米国パソコン店頭販売市場考察


 米国のパソコン店頭販売マーケットから我が国のマーケットを考えてみたいと思います。
パソコンの日本国内の世帯普及率は20001年にはいよいよ50%を越えようとしています。このことから、20001年から20002年にかけて日本国内のパソコンマーケットには大きな変化が予測されます。世帯普及率が70%近い米国の現在の市場を見ながら、商慣習の違いはあるものの日本の今後のマーケットを考がえるにあたり、参考になるものも多くあるとおもいます。
今回の現地滞在の中で、気がついた点をいくつかご報告します。訪問先は米国東海岸Newyorkを中心としてNewjersey,Philadlphiaの各都市とその周辺を中心に訪問しました。
     


 現在、米国のリテイルマーケットは空前の好景気に支えられ大きく活況を呈しています。しかしながら、基本的には供給が需要の2倍を上回るオーバーストア状態が続いており、浮沈の変化が激しい市場となっています。それだけに常に新しいコンセプトが生みだされているという土壌があります。
また、リアルの世界以上に変化が激しいのがバーチャルな市場です。このWebを中心としたinternetマーケットも一時のブームから完全にリテイルの一部分として定着しており、最近ではリアルとバーチャルとの融合、「マルチチャンネル」が成功の鍵と言われています。実際の店舗はそのブランド・商品を実際に体験する場へと変化してきています。インターネット時代、社会に人々が店舗に求めるものはエキサイテイングな感動ということになります。

また、最近の特徴としては、エンターテイメント,ウエルネスがキーワードとなっています。一つは消費者が大きく世代交代していること、また、とにかく現代人は、特に都会では忙しい、無駄なことに時間は使いたくない、共稼ぎ家庭ではこの傾向は顕著であり
Walmartなどの大手流通の営業時間も大半は朝7:00から20:00迄という店舗が多く、朝の出勤前に買い物を済ませる利便性に貢献しています。またこの時間のない消費者はWeb利用の有力な顧客となっています。このような状況の中で店舗での滞在時間を伸ばさせる事は重要な要素であり、ナイキタウンやワーナーブラザーズストアなどのエンターテイメント系ストアが人気を集めています。例えばナイキの直営店、ナイキタウンでは5Fまで吹き抜けの店内には15分おきにスポーツを中心とした画像が放映され顧客を飽きさせず、店内滞在時間を大きく伸ばすことに成功しています。

また、後者ではデイスパが流行しています。フイットネスとエステテイックを中心としたケアを短時間で楽しもうというものです。
NYのマンハッタン地区だけでも100店舗以上有ります。
従来の化粧品で作る美しさから、健康、ストレスフリーから作る美しさへと方向転換しています。
現に地方ではそうでもありませんが、NYでは、女性の服装はいたって、カジュアル&シンプル、化粧もほとんど目立ちません。


モバイル事情で目に付いたところでは、店舗でのパーム関連の展示の多さ(周辺機器含め)と空港などでの施設の整備でしょう。空港では、キーボードつきの公衆電話やクレジットカードで使える電話も多くPCとモジュラーで通信を行っている
ビジネスマンの姿も多くみられます。

    

また、機内ではほとんどの機材の各席にやはりクレジットカード対応のモジュラーコンセントつき電話が完備されており
機内で簡単に通信を行うことができます。
この社会インフラとも言うべき整備は、道路にもあらわれており、これから日本でも普及を進めようとしている、電子料金収受システムが稼働しており(Ez Pass)、約80%程度が利用していると思われます。
全米をくまなく結ぶFreeWayは一部は有料ですが、NY市の出入り以外は一般に安く、1ゲート通過35セント(40円)程度のものが多く安いガソリン、大規模なFreeWay網(動脈系ルートではトラック混合車線3車線・乗用車専用車線3車線の片側6車線区間が多く)と相まって経済を支える基盤となっています。


