晴耕庵の談話室

NO.95



標題:懐かしむ古きよきロンドンの経験(2)



QUESTION

2003/11/22

ロンドン憶良様


先日はわざわざお返事まで頂戴いたしまして 恐縮しております。
学校制が本当によく理解できまして ありがとう存じます。

さて私が 憶良さまのページで 見つけ出せないのですが UKの
健康保険制度についての記述がありましたら お教えいただける
とありがたいのですが。

もしなかったらお時間のある時でかまいませんので ページを載
せていただけるとうれしゅう御座います。

私も4年くらい短歌をならいましたが お休みしたら とたんに詠め
なくなくました。力がないのです。
それでは 寒さも増してまいりました。お体ご自愛くださいませ。
図々しいお願いいたしまして すみません。


                    K.K.

EXPERIENCE

2003/11/25

K.K.様


UKの健康保険制度については掲載していません。
いずれ最近の様子を調べてみたいとおもいます。

ご存知の通り、戦後英国は労働党が政権をとり、社会民主主義的
な諸政策をとりました。健康保険制度も庶民階級の福祉の向上に
寄与しましたが、他方では医療水準の低下をきたしたようです。
というのは技術的に優れた医者は、保険医になると報酬が激減し
たようで、カナダなどへの移住やプライベート・ドクターの道を選び
ました。

私の勤務していた会社で、出産のため社会保険のきく病院に入院
したところ、母子ともに亡くなられた不幸な事例がありました。
そのとき以来、会社は、費用は高いがレベルの高いプライベート・
ドクターを使うことを認め、費用を会社が負担することを制度化しま
した。

つまりUKでは医療も二極化していました。小生の家内も英国で
乳腺腫瘍の切開手術をしましたが、帰国して日本の医者に手術
の水準の高さを褒められました。

私たちはハーレー・ストリート(健康保険でない医者の通り)の医者
にかかっていました。その紹介で完全看護のある病院に入院しま
した。
プライヴェート・ドクターの制度が現存しているのかどうか、その後
30年たっていますので知りませんが、多分残っていると思います。
現在の社会保険医療の水準は知りませんが、1970年代ではやはり
一抹の不安があり、当社の駐在員家族は社会保険の病院より安全
なレベルの高い非適用の個人医にかかっていました。

回答になりませんが、身辺に体験した医療事例を紹介しました。


                  ロンドン憶良





THANKS

2003/11/25

ロンドン憶良さま

ご丁寧なご回答をいただき 恐縮いたします。
本当にありがとう御座います。

社会保険制度を しってどうこうするのでもなく また 家族が住む
のでもなく ただただ単純に 私個人の 興味でございます。
お医者さんってどうなっているんだろうか?という疑問でした。

保険料も支払っていない外国人のオーペアだった私ですが風邪
を引いたとき 御主人様がドクターのところに連れて行ってくれ 処
方箋を書いてもらって ブーツで薬を処方してもらった覚えがあり
ます。
それに あまり高いお金を支払った記憶もないので どうなっている
んだろうと今頃思ったのです。

哀しい事例が書かれておりましたので 心が痛みます。

医療現場がそうなっていたのかと 今理解いたしました。
風邪を一度ひいただけで 私はイギリスで 暮らせて本当にラッキ
ーだったんですね。
今の私では とうてい イギリスでは暮らせないからだです。
これまた 悲しい現実。

ときには イギリスにお出かけになられることでしょうね。
いまでも 私にとってはイギリスの人たちはいい人たちで 私は
いい人に恵まれて幸せでした。

友人が3人日本に遊びに来ました。
一人は息子が日本人と結婚した人。
私と知り合わなかったら 息子が日本語に興味など抱かなかった
かもしれないのに面白い字ということで 大学で日本語をとり
北九州大学に留学して そこで 恋愛して結婚してしまいました。
友人から 息子が日本で少しの間暮らした期間 なんとなく 恨み
節をきかされたような。
今は イギリスに帰国して 立派な弁護士になりました。
嬉しいです。

学校で知り合ったイタリア人の友人も 私と友人になったばかりに
オペラの勉強をしにイタリアに来ていた日本人の男性と知人となり
彼の熱烈なアタックに 東京までお嫁に来ましたが なんということ
でしょうか 彼が愛人を作り子供まで出来てしまって 彼女は 傷心
をかかえ来日8年後にミラノに帰りましたが 日本語がわかるので
いまでは 日本語の通訳として結構な仕事があり 今では日本語が
彼女の生活を支えています。
なんだか 昔話をしてしまいました。すみません。

いつのひか 社会保険制度についての ページの出来上がるのを
お待ちいたします。
私はほとんど英語は忘れました。これも 哀しい現実です。
それでは 失礼いたします。                   かしこ
                         K.K.


憶良注 オー・ペア(au pair)は、外国人少女を宿泊させ、軽い家
    事や育児の仕事をさせ、英国内での勉学の機会を与える
    相互便益の制度である。
    girl from overseas who,in return for light household duties,
    receives board and lodging,and facilities for study.
    この制度により、向学心に燃える多くの女性が、世界各国
    からUKに来ていた。
    1980年春以後、日本の女性には許可されなくなった。





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