台北その日暮らし

 にしらは銭もないのにゴールデンウィークだ行楽だ帰省だイベントだ飲み会だと外に出まくってけつかる。本当にたまげたもんだ。
 自分だけ用もなく毎日うちにこもって、ミクシィのアプリとツイッターと2ちゃんねるとブログと阪神の試合で時間を過ごしている。
 これはいけない。外に出なければ筋力も衰えるし、精神的にも悪影響があるに違いない。スパルタ療法として、台湾旅行に行くことにした。台北の安宿に4泊してしまえば、いやでも外に出かけなければなるまい。

 ということで5月8日出発、12日帰国の格安航空券を入手した。19,800円の料金がサーチャージや空港使用料や手数料で32,000円くらいになったのはちょっと納得いかないが、やむを得まい。
 ホテルは日本から予約できないほどの格安宿を探すため、わざと予約しなかった。

 スーツケースがないので買ってから出発しようかと思ったが、台湾で買った方が安いだろうと思い直し、ズダ袋のようなバッグに衣類と、手荷物として持ち込めない液体類や刃物などつめこみ、あとは手荷物。このズダ袋は、場合によっては捨てて帰ってもいいや。

5月8日(土)
 10時ちょっと前に家を出て、日暮里から10時45分のスカイライナーに乗る。さすがゴールデンウィーク直後、座席は2割くらいしか埋まっていない。
 11時すぎに成田空港第二ターミナルへ。さすがにチャイナエアラインのチェックインカウンターは行列していたが、それ以外はほとんど並ばず進む。
 アイスランド噴火の影響はいかに、と出発ボードを見たが、考えてみれば第二ターミナルはヨーロッパ行きの便がほとんど出ない。それでもミラノ、フランクフルト、パリへは時間通り出発していたので、たぶんもう大丈夫なんだろう。
 あとはなにもやることがないので、土産物屋で秋葉原キティちゃんや練馬大根キティちゃんを物色したり、待合室でポメラして時間をつぶす。本当にポメラはこういうときの役に立つ。

 2時15分発のCI017に搭乗。昼食はウナギかポークかと聞かれ、ポークを選んだら酢豚だった。「酢豚にパイナップル入れるのは許せない派」のために報告しておくと、パイナップルは入っていた。さすが中華航空、豚肉がうまい。
 時差が1時間あって、4時45分に台北桃園空港に到着。入国審査や税関がやたら混んでいると思ったら、ほぼ同時に17便が到着していたのだった。
 もっとも数が並んでいるだけで、入国審査は簡単、税関はフリーパス。ただ、途中のX線ビデオ判定にひっかかって、耳で熱を計られたすえ放免。台湾はまだインフルエンザ警戒中らしい。街中でも、カラフルなマスクをした女性をときどき見かけた。
 着いたのが土曜日だったので、空港で3万円いっきに両替。手数料を差し引かれて10,074元。前の旅行で残った1,300元と合わせて、これで滞在中の経費はまかなえるだろう。

 空港から国光のシャトルバスで台北駅前に移動。125元。
 以前乗ったときは成田、機中でビールを飲んで酔っていたせいか、気づかなかったのだが、このシャトルバスの座席は奥が低くなっていて、座ると尻より足が上になって、ポケットの中のものがこぼれやすい。たぶん、以前に財布をなくしたのは、このせいで落としたんだと思う。
 しかし、シャトルバス3回目でこのことに初めて気づくとは、これが断酒してわかる「気づき」というものかしら。

 6時半ごろ台北駅に到着。北側に移動、大原路ぞいにある安宿を物色。
 台北ナビで誉めていた迎賓旅社で、ソファに寝ていたおばさんをたたき起こし、お互いにおぼつかない英語と、それよりマシな筆談を駆使しつつ商談。
 宿があやしげな裏通りにあったり部屋のあちこちガタがきていたり鍵がかけにくかったりエアコンがうるさかったり極小のゴキブリがうろついたりしているが、ちっちゃいことは気にするな。1泊550元で4泊、総計2,200元を前払い。
 さっそくメシを食いにいこうかと思ったんだが、テレビをつけたら日本ハム楽天戦をやっていて、つい最後まで見てしまう。延長11回裏稲葉のサヨナラタイムリーで決着がついたときには8時近くだった。
 しかしこの試合、日本時間の7時頃に延長戦が終わったわけだが、いったい何時から試合をしていたのだろうか。空が白かったから、ひょっとしたら録画か。

迎賓旅社 バスタブ

 台北駅からMRTに乗って台湾ビール工場へ。
 以前は工場の売店の片隅に飲食コーナーがあるだけだったが、現在は倉庫を改装して、346という大規模なビアガーデンを開設している。
 土曜日だったので台湾のロックバンドがライブをしていて、ライブハウスのようなノリ。若者が圧倒的に多く、踊りながらビールを飲んでいる。器用な人たちだ。
 台湾ビール生は以前と変わらずうまい。金牌ビールはちょっと甘口。新製品のMINEビールを飲みたかったが、品切れだった。
 ビール漬けのエビ、揚げ出し豆腐、ピリカラ手羽揚げの料理を頼む。ビールとクコに漬けたエビはほのかに苦く、ほのかに潮の味がする。全体的に淡泊。
 揚げ出し豆腐はタレに入っている生のニンニクが効いていて、私はいい味で好きだが苦手の人もいるかも。
 手羽先はピリカラというほどではなく、甘辛程度だが鶏肉がうまい。
 台湾生ビール2本、台湾金牌ビール1本を含めて総計670元。

