Sheng

笙について

中国大陸で生まれた吹奏楽器。中国語の発音はシェン(Sheng)、日本語の発音はショウ(Shou)。中国殷の時代(紀元前1401年~前1122年)には、既に笙についての歴史的記載がある。『世本』では「随作笙」、『礼記・明堂位』では「女禍氏之笙簧」。甲骨文中に""字とあり、それは即ち小さい笙のことで、その起源説により笙は遥かに古くからあることが推定できる。笙の本体部分は、古代では瓢箪(ひょうたん)、現在では匏(ふくべ)と呼ばれる部分の上に、竹管を円形に配置してある。

 笙は、竹管の下に金属製の簧(した、リード)がついて、息を吸ったり吐いたりしてリードを振動させて音を出す。構造上、演奏する呼気によって楽器内部が結露しやすく、結露してしまうと音そのものが出なくなるので、中国の笙は、金属の部分にお湯を入れて温度が下がらないようにし、日本の笙は、火鉢で温めながら演奏する。

 現在、所知年代の最も早い実物は、中国湖北省にある『曽侯乙の墓』の中から発見された笙で、竹管十四本、リードは竹で出来ていて、竹管を2列に分けて匏(瓢箪)上に挿してある。日本へは唐の時代に伝来し、当時の中国と同じ笙が、雅楽の中で使用されている。現在中国で使用されている笙は、改良されて、唐の時代のものとは異なっている。

 笙は、春秋時代において、戦国と秦、漢の際は重要な吹奏楽器であった。南北朝、隋に至って、唐までの間に、十九の簧、十七の簧、十三の簧数種があった。唐の時代には、木製の匏が用いられるようになった。明、清時代では、広範に民間の器楽合奏と戯曲、説唱演芸伴奏に応用出来るように改良された。当時の笙の形は四角もの、丸いもの、大きいもの、小さいもの諸般の異種の類型があり、流行したものは、十三の簧と十四の簧の笙。現代の常用の笙は、円形で銅製の匏で作られており、その上に竹管を馬蹄形に並べている。笙の右側は竹が組まれておらず、手食指を挿入可能。リードも、銅で作られたもの。三つ或いは四つの音組成の和音で吹奏する。

 多年を経た楽器職人の改革改良によって、十七簧笙を基本に、共鳴管付けた二十一簧笙、二十四簧笙があり、のちに鍵盤キーを付け加えた三十六簧笙も制作された。二十四簧笙と三十六の簧笙は、伝統和音演奏方法ばかりでなく、西洋和音三和弦或七和弦を奏し出すことが可能。音量は比較的大きく、転調に便利。笙の演奏技巧と表現力は絶えず改良進歩しており、合奏に用いることも出来、伴奏と独奏の両方に幅広く用いられている。十七の簧の笙音域は#c1~g2、二十一の簧の笙音域はg~b2となっている。