回路としては標準的なリークムラード式なのですが、出力段のB電圧が低いので位相反転段だけ
別電源で供給して出力管を無理なく振り切れるようにいます。それでも別章で紹介したように6C
W5の最大電圧が低いので、無歪で10W得られるようにB電圧を上げていったら、定格オーバー
の動作となってしまったのですが、製作してから半年間常用アンプとして動作させていても別段異
常は見られないので本章で紹介する事にしました。
定格オーバーは無論好ましい事ではないのですが、定格にもいろいろあってプレート電圧などの
最大電圧はある程度のマージンがあるみたいで、それを超えたからといって直ちに寿命に影響する
ものでも無いようなのです。武末数馬先生は6BQ5に350V掛けたセットを発表されていて、
このセットだけは最後まで手放さずに長く愛用していたと聞きます。一方で6CW5や6BQ5等
MT管としては極限の性能を持つ球の損失は、管壁の表面積により決まってしまうので、その最大
値は絶対に超えてはならないのですが、このセットでは無信号時の損失を10W以下に設定してい
るので、この点では無理な動作はさせていません。
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