台北346 台湾啤酒 海老と手羽先

 帰りもMRTの駅まで歩くつもりだったが、運動不足とビールの酔いの相乗効果で両足がつってしまい、しばらく立ち往生してしまった。やむなく、その場でタクシーを呼ぶ。
 私は中国語ができないし、場所の名前を中国語で言っても、どうせ発音がおかしいので通じないから、駆使するのはもっぱら筆談。そのために胸ポケットには、手帳とボールペンが必須。
 このときも「太原路 獅城大飯店」と通りの名前と目印になるポイントを書いたら、ちゃんと送ってくれた。80元。

 宿の部屋には冷蔵庫はないが、目の前にコンビニがあるので、まあ冷蔵庫がちょっと先にあるようなものか。
 宿に帰る前にコンビニでお茶を買ったが、適当に選んでしまったため、砂糖入りのを買ってしまう。やむなくそれで薬をのみくだし、シャワーを浴びて寝る。酔っていたから、11時頃には寝ちゃったかな。

5月9日(日)
 この部屋は窓がないんで、朝になったかどうかわかりにくいんだが、起きて時計を見たら7時だった。健康的。
 宿ではもちろんのこと朝食は出ないので、外に出る。小雨がぱらついていたが、傘をさしている人はほとんどいない。台湾の人は雨が平気なのかな。気温はTシャツだと寒いくらいだが、湿気が多いので歩くとすぐ汗をかく。
 近所の麺類屋台で麻疎麺というのをよくわからないままに注文したら、胡椒の入ったごまだれの米麺だった。辛さが物足りないので辛子味噌を入れたらうまくなった。40元。

麻疎麺

 コンビニでお茶と茶葉蛋と台北ウォーカーを買ってホテルに戻り、10時ごろまでうだうだと過ごす。台北ウォーカーは女性向きのおされ雑誌で、あまり役に立たなかった。
 テレビのZチャンネルでは、ジャイアントシン・シルバの大巨人タッグが蝶野と組んで試合をやっていた。懐かしいなあ。

 10時ごろ宿を出る。雨はやんでいた。
 地下街を歩いて台北駅をつっきる。どうでもいいが、日曜日の午前10時だってのに、地下商店街はほとんどまだ開いていない。いいんだろうか、こんなに商売っけがなくても。
 台北駅付近は、MRTの駅をさかいに、北と南ではまったく雰囲気が違うなあ。北口が安宿と安売商店の街なら、南口は垢抜けた流行の最先端が並ぶ街。池袋北口と東口の差に似てるけど、もっと格差が大きい。

 公園路を通って228平和公園へ行く。ここはタイワンリスが木をちょろちょろと登っていたりして、やはり台湾人も珍しいのか、みんな集まって眺めていたりする。しかし、リスだと思って尻尾を見たらネズミだったりすることがあるので、やはり台湾はあなどれない。
 公園内に国立台湾博物館がある。入館料は20元。
 台湾先住民の民族誌がくわしい以外は普通の展示だが、3階に博物館の創設者、児玉源太郎台湾総督と、後藤新平民政局長官の銅像がある。こういうのを見ていると、司馬遼太郎が書いていた「児玉源太郎は日露戦争に精魂を使い果たして溶けるように死んだ」というのは本当だったのかなあ、と思う。
(後記。台湾博物館の前身である「児玉・後藤記念館」が設立されたとき、すでに児玉は死去、後藤も台湾を去っていた。記念館はふたりの功績をたたえるために建設されたもので、ふたりが建てたわけではなかった)

 この博物館は、ミュージアムショップもあなどれない。どういうわけかパチモンっぽい日本アニメのカードが売っていたりするのだ。台湾で出ていた少年少女雑誌のコピーらしい。
 「科学忍者隊ガッチャマン」が「科学小飛侠」ってのは、なんか感じ出てるなあ。
 「キャンディキャンディ」が「小甜甜」ってのはいいとしても、なぜか作者が「井上優美子」だったりして、版権にうるさいいがらしゆみこ御大がこれを発見したらどうなることやら。

リス カード

 228平和公園にあるもうひとつの博物館、228記念館は、改装のため閉館中だった。
 公園の外がなにやら騒がしいので、どうしたことか、ひょっとしたらバンコクに続いて台北でも騒擾か、と見に行ったら、黄色い帽子の人間が大量に集結して、総統府までずっと、黄色い帽子が行列していた。どうやら国際佛光會という仏教の宗派が、信者を集めてデモンストレーションをやっているらしい。叫んだりねり歩いたりはせず、ひたすらおとなしく並んでいる。
 一緒に母の日の記念に軽トラをカーネーションで飾りつけていたが、これがなんというのか、あくどい印象を与える。

集結中心 母の日トラック

 黄色の行列を横目に見ながら西門町まで歩くと、いきなり「けいおん!」のアーケードがある。なんかこの街は、みるたびにいろいろともう駄目になっていく。
 日曜日だから混んでいるかと思ったが、メイド喫茶の萌點はガラガラだった。メニューをもらってその理由に気づいた。いまランチタイムで、ランチタイムメニューは平日160元のところ土日祝日は260元なのだ。ペッパーステーキランチと女僕謎液という謎のドリンクを頼む。

