銀河を彷徨い、時を紡ぐ地球は、青く漂う宇宙の旅人である
 芭蕉は地動説を知っていたに違いない
 自らの視点を変えることのできる者だけが
 世界の真の姿を見いだすのだ
 
   スペイン編      イギリス編     スロベニア編 
   New Zealand編    Australia編(工事中)
   タイ編(工事中)

「秋尾敏の俳句世界」に戻る


※ 芭蕉35歳の作に次の句がある。

  甲比丹もつくばはせけり君が春
  水学も乗り物貸さん天の川

   「甲比丹」はカピタン。長崎から将軍を訪ねたオランダ人が、将軍に「つくば」った(ひれ伏した)、というのだ。
  当時、長崎のオランダ商館(VOC)からは、幹部3人が、毎年3月に江戸の将軍を訪れていた。
   次の「水学」は水学宗甫のことで、長崎仕込みの技で売った水からくりの名手である。牽牛、織女の恋に、
  オランダ渡りのからくりが手を貸そうというのである。当時の新奇な素材を持ち込んだいかにも談林の句で、
  こういう句を読むと、江戸の新しものずきな其角などが、芭蕉に近づいていったのもうなずける。水学の手が
  必
要なほど水量豊かに見える見事な天の川、という意味であるから、単なる言葉遊びの句とは言えない。
   いずれにしても、元禄前後の西洋文化の普及ぶりは、私たちの想像を超えている。

                             参考 『大江戸視覚革命』 タイモン・スクリーチ 作品社 1998
                                 伊藤洋氏「芭蕉DB」