白亜紀トカゲ新種化石発見

1999年12月30日 中日新聞

岐阜県・荘川村手取層群 国内で最古

岐阜県大野郡荘川村に広がる「手取層群」の中生代白亜紀前期(約1億3500万年前)の地層から、は虫類の骨の化石が複数見つかり、鑑定の結果、新種のトカゲであることが29日までに分かった。現代のニホントカゲなどが含まれる「トカゲ下目」に分類される種類で、この種のトカゲの化石としては中国で発見されたジュラ紀後期(約1億5000万年前)のものに続き東アジアで2番目に古く、日本では最古。新種には発見場所の荘川村にちなんだ学名も付けられる。鑑定に携わった研究官らが31日付のフランスの古生物学会誌上に論文を発表する。

岐阜県荘川村の手取層群で見つかり、新種と鑑定されたトカゲの左上あごの化石(目盛り1つは1ミリ)

新種トカゲの想像図(神奈川県座間市の北村雄一さん作)

化石を鑑定した国立科学博物館の真鍋研究官(古せきつい動物学)とロンドン大のスーザン・エバンス助教授(同)によると、新種と分かったのは、「トカゲ下目」に分類されるトカゲの左上あごや骨盤などの骨約20点。あごに特徴があり、前歯が細く短いのに対し奥歯にいくにつれ太い。あごの形状は奥の方に厚みがあり、前部と後部で著しく異なる。現代のトカゲにはない特徴で、がっちりしたあごの形状などの点から、昆虫や貝殻などの硬いものをかみ砕いていたとみられる。全長は推定20センチ程度。今回の化石が発見された地層からは、このトカゲのえさになったような巻貝や二枚貝の化石もたくさん見つかっている。

エバンス助教授によると、トカゲは白亜紀後期にはすでに現代型のグループが出現していたが、それ以前の化石は少なく、進化になぞも多い。白亜紀以前のジュラ紀中期(約1億5900万年前)の地層からは1969(昭和44)年、福井県美山町でトカゲ類とみられる「テドロサウルス」の発見が報告されているが、現段階ではまだ正式にトカゲ類と断定されておらず、今回の発見に真鍋研究官は「トカゲ類の進化の過程を研究する上で非常に貴重な標本」としている。

これらの化石は、愛知県江南市の地方公務員、大倉正敏さん(50)をはじめ、岐阜市の会社員、柴田憩さん(50)らアマチュア化石収集家数人が92年から今年にかけて、それぞれ同村内の地層から相次いで発見した。鑑定は、大倉さんが見つけた長さ約2センチの左上あごの標本など8点を基に行われ、化石の周囲の岩石を除去するクリーニング技術の高さも高く評価された。

荘川村にちなんだ学名は、91年に柴田さんが同村内の地層から見つけたワニ型の淡水性は虫類に今年1月、「ショウカワ・イコイ」と名づけられたのに津続き2例目。