甘 棠 院

久喜市本町 



 甘棠院は古河公方足利政氏の館跡にあり、その子弟である貞巌和尚により創建されました。

政氏は対立する上杉氏や小田原北条氏への対応を巡って子の高基と不仲になり、隠居して当地

移り住みましたが、既に出家していたので自身の館内に寺院を建立したものです。甘棠院は政

氏が亡くなった後も法灯を守りつづけ、江戸時代になると徳川家から寺領100石を拝領する

ほどの格式ある寺院でしたが、火災等に見舞われて現在の伽藍のほとんどは昭和44年に再建

整備されたそうです。一方、山門の両側には今でも城館時代の堀の一部が残されていて、城址

としての面影も見せています。


     総  門


 総門は武家門に多い薬医門で

冠木の中央には足利家の家紋で

ある二両引紋が掲げられ、その

上には透かし彫り彫刻も飾られ

ているのですが、屋根瓦は真新

しく、木肌の様子からも、さほ

ど古い建物では無いようです。






     山  門


 二番目の門なので一応山門と

しておきますが、形式としては

総門に多く見られる四脚門形式

の門です。屋根瓦はやはり真新

しいのですが木肌の様子からは

古さを感じるので、もしかした

ら境内で唯一の江戸時代からの

建物かも知れません。






     中 雀 門


 本堂の正面にあって三番目の

門なので中雀門としておきます

が、ただの仕切り門のような簡

素な棟門です。さほどの古さは

感じられないので本堂等と同じ

頃に再建された門のようです。






     本  堂


 上記の通り昭和になってから

再建されたもので、桁行き10

間の大変立派な建物ですが、戸

はアルミサッシで屋根瓦も今風

の彩色瓦なのが残念です。一方

奥には政氏公の墓所もあるので

すが、過去に不審火があった為

自由には入れないそうです。





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