近江小室藩小堀家屋敷茶室

台東区上野公園 東京国立博物館内  




 茶人や作庭家として有名な小堀遠州は、京都伏見奉行や駿府城の作事奉行等を歴任した一万

余石の大名で、近江国浅井郡小室の地に居城となる陣屋を構えていました。しかし遠州は父の

代から伏見奉行などを務めていたので、伏見奉行所に近い六地蔵にも屋敷を構えていて、その

屋敷に茶室「転合庵」を建てました。そして現在国立博物館の庭園内に移築されている転合庵

ですが、元は六地蔵屋敷にあったとされているので大名屋敷の遺構建物となるようです。

 なお小堀遠州は多くの茶室を建てましたが、転合庵と名付けられた茶室は近江小室の陣屋に

も建てられ、これは現在は長浜市が解体保存しているそうです。さらに遠州が移転させた伏見

奉行所にも転合庵と呼ばれた茶室があったのですが、こちらは焼失してしまったそうです。

 ちなみに遠州以降の小堀家歴代藩主も幕府の要職に着いていたのですが、藩主としての能力

よりも数寄人としての才能が勝っていたようで、6代藩主小堀政方の代に財政破綻をして小室

藩は改易となってしまいました。それ以降の小堀家は茶道家元として続いたようです。



     転 合 庵


 小堀遠州が八条宮から茶入れ

銘「於大名」を拝領した際に、

その披露の茶会の為に伏見六地

蔵の小堀家屋敷内に建てたと伝

わる茶室です。それが本当なら

江戸初期から残る文化財級の貴

重な建物だと思うのですが、茶

席として一般に貸し出されるな

ど扱いが軽いようです。