スリー・スコア・アンド・テン
(前頁より)



したがって英国会社法にならって、原則として70歳引退を法制化する
のが無難で、現実的と考える。法制によって、誰も傷つくことなく、スム
ーズに世代の交替ができるのではなかろうか。

70歳・スリー・スコア・アンド・テン。各界の大物たちは叙勲を受け、健
康であろうとなかろうと、能力があろうと惚けていようと、一斉に現役か
ら壮観かつ華麗に引退するのである。
功なり名遂げた後老醜を晒し、引き際を逸した方々は枚挙に留まらな
い。引き際こそ男の美学である。

もし健康で、能力があれば、公共のために国内外の無給のポストにつ
いていただいて、奉仕活動に専念されれば、国民から益々尊敬され、
文字どおり有終の美を飾れよう。




明治維新は、黒船の来航と下級武士たちの刀の力で、世代交代が為
された。

戦後の復興は、占領軍による強引ともいえる公職追放令の結果、経験
の浅い若手社員の抜擢によって見事に成功した。

知識経験の浅い若手に任せても、ちゃんとやれる実例があるのだ。
若者が佩刀していない現在、占領軍の強制力がない現在、高齢者の
辞任は何の力によるべきか。結論は一つしかないようだ。

「大人の叡知、法制によりましょう。商法に70歳の年齢制限を織り込み
ましょう。実務型の英国国民の知恵を真似して、スリー・スコア・アンド・
テンで行きましょう」
と言うのが、憶良氏の提言である。


父の叙勲の通知で、はからずも憶良氏は充実した思考の時間を持つ
ことが出来た。
だが15年経った現在も、事態は何も変わっていない。日本の会社法
研究の方々は、英国会社法185条をどう評価されているのだろうか?
読者の皆さんは、英国人の現実的な対応をどう考えますか?


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