晴耕庵の談話室

NO.23


A HAPPY NEW YEAR

Y.N.&N.N.様

本年もよろしく。現地最新情報を楽しみにしています。

>12月は、2週目以降家族中次々に風邪に罹り、

その後皆様お元気ですか。2歳のお嬢様が大変でしたね。日本でも風邪が
流行の兆しで、心配です。
(シドニー型とか。オリンピックでもあるまいにと思いますが)

私と動物園のサルは昔から風邪にかかりませんでしたが・・・
クスンと来たらすぐ玉子酒を飲んで寝込み、一晩に三回ぐらい汗をかいて、
下着を着替え、事前に直してきました。ドカッと汗が吹き出たとき、ガバッと
起きてタオルでふき取り用意しておいた下着にすぐ着替えるのがコツです。

海外で病気すると言葉の問題と手助けが得られないので大変ですね。
家内が英国で手術のため入院した経験があります。
どうぞご無理をされず、くれぐれもご自愛ください。

                              ロンドン憶良


REPORT

ロンドン憶良様


メールありがとうございました。こちらこそ、本年もよろしくお願い申し上げます。

昨年暮に我が家を襲ったウイルスは英国中に蔓延し、全国的に病院のベッド・
医師・看護婦の不足を招く事態となってしまったようです。過日この問題につい
ての国会での保守・労働両党首の論戦をラジオニュースで聞きました。
保守党ヘイグ氏:「政府は医療を改善すると約束したのに病院は患者で溢れ、
何時間も待たないと医者に見てもらえない」
ブレア首相:「今病院の設備が悪いのは保守党時代に医療費をケチったから
だ。迷惑しているのは我々だ」
こういうわかりやすい論戦が日本の国会で聞かれないのはどうしてでしょうね。

国会と言えば、日本でも報じられたと思いますが、英国上院(House of Lords)
の世襲貴族議員が廃止されることになりました。正確に歴史を溯れる範囲では、
ジョン欠地王にマグナカルタを認めさせて以来の900年近い貴族政治にいよい
よ終止符が打たれるのです。上院は、下院に対する拒否権こそありませんが、ピ
ノチェト元チリ大統領の問題でも分かるように最高司法機関としての役割もあり
ますし、国王に次ぐ国権の地位を占めています。上院の開会式が、あのロンドン
塔に保管されている王冠State Crownが使用される唯一の機会であることからも、
その国政上の重要性が伺えます。

制度の上では、国王−世襲貴族−一代貴族−平民という封建制の構造がその
まま残っていたわけです。英国の政治と言えば、政党責任内閣制の草分けとし
て、民主政治のお手本のように考えていましたので、これは少々驚きでした。
日本人の感覚で言えば、江戸時代の公家・大名と、戦前の貴族院が現代まで
そのまま残っている、といったところでしょうか。

*****
我が家から車で10分程のところにDarwenという小さな街があります。そこに
Darwen Towerという塔があり、晴れた日の見晴らしが素晴らしいと聞いて、この
間の日曜日に軽いハイキングのつもりで行ってみました。
塔は今から百年ほど前にヴィクトリア女王の50th Jubileeを記念して建てられた
ものだそうです。よく晴れた日には西にウェ−ルズのスノウドン、北西にマン島、
北に湖水地方、東にヨークシャー、南西にはピーク・ディストリクトと、イングラン
ド北部全体がほぼ見渡せるのです。


前日から気温が低く、前の週に雪が降ったこともあって、片道約1マイルの登り
道はいたるところ2〜3センチ程度の氷が張っていました。子供達は落葉にきれ
いな霜の花が咲いているのに気を取られてよく滑りました。
一部氷の解けているところはMoorの粘土と牧草がグズグズになって足を取られ、
これまた歩行は困難を極めました。
約1時間で頂上に到着。6歳の長女が一番元気が良く、真っ先に塔の階段をど
んどん昇って行きます。その日は珍しく、雲一つない快晴でした。
西の果ての霞のなかに、うっすらと山並が見えました。スノウドンです



そして北には湖水地方の山々。



寒風の中でしたが、子供達も双眼鏡を取合いながら、景観を満喫していました。
塔を降りて軽い昼食を摂った後、別の道から丘を下り(こちらの方が整備されて
いて楽でした)、家路につきました。

塔ですが、当時の金額で6千ポンドもかかったそうです。女王の記念とはいえ、
こんな荒地の丘の頂上に塔を建てる、と言う案はどこから出てきたものやら・・・。

****
今年はこんな地元の隠れた名所子供達とともに巡ってみたいと思います。

Y.N.

                  
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