君はイストか、アーなのか
(前頁より)
「でもちょっと気になりますね。大工(カーペンター)配管工(プラマー)
農夫(ファーマー)なども-er ですけどね。古葉さん、ひょっとしたら意外
にもバンカーは肉体労働型の-er かもしれませんね。
『バンカーは 運(ン)が欠けりゃ ただのバカー』
となりますからね」
憶良氏は、先輩の折角の仮説を覆すような発言をする。

「アッハハハ。憶良さんの川柳には参った参った。確かに日本の銀行
員は運便り、預金集めの体力勝負かもしれないね。
バンカー・プロフェッサー同等論はおかしくなっちゃったかな。まあいい
や、例外のない規則はない(There is no rule without any exception)
というところで終わりにしよう」
二人のバンカーは、紅茶のポットを空にして、意気揚々と倶楽部を出
た。
後日談ながら、憶良氏と交友を続けているダンは、ロンドン勤務の後
シカゴに本店を置くC銀に移り、今はマネージング・ディレクター(常務)
に栄進している。
1991年春、憶良氏はシカゴで彼と交歓して来た。数年振りに会った
ダンは、鬢に白髪が交じっていたが、エコノミストのイストから貫録の
あるディレクターのアーになっていた。
アー結構、結構。
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