読書を助けるための用語説明3


ヌサ・プニダ島
サヌールの東方、インド洋上に浮かぶ島。面積約200平方km。魔王ムチャリンの住む島としてバリ島民から恐れられている。本島へはクサンバ(クルンクン)から、隣島ルンボガン島へはサヌールから船便がある。<戻る>

ププタン
バリ語で「終焉」の意味。古来バリでは、戦闘で敗北を期した王が名誉ある死=自決を選び、多くの場合その家族や家臣が殉死する慣わしがあった。現在ププタンという語は、19世紀末のオランダ侵攻から独立戦争に至る外国の侵略に対するバリ人の集団自決行動(玉砕)という民族主義的な脈絡で使われることが多く、反植民地、独立のシンボルとなっている。<戻る>

ロンボック海峡
バリ島とロンボック島との間に横たわる海峡。ウォーレス・ラインとして知られるアジアとオーストラリアの動物生態区を分かつ境界線でもある。<戻る>

プラ・ルンプヤン・ルウル
カランガスム(アンラプラ)北方のアバン付近のビスビス山にある寺院。<戻る>

プラ・ルウル・ウルワトゥ
デンパサールから南方に突き出たバドゥン半島の西端にある寺院。ダンヒャン・ニラルタが入定した地として有名である。詳しくは第11章を参照。<戻る>

プラ・ルウル・バトゥ・カウ
バリ島のほぼ中央、バトゥ・カウ(別名バトゥ・カル)山中腹にある寺院。<戻る>

プラ・ブキット・プグルンガン
ブレレンとタバナン県境グヌン・マング山にある寺院。<戻る>

プダンダ
バリ語の発音はプダンドゥ。ブラフマナ(同ブラフマノ、婆羅門)階級出身の僧侶、祭司。それに対して平民出身の僧侶はプマンクという。<戻る>

グンタ
祈祷の際プダンダが用いる鈴。<戻る>

マントラ
バリ語の発音はマントゥロ。梵語で咒文、真言の意味。ヒンドゥー教や仏教の儀礼で僧侶が唱える祈祷文のこと。<戻る>

ウェダ
梵語ヴェーダのバリ訛り。ヒンドゥー教の基本聖典。<戻る>

グヌン・カウィ
バリのグヌン・カウィは、タンパクシリンにある古代仏教遺蹟。ジャワのグヌン・カウィは、東ジャワのマラン南方にある山。海抜2551m。<戻る>

バパ・クリアン
クリアンは団体の長。バパは年長者に対する敬称で、「...さん、...おじさん」といった意味。ニョマンの祖父はペジェン村の村長を務める。<戻る>

ムンウィ王国
ムンウィは、デンパサールの北北西約15kmにある。かつてはジャワ東部まで勢力を伸ばしたバリ随一の強国だったが、1890年にバドゥンに征服された。<戻る>

プセリン・ジャガット寺
バリ語で「世界の臍」という意味。ペジェンにある古代王国の中心寺院。詳しくは第12章を参照。<戻る>

ラトゥ・ロロ・キドゥル
ジャワ語でラトゥは「王、女王」、ロロは「乙女」、キドゥルは「南」という意味。<戻る>

マタラム
中部ジャワのヨクヤカルタ地方の古名。起源は1578年頃にさかのぼり、建国者はスノパティとされる。その子パネンバハン・セダ・クラプヤックは、ヨクヤカルタ南東のコタ・グデに王宮を設け、王国をマタラムと称した。1755年スラカルタとヨクヤカルタに分裂し、マタラムという国名は消滅した。<戻る>

ロロ・ジョングラン寺院
中部ジャワ、ヨクヤカルタとソロとの中間、プランバナン村にある古代ヒンドゥー教寺院。シワ・ウィシュヌ・ブラーマの三大塔の回廊には、古代インド叙事詩『ラーマーヤナ』を題材にしたレリーフが廻らされている。<戻る>