 昼までは雨が降ったりやんだりの不安定な天気だったが、萌點を出るころには雨もやんでいた。
 そのあといろいろと道に迷いながらもうひとつのメイド喫茶、可思客へ。
 こちらはメニューは普通なんだが、なぜか店内の温度がやたらに高い。
 抹茶クリームドリンクを頼む。連続で変な液体を飲んだせいで腹具合がちょっと悪くなる。
 メイド喫茶から出て大通りに戻ると、アニメイトの新装開店イベントとやらで、声優のような若い女性が話しているまわりが黒山の人だかりになっていた。
 やっぱりこの街は、ほんとにいろいろと駄目だ。

西門町 アニメイト

 タクシーを拾って迪化街へ。この通りは、見るたびに工事中で閉鎖の店舗が増えてゆく。清の時代からある建築物だから、もう寿命なのかねえ。
 日曜のせいか工事中のせいか、ぽつりぽつりとしか店が開いていないのだが、うろうろして台湾の愛文ドライマンゴー2斤(600元)と、茶梅という、梅を烏龍茶と砂糖で漬けたものを1斤(120元)買う。カラスミとお茶はまだ家に残っているし、今回はいいや。

 タクシーで宿の付近に戻り、安物街でお買い物。1200元でスーツケース、100元で半袖シャツを買う。自分は値切る能力がないとわかっているので、見切り品半端もので特価の値札がついている商品のみを買った。賢明な判断といえよう。
 4時ごろ宿に戻り、シャワーを浴びてひと休み。Zテレビでは神取・堀田対三田・アメージングコングの女子プロレスをやっていた。

 6時過ぎに宿を出て、MRTで遼寧街夜市へ。
 最初に豆花かかき氷でも食うか、ジュースでも飲むつもりだったが、どういうわけかその手のスイーツ屋台はぜんぶ休んでいる。やむなく鵝肉城へ直行。ここは名前通りガチョウの肉と、あと海産物が得意な店。
 店の前でおばちゃんがいろいろまくし立ててくる中から、海老と牡蠣とガチョウを選択。海老はゆで、牡蠣は焼いてもらう。ガチョウはローストの一択。
 ビールは当然ご当地産の台湾ビール、と思っていたが、この店にはバドワイザーの啤酒小姐がいた。緑のチョッキ、緑のミニスカの可愛い娘がバドワイザーをおすすめしてくるので、嫌も応もなく従う。ビールをついでくれるし、2本目を頼んだら、バドワイザーグッズをくれた。
 ゆでた海老は淡泊で、胡椒塩をつけるとぷりぷりしてうまい。オマケと称してつけてくれた海老の刺身は、甘エビのようなねっとりした甘みがある。
 牡蠣はナイフで殻をこじ開けるのに手間がかかるが、うまく開けて、中の汁ごとすすりこむと、潮の香りがして、ちょうどいい味わい。
 鵞鳥のローストは辛味のソースと甘辛のソースがついてきたが、甘辛のほうが合うような気がする。鵞鳥は鶏よりも味が濃く、いかにも肉を食っている、という感じがするので、ショウガとコブミカンの葉とともにねっとりした甘辛ソースで食べても、ソースに肉の味が負けない。ただ小骨が多いので、ちょっとめんどくさい。
 おまかせだったのでぼられるかと思ったが、ビール込みで960元。まあまあなんじゃないか。
 それにしても店に入ったのが8時ごろ、出たのが9時半というのに、他のテーブルは2回転くらいしていた。こういう店で私みたいにビール飲みながら粘る客って、少ないのかな。

鵞鳥、海老刺 焼牡蠣、茹で海老

 今日は足もつらずにMRTで帰ることができた。
 1万元で滞在費が足りると思っていたが、もう3千元くらいしか残っていないことを発見。明日の使い方次第では、明後日あと1万円両替する必要があるかも。

5月10日(月)
 昨夜は、耳元をずっと蚊が飛んでいて、よく眠れなかった。
 これから季節、安宿には蚊取り線香が必要だな。と思ったら、下の棚にちゃんと蚊取り線香の台があった。みんな使用してたんだな。
 7時半に朝食に出る。外は強い雨。さすがの台湾人も、みんな傘をさしている。
 昨日狙っていた定食屋は、テーブルいっぱいに客がいたので諦めた。あそこはいつも混んでいるから、きっとうまいのだろう。
 代わりに屋台で、牛肉餡餅25元と葱油餅20元を買って帰り、食う。牛肉餡餅は中のミンチと葱の餡に胡椒が効いていて、胡椒餅みたい。葱油餅はネギのお好み焼きみたいな形だが、粘着力のあるナンみたいな味がする。

