UKを知ろう


プリンス・オブ・ウェールズ二つの話題

女王、皇太子信託基金の活動に最大級の賛辞



時を同じくして、バッキンガム宮殿で"The Prince's Trust"の祝賀会が開催
された。
女王は「国民のために貢献しているチャールズ皇太子の"The Prince's Trust"
を誇りに思う」と最大級の賛辞を呈したと報じている。

チャールズ皇太子信託基金は勅許状(Royal Charter)を受け、1976年に
創設されて以来、40万人の恵まれない青少年が恩恵を受けてきたそうで
ある。
その中には、受刑者からテレヴィのプロヂューサーに社会復帰している方
に、事務所の什器備品を支援したような事例もあるという。

今後5年間にさらに3万人の青少年がビジネスにつくことを支援する計画と
のことである。


日本ではあまり知られていない「英国皇太子信託基金」についてちょっと
紹介してみよう。

皇太子信託基金は23年前に、チャールズ皇太子が青少年支援を目的に
設立された。

「英国(UK)の青少年の技術を向上させ、新に自信を持たせ、さらに夢を
達成させたい」
(improve skill,gain new confidence and achieve thir ambition)

現在の総運用額は32百万ポンド(邦貨約58億円)という。

14歳から30歳までのUKの若者ならば誰でも援助の対象になる。
周囲に支援が求められない立場資金的に困っている青少年が、例えば
大学進学資金とか、就職のための準備費用とか、技術取得のための費用、
あるいは何か自営開業したい時のビジネス・ローンや助言、旅行のため資
金が必要な時など、いろいろなケースが取り上げられている。

奨学資金など現在支援を受けている件数  30、000
独立自営の支援をした件数           40、000

これまでの支援件数               400、000

この基金の運営のために英国全土に配置されている専門スタッフ400人
                    活動を支援するボランティア11、000人

何と壮大な全国規模の青少年支援組織であろうか。




平素何かと波紋を起こしているやに見える皇太子であるが、一方では地道
な活動をしていることを見落としてはなるまい。
その活動を女王はきちんと評価し、母としての率直な喜びを表明したように
感じた。

日本では病気・災害遺児たちは僅かに善意の寄付による「あしなが育英基
金」で限られた人数が高校・大学進学の支援を受けているにすぎない。
身寄りの無い青少年や受刑者が、ビジネスに乗り出す資金を出し、助言を
する基金は皆無であろう。
技術習得や修学旅行(Outing and excurtion)までの幅広い多目的な青少年
支援基金を知らない。

掛け声だけは「青少年支援」と言いながら、今や世界一の巨額の赤字国債
のツケを21世紀の青少年に残す国となった。

オックスフォード大に学ばれた英邁な皇太子殿下・妃殿下が、このような青
少年支援の多目的基金を創設されると、日本の青少年に明るい未来が開
けよう。
国民は拍手喝采し、基金への寄付など支援を惜しまないのではあるまいか。
もし来訪者に、宮内庁、総務庁、厚生省、文部省、通産省あたりの関係者の
方がいれば、縦割り抜きで検討してもらいたいものだ。

「歴代首相基金」なども考えられるが、どうしても売名的な、あるいは功利的
な世俗の垢が付きまといそうで、共感は得られないであろうから。


英王室の活動は外交や福祉など幅広くアクティヴで、日本の参考になると
感じるのはロンドン憶良氏だけではあるまい。


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