チャトゥル山
チャトゥルは、梵語で「四」を意味する。<戻る>

マジャパイト
ジャワ語・バリ語の発音ではモジョパイト。ジャワ最後にして最大のヒンドゥー国家。1292年建国。大宰相ガジャ・マダ(次々注)の功により、14世紀中葉、現代インドネシアに匹敵する領土を獲得したといわれる。イスラム勢力に追われた王族らはバリに亡命し、マジャパイトの末裔を名乗るものが貴族層に多い。<戻る>

ブダウル
現在のブドゥル村付近に王宮があった国王の名。ブダウルとは「首(ウル)をすげ替えた」という意味で、この王は首を自由に切り離す呪力を持っていたという。ある時、切った首を川に落としてしまい、家臣が慌てて豚の首を付けてしまったという伝説に因む。<戻る>

インドラ教
バリ語の発音はインドゥロ。インドラはインド神話の最高神で雷神。仏教では帝釈天として知られる。<戻る>

ブラーマ教
バリ語の発音はブラモまたはブロモ。ブラーマ神はヒンドゥー教の創造神で火神。仏教では梵天として知られる。<戻る>

ウィシュヌ教
バリ語の発音はウィスヌ。ウィシュヌはインドのヒンドゥー教神ヴィシュヌのこと。秩序の維持を担い、たびたび地上世界に化身を顕わすとされる。<戻る>

シワ教
バリ語の発音はシウォ。シワ神はインドのヒンドゥー教神シヴァのこと。暴風神、破壊者の一面をもつ。仏教では自在天とされる。<戻る>

ルシ
梵語リシ。隠遁者、行者。王族や貴族で、壮年期を過ぎ隠遁生活に入った者を指す。<戻る>

ウィハラ
梵語ヴィハーラ。仏教徒の僧院。<戻る>

ウルン・ダヌ
正確には、ウルン・ダヌとは「湖(ダヌ)の畔」という意味で、湖の女神はデウィ・ダヌとするのが正しい。<戻る>

グヌン・アグン山
「偉大な(アグン)山」の意味。海抜3142mはバリ最高峰。中腹にブサキー寺院がある。<戻る>

バトゥ・カウ山
「西(カウ)の山」の意味。バリ島のほぼ中央、デンパサールの北北西約40kmにある山。海抜2276mでアグン山に次ぐ。「椰子の実の殻の山」を意味するバトゥ・カルとも呼ばれる。中腹に六大寺院の一つプラ・ルウル・バトゥ・カウ寺がある。<戻る>

ヌサ・プニダ島
サヌールの東方、インド洋上に浮かぶ島。面積約200平方km。魔王ムチャリンの住む島としてバリ島民から恐れられている。本島へはクサンバ(クルンクン)から、隣島ルンボガン島へはサヌールから船便がある。<戻る>

ブラーマ
バリ語の発音はブラモまたはブロモ。ヒンドゥー教の創造神で火神。仏教では梵天として知られる。<戻る>

シャクティ
バリ語の発音はサクティ。シワなどの男神は自身では通力を発揮せず、配偶者=女神の女性原理を介して発現できる。これをシャクティ(性力)と呼ぶ。バリでは人間や聖物などに宿る呪力エネルギーにも用いる。<戻る>

パンジ物語
文武両道で色好みの理想的王子を主人公とする文学作品の総称。15世紀頃の東部ジャワに起源をもち、16世紀以降マレー、カンボジア、バリに広まったと考えられる。<戻る>

ラーマーヤナ
古代インドの大叙事詩。ジャワとバリの文学・美術・演劇などに大きな影響を及ぼした。<戻る>

プラ・ジャガットナタ
ジャガット・ナタとは「世界(ナタ)の中心」という意味。<戻る>

パリ・サダ
バリにおけるヒンドゥー教改革運動。本来多神教であるヒンドゥー教が、至高神の創出という条件のもとで共和国公認の宗教と認められた。プラ・ジャガットナタには、最高神サンヒャン・ウィディ・ワサが祀られている。<戻る>