 どうせ雨なら、雨には定評のある基隆に行ってしまおう。と台湾鉄道へ。
 雨が降っていて、半袖シャツでは寒い。温度計によると気温は20度。日本より寒いんじゃないか。

 9時半ごろ、弁当屋がちょうど今日の弁当を並べているころ駅に着く。
 ガイドブックでは台北から基隆へは自強号、莒光号、復興号の急行があって、自強号がいちばん早い。私の場合、できるだけゆっくり行きたいし、列車で旅情を感じながら弁当を食べたいので復興号にしたかったのだが、駅の時刻表を確認すると復興号はなくなってしまったらしい。どうせ空いてるだろうからいいや、と普通電車にする。43元。
 切符を買ってから弁当売場に引き返したのだが、なんと恐るべし、35元の原住民弁当はすでに売り切れていた。本当にあっという間に売れるのだな。やむなく台鉄弁当を買う。60元。
 さてプラットホームから普通電車に乗りこんで愕然としたのだが、横一連のシートしかない。たしか数年前は旅行仕様の縦シートがあったはずなのに。MRTだって4人乗り座席があるというのに。これでは旅情もへったくれもない。
 しかも台北駅から南港まではずっと地下を走っていて、ますます旅情もへったくれもない。それでも弁当を食う時機をうかがっていたのだが、ついうとうとしてしまい、気づいたら基隆に着いてしまった。くそう、弁当をどうしてくれる。

基隆駅前 基隆港

 駅から一枚の地図をたよりに、さんざん迷いながら李鵠餅店と李製餅家をみつけ、パイナップルケーキを買う。李鵠が10個入りパック2個で280元、李製が24個入りで300元。
 さんざん迷ったのはガイドブックに「行列があるからすぐわかる」などと書いてあったせいもある。平日の午前中、どちらの店もだれも並んでいなかった。まあ基隆は夜市もめあてに、夕方から来る観光客が多いんだろう。

 基隆夜市へ行ってみたが、まだ午前中だったせいか、生鮮食料品や乾物の店ばかり並び、屋台がぜんぜん出ていない。三明治も泡泡氷も豆花も蟹もなんにもない。夜まで待つわけにもいかないので、やむなく引き返す。やっぱり私も、夕方に来ればよかったかな。

 帰りの特急で弁当を食ってやろうと思ったが、次の特急まで1時間半待たねばならぬということで断念。バスで台北駅まで帰る。55元。
 道路沿いにセクシーなランジェリー姿でビンロウを売る、ビンロウ西施がいないかとずっと道路沿いを注目していたのだが、ぜんぜんいなかった。やはりもっと南部に行かないといないのか。
 バスの中も飲食するような雰囲気ではなかったので、結局台鉄弁当は、宿で食ったのであります。情けない。

 台北駅前の書店通りで語学本を物色したが、もはや台湾の日本語会話本には、お笑いのはいりこむ余地がないことを発見した。要するに正確でつまんない。
 漫画のコーナーでは、よくこんなマイナーなのまで、と驚嘆するほど多くの日式漫画が販売されていた。壱村仁「ブレスオブファイア4」とか。
 チャンピオンREDで絶賛連載中の「ミカるんX」は、台湾での題名が「巨乳戦隊X」になっていた。なぜ「全裸戦隊X」ではないのだろう。
 「ギャグマンガ日和」か「どきどき魔女神判」か「シグルイ」があったら買おうと思っていたのだが、どういうわけか見つからなかった。あれか、やはり台湾版出版の鍵は、やはり萌え要素なのか。

 書店のちょっと先で、福州元祖胡椒餅(40元)と檸檬愛玉(35元)を買う。胡椒餅は油断すると熱い肉汁がこぼれるほどジューシィ。愛玉はこれまで、お椀からスプーンで食べるのしか経験してなかったんだが、この店は極太ストローで愛玉を吸いこむこれならジュースパックにして持ち歩ける。

 2時ごろ宿に戻り、荷物をおいて一休みしていたら、いつの間にか寝入ってしまった。時計を見ると4時過ぎ。あわてて外に出る。

 宿から歩いて3分のメイド喫茶、Fatimaidへ入る。やはりこの店が台北のメイド喫茶の中ではいちばん落ち着く。台湾人もそう思っているらしく、平日の4時半というのにほぼ満席。
 日本語の話せる親切なメイドさんに説明してもらい、あずきパイと痛いスプライトのティータイムセットを頼む。150元。
 この店ではじめて「よつばと」を読んだのだが、このマンガって4コマじゃなかったのね。だいたい意味はわかるのだが、「巨大漢呱呱!」とか「爸爸乎環境的敵也!」とかは、原作を読んでいたらもっと日本語との違いがわかって、面白いんだろうなあ。

 メイド喫茶から北へ10分ほど歩き、寧夏街夜市へ。6時ごろの屋台は、まだ準備中。南にゲームや海賊版ソフトの屋台、北に食い物屋台が並ぶ。
 ちょっとぶらぶらして6時半ごろ戻ると、そろそろ開店。
 屋台で猪肚湯を頼む。豚の大腸とキビのような穀物を、薄い塩味で煮込んでいる。生臭さがほとんど消えている。50元。
 あと、せっかくだから元祖のひげちょうの店で魯肉飯を食う。さすがに脂のしみぐあいといい、甘辛の味つけといい言うことはない。30元。
 臭豆腐に心が動いたのだが、もう腹一杯なので断念した。

寧夏街夜市 猪肚湯

 宿に戻る途中、苦茶之家でデザートを食う。桂花蓮子湯(55元)と苦茶(50元)。
 肌寒かったんでかき氷をやめてホットにしたけど、ホットはただの砂糖湯だなあ。
 あと蓮の甘煮だけじゃなく、タロイモとか他のものも入ったのを頼めばよかったかな。
 苦茶はなんというか、コーヒーとセンブリと正露丸を混ぜたような味。
 つけあわせの甘酸っぱい玉は苦茶の箸休めにちょうどよかったが、なんだったんだろうなあ。梅肉の砂糖漬けを練って玉にして干したのかなあ。ちょっと梅仁丹にも似た味だった。

