製作のポイントとしては
1.球は手持ちの16A8を使ったのですが、ヒーターの点火は前章と同様4本直列でのコンデン
サー点火としています。なお現在はロシア製の6BM8も比較的安く入手できるので、その場合
はヒータートランスを使います。
6BM8の場合、ヒータートランス、6.3V 4A 野口 PM 632W 等
8B8の場合、ヒータートランス、8V 3A 野口 PM 083 等
16A8の場合、フィルムコンデンサー、50Hz地域 250V 10+2.2μF、60Hz地域 250V 10μF
32A8の場合、AC100Vを整流してDC120Vで4本直列点火、DC電圧が高い場合は適宜抵抗追加
50BM8の場合、2本直列をAC100Vで直接点火
2.OPTは磁気シールドなど無い剥き出しなので、電源からの漏洩磁束の影響を受け易く、電源
トランスからは出来るだけ離して配置する必要があります。その為にもシャーシの大きさはある
程度余裕のある方が良いでしょう。
3.出力管のDCバランスは、カソードに入っている5.1Ω抵抗の両端電圧が上下同じになる様に
20KBのボリュームで調節します。どの位置に回しても同じにならない場合は、上下の球を入
れ替えて見て下さい。それでも揃わない場合は、上下左右の4本を色々組み合わせて近くなるよ
うにして下さい。この出力トランスはアンバランス電流には強いので、厳密に追い込む必要はな
く大体揃えば大丈夫です。
4.今回使われている6BM8(16A8)は複合管で、ソケット付近の配線が混雑しますが、前段
と出力段側の配線は互いに交差しないような配線を心がけて下さい。また平衡回路のセオリーと
して、出力管からOPTまでの配線をはじめ上下の信号線はなるべく密着させて(撚るとなおベ
ター)配線すると良いです。これは本来二つのユニット間はシールドされているのですが、内部
シールドが五極管のカソードに接続されている為に、全段差動ではこれがアースから浮いてしま
い、いい加減な配線だと容易に発振してしまうのです。(恥ずかしながら経験済みです。)
諸 特 性
特性については、出力以外はべるけさんのオリジナルとあまり変わらない特性でしたので、とり
あえず歪率特性を掲載します。
当機はオリジナルより出力
UPを狙って一回り大きな電
源トランスを使ったので、最
大出力3Wが得られました。
それを越えと急激にクリッ
プが目立つようになりますが
さらに入力信号を上げていく
と出力は4W付近まで上がり
続け、これを超えた処で頭打
ちになりました。
最大出力3W THD 4.2%
NFB 2.9dB
DF=2.6 on-off法1kHz 1V
利得 15.8dB(6.2倍) 1kHz
残留ノイズ 0.48mV
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