2002年8月10日
閉塞社会の分析!政策提言2

アメリカの不景気と戦争

  −戦争と日本への影響−

 

村瀬 洋一

立教大学社会学部 助教授

 
 

1.アメリカ経済の今後
 アメリカの好景気はピークをすぎ、現在は、明らかに下り坂である。今後、わりとはやい時期に持ち直すという意見と、不景気は深刻化するという意見と2つあるが、これまでは、前者の楽観的な意見の方が多かった。しかし私は、アメリカのバブル景気過熱は行き過ぎだったし、その反動は大きいと考えている。おそらく5年後には、アメリカの不況は極めて深刻で、失業率や犯罪発生率もかなり上がるだろう。現在のアメリカは、日本のバブル崩壊3年目くらいの段階と似ている。好景気だったはずが、人々は、先行きにやや不安を感じ始めている、という段階である。日本の場合は、1995年の阪神大震災と1997年のアジア金融危機が、不景気に拍車をかけたが、アメリカの場合はどうなるか。現時点では、Kマートやエンロンやワールドコムなどの大型倒産、テロ事件後の航空、旅行会社の不振、国有鉄道アムトラックの経営危機、各州の財政危機など、悪いニュースが続いている。
 
2.選挙と戦争
 戦争勃発というと、日本人にとっては大げさにきこえるが、アメリカ政府は、数年に一度は、軍隊を使って爆撃や侵攻を行う。アメリカの大統領は、選挙の前に、爆撃を開始するくらいの権限は持っているし、実際にやっているのである。そのために十分な、巨大な軍事力を、現実に持っている。日本もアメリカも、政治家は金集めに熱心で腐敗が多いが、日米で違うのは、アメリカ大統領は、しばしば、選挙の前に戦争をするということである。
 アフガン空爆は、ほぼ終わったが、最近のアメリカ軍は、イラク爆撃を小規模ながら開始している。大統領の本音は、11月のアメリカ中間選挙の前までは、政府への批判はおさえておきたい、ということである。戦争があると、国民の団結心が高まり、政府への批判は少なくなる、というのは、よく知られた法則である。選挙前のタイミングで戦争を開始すると、現政権への支持率が上がる。不景気で、政府への批判が高まっている現在、選挙を有利にするには、戦争がてっとりばやい手段なのである。
 日本にとって問題なのは、アメリカが、テロ支援国家として、イラク、イラン、北朝鮮を名指ししていることである。近い内にある中間選挙や、2年後の大統領選挙の前に、支持率をあげるには、北朝鮮爆撃は、なかなか都合がよい手段である。イランとイラクを大規模に爆撃すると、中東情勢が緊迫し、石油価格の高騰や不景気、アラブ諸国からの反発がありうる。しかし北朝鮮ならば、日本と韓国が少し文句を言う程度ある。
 だが、北朝鮮爆撃は、日本国内の米軍基地を拠点として行われるだろう。国際法上、そのような場合、北朝鮮は、日本国内の米軍基地を攻撃してもよい。日本経済はさらに混乱するだろう。
 
3.日本の今後と法律の変化
 残念ながら、アメリカの北朝鮮爆撃は、十分にありうる。アメリカ政府にとっては、それは何の損もない作戦なのである。日本政府は、それまでに、メディア規制法を成立させて、日本政府への批判をおさえておきたいのが本音である。最近の日本政府が、メディア規制と自衛隊法改正に熱心なのは、そのような事情が背景にある。日本は、アメリカの勝手な戦争政策には、率直に反対し、アメリカ国民の良心に訴えることが重要である。アメリカ国民も、選挙前にやたらと戦争をする愚かな政府に、かなりうんざりしている。ブッシュは、前回の選挙でもぎたぎりでの勝利だったし、選挙に弱い大統領である。彼は、選挙前にはおびえて、変な政策を取るであろう。アメリカ政治は、日本の混乱に、大きな影響を与える可能性が高く、注意が必要である。
 

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