魯肉飯 苦茶&桂花蓮子湯

 おとつい台湾ビール工場で品切れだった、台湾ビール黒MINEをコンビニで発見。アサヒ黒ビールに似た味の、さっぱり系黒ビールでした。
 ビールのつまみに台鉄弁当。でっかい排骨と、煮卵、酢漬けの野菜、沢庵がご飯の上に載った弁当は、冷めてもまずまずの味だったが、とにかく多すぎて食べきれない。

台鉄弁当 台鉄弁当中身

5月11日(火)
 どうも蚊はおひとりさま一匹の決まりらしく、一昨日から同じ蚊が顔のまわりをブンブン飛んでは遠慮がちにあちこちを刺していく。朝方目の前を飛んでいたのを、幸運にも叩き落とすことに成功。これが最後の一匹であればいいのだが。
 ベッドには小さい蟻が歩いていたが、ちっちゃなことは気にするな。逆に考えるんだ。「南京虫でなくてよかった」、と考えるんだ。

 朝食代わりに、昨日買っていまだにもてあましている台鉄弁当をもうひとかじり。宿の人に、「んまー、この人鉄道弁当を宿で食べてたの」と知られるのは恥ずかしいので、残りは地下街に捨てていこう。
 きょうも台北は雨、気温は20度から24度という予報。やれやれ。長袖のシャツを着ていくことにしよう。

 善導寺駅のそばの昆虫科学博物館へ。この博物館は成功中学校の構内にある。エレベーターはIDカードがないと使えないので、階段で3階まで登る。
 台湾のみならず、世界中の昆虫標本が並んでいて壮観。台湾産の蝶では、やはりルリシジミの類が、小柄だが緑、青、紫の金属光沢の翅をもち美しい。
 外国となるとやはり南米のモルフォ蝶か、南太平洋のトリバネアゲハが巨大かつ美しいが、南米のベニマダラスカシバカゲチョウ(中文表記の紅斑透翅蔭蝶を読み下しただけなんだが、これで和名になってるんだろうか)は小さいながら、透明な羽の後翅がほのかに紅色で、そこはかとなく美しい。モルフォ蝶が南米女性の盛装したゴージャスな美しさとすれば、透明の翅にほのかな紅をさしたこの蝶は、楚々とした過去の日本の娘のたたずまいがある。
 他にも翅のかたっぽがメス、もう片っぽがオスというモザイク奇形や、胴体がふたつの奇形、顔だけ幼虫の奇形、翅が5枚ある奇形など、フリーキーな蝶も多く展示している。
 他の国の昆虫は産地に「阿里山」「パプアニューギニア」「ペルー」などと最低国名までは表記しているのに、なぜか非州(アフリカ)の昆虫だけ、産地がすべて「アフリカ」とぞんざいなのはどういうことだろう。
 この博物館は、展示の表記がちょっと妙だ。亜歴山鳥翼蝶(アレキサンドラトリバネアゲハ)が「世界最大蝶」、大象兜蟲(エレファスゾウカブトムシ)が「世界最大兜虫」なのはいいとして、幽霊竹節蟲(ユウレイナナフシ?)が「世界最醜昆虫」というのは科学的というより美学の領域ではないだろうか。高加索大兜蟲(コーカサスオオカブトムシ)が「世界最凶昆虫」というのは本人に確認したのか。燈籠蝉(トウロウゼミ?)が「世界頭部最怪昆虫」というのに、「世界腹部最怪昆虫」がないのはどういうことだ。
 こんなに立派な博物館なのに、観覧者が私ひとりなのはもったいない、と思っていたら小学校の社会見学の団体が後から来たので、他人事ながらほっとした。

鄭成功の碑 昆虫博物館

 博物館から歩いて中正紀念堂のそばにある小籠包の店、「盛園」へ。11時すぎだからもう開いているだろうと思ったら、開店が11時半ということだった。
 それまで中正紀念堂の公園で時間をつぶす。二胡の練習をしている人がいて楽士さんを思い出した。腕前は楽士さんより下手だった。
 公園のサルビアの花を、雀がしきりにむしりとって食っていた。蜜が甘いのだろう。

 雀ども蜜をあさりて中正堂
        虎玉
 (政治的な意味はありません)

 11時半になったので盛園へいくと、すでに5組の客が入っていた。繁盛してるなあ。
 小籠包(90元)と酸辣湯(35元)を注文。小籠包は薄い皮はもちもちしていて、熱い肉汁がたっぷりで、言うことなし。酸辣湯はなぜか均一でなく、ところどころ酸っぱい箇所があり、そこが当たると嬉しい。

中正紀年堂 盛園の小籠包

 12時過ぎに西門市場で腸詰を買い、MRTに乗って民権西路へ。さあこれから、パイナップルケーキ争奪戦・台北編が始まる。
 まず銀行で1万円を両替。3,259元。空港よりちょっとレートが悪くなったな。
 最初に中山北路に移動し、奇華餅家で購入。16個入り500元。
 中山北路を北上し、晴光市場の入り口にあるという福利を探したのだが、見つからなかったので、とりあえずマンゴーを購入し、臭豆腐の揚げたのを食う。揚げると臭いがほとんどなくなって、厚揚げのフライと同じ味わい。
 さらに承徳路へ移動し、維格餅家へ。ここは観光客の団体でごったがえしている。10個入り300元を2つ購入。
 そして民権西路駅前に戻り、順成蛋糕で5個75元を4つ購入。
 さすがに荷物が重たくなったので、宿に戻る。
 パイナップルケーキ購入の成果は5店。パイナップルケーキだけで、スーツケースがほぼ満杯になる。

