晴耕庵の談話室

NO.15


REPORT


98/11/ 1
標題: 1日アップ分拝見しました。

ロンドン憶良様

かさねてメールをいただきありがとうございました。 ハーフタームで子供達の
学校が休みだったので、ミュンヘンへ出かけていました。 お返事が遅くなり申
し訳ありません。

1日アップ分拝見しました。 こんなに載せていただいていいのでしょうか。 写
真にはわざわざ著作権マークまで。私共はこうしてメールを差し上げることで、
折々の自分の考えをまとめる機会を持たせていただけることをかえってありがた
く思っています。

この夏は週末以外休めなかったので、久しぶりの休暇でした。 おいしいビール
とソーセージを堪能してきました。残念ながらオクトーバーフェストは終わった
ところでしたが。 そして、アメリカ・ニューヨーク州ロチェスター在住中に知り
合った友人(ドイツ人です)に10年ぶりに再会しました。お互い3人の子持ちに
なりましたが、以前と変わらず和気あいあい語りあい、子供達も、言葉の壁も忘
れて楽しい時を過ごしました。

また、念願のノイシュバンシュタイン城見物も果たし、実り多い休暇となりました。
この1年ほどの間に、イングランドの、なだらかな丘が広がる風景にすっかりなれ
ていたので、バイエルン連山と、その後ろですでに雪を頂くアルプスの山並みが、
とりわけ新鮮でした。 子供達は、ウェールズで見た「城」と、今回のノイシュバン
シュタイン・リンダーホーフがあまりに違うので驚いていました。確かに同じく
「城」と言うにはあまりに違いすぎますね。

そうそう今回の旅行でもう一つ収穫がありました。 日本でも人気の「ロマンチ
ック街道」が、もともとはローマから続く Roman Road だったと知ったことで
す。恥ずかしながら、ただ単に浪漫チックな風景が続くから、と解釈していたの
です。 わかってみれば他に何があるというほど自明のことなのに・・・ 何事に
よらず、自分で経験してみるとわかることがあるものです。

すっかりルードヴィヒにかぶれて、ワーグナーをきいています。ミーハーとお
笑いください。私達も時間が許せば、憶良さんのように、あの素晴らしいバイエ
ルン州立歌劇場でオペラを見てみたかったです。 クラシック音楽に関して言え
ば、圧倒的にドイツ語圏が優勢ですね。 主人はモーツアルトが、私はバッハや
ベートーヴェンが好きなので、秋・冬の定期演奏会などぜひ行ってみたいと思っ
ているのですが。

このところ、リスが車に轢かれているのをよく見ます。 夏の間、あれほど上手
に身を潜めていたのに。 そういえば、ハーフタームになる直前、子供達がせっ
せとコンカー拾いをしていましたっけ。(憶良さんのお子様方も、きっと一時期
熱中なさったことでしょう。) もうそろそろ秋も終わり、リス達も懸命に冬ご
もりの準備をしているのですね、時に身の危険も忘れてしまうほど。 我が家の
庭でも、この時期だけは毎日リスを見ます。 そして、街行く人の胸にはポピー
の花が。 だんだんこの国の風物にそれぞれの季節を感じられるようになってき
ました。

憶良さんがいらした頃はそれほど盛んではなかったでしょうか。今日はハロー
ウィンでした。子供達は変装して、学校のPTA主催のパーティへ行きました。我
が家へも、近所の子供達がお菓子をねだりにきました。 これもやがてこの国の
風物の一つになっていくのでしょうか。
これからも季節ごとの風物をお伝えし、イングランド歳時記を綴っていけたら
いいなと思っています。 ではまた・・・

                             N.N.


RESPONSE


Nさん

ドイツの旅日記興味深く拝見しました。

> 友人(ドイツ人です)に10年ぶりに再会

古い友人と再会されよかったですね。国際親善は個人レベルで草の根のように
繋がってこそ本物のような気がします。
この談話室にもホームステイや留学や駐在勤務など様々な体験をされている
20代30代の方のメールや、掲載していませんが高校生・小学生の海外研究
の質問など、「国際交流を体験した、あるいは興味を持つ新しい日本人」が着
実に増えている気がします。
(少年時代に鬼畜米英と教わり、眼前で日米空中戦をみ見た私は、私や子供の
世代がこのように世界と接するということ夢のようです。平和は貴重です)

>同じく「城」と言うにはあまりに違いすぎますね。

「ウェールズの城」はノルマン風実戦型の「城」にたいし、ノイシュバンシュ
タイン城はディズニーのモデルになった、近代的なおとぎの「城」ですからね。
さらにフランス・ロワールの城を訪れますと、まさに「館」(やかた)の印象
です。

> ローマから続く Roman Road

10月に友人夫妻がバースからコッツウォルド(Cotswold)さらにカーディフ
のBBの旅から帰り、バースのローマ時代の遺跡の規模(特に風呂のインフラ)
に驚嘆していました。「ローマ人は楽しむことでもスケールが大きかった!」
やはり必見の場所と推薦した甲斐がありました。

かってスペインのセゴビアのアルカカサールを訪れた時、ローマ時代の巨大な
水道橋が2000年後の当時も水を運んでいると聞いて、古代ローマ人の征服
の版図だけでなく、土木技術の水準に圧倒されたことを思い出します。

浪漫チック街道(Romantish Strasse)はノイシュバンシュタイン城に象徴される
文字通り空想的、夢幻的なキャッチフレーズで、うまく表現されていますが、
この城そのものは19世紀後半1869年の着工ですから、130年前の新しい
ものですね。
ドイツの石造建築は古代ローマ人の北征や7.8世紀のキリスト教の教会建築
の北上に影響されたといわれていますので、地理的に見ても南ドイツのいわゆる
「ロマンティック街道」は本来「ローマへの道」でしょう。

私は仕事でデュッセルドルフ、フランクフルト、ミュンヘンしか訪れていませ
んので、特に北イタリアから南ドイツ(バイエルン)の旅を、民宿や列車でゆ
っくりしてみたい夢を持っています。いつの日か(^^;)・・・
バイエルンは人種的にも文化的にも経済的にも北ドイツと違うことを、ミュン
ヘン出張で感じました。ドイツとかイギリスと括ってはいけないですね。

> コンカー拾いと子供達は変装して学校のハローウィンパーティ

うちの子もコンカー拾いとハローウィンパーティ経験しています。
白雪姫とこびとのひげや帽子など変装の小道具を作りました。
こういった底抜けの馬鹿騒ぎも、日本の真面目すぎる教育にはないストレス解消
の一手段でしょう。親も子もその日を楽しみにしていましたから。

> イングランド歳時記

Nさんの筆を楽しみにしています。
ではまた
                ロンドン憶良


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