破格の待遇だったわけで、廣徳寺が

高い格式の寺院だった事を窺わせます。境内は北に張り出した東西に長い段丘上にあり、伽藍

も東を向いて一直線に並んでいます。


     総  門


 様式としては室町期の面影を

残していますが、昭和59年の

解体修理により文政2年(18

19)に再建されたことがわか

りました。正面には出雲の殿様

で、数奇人としても名高い松平

不昧公の書になる額が掲げられ

ています。





     山  門


 建立は享保年間(1716〜

35)とされ、上層には花灯窓

等もある典型的な禅宗様式の門

です。下層より上層の屋根の方

が大きいのが特徴で、平成3年

に解体修理がなされて重厚な構

えを見せています。






     本  堂


 杉皮葺きの端正な屋根の本堂

は安永9年(1780)の建立

ですが、平成4年に東京国立博

物館で本尊の釈迦如来像を鑑定

したところ、創建の頃に製作さ

れた仏像と推定されました。






   庫 裏 玄 関


 本堂の右手に続いて建ってい

て建立も本堂と同時期とされて

います。屋根には北條氏の家紋

の「三つ鱗」がくっきりと見ら

れますが、江戸時代にはとても

許されなかったと思われるので

明治以降の修復時に描かれたの

ではないでしょうか。





 一つ上 ”七堂伽藍の寺を訪ねて

 表 紙 ”小さな旅と四季の風景 ”へ