読書を助けるための用語説明2


ブダウル
現在のブドゥル村付近に王宮があった国王の名。ブダウルとは「首(ウル)をすげ替えた」という意味で、この王は首を自由に切り離す呪力を持っていたという。ある時、切った首を川に落としてしまい、家臣が慌てて豚の首を付けてしまったという伝説に因む。<戻る>

考古学博物館
ブドゥルとペジェンの間にある考古局バリ支所の付属博物館。バリ各地から出土した遺物を展示する。<戻る>

トリワンサ
バリ語の発音はトゥリワンソ。「三つの氏族」という意味で、ブラフマナ(同ブラフマノ)、サトリア(同サトリヨ)、ウェシア(同ウェシヨ)の三つを指す。人口の約10%を占める。一般に、トリワンサ自身はジャワのマジャパイトからの移住者の子孫と考えている。<戻る>

バンジャル
地区、聚落。デサ(村)内の小さな自治組織。デサ同様、バンジャルごとに寺院(プラ・バンジャル)を持ち、祭礼を行なう。<戻る>

コピ・ブブック
豆を挽いて粉状にしたコーヒー。バリでは、コピ・ブブックを入れたカップに熱湯を注ぎ、粉が沈澱するのを待って飲む。<戻る>

バトゥ・カウ
「西(カウ)の山」という意味。バリ島のほぼ中央、デンパサールの北北西約40kmにある山。海抜2276mでアグン山に次ぐ。「椰子の実の殻の山」を意味するバトゥ・カルとも呼ばれる。中腹に六大寺院の一つプラ・ルウル・バトゥ・カウ寺がある。<戻る>

プラ・ウルワトゥ
デンパサールから南方に突き出たバドゥン半島の西端にある寺院。六大寺院の一つで、ダンヒャン・ニラルタが入定した地として有名である。詳しくは第11章「懸崖の寺」を参照。<戻る>

グヌン・アグン
バリ語で「偉大な(アグン)山」の意味。海抜3142mはバリ最高峰。中腹にブサキー寺院がある。<戻る>

サド・カヤンガン
梵語起源のバリ語でサドは「6」、カヤンガンはプラの雅語で「神霊(ヤン)の坐す所」を意味する。六箇の寺院については諸説がある。詳しくは第9章を参照。<戻る>

ニョマン
出生順に基づくバリの呼称の一つ。貴族以外の第3子、第7子。<戻る>

プヌリサン
キンタ・マニ高原バトゥール山の西北にある山。海抜1745m。山頂に六大寺院の一つプラ・トゥグー・コリパン寺がある。詳しくは第2部第3回を参照。<戻る>

バトゥール
バリ語でバトゥールは「聖なる、神々しい」という意味。海抜1717mの活火山。アグン、バトゥ・カウとともに太古より神々の峰とされている。<戻る>

アバン
アバンは「火、赤い」という意味。バトゥール山の東南にある山。海抜2153mでバリで三番目に高い。山麓にバリ・アガの住むトゥルニャン村がある。<戻る>

ウルン・ダヌ・ブラタン
バリ島のほぼ中央部、ブラタン湖畔にある寺院。詳しくは第10章を参照。<戻る>

グヌン・カウィ
ウブッドの北北東約10kmにあるタンパクシリン村にある古代仏教遺蹟。詳しくは第6章を参照。<戻る>

ゴワ・ラワー
クルンクンとカランガスムを結ぶ海道沿いのプシンガアン村にある寺院。六大寺院の一つで、蝙蝠の棲む洞窟がある。詳しくは第9章を参照。<戻る>

チャンディ・ダサ
クルンクンとカランガスムを結ぶ海道沿いの村チャンディ・ダサにある寺院。夫婦和合の神と女神を祀る。詳しくは第8章を参照。<戻る>

サケナン
サヌールの南方、スランガン島の西北端にある寺院。海神を祀る。スランガン島は海亀の生息地として有名である。<戻る>

サダ
デンパサールとタバナンを結ぶ街道沿いのカパル村にある寺院。ムンウィ(次注参照)の国家寺院の一つだった。<戻る>

タマン・アユン
デンパサールの北北西約15kmのムンウィにある寺院。ムンウィはかつてバリ随一の強国だったが、1890年にバドゥンに征服された。「美園」という名のとおり、ムンウィの栄華を偲ぶことができる。<戻る>

トゥンガナン...ブドゥグル
トゥンガナン(チャンディ・ダサ北方)、トゥルニャン(バトゥール湖東岸)、ブドゥグル(ブラタン湖南方)は、バリ先住民バリ・アガの文化が残る村として有名である。<戻る>

ヌサ・プニダ島
サヌールの東方、インド洋上に浮かぶ島。面積約200平方km。魔王ムチャリンの住む島としてバリ島民から恐れられている。本島へはクサンバ(クルンクン)から、隣島ルンボガン島へはサヌールから船便がある。<戻る>