揚げ臭豆腐

 宿でマンゴーを試食してみた。写真右の赤いのが台湾特産の愛玉マンゴー、左の緑のが原種の土マンゴーだと思うのだが、ひょっとしたら違うかもしれん。緑のマンゴーは土マンゴーかと思っていたんだが、それにしては大きいよなあ。大きさも愛文マンゴーと同じくらいだし、値段も同じ30元だし。
 どちらもまだ未熟なのか、堅い芯があって、それをよけないと切れない。
 愛文マンゴーはまだ季節が早いのか、いまひとつ甘みも酸味も足りない。
 緑のマンゴーは甘くて酸っぱくて汁気たっぷりで、こっちのほうがおいしかった。ただ、繊維質が多い。皮だけむいてしゃぶるように食うのがいちばん食べやすいようだ。

マンゴー 十徳ナイフでカットするのは難しい

 4時ごろ宿を出て、台北地下街をうろつく。
 Y10から20くらいにかけての、いわゆる「オタ区」は、日本直輸入のゲーム、フィギュア、グッズが多くてつまらない。もっと台湾で勝手に作ってくれれば、こちらも発掘する楽しみがあるのだが。
 中華雑貨の店で小型のマニ車をみつけたので買った。50元。
 スーツケースのような大型のものが入るコインロッカーは、台鉄地下改札前にしかないようだ。明日はここに荷物を預けて、1時半ごろまでうろつくとしよう。
 空港行きバス乗り場に近い地下出口も確認した。
 地下街をくまなくめぐっていたら、私が買ったのと同じようなスーツケースを600元で売っている店があった。くそう。
 思わず買ってしまいたくなる衝動を抑えつけるのに苦労する。

 地下街をざっとめぐったが、まだ5時半。夕食にはちょっと間がある。龍山寺の前の元祖福州胡椒餅でも買ってみよう。
 龍山寺公園の横手の細い路地に、ずらりと人が並んで焼けるのを待っている。
 しばらくぼおっと並んでいたが、餅を受け取る人が金を払っていないのに気づく。札のようなものと交換しているようだ。
 つまりここの胡椒餅店は、まず数量を言って金額を払い、注文順の整理札をもらって、焼きあがったら整理札と商品を交換、というシステムになっているのだ。おそらく長蛇の行列で細い路地があふれるのを防止する苦肉の策なのだろう。
 というわけで私も45元払って、1個予約する。焼けるのは27分後、と妙に正確な時間を告げられる。
 それまで龍山寺の地下街で時間をつぶす。本の安売りをやっていたのでしばらく立ち読み。台湾の日本語会話本は正確になりすぎて、笑いの要素がないと思ったのだが、例文の選び方に微妙にウケるところがあるので、買ってみる。定価190元のところが、8.5%割引で170元だった。

 この本は「日本の生活常用会話」を謳っていながら、ほんとに常に使っているか?と日本人すら疑問を抱くような会話が並んでいる。
「もう!」
「どうした?」
「日本語なんて、もううんざりだ」
 など、いったいどういう場面で使うのでしょうか。

「動くな!手を挙げて」
「はい」
 も、ちょっと素直すぎるんじゃないかと思います。

「こちらは今年の人気商品です」
「うん……生キャラメルの人気がちょっと理解できませんね」
 ひょっとして田中義剛にケンカ売ってますか。いいぞもっとやれ。

「彼女と結婚する!」
「本当?絶対後悔するよ」
 どんな女やねん。

「見て!あの人、段ボールをかじっている!」
「本当だ!でも、たまにそういうこともあるよ」
 大木こだま・ひびきの「そんな奴、おれへんやろー」というツッコミが入りそうです。

「お兄ちゃん、ちょっといい?」
「うん、何?」
「もう寝てた?ごめん、明日でいいよ」
「じゃ、おやすみ」
「おやすみ。電気消しとくよ」

「ほら、汚い手で触るな!」
「触らせてくれたっていいじゃない。けち!」
「大事なバットだからダメ!」
「兄ちゃん最低!わたし、出ていくから」
「どうぞ、ご勝手に!」

「あれ、恵美、どうしてパジャマを着てる?」
「あっ、恥ずかしい!」
 これは仮に「妹シリーズ」と命名しましょう。妹萌えを誘っているとしか思えません。

「また浮気したわね」
「ごめん」
「あんたなんて大嫌い!もう別れましょう」
「本当にごめん。僕、可奈子じゃなきゃダメなんだ。許してください!」
「これからずっと可奈子ちゃん一筋だから、許して!」
 はひたすら男が情けないのはともかくとしても、どういうわけでこれが「生活」で「常」に「用」いられるのか、理解に苦しまざるを得ない。

 というかこの会話集、全体的に「試験に落ちた」「会社を辞めた」「別れた」「離婚した」「遅刻した」「怒られた」「喧嘩した」等々、ネガティブな話題が大半を占めている。台湾人から見た日本社会は、やはりこのようなネガティブな社会なのだろうか。