パドマサナ
蓮座。バリ語の発音はパドモサノ。パドマは「蓮華」、サナは「場所」の意味。<戻る>

ププタン
バリ語で「終焉」の意味。古来バリでは、戦闘で敗北を期した王が名誉ある死=自決を選び、多くの場合その家族や家臣が殉死する慣わしがあった。現在ププタンという語は、19世紀末のオランダ侵攻から独立戦争に至る外国の侵略に対するバリ人の集団自決行動(玉砕)という民族主義的な脈絡で使われることが多く、反植民地、独立のシンボルとなっている。<戻る>

ベモ
小型の乗合バス。インドネシアにはベチャと呼ぶ三輪の人力輪タクがあるが、ベモとは、ベチャ・モトル、すなわちモーター付ベチャの意味である。四輪のワゴン車が一般的だが、デンパサールの市街地を循環するベモは三輪車が使用されている。<戻る>

ジュプン
インドネシア語名カンボジャ。キョウチクトウ(夾竹桃)科の小高木、プルメリア。白、淡紅色の花をつける。ジュプンはバリ語で日本のことでもある。<戻る>

サド・カヤンガン
梵語起源のバリ語でサドは「6」、カヤンガンはプラの雅語で「神霊(ヤン)の坐す所」を意味する。六箇の寺院については諸説がある。詳しくは第9章を参照。<戻る>

バリ・ウク暦
バリで行なわれている暦法の一つ。ウクとは週のことで、7曜×30週=210日を1年とする。正式には、1日1週から10日1週まで10種類の暦が同時平行しており、非常に複雑である。<戻る>

バトゥ・カルの神
バトゥ・カルは「椰子の実の殻(カル)の山」の意味。バリ島のほぼ中央、デンパサールの北北西約40kmにある山。海抜2276mでアグン山に次ぐ。「西(カウ)の山」を意味するバトゥ・カウとも呼ばれる。中腹に六大寺院の一つプラ・ルウル・バトゥ・カウ寺がある。<戻る>

マジャパイト
ジャワ語・バリ語の発音ではモジョパイト。ジャワ最後にして最大のヒンドゥー国家。1292年建国。大宰相ガジャ・マダ(次々注)の功により、14世紀中葉、現代インドネシアに匹敵する領土を獲得したといわれる。イスラム勢力に追われた王族らはバリに亡命し、マジャパイトの末裔を名乗るものが貴族層に多い。<戻る>

クディリ
東ジャワ州都スラバヤの西南約100kmにある都市。別名ダハ。929年頃から1222年まで都が置かれた。都が他へ移った後も副王が置かれ、文化の中心地として栄えた。<戻る>

ガネーシャ
バリ語の発音はガネサ。ガナ、ガナパティともいう。象の姿をしたインドの神で、シワ神とウマ女神の息子とされる。学問と智慧の神で、我国では聖天として知られる愛欲の神でもある。<戻る>

プラ・デサ...プラ・ダラム
バリの各村には、村の始祖を祀るプラ・プセー、村の会議や祭礼を行なうプラ・デサ、死者を祀るプラ・ダラムがある。<戻る>

ジャバ...ダラム
ジャバ(ジャバアン)は「外」庭、トゥンガーは「中」庭、ジェロアンは「内」庭のこと。ダラムは「内奥の、深淵な」という意味があり、「奥の院」に近い。<戻る>

サンガー
先祖の霊を祀るため屋敷内に設けられた場所。バリの世界観で神聖な方角であるカジャ(南部バリでは北東)側に置かれる。貴族の屋敷のものはムラジャンまたはプムラジャンという。<戻る>

クリアン家
クリアンは団体の長。厚木は、ペジェンの村長宅に逗留している。<戻る>

クボ・エダン寺
クボ・エダンは、バリ語で「気違い(エダン)水牛」という意味。寺名の由来となった躍るビマ像や髑髏を杯にして酒を飲む羅刹像など古代遺物が多数残っている。<戻る>

ワリンギン
榕樹、バンヤン、ガジュマル。人体が絡み合ったような形姿の太い幹、多数の気根をもち、釣鐘型に枝と葉が広がる。王宮・寺院前、市場、村の広場・墓地に見られる。<戻る>