SOHO事情、米国では、10年前から企業の不況によるダウンサイジングやその後の好況でも旺盛な独立志向によって
SOHOの数が増え現在では全米の家庭の30%近くがこれに当てはまっています。
そこには当然大きな市場が形成されており、オフイススーパーストアとしてOfficeDepo,Staplesなどがこれに当てはまります。
これらは、郊外型のスーパーセンター(平均2000平方メートル)と都会型のエクスプレスに分けた運営を行っています。
営業時間はほとんどの店舗が7:00から21:00となっています。
ここでの販売は文具が中心であり、PC関連は周辺機器、ソフトが中心でPC本体はデスクトップが数台程度となっております。
また、いずれの店舗でもCompaQのBTOオーダーは可能になっています。
郊外型店舗では、これにオフイス家具も加わった構成で、PC周辺機器はプリンタ展示が圧倒的、ソフトでは米国ならではの家庭用税務ソフト、子供向けソフトが多く目立ちます。

  


さて、肝心のパソコン販売店ですが企業としては、CompUSA,BestBuy,CurcuitCityなど、先ほどのOfficeDepoなどは周辺・ソフトが主体ですが、量販店・PC店ではPC本体販売はそれなりの展示面積を占めてはいますがそれでも大型店でもノート30台、デスクトップ30台程度の展示量、液晶デスプレイはCRT展示30台中3台程度の構成。周辺・ソフトは先ほどのSOHO向け企業と同じでプリンタが最も大きい展示、また、購入時のリベートクーポンを多数用意して、そのクーポン値引きを組み合わせることによって低廉な販売価格を実現していますが、店頭ではフリーPCの展示はありません。(例:コンパック13,3TFTノートPC 通常1699ドル compuServe インターネット(利用料月22ドル)契約3年で-400ドル、AMDCPU搭載なのでクーポンを郵送すれば-100ドル で1169ドル、他にも周辺機器にはほとんどキャッシュバッククーポンが付随しています。店舗は都市部は複数フロアに分かれてはいますが、郊外店では全てワンフロアで構成されています。展示は性能プライス表記が中心、展示は山積対応で特に特徴は有りません。企業によっては、広いスペースを生かし、顧客をしっかりとした椅子に座らせながら接客販売する所もあります。パソコン以外ではさすが家の広い米国だけあって、大型TV(CRT・リアプロ)のコーナーが多く展開されています。
どの店舗でも、店舗入り口近くにカスタマーサービスカウンターを必ず設置し、返品・交換・修理を受け付けています。返品は期限付きの企業(BestBuyではPC関連は2週間、その他AV,家電は1ヶ月)もありますが、理由は問いません。これは、大手デイスカウントントストアのWalmart,Kmart,Targetなど でより顕著で、返品する客が列を作っており店員は気軽に客の持ってきたレシートをスキャンし、返品理由も聞かずその場ですぐに現金返金を行っています。このことは結局メーカー返品へと結びついており、決して本質的に正しいとは思いませんが、消費を刺激する要因の一つにはなっているようです。その大手デイスカウントントストアの代表格はWalmart,Kmart,Targetなど 店舗は1フロア、平均で2500平方メートル店舗はやたら広い、購買頻度の高いもの、生鮮の非取り扱い店でも、頻度の高い生活雑貨等が近い場所にあり客に無駄な動きをさせない配置になっています。
世界第2位の小売業、フランスのカルフールはいよいよ今年日本進出しますが、世界1の小売業Walmartの日本進出が注目されています。

    


以上気のついた点を列挙してみました。国民性・地域性が大きく違う中で一概にはいえませんが、少なくとも米国ではPC本体はそれほど大きな興味やビジネスの中心ではなくなってきていることは確かなようです。ユーザーやマーケットの成熟化で我が国でも単なるPCは同じような経過をたどる可能性があります。この大きな転換点でいかに企画・提案するか、大切な時期になってきたようです。

   



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