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東京杉並ではバーアンテナだけで外部アン
テナなしでも、ほとんどの局が受信できまし
た。また1mほどのビニール線を継げば、う
るさいほど鳴ります。出力的には12AU7
のパラでも十分で、そんなに不足には感じま
せんでした。初期のラヂオでは、並四にしな
ければ十分な感度が得られなかった事を考え
ると、ST管からMT管へと球の進歩が実感
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出来るセットではないでしょうか。なお使用した絶縁トランスは 10Wの物だったので倍圧整流で
も 25mA は取れますので、ヒーターを工夫すればもっと力のある出力管も使えるでしょう。
と言った事で、このセットは全て現在入手可能な部品で組み立てることが出来ました。
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それでも、やはり 球が3本立っていなければ並三らしくない!と、お考えの諸兄も
いらっしゃるかと思い、次のようなセットを作ってみました。
いま秋葉原を根気よく歩けば、一部の並三ラジオ用の部品は何とか手に入るようですが、単連
バリコンとMT整流管の5MK9は入手困難のようです。そこでバリコンは小型の2連バリコン
を使い、整流管は出力管で代用してみました。三極管接続があるのだから二極管接続も出来るの
ではないか、という安易な発想からです。しかし、この方法はかなりイレギュラーなやり方です
し、他のセットについても同様ですがどのような結果になったとしても、私は一切の責任を負い
ませんので、追試の場合はあくまでも自己責任の上での参考とするようにして下さい。また手持
ちが無くて新規購入するのであれば、どうせですから正規の整流管で入手が比較的容易な6X4
の使用をお薦めします。
この6AQ5を整流管に使ったセットは、製作してからたびたび通電していますが、今のとこ
ろ何のトラブルも無いようです。しかし長時間動作の後に再度出力管として使えるかは不明です
ので、ダメになっても良いと思って下さい。さらに中古の4M−P12や6M−P20が手元に
数本あったので試しに使ってみたところ、管の中でバチバチと放電したり、電源を入れたとたん
に電極がビリビリ振動したりしてしまいました。これらの比較的低電圧で動作する球は整流管に
は使えないようです。
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真空管が三本並んだラジオが出来ました。
これならば正真正銘の並三ラジオと言えると
思います。また出力管の6AR5も品薄気味
なので、今は6AQ5に差し替えています。
最適動作ではないのですが、差し替えただけ
でそのまま動作します。ただし、最大定格が
違うのでその逆は不可です。
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ところで並三トランスと呼ばれている電源トランスの電流容量は6AR5には不足気味です。
ST出力管の6ZP1ならば1.5W出力時の消費電流は約20mAなのでこれで十分ですが、6AR5
は3.4W時に40mA以上の電流を消費します。本機では並四トランスですが、それでもしばらく使っ
ているとトランスが熱くなるので、当初はこの変な整流管のせいかとも思ったのですが、考えて
みれば電流容量が目一杯だという事に気が付きました。そこで6AR5のカソード抵抗を増やし
て、消費電流を減らすようにしました。市販の並三トランスを使う場合は、本機のように高めの
カソード抵抗にするほうが良いでしょう。さらに、第二グリッド電圧もなるべく抑えるようにし
て下さい。また整流効率が下がると出力電流は増えるので、整流管の次に50オームの抵抗を入
れて、わずかですが出力電流の増加を計りました。
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