伊勢崎陣屋跡

伊勢崎市曲輪町 同市蓮取町、旧森村家 




 伊勢崎陣屋は前後2度築かれ、当初は稲垣長茂により曲輪町の同聚院のある辺りに築かれま

したが、程なく越後三条に転封となり廃城、後に前橋藩酒井家の分家が二万石を分与され、以

前の陣屋より南の北小学校の辺りに新たに陣屋を築きました。この酒井家の陣屋は明治維新ま

で続いたのですが、現在は曲輪町や大手町などの地名が残るのみで、区画整理された市街地と

なり何の遺構も残されていません。ただ稲垣家の陣屋門が上記の同聚院に、酒井家の御殿書院

と玄関が連取町の旧森村家に移築され現存しています。その旧森村家の主屋も立派な建物です

が、明治9年に伊勢崎陣屋の払い下げ柱材を使って再建された建物との事です。

 なお森村家のある旧連取村の辺りは、かつては1800石の旗本駒井家の領地で、森村家が

郷代官を務めていました。主屋北側の馬屋と長屋門形式の裏門は代官屋敷時代からの建物のよ

うで、こちらも武家屋敷遺構として一見の価値がある建物です。


    伊勢崎陣屋跡


 酒井氏の陣屋跡は、現在は

小学校や図書館などになって

います。城址が市街化されて

遺構が残されていないのは仕

方ないとしても、この地に陣

屋があった事ついて、何らの

表示も説明板も無いのは残念

な事です。






    移築陣屋門


 この門は酒井氏の伊勢崎陣

屋ではなく、その前の稲垣長

茂により築かれた伊勢崎陣屋

の門と伝わっていて、現在は

同聚院の山門として残されて

ています。形式は薬医門とさ

れているのですが、長屋門の

両側が無いだけでは?






    旧森村家主屋


 正面の玄関は陣屋御殿の玄

関をそのまま移築したもので

すが、この大きな主屋も元の

主屋の柱材に陣屋からの柱材

を併せて再建した建物です。

当初は平屋でしたが幕末の打

壊しに遭い、再建に際して二

階部分を増築したそうです。





    移築御殿書院


 森村家主屋の西側に増設さ

れ新座敷と呼ばれていました

が、伊勢崎陣屋の御殿書院を

そのまま移築した建物です。

この手前の庭には池や築山が

あって、武家屋敷の雰囲気を

再現しています。






    書院の内部


 この正面の床の間の違い棚

には凝った細工が見られます

し、周囲の障子には取っ手が

無いなど、領主の居間として

使われた部屋のようです。

 大名陣屋で領主の居間が残

されているのは、関東では珍

しく大変貴重な建物です。






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