1週目(10月24日〜30日)

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日付 PaPaの日記 唯ちゃんの日記
10月30日  今日は、唯ちゃんのお母さんのお葬式にきていた友人を訪ねて回っていたそうです。でも、やっぱり手がかりはなかったそうです。本人は「落ち込んでませんから」とはいっていますが、やっぱり・・・。
 でも、今日話す内容を忘れてしまった時、初めて唯ちゃんの笑顔を見ました。かわいいなぁ・・・やっぱり・・・
 今日、お母さんのお葬式に来てくれてた友人の長谷部さんのところへ行ってきました。いろいろ親切にしてもらったけれど、お父さんのことまでは詳しく知らなくて…。
 ただ、どこかに本当のお父さんがいるっていうのは聞いたことがあるらしくって、少し話を聞けました。手掛かりというには、あんまりな内容だけど。でも、なにもないよりはマシかな…。
 それに、今日でこのお家の人と約束した1週間が過ぎてしまった。おじさんのところには絶対に帰らないけど、もうこのお家にお世話になるわけにもいかない。行くあてはないけど、とにかく明日、このお家を出よう。多少、手持ちのお金もあるし、なんとかなるはず…
 でも、ひとりぼっちになるって、こんなに不安で、さみしくて、つらいことだとは思わなかった。お母さんと一緒のときは、よく1人になりたいって思ったことがあったけど…
 お母さん、唯のこと、どうしてひとりにしちゃったの?
10月29日  今日は近所を回っていたそうです。でも宗教の勧誘と間違われたそうで(汗)、あんまりドアは開けてもらえなかったそうです。でも、「もう時間もないし」って?どういうこと???
 今日はお母さんのことを聞こうと思ったら、「つらいからあんまり話したくない」と言われてしまいました。ゴメンね・・・
 「早く学校にも行きたいんだけど、まだ無理ですよね」ともいっていました。本当は早く学校へ行って、みんなに会った方が気も紛れると思うのだけれど・・・まあ、仕方ないか・・・
 あ、そういえば、昨日の夜遅く、唯ちゃんから「まだお仕事ですか、大変ですね」と声をかけられてしまった(笑)。本当はチャットしてたのだけど(汗)。
 最近、ちょっと疲れ気味だから、今日は公園や図書館へ行ってブラブラと過ごした。みんなは学校で勉強したりしてるんだなぁなんて思ったら、ちょっとヘンな気分がした。
 私だって、みんなと一緒に勉強したり、部活したりしたいのに…どうしてこんなところでひとりで、ポツンと時間つぶしなんかしてるんだろって…。こんなんじゃ、不良か家出少女みたいじゃない…。
 おじさんさえ、もうちょっと普通の人だったらな。私たちのお家や家財道具全部処分しちゃって…それにお母さんの形見のバイオリンまで売るって言うなんて、あの人はお金のことしか頭にないのかな。唯やお母さんのことなんて、どうでもいいんだ。でなかったら、あんなマネ、できるわけないもん…。
 お母さん、どうして死んじゃったの? どうして唯をおいてけぼりにしちゃったの? しかも、あんな変なおじさんのところへ。
 もう、ヤだ。こんな生活…。
10月28日  今日もお役所へ行って来たそうです。でも全然進展はなかったそうです。残念だったね・・・明日はどうするのかな?元気出してね。
 今日、初めて母について話してくれました、何でも、空港で事件に巻き込まれてしまったそうです・・・最後は涙声になっていました・・・
 しかしこれでもう、唯ちゃんは手がかりと呼べるものをすべてなくしてしまったのかなぁ・・・これからどうするのだろう?
 昨日に引き続きお役所へ行ってきました。なにも話は進まなかったんだけど、これからどうするのかとか、学校のこととか、逆にいろいろ質問攻めにあっちゃって…なにもちゃんと答えられることがなくて、悲しくなっちゃった。
 お母さん、どうしたらいいの? そんな難しいことばっかり質問されたって、どう答えていいか、よくわかんないよ。唯だって、お母さんさえ生きていれば、なにもお役所なんか行かなくったってすんだんだから…私ばっかりそんなに責めたってしかたないのに…お役所の人、キライ。みんな、キライ。もう、どうだっていいや。お母さんのいない世界だもん。私ばっかり、こんなにイヤな目にあう世の中だもん。
10月27日  今日は、またお役所に行って来たそうです。でもまだなにもわからないそうです。そんなに気を落とさないで・・・
 部屋からポケベルで呼び出したら、唯ちゃん出てきました(汗)。まさか家の中からでも呼び出しができるとは(笑)。
 今日は、彼女もあちこち歩き回って、少々疲れていたようです。「お風呂に入りなさい」といったら、喜んで入りにいきました。でも、「ありがとうございます」と毎回お礼を言われても・・・(汗)
 今日はお役所へ行ってきたんだけど…住民課とか福祉課とかいろんなところをたらいまわしにされちゃって、疲れちゃった。やっぱり、手掛かりはなし…ふぅ。
 でも、あきらめちゃいけないね、お母さん。どこかにきっと、なにか手掛かりが残ってるはずだもんね。とにかく、このままじゃだめ。なんとしてでもお父さんの居場所をつきとめて、そこへお世話になる段取りをつけないと。でないと、また、おじさんのところに逆戻り…。
