さて土曜日曜ともなると、両大学のOBたちはもちろん、世界各国から
ロンドンに仕事で来ている元オアズメンたちもうずうずして、テムズの
河岸ハマースミス橋の辺りで練習を眺める。コースはパットニィ橋から
チズヴィック橋まで、4マイル1/4(6800米)を漕ぎ上るロング・レー
スである。
- 外食券集めて漕ぎし合宿の麦飯なつかしテムズ河畔に
(オックスフォード・ケンブリッジ戦近し)
練習が終わるとともかく腹が減り、憶良氏たちは丼に盛られた麦飯を
よく食ったものだった。3回生の頃から豊作となり、食料事情は好転し
たが、外食券を使った経験のある世代は、もう日本の社会では少数派
になりつつある。
まだ寒風の吹く川岸で、両クルーの仕上がりぶりを眺めつつ学生時代
を懐古した憶良氏の歌が、朝日歌壇の故五島美代子先生の選に入っ
た。
かくして4月7日土曜日が来た。曇天波浪の悪コンディションであったが、
鈴なりの観衆の見守る中、午後3時45分、伝統のレガッタはまず第2ク
ルーのアイシスとゴルディのスタート・ダッシユで熱戦の火蓋は切られた。
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