ゴルフするならキャディから
(前頁より)
かくして18ホールは無事終わった。一同はネクタイをつけ、ジャケット
を着てクラブ・ハウスに入った。英国のクラブ・ハウスでは必ずネクタ
イと上着が必要である。
「諏訪村君、次長のキャディどうだった?」
ハイ・ティー(午後三時頃に食べるハムとパン程度の軽食と紅茶のセッ
ト)を取りながら、壮太君がニヤニヤ笑いつつ聞いて来た。
「いゃー、実に参考になりました。正直なところキャディをやれと言われ
た時は、カッと頭に来ましたが、基本的なマナーが身についていないと
よく分かりました。
感謝してます。日本ではあそこのキャディはマナーがいいとか態度が
悪いとか言いますが、考えてみますと主客転倒してますね」
「日本は商業ゴルフになっているからね、余計なサービスも仕方ない
んだろうよ」
かくして新人のゴルフ・マナー・レッスンは終わった。
戦前と戦後を比べて、日本人が国際的に評判を落としていることの一つ
に、礼儀作法が悪くなっている点があるらしい。
経営者はゴルフに溺れず、中堅幹部は若者にゴルフのマナーとエチケッ
トをしつけてほしいものだ。さすればK先生に「ゴルフ馬鹿」とお叱りを受
けることは減るであろう。
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