ダライ・ラマ14世
北アイルランドで活躍の予定
(速報)



日本ではまだ報道されていないようであるが、2000年10月19日の
BBC News WORLD によれば、ダライ・ラマ14世は25日(水曜日)
北アイルランドを初めて訪問し、27日(金曜日)ベルファストで開催
される「和平の道」(The Way of Peace)というセミナーのリーダーを
務める予定である。

このセミナーはカトリック・プロテスタント両派が会合し、和平実現
を宗教面で具体的にどう調和し推進するかという趣旨の会議であ
る。ダライ・ラマは司会者としてまさに最適任であると、宗教団体の
みならず政治団体や市民にいたるまで各界から歓迎され、期待さ
れている。

ダライ・ラマはこの司会のほか、市民を前に30分の公開講演を行
い、3日間の滞在中、各地を訪れ住民との意見交換、大学での講
演、紛争の犠牲者や傷病者たちとの懇談、宗教界との協議、ビジ
ネス社会や現地チベット人との交歓など精力的な活動が予定され
ている。

ダライ・ラマは、中国のチベット支配によりインドに亡命し、非暴力
による世界平和を唱え、1989年にノーベル平和賞を受賞している。
彼は、「宗教のハーモニー」を説いている。つまり自己主張ではな
く、異なる主義主張や信仰を、相互に認め合い、尊重し、『争うの
ではなく、調和共存』を身をもって示すと思われる。



ダライ・ラマと同行する共同司会者のローレンス・フリ−マン・カトリ
ック神父は、
「我々は、北アイルランドの住民の心の奥底や、勇気ある和解の
行動や、歴史の傷の癒しを、共に分かち合うところまで来た」
と述べている。
The visit co-ordinator Catholic priest Laurence Freeman, who will
accompany the exiled leader, said: "We have come to share in the
true spirit of the people of Northern Ireland, their courageous work
for reconciliation and in the healing of the wounds of history."

カトリックとプロテスタントの、同じクリスチャンの骨肉の争いは、ブ
レア首相の努力により、ようやく和平合意が成立し、さらにブリティ
ッシュ・アイリッシュ協議会の開催まで進展したことは、すでに紹介
してきた。

勿論、IRAの一部やプロテスタントの一部は、依然として暴力的な
行動にでることもあるが、もはや北アイルランドの住民の大半は和
平を望んでいる。

政治・経済・社会面での協議は進んでも、肝心なのは精神面であ
る。酢とサラダ油のようなそのままでは分離するなじまない関係を、
どうしてうまくフレンチ・ドレッシングのように纏めるのか難しいとこ
ろである。

チベット仏教の活仏ダライ・ラマは、その人柄といい、実績といい、
このカトリック・プロテスタントという同じクリスチャンの和平会議を
まとめる「時の氏神」としてまさに適材であると、マンデルソン・北ア
イルランド担当相はじめ多方面から歓迎されている。

クリスチャン世界の争いの解決に、いわば緩衝材や媒体の役割と
して仏教のスピリチュアル・リーダー起用を画策した知恵者は誰で
あろうか。
非暴力の敬虔な宗教者ダライ・ラマの率先垂範が、北アイルランド
の人々に感銘を与え、和平が一層進展するよう期待される。

日本では報道されるかどうか分からないが、ダライ・ラマ14世の行
動に注目しよう。



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