そんな折り、何と、トランジスター技術99年8月号に真空管式ラジオの記事が載っていました。 それは電池管を使ったレフレックス方式で回路も往年の高1ラジオのような複同調式でしたが、基 本的にはTr式に近い回路でした。(それにしてもトランジスター技術で真空管ラジオの記事とは なんと珍しい!)しかし、複同調には等容量でシールドのあるエアバリコンが必要で、安価なポリ バリコンは使えません。また球はたくさんあるので更に電池管を買うのも気乗りしません。球につ いては”JF1−OZLのページ”に12AU7を12Vで使用したセットが紹介されていました ので、この手で行くことにしてTr式の回路を低電圧の真空管式に置き換えるようにアレンジして みました。12AU7の片ユニットだけならヒーターも電池で間に合いそうですが、少しでも持ち を良くするために電圧を下げて使うようにしました。だいたい5V前後までは定格の6.3Vの場 合と同等に動作します。というわけで以下のような回路になりました。
上記のセットの一番のネックはやはりヒーター用の電池ですが、店では二本一組で売られている 事が多いようなので、更にヒーター電圧を下げて3Vにしてみました。ところが、さすがにこのま まではプレート電流も0.1mA以下になってしまい、音も小さくてほとんど聞き難いくらいでした。 それならばとプラスのバイアスを加えてみたら、電流も0.15 mAぐらいに増えて上手く動作するよ うになりました。このバイアス電圧は、あまり高くしてもグリッド電流の為なのか感度が落ちてし まうので、このくらいがちょうど良いようです。 ![]() このセットのヒーター電流は約 100mAなので、性能の良くなった単一のアルカリ電池を使えば、 連続で5〜60時間、断続的使用ならば100時間近く持つのではないかと思います。また動作す るまでの時間はかなり長く約40秒ぐらいで、点灯中もヒーターはあまり赤くならないので代わり にLEDをつけています。ケースは電池がかさばって適当なのが無かったので奥の手のタッパーを 使いました。昨今流行のスケルトンケースと言ったところですが、かつてのラジオ少年達はとうの 昔からスケルトンケースを愛用していたのですよ。 ところで 今回のセットは大型電池を使っていながらイヤホーンしか鳴らせないので、始めに言ったように 実用性では疑問符の付くものです。しかし、このセットの球とソケット以外はTrラジオ用の部品 で出来ています。まあ12V電源なので当たり前ですが、今ではこれが大事なことなのです。 最近、真空管ラジオ用の部品は入手難で、たまにあっても大変高価です。特に5球スーパーを作 ろうと思うと部品集めで苦労してしまいます。ところが12Vまで下げなくても30V位で普通の 真空管が動作してくれれば、真空管式スーパーラジオの部品にTrスーパー用のIFTなどの部品 が使えるのではないでしょうか、今回はその為の予備実験の意味も兼ねて製作してみました。 |