 地下街ではおっさんがカラオケで「時の過ぎゆくままに」を熱唱していた。台湾語版かと思ったが、しばらく聞いてみると、かなりたどたどしいものの、日本語の歌詞を歌っていた。

 さて30分待って購入した胡椒餅はというと、肉汁はたっぷり、具も小エビがそのまま入っていたりして豪勢だが、台北駅前で並ばずに買える福州成祖胡椒餅と比べて、5元プラス30分の付加価値があるかと考えると、微妙なところですな。

 6時半をすぎたので、龍山寺からMRTで南京東路へ移動。そこから10分ほど歩き、長春路から脇道に入ったところに「岡山羊肉」の店がある。岡山とは私の母の故郷ではなく、台湾にそういう名前の山があるらしい。
 羊のもも骨スープ+麺線(90元)、羊の茶味噌炒め(120元)、青菜炒め(60元)を頼む。この店にも白いミニスカの台湾啤酒小姐がいるが、客と話しこんでいてぜんぜんサービスをしない。客は冷蔵庫から勝手にビールを取っていく。
 羊のもも肉スープは、大腿骨を漢方で煮込んだもの。黒っぽいスープだが味は淡泊。肉のスープと、クコとお茶の香りがした。唐辛子味噌をまぜるとがぜんうまくなった。
 羊の骨をかじるのもいいが、骨髄をストローですするのが快感。いかにも上質のタンパク質という味がする。
 羊の茶味噌炒めは青梗菜もいっしょに炒めてあって、これなら青菜はいらなかったかな、という感じがした。茶味噌が独特のほろ苦い味を出していて、これはこれでいい。
 青菜炒めは空芯菜だった。ちょっとねっとりしてほのかな甘みのある野菜は好きなんだが、ニンニクが生っぽい。これは初日にも揚げ出し豆腐に入っているニンニクで感じたのだが、炒め足りなかったのではなく、わざとやっているような気がする。なにせからすみを炙って生のニンニクスライスと交互に食べる方法を発明した台湾人だから、ニンニクを使うときはあえて生の部分を残して辛みを活かすことぐらい考えていそうだ。
 料金は台湾ビール1本を含めて340元。

岡山羊肉

 タクシーで帰ろうかと思ったが、夜の空気が、ほろ酔いをさましながらそぞろ歩きするには最適なので、駅まで歩く。気温21度。湿度も低く、快適。
 そういえば台湾は連日雨の予報だったが、この4日間、出歩いているとき雨だったことはあまりなかった。

 宿に戻って荷物の詰め方を考えながらあれこれシミュレーションと試行錯誤をやっていたら、1時になってしまった。まあ、オリックソフトバンクの延長12回引き分け試合を見てしまったせいもあるが。
 あわてて外に出る。この宿は7時にはみんな起きて10時には寝る健全宿なので、おかみさんの手を煩わせて入り口の鍵を開けてもらう。ほんますみませんでしたおかみさん。
 台湾ビール(40元)と台湾龍泉ビール(41元)というのを買ってきて寝酒にする。ロング缶しかなかったんだ。信じてくれ。
 龍泉ビールは高雄の会社らしい。ちょっと甘口で苦みが少ない。やはり台湾では、台湾生ビールが最高だと思う。
 きのう蚊を殺したが、あれがチェンジコールになったらしく、また今晩も1匹つきまとう。本当におひとりさま1匹だなあ。ビールが虫を引きつけ、さらに何カ所か刺される。

 買ったばかりのスーツケースだから、いちど預けると、どれが自分のスーツケースかわからなくなるんじゃないだろうかと心配し、地下街で買ったお札を貼ってみた。
 ほら、これで世界共通、存分にぼったくってください仕様のスーツケースが完成。

スーツケース

5月12日(水)
 今朝は雨。予報だとずっと雨、気温は22ー25度。
 ついに念願の定食屋で朝飯を食うことに成功した。親爺に英語が少し通じる(”少し”は私のほう)ので、なんとか注文できた。ホウレンソウ炒め10元、ソーセージ20元、鳥の唐揚げ10元、ご飯10元、澄まし汁10元で合計60元。
 味は……うーん、正直期待したほどではなかった。汁は熱くて具だくさんでうまかったけど、オカズが全部さめてたからなあ。やはりおいしい定食は、早起きした人だけの特権か。
 この定食屋の親爺といい、さきおとついの麺屋の親爺といい、この界隈は親切な人が多いのが特色か。

近所の定食

 それにしてもこの4日間、新聞はないし、テレビはプロレスとパリーグの試合しか見ていないので、世間の動きとかタイガースの勝敗とかがまるでわからない。私が外国に出ると阪神が負けるというジンクスがあるので、あまり多くは期待していないが。
 Zテレビという局ではプロレスとゴルフと時代劇を交互に映している。
 GTVという局ではパリーグの完全中継が実現したと、王さんがきのう話していた。ソフトバンクの王さんは台湾の伝説の英雄だからなあ。セリーグは駄目か。中込は八百長でつかまったし、林威助は二軍だし、台湾選手が小粒すぎるよなあ。郭源治にがんばってもらうしかないか。
 ただ、たぶん生中継はない。まあ夜中や朝は録画に決まってるんだが、それにしても数日遅れの試合を流しているようだ。世間はたしか交流戦のはずだが、昨日はソフバン対オリックスの延長12回を放映していたからなあ。今朝は西武対楽天の試合で岸が投げていた。この試合はおとつい見た記憶がある。