プマンク
寺守。平民出身の祭司。<戻る>

チャンディ
語源は、シワ(シヴァ)神の妻で死の女神ドゥルガー(バリでは魔女ランダと同一視される)の別名チャンディカに由来するという。狭義には王や貴族の墓廟と、ヒンドゥー教、仏教の神仏像を安置する金堂を意味するが、広義にはヒンドゥー=ジャワ期のあらゆる宗教建築物を意味し、仏塔や僧院を含む。<戻る>

リンガ石
バリ語の発音はリンゴ。男根を模した彫像。陽石、石棒。ヒンドゥー教ではシワ(シヴァ)神のシンボルとされるが、バリでは太古から男根崇拝があった。<戻る>

パドマサナ
蓮座。バリ語の発音はパドモサノ。パドマは「蓮華」、サナは「場所」の意味。<戻る>

ジャガットナタ寺
バリの州立寺院。ジャガットナタとは「世界(ナタ)の中心」という意味。第11章を参照。<戻る>

バパ・クリアン
クリアンは団体の長。バパは年長者に対する敬称で、「...さん、...おじさん」といった意味。ここでは、厚木が逗留しているペジェンの村長のこと。<戻る>

マジャパイト
ジャワ語・バリ語の発音ではモジョパイト。ジャワ最後にして最大のヒンドゥー国家。1292年建国。大宰相ガジャ・マダの功により、14世紀中葉、現代インドネシアに匹敵する領土を獲得したといわれる。イスラム勢力に追われた王族らはバリに亡命し、マジャパイトの末裔を名乗るものが貴族層に多い。<戻る>

ウィシュヌ神
バリ語の発音はウィスヌ。インドのヒンドゥー教神ヴィシュヌのこと。秩序の維持を担い、たびたび地上世界に化身を顕わすとされる。<戻る>

サラスワティ
インドの河と水の神サラスヴァティーのこと。学芸の神でもあり、我国では弁才天、弁財天、弁天と呼ばれる。<戻る>

プヌングンガン山
東ジャワ州スラバヤ市の南約50km、マラン市との間にある山。海抜1653m。円錐形の頂上を四つの峰が二重に取り囲み、上空から眺めると八葉蓮華が開いたように見えるという。古来、ジャワのスメール山(須弥山=仏教学で宇宙の中心にあると説く聖山)として神聖視されてきた。山中に太古以来の遺蹟が80か所以上ある。<戻る>

シュリウィジャヤ
現代インドネシア語の発音ではスリウィジャヤ。7世紀から14世紀にかけ、南スマトラのパレンバン(室利仏逝)およびジャンビ(三仏斉)を中心に繁栄した海上通商国家。長期にわたりマラッカ海峡の通航権を握り、最盛期の通商範囲は南インド、東南アジア沿岸から台湾まで及んだ。この国の公用語がムラユ語(マレー語)でインドネシア語の母型である。<戻る>

アイルランガ
エルランガともいう。バリ語の発音はアイルランゴまたはエルランゴ。マヘンドラダッタとウダヤナの長男。アイルランガとは「海を渡った者」という意味でもあり、バリで出生した彼が海峡を渡ってジャワの王家に入婿したことと関係があると思われる。<戻る>

ブラフマナ
バリ語の発音はブラフマノ。インドのブラーミン(婆羅門)に当たる。カーストの最高位で、世襲の祭司・僧侶階級。<戻る>

サトリア
バリ語の発音はサトリヨ。インドのクシャトリヤに当たる。カーストの第2位で、王族階級。<戻る>

クトゥラン
10世紀にジャワより渡来した僧。シワ教と仏教の教義に通じ、ブドゥルで催された宗教会議の指導的役割を果たした。ゴワ・ラワー寺、ウルワトゥ寺など各地に寺院を建立した。<戻る>


Created by
NISHIMURA Yoshinori@Pustaka Bali Pusaka,1996-2000.