ニョマン
出生順に基づくバリの呼称の一つ。貴族以外の第3子、第7子。<戻る>

バパ・クリアン
クリアンは団体の長。バパは年長者に対する敬称で、「...さん、...おじさん」といった意味。ここでは、厚木が逗留しているペジェンの村長のこと。<戻る>

チャンティック
女性に対し「可愛い、綺麗な」という意味のインドネシア語。バリ語では、ジュゲッ(低位)、アユ(尊敬)という。ちなみに男性に対してはガンタンを使う。<戻る>

アイルランガ
エルランガともいう。バリ語の発音はアイルランゴまたはエルランゴ。マヘンドラダッタとウダヤナの長男。アイルランガとは「海を渡った者」という意味でもあり、バリで出生した彼が海峡を渡ってジャワの王家に入婿したことと関係があると思われる。<戻る>

ランダ
バリにおける魔女の統領。チャロナランとも呼ばれ、伝説ではバリ出身のジャワ王アイルランガの母マヘンドラダッタの変身した姿といわれる。ランダはバリ語で「未亡人」を意味するが、マヘンドラダッタは夫ウダヤナ王に先立って死去しているので、史実と合わない。舞踊では、聖獣バロンの好敵手である。<戻る>

プクリサン川
バトゥール山麓に源を発し、ギアニャル県をほぼ南流してバドゥン海峡(インド洋)に注ぐ。川名はクリス(短剣)に由来し、流域には古代遺蹟が多数ある。<戻る>

クボ・イワ
バリ語の発音はクボ・イウォ。「若い(イワ)水牛」という意味。神話では太古にバリ島を創造した巨人。バトゥアン(ギアニャル)のプラ・ガドゥーに、彼の首といわれる巨石像がある。マジャパイトのバリ征服に先立ち、ガジャ・マダにより殺害された。<戻る>

『ナーガラクルターガマ』
古代ジャワの歴史的詩書。マジャパイトのアヤム・ウルック王の治世、宮廷詩人プラパンチャが編纂した。1365年成立し、マジャパイト最盛期の様子がうかがえる。1894年、ロンボック島で写本が発見された。<戻る>

カカウィン
古代ジャワ語の韻文(詩)作品の総称。詩人を意味するカウィからの派生語。<戻る>

マンディ
水浴、入浴を意味するインドネシア語。バリ語ではマンジュスまたはカイエー(低位)、ムシラン(普通)、ムスチアン(尊敬)という。<戻る>

オダラン
バリの寺院(プラ)はそれぞれ固有の「創立記念日」をもち、バリの暦で1年あるいは半年に1度に巡ってくるその日に数日間催される祭りのこと。実際にはその日に最も近い満月の日前後が選ばれることが多い。オダランには信徒が集まって寺院を飾り付けて神々を寺院に招き、持ち寄った供物で饗応し、祈りを捧げる。<戻る>


ラワール
肉と皮の生血和え。豚の肉と皮を細かく刻み、血を加えて和えた料理。<戻る>

バビ・グリン
仔豚の丸焼き。<戻る>

ベトゥトゥ・ベベック
アヒルを蒸し焼きにした料理。<戻る>

トゥアック
椰子を醗酵させて造った酒。<戻る>

アラック
椰子を蒸留して造った酒。<戻る>

インドラ
バリ語の発音はインドゥロ。ヒンドゥー教の神々の総帥。雷神、武神。仏教では帝釈天として知られる。<戻る>

クラトン
ジャワ語で王宮、宮廷。語源的にはク・ラトゥ・アン、すなわちラトゥ(王)の居住地を意味する。<戻る>

クリアン家
クリアンは団体の長。厚木は、ペジェンの村長宅に逗留している。<戻る>

サロン
下半身に巻いて着用する腰布の総称。通常、長い1枚物のバティックを用いる。<戻る>

スレンダン
衣服の上から腰に巻く布。サロンとともに、祭礼時以外に寺院に入る際の略装となる。<戻る>

クバヤ
女性の上衣。<戻る>

チャンティック
女性に対し「可愛い、綺麗な」という意味のインドネシア語。バリ語では、ジュゲッ(低位)、アユ(尊敬)という。ちなみに男性に対してはガンタンを使う。<戻る>

キジャン
トヨタ製の乗用車。キジャンはインドネシア語で「鹿」の意味。<戻る>

サンガー
先祖の霊を祀るため屋敷内に設けられた場所。バリの世界観で神聖な方角であるカジャ(南部バリでは北東)側に置かれる。貴族の屋敷のものはムラジャンまたはプムラジャンという。。<戻る>

デワ・マギス
バリ語で「甘露の(マギス)神」という意味。<戻る>

ゲルゲル
雅名スウェチャプラ。クルンクン南方にある古都。1380年、デワ・クトゥト王により遷都。以来、マジャパイトの文化を復興したと伝えられる。家臣の纂奪から王位を回復したデワ・アグン・ジャンベにより、1686年クルンクンに遷都。<戻る>