 朝食を食べ、シャワーを浴びてから荷物詰め。なんとかスーツケースと手荷物のふたつだけにすべく、スーツケースに箱入りパイナップルケーキと壊れないものをぎゅうぎゅうに詰める。最後はスーツケースの上に乗って、体重で荷物を圧縮して、かろうじてチャックを閉める。パイナップルケーキがいくつか潰れたかもしれないが、私の関知するところではない。
 ようやくスーツケースを閉じ、汗みどろとなり、シャワーを浴びて一息つく。
 さて鍵を、と思ったら、鍵はスーツケースに詰めたぼろバッグの中だ。
 またスーツケースを開けて鍵を取り出し、ようやくのことでまた閉めたときは、まったくのところ疲労困憊していた。

 10時ごろ宿をチェックアウト。とはいっても鍵を渡して「再見」と言うだけのことだ。
 台鉄駅のロッカーにスーツケースを入れ、台北駅前へ。タピオカ入りミルク紅茶(30元)を買い、228公園でひとやすみしながら飲む。甘さは5割くらいがちょうどいいかな。
 11時ごろ、台湾故事館へ。150元の館内使用クーポンのついたスペシャルチケットが280元。
 戦前の防空洞や日本占領時代のポスターもあるが、民国53年=1964年のカレンダーが貼ってあったから、基本的には1960年代の台湾を再現してみたらしい。ちょうど私が生まれた年あたりだ。
 ここは駄菓子の購入もできる。ベビースターラーメンの台湾版(2個10元)は、なぜか同じ顔で男の子だ。チューブチョコレート(10元)というヤバそうなお菓子と、クロンボキャラメル(5個10元)という、別の意味でヤバそうなお菓子も買う。

台湾故事館 台湾駄菓子

 さらに軽食もできる。昔のかき氷屋を模した建物で、八寶氷という昔懐かしい味とやらを食べてみた。かき氷に黒砂糖シロップがかかり、砂糖で柔らかく煮た、小豆、ピーナツ、大花豆、緑豆、タピオカ、キビ、愛玉、亀ゼリーの八種の具をのせて80元。寒いけど、最後の日だから、ここで氷を食わずにはおくものか。たとえ寒さでふるえても、たとえ腹が冷えても。
 別な店で豆花も食べる。こちらは柔らかい豆腐に小豆、ピーナツ、カラフルゼリーをのせて60元。
 スイーツばかり食って腹がふくれてしまい、食事ができなかった。
 土産物屋にも台湾博物館と同じパチモンアニメカードや、台鉄売店にあった変なトランプが売っていた。毛沢東トランプを買う。80元。

八寶氷 豆花

 1時過ぎに台湾故事館を出てスーツケースを回収し、台北駅を1時半出発。国光バスで125元。
 2時20分、空港に着く。第二ターミナルだと思って降りたのだが、また第一ターミナルで降りてしまった。「第二ターミナル行きバス」の看板を見間違えてしまった。アホや。
 ううう、2時55分の第二ターミナル行きシャトルバスを待つしかない。
 そんなわけでせっかくの時間を浪費してしまい、かなり微妙な席しか取れなかったのであった。
 ちなみにパイナップルケーキが充満したトランクは16.5キロ。もうちょっとで重量オーバーだったな。

 4時45分発のCI107は、しばらく立ち往生していたと思ったら、空港混雑のためしばらく待たされ、5時に離陸。
 機内食はシーフードスパゲティか鶏肉飯か聞かれ、鶏肉を選ぶ。チキンと野菜の煮込み飯、サラダ、チョコレートケーキ。
 15分遅れたわりには、成田には定刻の8時40分に着いた。すっとばしたのかしらん。そういえば揺れがひどかったし、着陸もずいぶんと雑だった。

 台湾ではずっと20度くらいの気温で、日本の方が暑いんじゃないかと思っていたんだが、成田の気温14度って、どういうことやねん。あの真夏の天気はどこへ行った。

 どっとはらい。


おまけ パイナップルケーキ食べくらべ

パイナップルケーキ5種
 写真右上は李鵠餅店、右下は奇華餅家。
 左上から、李製餅家、維格餅家、順成蛋糕。

維洛 皮は脂分控えめで、らくがんのようにほろほろと崩れやすい。餡は上品な甘みで、さくさくするパイナップルの粒まじりの半練りあん。

奇華 皮は脂分控えめだが、固いので維格ほど崩れない。ただ、やや粉っぽさと塩味を感じる。餡も固めで、明るいオレンジ色の練りあん。甘さ控えめ。

順成 維洛ほどではないが、皮が脂分控えめで少し崩れやすい。塩味強め。餡は明るいオレンジ色で、やや固めの半練りあん。甘さは控えめ。

李鵠 皮が薄めで餡が多い。皮は脂分が多くしっとりしている。餡は薄味で柔らかく、パイナップルの粒まじりの半練りあん。

李製 基本的に李鵠と似ているが、李鵠より皮の脂分はやや少なめ。餡は李鵠より甘く、柔らかめの練りあん。

 個人的には、李鵠餅店がいちばん好みかな。カロリー高そうだけど。


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