Fender Precision Bass考



Fender Precision Bass 1952
●その生い立ち

 米Fender社が世界に先駆けてElectric Bassの販売を開始したのは1951年、だそうです。
 そのモデル名はご存知「Precision Bass」。Precision(正確な)という名前の由来は、
 このBassがフレット付きで、「誰でも正確な音程で演奏できる」ことが売りだったから
 と言われています。(Wood Bassはフレットレスで、音痴のヒトは演奏が大変だった)

 このPresicion Bassはその歴史の中で3回の大幅な仕様変更が為されています。
 その最初のモデル(1st Type)はブロンド仕上げに黒ピックガード/ボディのコンター
 加工無し/小さめの独特なヘッド部というスペックであり、前年(1950年)に発表され
 たTelecaster(Broadcaster)に外形が酷似していました。
 2nd Typeの登場は1954年で、その年に発表されたStratocasterの仕様に合わせるかのよ
 うに、ボディにコンター加工が加わりました。
 3rd Typeの登場は1957年。おなじみのヘッド/ピックガード/ピックアップに変更され、
 以降は少しづつマイナーチェンジを経て現在に至っています。

 面白いのは、この1st TypeのPrecision Bassが1968年から再生産されたことです。ただ
 し、直系Precisionと区別するためか、名前を「Telecaster Bass」と改められます。
 このTelecaster Bassも時代を経るごとにマイナーチェンジされ、フロントにハムバッ
 キング・マイク、ピックガードも白い別の形となり1970年代後期まで生産されました。

 こうした事情もあり、Precision BassとTelecaster Bassは混同されがちです。
 特に1968年製は外見が同じでもモデル名がPrecision/Telecasterと2種類あるようなの
 で、注意が必要です。

●John Paul JonesのPrecision Bass

 JonesyはJazz Bassを愛用していましたが、1970年頃に撮影されたいくつかの写真で初
 期型Precision Bassの使用が認められます。(1952年製と言われている)
 ピックガードとブリッジカバーが外されており、のっぺりかつワイルドな外観です。
 また、Player誌99年11月号の記事によると、当時はブロンド塗装を剥がしてナチュラル
 に再塗装されていたようです。
 現在は英国のギター職人ヒュー・マンソン氏によってオリジナル仕様に戻され、Jonesy
 のスタジオの壁に飾られています。

●Jimmy PageのPrecision Bass

 Jimmy Pageは2nd TypeのPresicion Bassを所有しているようです。ブラウン・サンバ
 ースト塗装がボディとヘッドに施されていますが、おそらくはリフィニッシュではない
 かと思われます。

●Professor 大塚氏のPrecision Bass

 我らが大塚教授のPrecision Bassは、ご本人の申告によると1953年製だそうです。
 ピックガード/ブリッジカバーが取り外されており、正しくJonesy仕様なのが嬉しいと
 ころです。(さすがに塗装は剥がしていなかった?)
 初期曲の演奏で、これから大活躍が期待されます。


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