 でも、それだけは絶対イヤ。…お母さんさえ生きていてくれたら、こんなことにはならなかったのに…。
10月26日  今日は警察に行って来たそうです。でも手がかりは全然なかったそうです。「明日お役所に行ってみる」といっていました。でもやっぱり、あんまり期待はもてないだろうな。
 彼女のことをまた一つ知りました。緑が丘教育大学の附属中学の一年生だそうです。こんな若い子が・・・大変だなぁ・・
 お風呂に入っているとき、二回も呼んだら、ちょっと怒りっぽくなってしまいました(汗)。今度から気をつけようっと。しかし、「おふろにはいりなさい」と言われるまで唯ちゃんは風呂に入らないのだろうか?毎日ちゃんと入れてやらないといかんなぁ・・・
 今日、警察署へ行ってきました。私担当の婦警さんとかが親切にしてくれたんだけど、手掛かりはなんにもなし…。人捜しって、考えてた以上にむずかしいことなんだ。簡単にはいかないだろうって予想はしてたんだけど…どうして唯だけ、こんな目にあわなきゃいけないの…お母さん、ねぇ、どうして?
 誰のせいでもないって思うようにしてるんだけど、でも、誰かのせいにしたくなる。あの日、あの時、あの場所にいたっていうだけで、どうして唯だけ、こんなつらい目にあわなきゃいけないの…いっそ、お母さんと一緒に死ねればよかった。生きてたって、こんなんじゃ、なんにもいいことなんかないもん。どうしてあんな演奏旅行なんか、引き受けちゃったの? あんなの行かなきゃ、こんな目にあうことなんてなかったのに…。
10月25日  今日は、学校とお役所に行って来たそうです。学校の方はしばらくお休みをもらったそうですが、お役所は調べるのに2,3日かかるそうです。全く、こんな子が苦労しているって言うのに・・・ブツブツ・・・
 唯ちゃんは、どうやら、着るものも持ってきてないようなので、洋服をプレゼントしました(トランプの絵柄のやつ)。これはそれなりに受け取ってくれたのですが、相変わらずお小遣いは受け取ってくれません。
 昨日はお風呂に入っていないみたいだったから「お風呂に入ってきなさい」と言ったら、喜んで入りにいきました。15分ぐらいで戻ってきたから、結構速風呂だな(笑)。
 まだ気持ちの整理がついていないようなので、お母さんのことは、まだなにも話してくれません。まあ、家を出て2日目だから無理もないか・・・聞くのはかわいそうだったな。
 ふと思ったんだけど、この部屋暖房効いているのかなぁ・・・短パンではちょっと寒いと思うぞ(汗)。
 今日、学校に行って、木下先生に事情を話してきました。先生、少し困ってたみたい…。
 だけど、困られても私だってどうしようもない。だいたい空港であんな事件に巻き込まれるなんて、誰にも予想できないし…それで、しばらく学校はお休みにして、お父さんを捜すことにしてきました。
 久しぶりにカズや亜美とも会えて、休みの日は一緒に捜してくれるって言ってもらえて、ちょっとうれしかったんだけど…。でも、このお家にずーっとお世話になるわけにはいかないから。
 お母さん、どうして本当のお父さんのお家の住所、書いておいてくれなかったの?
 どうして、こんな関係ない人のお家の住所、書いてたの? 間違っただけ?
 唯、どうしたらいいのか、わからないじゃない。
 そうだ、今日このお家の人から洋服をもらいました。私、逃げだすように出てきちゃって、制服しか持ってこなかったからちょっと助かりました。
10月24日  今日、ゆいちゃんが家にやってきた。何でもお父さん探しをしているらしい・・・唐突にやってきたのでびっくりしたけど・・まあ、上がって行きなさい(汗)
 まだ名前は「ゆい」だということしか教えてくれません。
 今日は、なにを聞いても上の空です。今日はもうなにも聞かないでおこう。
 今、お母さんが残してくれた手紙の住所にあったお家にいます…ごめんなさい、おじさんの所は出てきちゃいました。お母さんのバイオリン売るって言われて我慢できなくて、バイオリン持って逃げてきちゃいました。唯、がまんの足りない子ですね。
 そして、また日記つけはじめる事にします。今までみたいな風にはいかないけれど…。そういえば、前書いてた日記には、お母さんにしかられたとき、よく悪口書いてたりしたもんなぁ…ゴメンね、お母さん。ちゃんとあやまっておけばよかったね…。なんだか、自分がこわれてしまいそうだから、日記をつけることで、なんとかバランスとれたらいいなって思ってます。
 ところで、お母さんの言う通り、このお家にきてみたけれど…お家の人、どうやら私の本当のお兄ちゃんじゃないみたいです。どうしよう、お母さん。おじさんのところには、もう帰りたくないし…。
 唯、少しの間だけ、このお家に泊めてもらうことになったんだけど…大丈夫なのかなぁ。迷惑にならないよう、明日から本当のお父さんを捜そうと思ってます。いろいろややこしいことになりそうなので、ちょっと不安…。
 このお家の人が優しい人みたいなので、久しぶりにぐっすり眠れるかもしれません。

        

2001/08/01 03:48:42;109812;bx9n-ymmr;RETR;ok;/homepage/yui/1to10/yui01.htm