開設6ヶ月記念コーナー

メル・ギブソンの「Brave Heart」を観ましたか


1995年度のアカデミー賞作品賞は、メル・ギブソン原作/監督/主演の
「Brave Heart」が受賞しました。栄誉ある作品賞の他に、監督賞、撮影賞、音響効
果編集賞およびメーキャップ賞を受けています。

「Brave Heart」(勇敢な心)は、13世紀末から14世紀初頭にかけて、イングランド
王エドワード一世のスコットランド制圧に対し敢然と抵抗し、イングランド軍を蹂
躪、最後に「自由万歳!」と叫び、従容として刑死した若き騎士ウォーレス
(William Wallace)の短い生涯を描いた作品です。
監督・・・・・・・・・・・・・・・・ メル・ギブソン
ウォーレス・・・・・・・・・・・・・ メル・ギブソン
ミューロン・・・・・・・・・・・・・ キャサリン・マッコーマック
皇太子妃イザベル・・・・・・・・・・ ソフィー ・マルソー

この映画では「アザミ」(jpeg18KB)の花がでてきます。
最初のシーンで、イングランド軍との戦いで父と兄を失い故郷を離れるウォーレス
少年に、可憐な少女ミューロンが野に咲く一輪の「アザミ」の花を差し出し慰めま
す。
後年たくましい青年になって帰郷したウォーレスは、美少女に成長した彼女に、押
し花にしたこの花を差し出し、愛の告白をします。二人はひそかに結婚します。



「アザミ」の花はスコットランド人にとって、大事な意味を持つ(スコットランド
の)国花なのです。
その故事は・・・



ところが愛妻ミューロンはイングランド軍に殺害されます。ウォーレスは、アザミ
の花の刺繍された形見のハンカチを胸に、敢然とゲリラ戦を展開し、散々勝利を収
めました。



危機感を持った老獪なエドワード一世は、スコットランドの貴族たちを篭絡し、姦
計をもってウォーレスを逮捕し、降伏を求めました。
ウォーレスはイングランドに臣従することを拒否し、「自由万歳!」と叫び、断頭
台の露と消えました。



ウォーレスの遺志を継いだのは、散々彼の期待を裏切ってきた大貴族ロバート
ブルース候でした。イングランド軍に立ち向かうブルースの手には、「アザミ」の
花の刺繍されたウォーレスのハンカチが握られていました。
(映画では説明されませんでしたが、フィナーレの戦いは有名なバンノックバーン
の戦いです。この戦いでエドワード二世は敗北し、ブルースはスコットランド王と
なり、スコットランドは再び独立と自由を取り戻しました)



(ウォーレスと皇太子妃イザベルとのラヴロマンスや、ブルースとの絡みなどは史
実の面からはいろいろ疑問がありますが、ともかくイングランドとスコットランド
の確執を知る史劇として面白い)

ウォーレスとブルースについては拙著「ロンドン憶良見聞録」P334−341、または
このホームページの君知るやスクーン石の嘆きと喜びをご覧ください。

英国政府は、今年スコッツ族の聖なる石「スクーンの石」を、ウェストミンスター
大寺院の戴冠式用の椅子から外し、スコットランドに返還することを決定しました。
映画には、ストーリーの直前に起きたエドワード一世の「スクーンの石」を持ち去
る事件が描かれていませんが、およそ700年にもなる悲願(「スクーンの石」の
返還)に応えたのは、映画の反響を無視できなかった、と見るのは私の穿ちすぎで
しょうか。

皆さんは、この映画をどうご覧になりましたか。

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