リンガ石
バリ語の発音はリンゴ。男根を模した彫像。陽石、石棒。ヒンドゥー教ではシワ(シヴァ)神のシンボルとされるが、バリでは太古から男根崇拝があった。<戻る>

プヌングンガン山
東ジャワ州スラバヤ市の南約50km、マラン市との間にある山。海抜1653m。円錐形の頂上を四つの峰が二重に取り囲み、上空から眺めると八葉蓮華が開いたように見えるという。古来、ジャワのスメール山(須弥山=仏教学で宇宙の中心にあると説く聖山)として神聖視されてきた。山中に太古以来の遺蹟が80か所以上ある。<戻る>

ラウ山
中部ジャワのソロ市東方、中ジャワ州と東ジャワ州との境にそびえる火山。海抜3254m。古来神々の棲む山として崇敬されてきた霊峰である。<戻る>

ヌサ・プニダ島
サヌールの東方、インド洋上に浮かぶ島。面積約200平方km。魔王ムチャリンの住む島としてバリ島民から恐れられている。本島へはクサンバ(クルンクン)から、隣島ルンボガン島へはサヌールから船便がある。<戻る>

ワルン
簡単な造りの小さな店、茶店、屋台。どこの村にも、コーヒーや軽食、菓子、日用雑貨を売る小さな店がある。<戻る>

ププタン事件
ププタンはバリ語で「終焉」の意味。古来バリでは、戦闘で敗北を期した王が名誉ある死=自決を選び、多くの場合その家族や家臣が殉死する慣わしがあった。現在ププタンという語は、19世紀末のオランダ侵攻から独立戦争に至る外国の侵略に対するバリ人の集団自決行動(玉砕)という民族主義的な脈絡で使われることが多く、反植民地、独立のシンボルとなっている。<戻る>

マジャパイト
ジャワ語・バリ語の発音ではモジョパイト。ジャワ最後にして最大のヒンドゥー国家。1292年建国。大宰相ガジャ・マダ(次々注)の功により、14世紀中葉、現代インドネシアに匹敵する領土を獲得したといわれる。イスラム勢力に追われた王族らはバリに亡命し、マジャパイトの末裔を名乗るものが貴族層に多い。<戻る>

ブダウル
現在のブドゥル村付近に王宮があった国王の名。ブダウルとは「首(ウル)をすげ替えた」という意味で、この王は首を自由に切り離す呪力を持っていたという。ある時、切った首を川に落としてしまい、家臣が慌てて豚の首を付けてしまったという伝説に因む。<戻る>

ガジャ・マダ
?〜1364年。マジャパイトの大宰相。第3代ラージャパトニ女王と第4代アヤム・ウルク王の治世にかけ、34年間宰相を務めた。在任中は領土拡張政策を推進し、古代インドネシア史上最大の版図を築いた。現在インドネシア各地の都市では、最も繁華な街路をガジャ・マダ通りと命名していることが多い。<戻る>

ロンボック海峡
バリ島とロンボック島との間に横たわる海峡。ウォーレス・ラインとして知られるアジアとオーストラリアの動物生態区を分かつ境界線でもある。<戻る>

ブラーマ神
バリ語の発音はブラモまたはブロモ。ヒンドゥー教の創造神で火神。仏教では梵天として知られる。<戻る>

チョコルダ・サラスワティ
チョコルダはチョコルドと発音し、デワ・アグン(クルンクン)に次ぐ高位の王族の称号。<戻る>

ウク暦
バリで行なわれている暦法の一つ。ウクとは週のことで、7曜×30週=210日を1年とする。正式には、1日1週から10日1週まで10種類の暦が同時平行しており、非常に複雑である。。<戻る>

鬼子母神
梵語ハーリーティー(訶梨帝母)の漢訳。仏典によると、もとは人間の子供をさらって喰う女鬼だった。釈尊が彼女の子供を隠し愛児を奪われた母親の悲嘆を諭すと、悔い改めて幼児を守護する善神となった。<戻る>

十羅刹女
羅刹女は梵語ラークシャシーの漢訳。鬼子母神の十人の娘の総称。<戻る>

リンガ石
バリ語の発音はリンゴ。男根を模した彫像。陽石、石棒。ヒンドゥー教ではシワ(シヴァ)神のシンボルとされるが、バリでは太古から男根崇拝があった。。<戻る>

ブダウル
現在のブドゥル村付近に王宮があった国王の名。ブダウルとは「首(ウル)をすげ替えた」という意味で、この王は首を自由に切り離す呪力を持っていたという。ある時、切った首を川に落としてしまい、家臣が慌てて豚の首を付けてしまったという伝説に因む。<戻る>

グリンシン布
グリンシンは「光輝く」の意味。経緯絣(ダブル・イカット)のことで、インドネシアではトゥンガナン村でのみ織られている。。<戻る>


Created by
NISHIMURA Yoshinori@Pustaka Bali Pusaka,1996-2000.