前章の一石トランジスターラジオは、元はかなり以前に造ったものなので、そこに使われている部品が入手 しづらくなってしまいました。そこで現在最も一般的なNPN形の石を使って1石レフレックスラジオを組ん でみました。また問い合わせ等もありましたので製作方法も簡単に解説しています。 ![]() を、なるべくそのままの回路で2 SC−1815Yに置き換えると 図1のようになります。バイアス 抵抗が極端に低くなっているのは、 シリコンに比べてゲルマニューム ダイオードの順方向電圧(注1) が少ないからです。また検波信号 はこのバイアス抵抗を通って逃げ てしまうようで、一応動作はしま すが感度はあまり上がりません。 そこで改良したのが下の図2です。ダイオードに直列に抵抗を入れてバイアス電流があまりダイオードに流 れないようにしています。一方、検波信号はケミコンを通ってベースに流れ再度増幅されます。 ![]() 本器の場合トランジスターが 高増幅度の石なので、最大感度 では、ほとんどの場合発振して しまいます。そこで発振しない ように動作電流を絞り増幅度を 下げるようにします。小電流領 域では、ほとんどの石で電流が 減少すると増幅度(hfe)も 下がります。また帰還が掛かる ようにバイアス抵抗を出力トラ ンスのRから接続しています。 このセットの動作電流は大体0.3mAなのですが、バイアス抵抗値は石のバラツキにも左右されるので半固定 抵抗で調節するようにしました。石もなるべく C−1815のYランクの石を使って下さい。同等でも違う 石を使う場合はバイアス抵抗値が大きく異なるかも知れません。 一般に1〜2石のトランジスターラジオを作る場合、穴あきのユニバーサル基板を使うことが多いのですが、 初心者の方はラグ端子板を使う方が作りやすいでしょう。図3にトランジスターなどの足の接続を、また図4 にラグ板の部品配置の一例を載せていますので参考にしてみて下さい。 ![]() ![]() イヤホーンジャックは電源スイッチを兼ねるようにする為、少し改造が必要なので図5を参考にして下さい。 ![]() 本来はプラグが差し 込まれるとスピーカー への配線が切れるよう になっています。改造 後はプラグを抜くと配 線が切れます。 ![]() ケースは透明なプラスチックケースが良いのですが、イヤホー ンラジオなのでポケットに入る大きさで、なるべく大きい方が作 りやすいでしょう。右のケースは70mmx90mmx22mm でしたが、厚みに余裕がなくて部品の足を短く切ってラグ板に留 めなければなりませんでした。もう一回り大きいケースを勧めま す。また平ラグ板はビスで、電池ホルダーやバーアンテナは両面 テープで固定するとやりやすいです。
注1 半導体素子の電極間の電圧で、シリコンでは0.6V、ゲルマニュームでは0.1Vとなっています。図1 の場合ダイオード2本が直列になっていて順方向電圧は0.2Vですが、トランジスターのベースの電位は 0.6Vとなっているので、バイアス電流は大部分がダイオードに流れてしまいます。結果としてコレクタ 電流0.1mAに対してバイアス抵抗には約0.9mA流すというアンバランスな回路になっています。 |